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プラットフォーム エンジニアリングは AI時代の開発者をどう救うのか

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Kazuto Kusama @jacopen Product Evangelist @PagerDuty Japan 理事 @一般社団法人SREコネクト 代表理事 @一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会

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90 % 2025年現在、90%の組織が少なくと も1つの内部プラットフォームを採用。 組織の76%が少なくとも 1つの専任プ ラットフォームチームを擁する 出典: 2025 DORA Report: State of AI-Assisted Software Development

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Platform Engineeringとは この定義に該当するプラットフォームを設計・構築する分野

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クラウドの登場とDevOps Dev Ops Configure Verify Package Plan Monitor Release Create Plan DevとOpsの垣根をなくし、ソフトウェアの開発とデリバリーを継続して行えるよ うにするアプローチ。 このプロセスの中にセキュリティ対策を組み込むDevSecOpsというパターンも登 場した

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真のDevOps 開発者が、アプリをエンドツーエンドでデプロイし、実行する ただし、多くの組織にとって現実的ではない Kubernetes Buildkit Helm Dockerfile Grafana Prometheus GitHub Actions React Next.js Security Node.js Terraform ArgoCD APM Compliance 認知負荷が 高すぎる これをやり切れ る人材は少ない

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アプリを作っていて思うこと この開発したアプリをAWSに デプロイしないといけないけど・・・ クラウドめんどくさい! こんな作業やりたくない! ▲ 一応クラウド系のエンジニア

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● クラウドやコンテナの知識は持ち合わせている ● でも、アプリを書いているときは、頭の中は開発モード ● 開発モードからクラウドエンジニアモードに頭を切り替えるのはめ んどくさい ● クラウドエンジニアモードから開発モードに戻すのも とてもめんどくさい アプリを作っているときは

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めんどくさい!

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● デプロイするためのDockerfile書き、imageづくり ● Manifest書き ● CI/CDパイプライン作成 ● 認証基盤との連携 ○ OIDCのフローとか何回勉強しても忘れちゃうんだけど・・・ ● ロギング、モニタリングの設定 ● セキュリティスキャン ● etc… アプリをデプロイしたいだけなのにやるべきことが多い! みなさんも、めんどくさい 経験ありませんか?

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めんどくさい! の表現を専門用語にすると 認知負荷

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https://www.infoq.com/articles/platform-engineering-primer/ より引用 認知負荷の増大が問題に クラウドの浸透、クラウドネイティブ技術の登場、マイクロサービス化の流れ、 エンジニアの責任範囲の拡大により認知負荷が大変なことに

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認知負荷の増大による生産性の低下が 無視出来なくなりつつある

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じゃあ、どうすればいいのか

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めんどくさい対策 ● 自分で無理に頑張るより、その道のプロにお願いしたい ● 全部任せたいけど、難しい場合はせめて相談に乗って欲しい。 適切な情報提供をお願いしたい

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めんどくさい対策 ● 自分で無理に頑張るより、その道のプロにお願いしたい ● 全部任せたいけど、難しい場合はせめて相談に乗って欲しい。 適切な情報提供をお願いしたい その道のプロ = Platform Team その道のプロを体系だって作っていく取り組み = Platform Engineering めちゃくちゃ平たくいうとこんな感じの理解で良いです

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めんどくさい対策 ● 自分で無理に頑張るより、その道のプロにお願いしたい ● 全部任せたいけど、難しい場合はせめて相談に乗って欲しい。 適切な情報提供をお願いしたい どうお願いするのか。その任せ方、関わり方 教えを請う? 手伝って貰う? それとも・・・

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Team Topologiesから考える、チームの関わり方 開発チーム その道のプロ 開発チーム その道のプロ Collaboration Facilitating その道のプロが開発チームに勉強会を 開いたり、Slackで情報提供 その道のプロが開発チームにジョインし Manifest書くのを担う 開発チーム その道のプロ XaaS その道のプロが用意したプラットフォームの レールの上で開発

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ゴールデンパス ベストプラクティスや標準化されたプロセスにより、開発チームが迷わず素早く安 全にアプリケーションを開発・運用できるようにした一連のルートや仕組みのこと ● 開発者の認知負荷を減らす ● セキュリティやコンプライアンスを自然と担保する ● 開発チームがビジネス価値の創出に集中できるよう支援する 例えば ● 新規サービス生成時に使えるテンプレート ● テストやCI/CDパイプラインのセットアップスクリプト ● モニタリングやログ収集などの運用機能のガイド

