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Rettyにおける定量/定性データを活用した意 思決定事例 
 Hirano Masaya
 2020.03.25


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自己紹介 ● 名前:平野 雅也(Hirano Masaya) ● 所属:Retty株式会社 データ分析チームMGR ○ データまわり色々やってます ● 職種:エンジニア→データアナリスト ● 食種:ステーキ(補足:Rettyには食の担当制度があります) Retty データ分析チーム - 立ち上げ2年目の振り返り Rettyの意思決定を最大化!データ分析チームの取り組みを ご紹介

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日本最大級の実名グルメサービス「Retty」
 
 
 
 
 実名制
 オススメの口コミ
 友人との「つながり」 
 口コミ内容はポジティブな“おすすめ”で きるお店を投稿。
 点数評価ではありません。
 Rettyのサービス内で“友人”や“食の 嗜好が合う同士”がフォロー機能でつ ながっているSNS型です。
 実名制口コミの信頼度が非常に高いグ ルメサービスです。
 2011年6月にサービスを開始した実名グルメサービス「 Retty」は、 グルメに強いこだわりを持つ方々を中心に、 「オススメ」したいお店の情報を実名ベースでご 投稿いただく形で運営しています。 「自分にベストなお店が見つかる」グルメサービスとして、 20~40代の男女を中心に、 幅広い年代にご利用いただいていま す。

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スマホ時代の実名グルメサービス「Retty」 月間利用者数4,000万人突破(2018年11月時点)

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プロダクトを支える分析チーム - チーム編
 詳細は以下の記事: Rettyの意思決定を最大化!データ分析チームの取り組みをご紹介 
 https://engineer.retty.me/entry/2018/12/18/115020

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定量/定性データを組み合わせた分析のやり方と所感 本日お伝えしたいこと


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やり方
 
 定量/定性データの活用事例 


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とある指標のグロースミッションにおける 意思決定事例です

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定量調査の中で、ある機能の継続ユーザーが増えない課題を発見 背景①
 目標指標の最大化 1→2 継続を増やす 0→1 新規を増やす 2→2 脱落を減らす ここに課題が ありそう

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背景②
 解像度が低い そもそも、ある機能のヘビーユーザーの継続理由の解像度が低い →ターゲットと提供価値の方向性が定まっていない

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ヘビーユーザーの継続理由を明らかにする ターゲットユーザーと 提供価値の方向性を決める 定量であたりをつける。定性で深堀る。 今回取り上げる事例 - リサーチ目的と決めたいこと
 決めたいこと リサーチの目的 ざっくりやり方

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なぜ定量分析だけに留めないのか? 定性分析も必要なのか?

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行動の裏にあるインサイトを把握する必要がある インサイトを得るには生の声や表情、状況、その人の歴史的背景を知る必要がある サービス内データ(行動ログ、コンテンツ)やアンケートデータだけだと足らない

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やり方は大事 専門家の協力を求める

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みほぞのさんがUXリサーチの指導者として参画! ご協力内容の例 ● インタビュー講座 ● リサーチ設計の相談 ● レビュー/フィードバック ● 運用まわり相談 組織に専門家が不在のとき、 外部の専門家に協力を得るのはおすすめ 実際にTwitterで声をかけたときのやつ

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ここからはプロセスの紹介

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2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め 定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握

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定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握 2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め

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手順1:PJメンバーでヘビーユーザーが求めるニーズのブレスト 例:行きたいお店を保存したい 1. 定量調査:価値仮説の構築
 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜したい 〜やりたい 〜やりたい 〜やりたい 〜やりたい 〜やりたい 〜やりたい 〜やりたい 〜ほしい 〜ほしい 〜ほしい 〜ほしい 〜ほしい 〜ほしい 定量調査

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1. 定量調査:価値仮説の構築
 ブレストで出たニーズ 価値仮説-具体 価値仮説-抽象 価値カテゴリ aをしたい bをしたい cをしたい dをしたい ….. lをしたい mをしたい nをしたい 手順2:ブレストで出したニーズを一覧化 定量調査

