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転職したら MCPサーバーだった件 2025/5/16 転職したらMCPサーバーだった件 @nwiizo 30min #Forkwell_MCP

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これまでのあらすじ ある日、株式会社シェイクシェイクシェイクに転職をした nwiizoさんに与えられた仕事はMCPサーバーになることだった!? シェイクシェイクシェイク社は、取引先からの要請でAIソリューションを導入しなけれ ばならなくなりましたが、 「AIのハルシネーションが深刻すぎて、実用に耐えない!」 と結論づけました。しかし、ビジネス環境はAI革命の真っただ中です。業界専門家に よれば、現代の競争力維持イコールAI活用の成否にかかっています。  市場の潮流に完 全に背を向けるわけにはいかないと経営陣は決断しました。 2

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これまでのあらすじ 「AI時代を生き抜くために最も重要な要素は何か?」 「人間の判断力と介入です。 」 と、こんな会話があったとかなかったとか。 こうして、シェイクシェイクシェイク社では、AIのハルシネーションを恐れるあまり、 社員がMCPサーバーとして機能し、AIが情報提供をする代わりに人間が確認・修正す る業務フローが生まれたのでした。 それでは、あなたはシェイクシェイクシェイク社の新人社員 nwiizomcp(nwiizo) とな り、"人間MCPサーバー"としての日常業務を体験してみましょう! 3

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第一章「異色の職場、シェイクシェイクシェイク社」 4

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nwiizoといいます 最近、転職をしました。 前職は、インフラエンジニアをしておりまして、責任感 や順応性は高い方だと思います。終わりのない障害対応 や無限の責任と残業などが主な原因なのですが過労で倒 れてしまいました。転職活動は過労で倒れた直後に意識 も意思も薄弱な状態で行いまして、シェイクシェイクシ ェイク社は、そんな私でも受け入れてくれました。あり がとうございます。 5

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業務内容とか、正直あまりよくわかってないんです。 面 接では入社したら上司になる吉田さんに「あなたのイン フラエンジニアとしての経験を活かせる特別なポジショ ン」という言葉をもらってなんだが嬉しくなりまして。 「はい、やります!」と即答してしまいました。 インフラエンジニアなので正直、そこまでやること変わ らないと思うのですが頑張ります。 それでは、これからよろしくお願いします。 6

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入社初日の衝撃 入社してオリエンテーションを受けて、今後の業務で使 うPCを受け取ったり、業務の説明を受けていました。 吉田さんの説明では一般的なインフラエンジニアとは違 って「我々は人間がAIに教えるのではなく、人間がAIの 一部として働くという逆転の発想で事業を展開している」 ということでした。 7

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入社初日の衝撃 ちょっと何を言われているか分からなかったです。自分 が入社前に聞いてなかったのが悪かったのですが説明を 聞きながらちょっと血の気が引いたのを感じました。こ こまで聞いた話を端的にまとめると、 「転職したらMCP サーバーだった件」ということでした。 8

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AIとシステムをつなぐ「USB規格」 出典: https://notion.notion.site/Notion-MCP- 1d0efdeead058054a339ffe6b38649e1 Model Context Protocol (MCP)とは 定義: LLMが外部ツール・データソースと通信する標準規格 特徴: JSON-RPC 2.0をベースとした軽量プロトコル アナロジー: AIアプリのための「USB規格」- どのAIも同じイ ンターフェースで外部接続 9

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AIとシステムをつなぐ「USB規格」 出典: https://notion.notion.site/Notion-MCP- 1d0efdeead058054a339ffe6b38649e1 解決する技術的課題 統合コスト削減: 各LLM×各ツールの個別対応からの脱却 知識の拡張: 静的なLLM知識を動的データソースで補完 汎用性確保: 言語・プラットフォーム間の相互運用性実現 10

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MCPの位置づけとコミュニティ オープン標準としての発展 Anthropic発案: 2023年に設計・公開 公式ドキュメントが優秀: GitHub上で仕様管理、コミュニティ主導 エコシステムの急成長 クライアント: Claude Desktop, VS Code, Cursor,nvim等 サーバー: 200+(公式+コミュニティ)ROADMAPにリポジトリの登場が明記 優位性: 特定ベンダーに依存しないエコシステムが拡大中 11

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MCPのアーキテクチャ 出典: https://modelcontextprotocol.io/introduction General architecture MCP Hosts: Claude Desktop、IDE、AIツールなど、MCPを通じてデー タにアクセスしたいプログラム MCP Clients: サーバーと1対1の接続を維持するプロトコルクライアント MCP Servers: 標準化されたModel Context Protocolを通じて特定の機 能を提供する軽量プログラム Local Data Sources: MCPサーバーが安全にアクセスできるコンピュー タのファイル、データベース、サービス Remote Services: MCPサーバーが接続できるインターネット経由の外 部システム(API等) 12