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1:1で、コラボレーションをする Platform Teamは、まずはコラボレーションか らはじめる Stream-aligned Teamと1:1になり、クラウド 回りの構築・自動化を行ったり、支援ツールを 作ったりする。 そのStream-alignedが必要とするものを理解し て作れるので、誰得なものを作り込んでしまう ことを防げる 開発チーム その道のプロ Collaboration

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そのうえで、プラットフォーム(XaaS)を作る コラボレーションモードだと、同時に関われ るStream-aligned Teamは限られる。 ある段階でコラボは終了し、その知見をもと により多くのチームを助けられる疎結合な形 を模索する。それがXaaSモード 開発チーム その道のプロ XaaS

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が、これまでのPlatform Engineering

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AIやばい 特にこの1年がやばい コーディングエージェントを使わない開発はあり得な くなってしまった ● Claude Code ● Codex ● Cursor ● OpenCode ● Antigravity ● Kiro ● etc..

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ゴールデンパス ベストプラクティスや標準化されたプロセスにより、開発チームが迷わず素早く安 全にアプリケーションを開発・運用できるようにした一連のルートや仕組みのこと ● 開発者の認知負荷を減らす ● セキュリティやコンプライアンスを自然と担保する ● 開発チームがビジネス価値の創出に集中できるよう支援する 例えば ● 新規サービス生成時に使えるテンプレート ● テストやCI/CDパイプラインのセットアップスクリプト ● モニタリングやログ収集などの運用機能のガイド

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それ、AIで出来るよ

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抽象化レイヤー ● プロビジョニング抽象化 ○ Terraformモジュールとかサービスカタログとか ● ランタイム抽象化 ○ Kubernetes + tools ○ Application Platform ● デプロイメント抽象化 ○ CI/CDテンプレート ○ アプリケーションマニフェストテンプレート ● 運用抽象化 ○ Runbook as code ○ SLOテンプレート ○ アラートポリシーセット

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それ、AIで出来るよ ● AI時代だと、面倒なコーディングの多くをAIが代行してくれるため、独自抽 象化レイヤーの需要が減る ● むしろ独自の抽象化レイヤーが、AIによる自動生成の妨げになってしまう可 能性も

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つまり、AI時代において Platform Engineeringは 従来のやり方が通用しなくなってくる

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今後起こりうること

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開発チームのダウンサイジング ● 従来のTwo-pizza ruleが当てはまらなくなる可能性 ○ 2つのピザを分け合える、7人から8人くらいのチームがいいというやつ ● 2,3人による精鋭が、AIを駆使して高速に開発してくほうが効率がいい ● 従業員数が変わらなくても構成できるチーム数が増える=多くの開発ができ るようになる ⇨ そうやって登場したたくさんのチームが、AIを活用して好き勝手なスタックで開 発を始めたら・・・? 短期的には効率が上がるかもしれないが、中長期には大き な技術負債になってしまう可能性が高い。 アーキテクチャの整合性や人材の育成、セキュリティ、インシデント管理いずれの 面においても課題あり

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フルサービスオーナーシップの普及 ● 運用だけを担うチームが成立しづらくなってくる ○ AIによって高速に、大量に生み出されるアプリケーションを全て引き受けるのは困難 ○ 単にインシデントをディスパッチするだけの存在になりかねない ● 開発した人が運用まで責任を負う、You build it, you run itのスタイルが主流と なっていく ● AIの支援を受けながら or AIが主導権を握る形で、少人数でも運用出来るような 仕組みが必要不可欠になる

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AIの進化が早すぎる問題 ● Clineすげえ! ● もうCursorだけあればいい ● なんだこれClaude Codeやっば ● Devin神では ● これからの時代MCP ● 着実に開発するならKiroでしょ ● Codexすっげぇ ● Cursor 2.0で弱点がなくなった ● Antigravityやば ● MCP辛いけどSkill使えば最強よ ● GitHub Copilot結構いいな? ● やっぱClaude Codeよ ↑ここ1年半くらいの気持ちの移り変わり

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AIの進化が早すぎる問題 結局どうすればええんや問題 AIツールの進化が新たな認知負荷に 個人の趣味ならそれでもいいが、組織とし て取り組むには選択肢がコロコロ変わるこ とは普及の阻害要因になる

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ガバナンスがより重要に ● 悪気なくミスをするAIに備えるため、よりガードレールの重要性が増す ● 情報セキュリティや法規制の観点でも、AIを適切にコントロールしてルール を逸脱しないようにする

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AI時代だからこそ Platform Engineeringが重要