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ブレストで出たニーズ 価値仮説-具体 価値仮説-抽象 価値カテゴリ aをしたい aをできる価値 bをしたい bをできる価値 cをしたい cをできる価値 dをしたい dをできる価値 ….. ….. lをしたい lをできる価値 mをしたい mをできる価値 nをしたい nをできる価値 手順3:列「価値仮説-具体」を作る ・「〜できる価値」に語尾を統一する  └例:行ったお店を保存できる価値 ・この列がアンケート質問項目となるため 機 能的価値に揃えておく  └情緒的価値だと答えにくい質問項目が 存在するため 1. 定量調査:価値仮説の構築
 定量調査

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ブレストで出たニーズ 価値仮説-具体 価値仮説-抽象 価値カテゴリ aをしたい aをできる価値 Aをできる価値 bをしたい bをできる価値 Aをできる価値 cをしたい cをできる価値 Aをできる価値 dをしたい dをできる価値 Bをできる価値 ….. ….. ….. lをしたい lをできる価値 Bをできる価値 mをしたい mをできる価値 Bをできる価値 nをしたい nをできる価値 Cをできる価値 手順4:列「価値仮説-抽象」を作る ・具体から抽象化  └例:行ったお店から探せ る価値 point ・縦を見ながら粒度が揃うよ うにする 備考 ・機能的価値だけではなく、 情緒的価値(インサイトに近 いもの)も入ってくる(例:達 成感を得られる価値) 1. 定量調査:価値仮説の構築
 定量調査

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ブレストで出たニーズ 価値仮説-具体 価値仮説-抽象 価値カテゴリ aをしたい aをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 bをしたい bをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 cをしたい cをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 dをしたい dをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 ….. ….. ….. ….. lをしたい lをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 mをしたい mをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 nをしたい nをできる価値 Cをできる価値 カテゴリ名 手順5:列「価値カテゴリ」を作る ・抽象から価値カテゴリに変換  └ユーザーセグメントの単位になる 1. 定量調査:価値仮説の構築
 
 定量調査

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ブレストで出たニーズ 価値仮説-具体 価値仮説-抽象 価値カテゴリ aをしたい aをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 bをしたい bをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 cをしたい cをできる価値 Aをできる価値 カテゴリ名 dをしたい dをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 ….. ….. ….. ….. lをしたい lをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 mをしたい mをできる価値 Bをできる価値 カテゴリ名 nをしたい nをできる価値 Cをできる価値 カテゴリ名 価値仮説表の完成 1. 定量調査:価値仮説の構築
 
 定量調査

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2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め 定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握

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価値仮説表の「価値仮説-具体」からアンケートを作り配信する  └具体にする理由は抽象だとアンケートでユーザーさんが答えられないため  └またユーザーさんがアンケートで正直に答えやすいように機能価値で揃っているため 価値仮説-具体 アンケートの質問項目 aをできる価値 〇〇ができるから bをできる価値 〇〇ができるから cをできる価値 〇〇ができるから dをできる価値 〇〇ができるから ….. 〇〇ができるから lをできる価値 〇〇ができるから mをできる価値 〇〇ができるから nをできる価値 〇〇ができるから 2. 定量調査:仮説をアンケートリサーチで検証
 定量調査

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価値カテゴリ軸でボリュームを可視化 どのようなニーズを持つセグメントが存在するかを現状把握 2. 定量調査:仮説をアンケートリサーチで検証
 
 定量調査

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戦略を決める上ではもっと確信度を高めたい 定量調査を終えて
 この時点での問題点 ● セグメントの軸はあくまでブレストから出てきた仮説   →このセグメントの確からしさがわからない ● アンケートで過去のきっかけやその時のニーズを把握するのが難しい → フェーズごとの求める価値の変遷やそのきっかけがわからない → ヘビーまで成長した理由がわからない

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定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握 2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め

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アンケートでセグメント化された層を網羅的にインタビュー 未知な る仮説 ここで取得したい定性データ ・新たなセグメントとなる軸 ・フェーズごとの求める価値の変遷 仮説② 仮説① 時間軸 フェーズごとに価値に変化が あったか? 指 標 x の 数 3. 定性調査:インタビューで定性データの収集
 定性調査

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インタビュー設計:インタビューで明らかにしたいことを知る質問項目を設計 質問項目をざっくり設計 ● 生活状況 ● 外食傾向 ● サービス利用状況 ● 他社サービス利用状況 ● 継続利用に至るまでの経緯 3. 定性調査:インタビューで定性データの収集
 定性調査 対象ユーザー 20名 形式 来社or電話 期間 1ヶ月