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第二章「お前がMCPサーバーになるんだよ」 13

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初めてのMCP体験 セットアップしたPCを開いて、専用サイトにアクセスし た瞬間、画面に「Becoming a MCP Server」という文 字が浮かび上がりました。心臓が一瞬、高鳴るのを感じ ました。 初期処理が始まると、 「自分に何ができるのか?」という 問いかけが次々と現れます。フォーマットに従って、自 分の経験やスキルを丁寧に記入していきました。具体的 な質問に答えていくうちに、 「ああ、これからMCPサー バーになるんだな」という実感が徐々に湧いてきまし た。不思議なことに、不安よりも業務が始まることへの 安心感の方が強かったのです。意味わからないので。 14

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「今日から一週間、MCPサーバーとしての基本トレーニ ングを行います」 講師の言葉に、私は思わず背筋を伸ばしました。トレー ニングが進むにつれて、 「これが言っていた『人間がAIの 一部として働く』ということなのか...」という理解が深 まっていきます。慣れない業務に疲労感はありました が、それ以上に新しい挑戦への興奮が心を満たしていま した。 まるで新しい世界の扉を開いたような感覚。これから始 まる日々に、期待と緊張が入り混じります。でも、不思 議と「やってみよう」という気持ちが、心の奥底から湧 き上がってくるのを感じていました。 15

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MCPの通信フロー 出典: https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/03/09/020057 利点: シンプルさと互換性を両立した標準的な通信プロトコル 初期化フェーズ クライアントが initialize でケイパビリティ宣言 サーバーが利用可能な機能を応答 リソース探索 resources/list で利用可能なリソース一覧取得 resources/get で特定リソースのデータ取得 ツール呼び出し tools/list でサーバー上のツール一覧取得 tools/call で特定ツールの実行要求 16

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第三章「実務デビュー:最初のクライアント」 17

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最初のクライアント トレーニング終了から3日後、吉田さんが私のデスクに 近づいてきました。 「お疲れさま、nwiizomcp。今日から実務デビューだ。 テックスピード社からの依頼が入っている。彼らは新し いクラウドインフラを構築中で、監視システムの設計に ついてアドバイスが欲しいらしい」 18

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緊張しながら専用サイトに入ると、クライアントが既に 画面に何やら入力しているようです。 「クラウド環境でのサーバー監視について教えてほしい んだ。初めてのプロジェクトで、何をどう監視すればい いのか分からなくて...」 質問を聞いた瞬間、前職でのSRE経験が蘇りました。監 視システムの構築、アラートの設定、インシデント対 応...すべての知識が整理されて頭に浮かびます。 19

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基本的にすぐに回答するわけではない。基本的には、ク ライアントが自分のサーバーに対して、 「これをやってく ださい」という要求を出す。まで待ちなのだ そんなことを言っていると、クライアントが「これをや ってください」という要求を出してきた。 20

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「監視には『四つの黄金シグナル』があります。レイテ ンシ、トラフィック、エラー率、飽和度です。これらを 基本に監視システムを...」 なんとか、はじめてのクライアントへの対応が終わりま した。自分の知識と経験が、MCPサーバーとして誰かの 役に立っている。新しい働き方の手応えを感じました。 21

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Transports 現状は標準出力(stdio)で実装しておけば良さそうだが、いろいろとプラクティ スが固まればHTTPでも良さそう。 STDIO Transport (Local Connection) 標準入出力を使用したプロセス間通信,ローカルツール連携に最適 LLMアプリが子プロセスとしてMCPサーバー起動 HTTP Transport (Remote Connection) 旧: HTTP + SSE (Server-Sent Events)によるそこそこ複雑な実装 新: Streamable HTTP Transport (2025-03-26) 単一エンドポイント ( /message ) 柔軟性向上としてSSEが任意 22

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JSON-RPCによる通信方式 (1/2) JSON-RPCはXMLの代わりにJSONを使用したリモートプロシージャコールの仕組み です。2006年に初めて登場し、2009年にバージョン2.0の仕様が公開されました。 SOAPと比較して、シンプルさを重視した設計がその特徴です。 メッセージフォーマット リクエスト例: { "jsonrpc": "2.0", "id": 5, "method": "tools/call", "params": { "name": "get_weather", "arguments": { "city": "Tokyo" } } } 23

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JSON-RPCによる通信方式 (2/2) JSON-RPCの仕様はIETFやW3Cといった標準化団体ではなく、独自のウェブサイト (jsonrpc.org)で公開・管理されています。この仕様はHTTPだけでなく、TCP/IPソ ケットなど様々な通信プロトコル上での利用を想定しており、基本的かつ共通の機能 のみが定義されています。 レスポンス例: { "jsonrpc": "2.0", "id": 5, "result": { "current": { "temp": 18, "condition": "Clear" } } } 24