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Self-ServiceからSelf-Drivingへ ● これまでIDPに求められていたのは、Self-Service要素だった ○ ポータルから必要なものをクリックしてパラメータを入れると セルフサービスでリソースを調達できる ○ 提供されるテンプレートを元にカスタマイズ ○ 抽象化により、対象への知識がなくても自身で調達ができるようになる ● AIに「ボタンは要らない」 ○ 多少コードの記述量が多くてもAIは苦にしない ○ 汎用的な知識は豊富に持ち合わせているため、抽象化を行わなくても スムーズに動ける ○ むしろ十分なコンテキストが共有されない独自の抽象化のほうがAIにとって難しい ⇨ AI時代に求められるのは、Self-ServiceなPlatformではなく、AIが自ら判断して 自由に動けるSelf-DrivingなPlatform

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Policy-first Guardrail ● AIが自由に動けるようにしたいからこそ、しっかりとしたガードレールを作 る ○ ガードレールの中であれば好きにやっていいよという形にする ● Azure Policy ● Open Policy Agent ● Sentinel / OPA with HCP Terraform

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コンテキストの供給 ● AIがSelf-Drivingするのに必要なコンテキストを適宜供給、および利用しや すいインターフェースを提供 ● たとえばMCP ○ Azure MCP Server ○ Terraform MCP Server ○ etc… ● たとえばAgent Skill ● 何を提供していくか、Platform Teamが主導してまとめる

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for 人 から for AI に ● 人がカスタマイズするためのテンプレートから、AIが活用するためのテンプ レートへ ○ AIによるハルシネーション、ポリシー逸脱を防ぐ補助線としてのテンプレート ● 人のためのドキュメントから、AIのためのドキュメントへ ○ AGENTS.mdやCLAUDE.mdのようなAIに指示をだすためのドキュメントの共有・ ナレッジ共有 ○ とはいえ引き続き人へのドキュメントも重要

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AI Integrated IDP ● Internal Developer PlatformにAIの機能が統合される ● MCP Serverを提供するなど。独自の抽象化を取り入れる場合は、セットで提 供すると良い ● ただしやり過ぎ注意。あくまでも必要とされる機能から提供していくこと

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Platform Engineering = AI成功の基盤 ● AI採用成熟度が上がるほどPRスループットが向上するというデータ ○ Medium: 1.58倍 / High: 1.8倍 / Very High: 2.2倍 ● IDPはAIツールの選定・コード提案の採否判断を楽にし、採用を加速させる ● 注意点: AI採用が進むとPR Revert率(ロールバック)が微増する傾向がある → ガードレールの整備が必要 ● Golden Pathに沿った開発はAIトークンの無駄遣い(試行錯誤の繰り返し) を防ぎ、コスト最適化にも寄与する Platform engineering makes a difference. Here's how to prove it https://platformengineering.org/blog/platform-engineering-makes-a-differ ence-here-s-how-to-prove-it

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DORA AI Capabilities Model

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Platform Team / Engineerは何をやるのか

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人間とAIの棲み分け ● Platform as a Productは人間が中心でなければ回らない ○ 顧客(開発者)が求めているものを吸い上げ、プラットフォームに反映する ○ AIがレコメンドすることはできるが、信用されるものにはならない ○ Platform Teamが信用を積み上げていくアクティビティが、今後より重要に

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誰に 何を どうやって プラットフォーム の利用者 ○○という価値を 技術 ツールチェーン ワークフロー ここにちゃんとフォーカスすること これを継続的に回せること Platform Engineeringの図

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誰に 何を どうやって プラットフォーム の利用者 ○○という価値を 技術 ツールチェーン ワークフロー 人間が中心 これを継続的に回せること AI時代だとこうなる AIが中心

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社内でAIにもっとも精通した人間になる ● 今後AIの要素を一切入れないPlatform Engineeringは存在しなくなる ● AI CoEの要素をPlatform Teamが担う ○ これまでのPlatform EngineeringもCCoEに近い要素があった ● アプリケーションの開発からインフラの構築・運用、ガバナンスまですべて の領域においてAIを活用していく選択肢を持つこと。それに必要な情報を追 うこと

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今すぐにでもやるべきこと ● ChatGPTと会話したことくらいしかありません・・・じゃダメ ● AIを活用してアプリケーションの開発からデプロイまで通しでやること ○ まずは自分でやってみないと感覚がつかめない ○ 個人的にお勧めはClaude Codeだが、CursorでもCodexでもGemini CLIでも何で もOK ○ デプロイ先も、AzureでもいいしCloudflareでもVercelでもなんでもいい ● 触っているとあれこれ足りないところ、気になるところが見えてくるはず。 じゃあそこをPlatformがどうカバー出来るか考える

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