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モデルベースな 上流設計フレームワーク をつくってみた TechnicalDirectorMeetup Vol.2 上流工程なんでもLT! 2021.06.19

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Copyright levii Inc. All rights reserved. Abstract ● 「誰でもシステム思考やシステム工学を実践できる」を目指して構築した フレームワークを紹介します。 ● フレームワークだけでなく、それを実践するためのツールも開発しました。 ● 特に最近は「DXのための上流設計」などの場面でよく使っています。

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 自己紹介 三浦 政司 (みうら まさし) ● 鳥取大学&株式会社レヴィ ● ロケットから菌まで、複雑システムなら何でも扱う雑食系研究者 ● 鳥取暮らし10年(のうち現在は最後の3ヶ月を過ごし中) ● 趣味は「アリの飼育」「自転車旅行」など ● その他のプロフィール&コンタクトは http://m-miura.jp/ 我が家で生まれたアリ M-Vロケット7号機 木材腐朽菌の競争シミュレーション

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「フレームワークをつくってみた」の経緯

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 人類が構築してきた、複雑さに挑むための武器 システム工学とかシステム思考とか

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 例えば… アポロ宇宙計画 ● たくさんの異なる視点を持つプロフェッショナル達が力を合わせて 「人を月に送る」というとてつもなく困難なミッションを達成 ● アポロをきっかけにNASAは「システムズエンジニアリング」を 重視するようになり、その整理と体系化に取り組む images from: www.nasa.gov

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宇宙分野に限らず、 ますます複雑になっていく社会のいろいろな場面で システム工学が役に立つのではないか?

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多くの場合「どうやればいいかわからない、難しい」

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世の中のみんながシステム工学とかシステム思考を 使いこなせる世界を目指そう。 そうすれば社会に価値あるシステムがたくさん生まれ て、もっといい世の中になるはず。 株式会社レヴィ JAXA宇宙科学研究所で研究していた仲間たち が集まって創業したベンチャー企業

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『使える』システム工学のフレームワーク システミングを提案

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『使える』システム工学 ① 誰でもできる ② 役に立つ :feasible :useful

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Copyright levii Inc. All rights reserved. システミング ● システムデザインを上手く実践するためのフレームワークです。 ● 宇宙開発やソフト開発の専門家集団であるレヴィが、誰でもシステム思考や システム工学を上手に実践できることを目指して構築しました。 ● 基本的な考え方をまとめたガイドブックを配布しています

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システミング

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Copyright levii Inc. All rights reserved. システミングの基本的な考え方 1. 視点をわける 2. システムモデルで表現する 3. 視点をつなげる システミングのための対話型モデリングツール「Balus」

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Copyright levii Inc. All rights reserved. レヴィの提案:システミング 1. 視点をわける 2. システムモデルで表現する 3. 視点をつなげる 業務 フロー ユース ケース そのユースケースで 業務フローを実現で きる?漏れがない? 振る舞い 振る舞い 振る舞い 振る舞い 振る舞い 状態 状態 状態

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 1.視点をわける

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 着目点が違う、捉え方が違う、 言葉が違う、etc… 複雑なものを扱うときは、頭の中がそろわない

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 同じ景色を見るために「視点をわける」 視点をわける ことで ● 理解できる ● 表現できる ● 伝達できる ● 同じ景色を見ることができる 物理構成

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 例:家システム 住人・ライフスタイル 構造 電気

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 例:ソフトウェアシステム 画面 業務フロー 誰が何のために使うのか?

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Copyright levii Inc. All rights reserved. ビューとモデル システム モデル ビューから見たシステムを 表現したもの ビュー 分けて見るときの枠 ● ビューポイント(関心) ● 抽象度 ● スコープ(範囲) で決まる

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Copyright levii Inc. All rights reserved. モデル ● ◯◯仕様書 ● ◯◯リスト ● ◯◯図、◯◯表 ● ◯◯報告書   ︙ ビュー ■ ビューポイント(関 心) ■ 抽象度 ■ スコープ(範囲) 表現方法 ■ 文書 ■ リスト ■ 図、表 ■ システムモデル ビューと表現方法を決めれば、モデルでシステムを表現できる。 システム モデル ビュー ビューとモデル

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Copyright levii Inc. All rights reserved. モデル ● ◯◯仕様書 ● ◯◯リスト ● ◯◯図、◯◯表 ● ◯◯報告書   ︙ ビュー ■ ビューポイント(関 心) ■ 抽象度 ■ スコープ(範囲) 表現方法 ■ 文書 ■ リスト ■ 図、表 ■ システムモデル ビューと表現方法を決めれば、モデルでシステムを表現できる。 システム モデル ビュー ビューとモデル

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 2.システムモデルで表現する システムモデル システムの要素をノード、要素間の関係性をリンク(エッジ)で表現したネット ワーク状の図のこと。モノゴトの関係性を自然な形で表現することができるの で、ビューの中身(モデル)を表現するときに有用な方式である。 構成モデル 振る舞いモデル 状態モデル 構成 要素 構成 要素 構成 要素 構成 要素 構成 要素 振る舞い 振る舞い 振る舞い 振る舞い 振る舞い 状態 状態 状態

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 3.視点をつなげる コンテキストビュー 業務フロービュー どんなステークホルダがい て、それぞれにどんな価値 を提供するのか? 誰がどのような流れで そのシステムを利用する のか? 整合性をチェック ● コンテキストと業務フロー で登場人物が一致している か? ● その業務フローで、 求められる価値を実現でき るか?