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Tips:ユーザーさんごとに事前に定量データ確認。深堀りポイントを見つける ダッシュボード化しておくと楽 3. 定性調査:インタビューで定性データの収集
 定性調査

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2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め 定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握

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フェーズごとに求める価値を抽出して価値カテゴリでラベル付け
 4. 定性調査:定性データを分析
 
 定性調査 〜〜〜の理由か ら〜〜〜をしたいと思っ た 具体的エピソード 価値カテゴリA 〜〜〜だから〜〜〜が ほしい 価値カテゴリB 〜〜〜したいの で〜〜〜をした 価値カテゴリC

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フェーズごとに求める価値を抽出して価値カテゴリでラベル付け
 └ここで仮説で出てこなかった新たな価値カテゴリが存在するかの分析も 行う→価値カテゴリのUPDATE→その上でラベル付け
 
 4. 定性調査:定性データを分析
 
 定性調査 〜〜〜の理由か ら〜〜〜をしたいと思っ た 具体的エピソード 価値カテゴリA 価値カテゴリB 価値カテゴリC 〜〜〜だから〜〜〜が ほしい 〜〜〜したいの で〜〜〜をした

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類似しているユーザーでグルーピング
 
 
 インタビュー者 名 セグメント グループ ライトのとき ミドルのとき ヘビー(現在) 〇〇さん セグメントA 価値カテゴリA 価値カテゴリA 価値カテゴリB 〇〇さん セグメントA 価値カテゴリA 価値カテゴリA 価値カテゴリB 〇〇さん セグメントA 価値カテゴリA 価値カテゴリA 価値カテゴリB 〇〇さん セグメントB 価値カテゴリA 価値カテゴリC 価値カテゴリC ….. ….. 〇〇さん セグメントB 価値カテゴリA 価値カテゴリC 価値カテゴリC 〇〇さん セグメントC 価値カテゴリB 価値カテゴリB 価値カテゴリB 〇〇さん セグメントC 価値カテゴリB 価値カテゴリB 価値カテゴリB 傾向が似ている 4. 定性調査:定性データを分析
 
 定性調査

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2. 仮説を アンケート リサーチで 検証 全体プロセス
 定量調査 仮説検証によるユーザー層の現状把握 1. 価値仮 説の構築 3. インタ ビューで定 性データ の収集 4. 定性 データを分 析 定量調査 仮説検証によるセグメントの現状把握 意思決定 ターゲット選定と 提供価値の方 向性決め 定性調査 仮説外のセグメントの発見 フェーズごとの求める価値の変遷把握

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ターゲット選定&提供価値の方向性を決める
  └ボリュームの大きさ、施策によるグロース可能性の観点でターゲットを決める。
  └「求める価値」で構築したセグメントが決まれば、提供価値の方向性も決まる。
 意思決定
 定性調査 A B ボリュームがある C ライト層のボリューム分布 A B C ヘビー層のボリューム分布 グロースできそう

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おまけ


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おまけ)KA法×KJ法で施策に紐付けやすく
 
 
 価値の依存関係が見えやすく、施策に紐付けやすい状態に  └価値カテゴリは抽象度が高く具体的な施策に結びつけにくい 食の好み が合う人が 見つかる価 値 信頼できる 人からお店 を探せる価 値 XXXの価 値 XXXの価 値 ▼KA法で価値抽出、KJ法で整理したざっくりイメージ 分析風景 信頼できる 人が見つか る価値 XXXの価 値 XXXの価 値 (施策で作 る)価値 BESTなお 店が見つか る価値

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所感と学び


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・定性データを使うことで思いもつかない仮説が見つかった  →定量だと相関はわかりますが、そもそもの変数の洗い出しは行ってはくれない。   今回定性を活用することで、変数出しに寄与することの実感を得られたのは非常に良かった。 ・アクションの裏側にある価値感やインサイトの理解ができた  →サービス内データやアンケートでは、アクションの裏側にある考え・気持ち・文脈の把握は難しい。   インタビューによってそれらが明らかになり、アクションの裏にあるインサイトが見えてくる。 ・インサイトを知ることで本質的な打ち手に繋がる  →インタビューから機能 Aの利用インサイトがわかれば、機能 Aの利用促進以外の打ち手に気づく。   例えば、利用インサイトが「達成感を得たい」の場合、機能 A以外でインサイトを満たせばいい。 所感や学び


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Fin. ご清聴ありがとうございました