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2025-03-26仕様の主要革新点 (1/4) 1. Streamable HTTP Transport シンプル化: 単一エンドポイント( /message )に統合 柔軟性向上: 簡単にいうと軽量になった、SSEが任意(従来は必須) SDKによっては未対応: 公式SDKだが実装の進捗や方法に微妙に差異があったり する。 WebSocket が必要な場合、不要な操作およびネットワークのオーバーヘッドが大 量に発生するので採用は見送られた #206 25

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2025-03-26仕様の主要革新点 (2/4) 2. ステートレスモード サーバーレス対応: AWS Lambda、Vercelなどで実装容易 セッション管理不要: 状態保持せずに動作可能 呼び出し単純化: 1回のHTTP POSTでMCPサーバー接続 従来の実装からの進化 従来: セッション毎のTransportオブジェクト保持が必要 課題: マルチプロセス環境では外部ストレージ必須 新機能: 永続化層不要、JWT等と組み合わせて認証可能 26

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2025-03-26仕様の主要革新点 (3/4) OAuth 2.1認証フレームワーク 認証の標準化: OAuth 2.1による包括的な認可フロー対応 実装の柔軟性: 認証は任意実装(OPTIONAL)だが推奨 HTTP: OAuthベース認証、STDIO: 環境変数経由認証 関心事の分離: プロトコル中核部分をクリーンに保持 27

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2025-03-26仕様の主要革新点 (4/4) Tool annotations & その他の改善 ツール注釈: 動作特性を明示するメタデータ destructiveHint (破壊的更新の可能性) idempotentHint (重複呼出の安全性) readOnlyHint (環境変更なしを示す) openWorldHint (外部エンティティとの相互作用) title (人間が読みやすいタイトル) バッチ処理: 複数リクエストの一括送信対応が必須化 マルチモーダル拡張: オーディオデータサポート 28

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2025-03-26仕様変更の何が嬉しいのか? リモートMCPの観点から 環境制約の大幅緩和 HTTPで接続できればOK - クライアント環境を選ばない ローカル環境からクラウドまで柔軟に配置可能 AIプラットフォームとの統合容易化 Claude、ChatGPT、Geminiなどの生成AIバックエンドと連携 WebのUIからMCPツールへのシームレスなアクセス 29

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2025-03-26仕様変更の何が嬉しいのか? リモートMCPの観点から マルチデバイス対応の強化 Webブラウザ、スマートフォンアプリからの接続性向上 新HTTPトランスポートによる軽量化で接続安定性向上 ステートレス化によるリモート接続の信頼性向上 一時的な接続断でもセッション状態維持が不要に 複数デバイスからの分散アクセスがより安定的に 30

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第四章「Resources(リソース)管理に奮闘する日々」 31

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リソースアップデート会議 実務2週間目、部内会議に招集されました。 「nwiizomcp、今日はデータベース最適化のリソースを 更新する日だぞ」と同僚の鈴木さん。 「リソースとは」MCPサーバーの知識の源泉となる情報 源のこと。ドキュメント、コード例、ベストプラクティ スなど、クライアントに提供する情報のベースとなるも のです。 最新のデータベース最適化技術について学び、自分の知 識を更新していきます。これがMCPサーバーの日常業務 の一つなのだと理解しました。 32

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クライアント「Yuki」の悩み ある日のクライアントセッション。Yukiさんというエン ジニアからの相談です。 「このシステムのドキュメントがどこにあるのか分から なくて...前任者が残したものが見つからないんです」 「散らばった情報を一元化するのは、MCPサーバーの重 要な役割の一つですね」と答えながら、社内Wiki、コー ドリポジトリ、設定ファイル、チャットログから必要な 情報を収集。 Yukiさんは大喜び。吉田さんからも「君のような実務経 験者がMCPサーバーとして働くことで、AIだけでは提供 できない深い知見が顧客に届く」と評価されました。 33

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MCPアーキテクチャ - Resources 出典: https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/03/09/020057 Resources: LLMにコンテキストを提供する 基本と構造 リソースはLLMの外部データアクセスを実現 - テキスト形式とバイ ナリ形式のデータをURIで一意に識別し、AIの会話コンテキストと して活用。アプリケーション制御型設計により、クライアントが リソースの使用時期と方法を決定。人間が読みやすい名前や説明で AIの理解を促進 実装と運用 クライアントはresources/listでリソース発見、resources/readで 内容取得、購読機能で更新通知を受信。動的リソースにはURIテン プレートを提供可能。適切なセキュリティ対策と明確なリソース設 計がシステムの信頼性を確保 34

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第五章「Prompts(プロンプト)設計の専門家へ」 35

