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Recoilを剥がしている話 3社合同フロントエンド合同勉強会 2024/12/10 株式会社PR TIMES @kiririLee

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・アプリケーションの状況 ・なぜ剥がしているのか ・何に移行しているのか ・進め方 ・遭遇したパターンと反省点 ・現状の進捗とつらみ

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現状のアプリケーションの状況 ・React, Next.jsで構築されたプロジェクトでRecoilに  依存しているプロジェクト数は15 ・フロントエンドチームとしてRecoilの利用方針、設計方針などは  なくプロジェクトによって使い方や依存の仕方がバラバラ  Global State以外にも非同期処理、localStorageと  Reactの同期にも使用されている

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なぜ剥がしているのか 🤔

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・React 19で動かない ・2023/4/12 からリリースがなく、対応される見込みがない ・Recoilをフォークして自分たちでメンテしていくリソースはない パッチを当てれば動くには動くが プロダクションで動かすには信頼できない

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Recoilが依存関係にある限りReact 19へのバージョンアップは できない PR TIMESは17年続いているサービスであり、現在も様々な 新機能が追加され続けている 今後も数年先の機能追加などを考え、継続的に運用していく 必要がある Recoilの依存は将来的な事業運営を困難にするのは明らかで あるためRecoilから脱却する

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状態管理は何に移行しているのか 🤨

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今後も数年先の機能追加などを考え、継続的に運用していく 必要がある ソフトウェアの持続性を考える必要がある そのためReact公式(標準)のAPIのみで状態管理を行うのが理想 再掲 Recoil を useState, Context で置き換える方針 💪

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From To サーバーデータ Recoil, TanStack Query TanStack Query, Context + useEffect Global State Recoil Context Local State Recoil useState 参考:「3種類」で管理するReactのState戦略 ・非同期処理はTanstack Queryに寄せつつ、  プロジェクトによっては Context + useEffect を使用 ・新規のプロジェクトではRecoilを一切使わない

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置き換えたパターンと反省点 🧐

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State自体必要ないパターン URLの状態によってコンポーネントを出し分ける実装で URLの状態を Recoil の atom, selector で管理 Setter (setState)がなく、SetterによるUIの更新がない コンポーネントの再レンダリングごとにURLの状態を見て コンポーネントを出し分ける。State自体削除。 Before After

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URLのパラメーターから現在のページを取得 navigatorからUAをみてモバイルかどうか判断 2つのatom(仮実装) Before

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2つのatomから合成したselector モバイルデバイスかつ外部共有ページであることを判定するselector Before

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Selectorの値によりコンポーネントを出し分ける(仮実装) Setterはなく、参照のみ。
 Before

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関数を実行して分岐するように修正 After

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State自体必要ないパターン Setterを使用していないStateはそもそもStateが必要ない (場合がほとんど) StateのSetterを呼び出した場合のみ更新されるという特性を 活かしてインスタンスを保持するパターンはある

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localStorageと同期するパターン Recoil の Atom Effects で localStorage と Stateを同期する実装 localStorageの値を初期値として設定するのはuseStateに コールバック関数を渡す 更新は、setState のタイミングで localStorage も同時に更新する カスタムhooksを作成し、appからはhooksで更新をする Before After 


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コードでのイメージ

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Selectorで非同期処理をしているパターン Recoil の SelectorでAPIからデータを取得して、さらにそのデータを 別のSelectorで加工(派生状態)してappから参照している実装 APIのデータ取得は useEffect、取得したデータの配布はContext 派生状態は全て削除して、派生状態への変換をカスタムhooksに 切り出す。 Before After

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Selector による APIデータ取得

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派生状態 ① string型をDate型に変換 派生状態①からの派生状態② Date型をフォーマットした string型

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RecoilのSelectorで派生状態を作ると、その状態にsetState できるようになる。 派生状態① にはDate型で setState する 派生状態② にはフォーマットした日付を setState する string, Date, format後のstring 、三つのStateが存在する

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大きく分けて以下の二つのパターンで置き換えられる。 ・一つのStateに三つの状態をまとめる。 ・状態を一つにしてカスタムhooksで参照するときに加工する

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APIデータ取得後に、一つのStateに三つの状態をまとめる。(例)

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状態を一つにしてカスタムhooksで参照するときに加工する ・APIからデータ取得後にDate型のみで保存する ・コンポーネントからはカスタムhooksで加工したデータを使う ・setState するときは、毎回Date型に変換して setState する

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参照するときのカスタムhooks(例)

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更新するときのカスタムhooks(例) Stateの型はDate型一つのため、formatDateToDate関数(仮)で string型をDate型にしてセットする

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実際には二つの置き換えパターンのハイブリッド ・一つのオブジェクト(State)に全ての派生状態をまとめると  オブジェクトが大きくなってしまう。 ・カスタムhooksは、Stateの参照と更新を行うときにそれぞれ  毎回変換ロジックを書く必要がある。 バランスを見て調整。 selectorで複数のselectorに依存かつ そのselectorにセットしている場合は対応できないため別で 対応が必要。

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Selectorがどうしても必要な場面が今の所見当たらない。 ・多くの場合、コンポーネントから参照する際に  複数のStateを集約し、加工するために使う。  カスタムhooksで良いのでは?派生状態にSetterはいらないのでは? ・カスタムhooksの変換ロジックは純粋関数のためテスト  しやすい。  カスタムhooksで良いのでは?

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現状のつらみと進捗 😀

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派生状態がつらい ・派生状態が多い場合、根本のselectorから末端のselectorまで  一気に置き換える必要があり、影響範囲が広くQAが大変。 ・特に根本のSelectorでAPIデータを取得していると  それがGlobal Stateとして扱われ、アプリケーション全体に  影響が及びがちになっている。

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影響範囲別に3つに分けて進行中 ・影響範囲小:  Recoilに依存しているファイル数が10ファイル以下のプロジェクト ・影響範囲中:  20ファイル以下のプロジェクト ・影響範囲大:  依存が特に広い50 〜 100ファイル以上のプロジェクト 進行方法

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・影響範囲小  9つのプロジェクトの内7プロジェクト完了 ・影響範囲中  3つのプロジェクトの内、現状どれもまだ手付かず ・影響範囲大  4つのプロジェクトの内、2つのプロジェクトで派生状態に  つらみを覚えながら進行中。 進捗

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To be continued...