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© LayerX Inc.  1 AIオンボーディングと AIプロセスマイニング 2025/5/28 LayerX 執⾏役員 AI‧LLM事業部⻑ 中村⿓⽮

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2 © LayerX Inc. 機械学習エンジニア 東京⼤学 ⼯学部 ● データサイエンスと出会う Gunosy データ分析部 ● 推薦システム開発等 セキュリティ研究者 (現在) 事業責任者 LayerX 創業時からR&D ● プログラムの形式検証 ● ブロックチェーン ○ Ethereumへのコントリ ビューション ● LayerX 執⾏役員 AI‧LLM事業部⻑ ● プライバシーテック協会理事 ● IPA 未踏スーパークリエータ ● 2020年度 電⼦情報通信学会 インターネットアーキテクチャ研究賞 最優秀賞 (共著) ● Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023 「世界を変える30歳未満」 LayerXの新規事業 ● プライバシーテック ● ⼤規模⾔語モデル 中村 ⿓⽮

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3 © LayerX Inc. Ai Workforce: AIオンボーディングのためのプラットフォーム ● 業界‧業種を問わず、⽂書処理業務をAI化する ● MUFG様や三井物産様をはじめとするエンタープライズ企業に活⽤いただいている https://getaiworkforce.com/

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4 © LayerX Inc. 本⽇のトピック AI活⽤の肝である「AIオンボーディング」について解説 ● 特定の業務や特定の製品に限らない、コアのコンセプト的な話 ○ + 少しだけ弊社の取り組み紹介 ● AIを使った製品を開発している⽅や、製品を選ぶ⽅の参考になれば幸いです

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© LayerX Inc. なぜ今「AIオンボーディング」なのか?

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6 © LayerX Inc. なぜ今「AIオンボーディング」なのか? 初期のLLMのユースケースの制約 GPT-4oくらいまでのLLMは、軽い “幻滅期” にあった感覚 ● チャットUIや翻訳以外だと、従来のRPAやOCRの延⻑的なユースケースが中⼼ ● 「⾮構造的なデータを扱うものの、⼤半は単純なルールに基づく業務」に留まる ○ 弊社では「知的単純作業」と呼んでいた

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7 © LayerX Inc. ⼀般の⼈がAIに期待する「夢」を叶えるポテンシャルが出てきた ● 基盤モデルの進化 ○ o1を⽪切りにした推論系のモデルの登場や、DeepResearch等のユースケース特化の fine-tuningの成果 ● エコシステムの発展 ○ MCP等 ● 「ちゃんと丁寧に扱えば」理論上AIでできることが⼤きく広がった ○ より⾃律的な存在に(AIエージェント) → AIを「ちゃんと扱う」ってどういうことだろうか? なぜ今「AIオンボーディング」なのか? 技術発展に伴う⾮連続なユースケースの広がり

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8 © LayerX Inc. なぜ今「AIオンボーディング」なのか? AIは正しく “オンボーディング” されていない 導⼊していきなり成果が出ないのは当たり前 ⼈間は様々な情報を経験として蓄積 現状LLMに渡されるデータはわずか たった数百⽂字の プロンプト 5〜20年かけて ⾊々な経験

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9 © LayerX Inc. なぜ今「AIオンボーディング」なのか? 焦らずAIをオンボーディングするべき ⼈間だと5-20年かかることを、1年に短縮するだけでも相当すごい。しかし1⽇にはならない! ⼈間と違って、⼀度オンボーディングされれば、 24時間365⽇働ける 弊社でも「知的単純作業」から「AIオンボーディングによるエージェンティックな体験」にシフト

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10 © LayerX Inc. なぜ今「AIオンボーディング」なのか? 企業におけるAIオンボーディング 企業のタテ(歴史)とヨコ(事業や組織)を横断したコンテキストを与えていく ● ⼈間は⾊々なプロジェクトや異動を経験してオンボーディングされる ● 特に、エンタープライズほど重要 企画 マーケ 営業 経理 CS etc... 企業の歴史とともに蓄積されたコンテキスト‧ノウハウ 会社の⾊々なコンテキストを AIが結びつけられる

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© LayerX Inc. AIにどう仕事を学んでもらうか

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12 © LayerX Inc. AIにどう仕事を学んでもらうか ⾃分たちでやるしかない「企業固有の部分」のオンボーディングが肝 全世界で汎⽤的な業務については、ビッグテックがコストをかけてAIを育てて配ってくれる 固有の ルール 全世界共通 固有の業務 標準的な プログラミング DeepResearch 的なリサーチ (独⾃業務) 稟議書の 書き⽅ 業界特有の 法規制 開発時の テスト項⽬