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 視点をつなげる=整合性をチェックする コンテキストビュー 業務フロービュー どんなステークホルダがい て、それぞれにどんな価値 を提供するのか? 誰がどのような流れで そのシステムを利用する のか? 整合性をチェック ● コンテキストと業務フロー で登場人物が一致している か? ● その業務フローで、 求められる価値を実現でき るか?

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 整合性観点 コンテキスト 業務フロー 機能 リスト 回路 ブロック ● コンテキストに登場するステークホルダが 業務フローの主語になっているか? ● 業務フローに沿って一通り活動すると、コン テキストで描かれた相互作用(価値)を実現 することができるか? ● 回路ブロックで示された回路要素と構成で、 機能を全て実現することができるか? ビュー ビュー <共通> ● 使用している言葉があっているか? ● 対応を考えたときに、足りない要素や余計な 要素はないか?

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Copyright levii Inc. All rights reserved. ビューモデル わけるとつなげるというシステミングの基本的な考え方を表した図

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Copyright levii Inc. All rights reserved. ビューモデル 整合性リンク:つながりをチェックできるよ!という印 (チェックするべき!)

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Copyright levii Inc. All rights reserved. ソフトウェア設計のビューモデルの例 システムの中を見る システムを外から見る コンテキスト ユースケース 業務フロー 画面レイアウト 概念構造 クラス構造 処理フロー

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 電子回路設計のビューモデルの例 システムの中を見る システムを外から見る コンテキスト 回路 ブロック 回路図 運用 シナリオ 機能フロー 要求・制約

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 今回紹介した考え方 システム 1. 視点をわける 2. システムモデルで表現する 3. 視点をつなげる

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 「1.視点をわける」についてもう少しだけ 最も大きく視点をわける、2つの基本的なビュー 「システムを外から見る」「システムの中を見る」

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 「1.視点をわける」についてもう少しだけ システム設計で扱うビューは、 2つの基本的なビューに含まれるか境界上に配置される。 目的 課題 システム システムを外から見る ● システムを使うのは誰か? ● どのように使われるのか? ● どのような価値があるの? などに関心を持つビュー システムの中を見る ● システムの具体的な姿は? ● どんな部品や材料から? ● どんな構成、組み合わせ? ● どんなデータ構造? などに関心を持つビュー 境界 ユーザーと システムの 相互作用 に関心

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システミングのための対話型モデリングツール

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 対話型モデリングツール「Balus」 Balus 1.0

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 対話型モデリングツール「Balus」 Balus 2.0

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(時間があれば) 詳しくは、画面を見ながらで!

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上流設計フレームワークとして

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 上流設計の難しさ ユーザー ベンダー 分断 こういう システムが 欲しいなぁ こういう システムの ことかな

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Copyright levii Inc. All rights reserved. DX設計では 実務担当者 設計者・開発者 DX推進担当者 分 断 分断 分 断 ● 業務についてよく知っている ● 課題を感じている ● 課題感を文面にするのが難しい ● システムについて よく知っている ● 業務について何も 知らない ● 組織の戦略に 沿ってDXを取りまと めている ● 既存システムのこと をよく知っている ● 業務や課題について 知らないこともある

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Copyright levii Inc. All rights reserved. 最近よくある仕事:DXを考えたいという人と一緒にシステミング 実務担当者 ベンダー DX推進担当者 1. 視点をわける 2. システムモデルで表現する 3. 視点をつなげる 業務 フロー ユース ケース そのユースケースで 業務フローを実現で きる?漏れがない?

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Copyright levii Inc. All rights reserved. DX上流設計のためのビューモデル 現状のフローと課題 目指すコンテキスト 扱う情報 目指す業務フロー 必要な機能・画面 現状のコンテキスト 目的 問題 実装に 向けた 詳細設計

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Copyright levii Inc. All rights reserved. AsIs業務フロー 課題構造 情報構造 ユースケース 画面コンポーネント ToBe業務フロー コンテキスト

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Copyright levii Inc. All rights reserved. もっと上流の「企画のデザイン」なんかも扱っています コンテキスト 企画内容(フロー) 価値(状態変化) ビジネスモデル 仮説の評価

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まとめ

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Copyright levii Inc. All rights reserved. まとめ ● 「誰でもシステム思考やシステム工学を実践できる」を目指した フレームワーク<システミング>を提案しています。 ○ ① 視点をわける ○ ② システムモデルで表現する ○ ③ 視点をつなげる ● フレームワークだけでなく、それを実践するためのツールも開発しました。 ● 特に最近は「DXのための上流設計」などの場面でよく使っています。 [email protected] / https://m-miura.jp [email protected] / https://levii.co.jp / @levii_sdl

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ダウンロード: https://levii.co.jp/contact/