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13 © LayerX Inc. AIにどう仕事を学んでもらうか 膨⼤な資料をただ与えるだけではオンボーディングとは⾔えない ⼈間の新⼊社員にとって⾟いことは、AIにとっても基本的に⾟い ● AIが社内外の⾊々な情報にアクセスできるようにするのは⼤切 ● しかしそれだけでは⾊々な課題がある ○ そもそもデータとして残っていないものが多い‧古い情報が混じっている ○ 業務のアウトプットはあるが、そこに⾄るプロセス‧背景がわからない ● 今後LLMが⼤量の⽂書を⾼い精度で読むコストはどんどん下がるだろうが、当⾯は上記の問題を緩 和するに留まるはず

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14 © LayerX Inc. AIにどう仕事を学んでもらうか “プロセスマイニング” の重要性 そこで、業務の⼿続き‧ルールを最低限定義する「プロセスマイニング」が重要 プロセス インプット アウトプット 過去の業務データ  ? 業務プロセスを復元

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15 © LayerX Inc. ● ナレッジ整理の際の資料のタグづけ のルール ● 契約書のレビュー観点 AIにどう仕事を学んでもらうか “プロセス” の例 ⼤きなものから細かいものまで⾊々ある 過去の業務データ  ? プロセスの例 細かい もの ⼤きな もの ● 稟議書の構成と各項⽬の記載内容 ● 出資‧協業相⼿候補の企業の分析

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16 © LayerX Inc. AIにどう仕事を学んでもらうか マイニングされたプロセスの実装 マイニングされたプロセスを、LLMを使ったワークフローとして実装 Input Search LLM LLM Code Output ● Ai WorkforceやDify, Copilotなどのローコードツール ● ライブラリ等を使って直接プログラムとして書く

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© LayerX Inc. 次なるトレンド: AIプロセスマイニング

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18 © LayerX Inc. AIプロセスマイニング ⼈⼿でのプロセスマイニングの課題 ● 暗黙知やエッジケースが多すぎる ● 誰も業務の全体像を把握していない or 担当者しかできない ● 「AIでやりたい」ニーズの⾼い業務こそ、プロセスマイニングが難しいことが多い ○ 標準化できる業務は、既にある程度効率化されている → 「型化が⼀定進んでいるが、進みすぎていない」という絶妙なラインの業務になる プロセスマイニングは、やってみると⾮常に難しい

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19 © LayerX Inc. AIプロセスマイニング 次なるトレンド: AIプロセスマイニング AIを使うことで、プロセスマイニング可能な業務の範囲を広げられないか? → Ai Workforceでも取り組み中のテーマ

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20 © LayerX Inc. AIプロセスマイニング AIで過去事例を分析し、プロセスを逆算する 過去事例の分析から、業務として成⽴する最低限(感覚60点くらい)を⽬指す インプット‧アウトプットの事例  ? AIがプロセスを推定 Ai Workforceでは、 ワークフローの ⾃動⽣成をR&D中

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21 © LayerX Inc. Ai Workforceでは、 より柔軟なユーザーの FBの体験を開発中 AIプロセスマイニング ⼈間のフィードバックに基づき改善 実際に本番業務で使いながら、なるべく100点に近づけていく プロセスをアップデート 間違いに対し ⼈間が修正

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22 © LayerX Inc. AIプロセスマイニング LLMがプロセスマイニングに適する3つの理由 (1/2) LLMは、⼈間の業務アウトプットから⼀気通貫でプロセスマイニングできる ● ① 事前学習により “常識” がある LLMはここだけ 学べば良い 特化 部分 LLM の 基礎 能⼒ 「知識」の常識 (例: 勘定科⽬の意味) 「やり⽅」の常識 (例: 列で年推移) 例: 決算書からの付属資料への転記 企業固有の 知識‧やり⽅ 以前の機械学習は この部分も毎回学習

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23 © LayerX Inc. ② ⼈間が作った⾮構造的な過去資料をそのまま扱える ● 従来はまず綺麗にデータを整形する作業が必要 ③ 推論能⼒がある ● モデルや特徴量を設計せずに、はじめからプロセスマイニング的な分析ができる AIプロセスマイニング LLMがプロセスマイニングに適する3つの理由 (2/2) → LLMは、⼈間の業務アウトプットから⼀気通貫でプロセスマイニングできる

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24 © LayerX Inc. ● 技術‧エコシステムが進化した今こそ、AIのポテンシャルを引き出すためのAIオンボーディングが ⼤事 ● ⼈間の新⼊社員同様、乱暴なオンボーディングをしてはいけない ● AIによるプロセスマイニングが次の⼤きな⾶躍につながるのではないか まとめ

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© LayerX Inc. 宣伝

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26 © LayerX Inc. Ai Workforceを開発するAI‧LLM事業部と、新R&D組織「AI Automation Lab」は仲間を募集しています ● ソフトウェアエンジニア、SRE、QA、AIエンジニア、PdM、etc. ● R&Dも!!! ● 各メンバーとのカジュアル⾯談もお気軽に(中村の⾯談フォーム) ⼀緒にAIオンボーディングを実現する製品を作りませんか!

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© LayerX Inc. ご清聴ありがとうございました