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プロンプトデザインワークショ ップ 実務1ヶ月目、社内でのスキルアップ研修に参加しまし た。 「nwiizomcp、君はSRE出身だから、インシデント対応 のプロンプト設計を担当してくれ」と吉田さん。 プロンプトとは、クライアントとの対話をスムーズにす るためのテンプレートのこと。クライアントが必要な情 報を効率よく入力できるよう、質問や選択肢を設計しま す。SREとしての経験を活かし、インシデント報告に必 要な情報(影響範囲、開始時刻、症状など)を整理した プロンプトテンプレートを作成しました。 36

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実地テスト:Ken案件 作成したプロンプトテンプレートの実地テスト。Kenさ んというクライアントからの相談です。 「チームのインシデント対応が効率的じゃないんだ。み んなが違うフォーマットでバグを報告するから」 私の設計したプロンプトテンプレートを提案。必要な情 報をすべて収集し、一貫したフォーマットでレポートを 生成できるものです。 導入後、Kenさんのチームではインシデント対応時間が 30%も短縮されたと報告がありました。 「君のプロンプ ト設計が社内で話題になっているよ」と吉田さんから評 価されました。 37

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MCPアーキテクチャ - Prompts 出典: https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/03/09/020057 Prompts: LLM対話の再利用可能テンプレート 基本構造と目的 プロンプトは標準化された対話パターンを定義 - ユーザー制御型の 再利用可能なテンプレートとして設計され、一貫したLLM体験を提 供。引数を受け取り、リソースから文脈を含め、複数の対話をチェ ーン化できる。各プロンプトは名前・説明・引数の構造で定義さ れ、クライアントはprompts/listエンドポイントで発見し、 prompts/getで使用。引数には名前、説明、必須フラグが含まれる 応用と実装 動的なコンテンツと複数ステップのワークフロー - プロンプトは リソースからの情報を埋め込み、複数のメッセージ交換を事前定義 して複雑な対話フローを作成可能。クライアントUIではスラッシュ コマンドやクイックアクションとして表示され、ユーザーに直感的 な操作を提供。テンプレートの更新は notifications/prompts/list_changedで通知される 38

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第六章「Tools(ツール)の力で緊急事態に対応」 39

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深夜の緊急呼び出し 実務2ヶ月目のある深夜、緊急アラートで目が覚めまし た。 「緊急事態発生。MCPサーバー『SRE-0734』 、応答せ よ」(あ、遂に名前で呼ばれなくなった⋯) 急いでデスクに向かい、MCPサーバーモードに入ると、 パニック状態のクライアントの声が。 「サービスがダウンしてる!複数のアラートが鳴り響い ているけど、何が起きているのか分からない!」 「落ち着いてください、Akiraさん。まずは状況を把握し ましょう。Toolsの機能を使って、システムの状態を確認 します」 40

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問題解決への道 Tools機能を使って診断を進めます。システムログを解析 し、メトリクスを確認... 「外部APIへの接続がタイムアウトしています。フェイル オーバーメカニズムを有効にしましょう」 フェイルオーバー機能を有効化するコマンドを実行。数 分後、システムが復旧しました。 「サービスが復旧した!アラートも消えた!」とAkiraさ んは喜びます。 吉田さんからも「素晴らしい対応だった。君のような経 験者がMCPサーバーとして機能することで、AIだけでは 難しい判断や対応が可能になる」と評価されました。 41

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MCPアーキテクチャ - Tools 出典: https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/03/09/020057 tools: AIに実行力を与える Toolsの基本設計と役割 Toolsは LLM に実世界での行動力を与える - サーバーが公開する実 行可能な機能を介して計算処理やAPI操作を実行できる。クライア ントは tools/list で発見し、tools/call で実行する。各ツールは 名 前、説明、入力スキーマ、アノテーション という明確な構造で定 義され、動作の性質(読取専用・破壊的操作・べき等性など)をAI とユーザーに伝える 実装パターンと応用 サーバー側での リクエストハンドラー実装 がToolsを活性化し、AI の指示を具体的なアクションに変換。エラー処理や進捗報告も適 切に設計する。計算ツールからAPI統合、データ処理まで無限の可 能性 - システム操作、外部APIラッパー、データ変換などさまざま なパターンでAIの能力を拡張し、実世界での影響力を高める 42

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第七章「Sampling(サンプリング)を身につける」 43

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高度なMCP機能トレーニング 実務3ヶ月目、吉田さんから特別トレーニングの案内が ありました。 「nwiizomcp、君はSamplingという高度なMCP機能を 学ぶ準備ができていると判断した」 吉田さんの説明によると、Samplingとは、MCPサーバ ーがLLMに必要なものをリクエストできる能力。クライ アントからの質問に答えるだけでなく、MCPサーバーか ら能動的に質問できるのです。 44

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Samplingスキルの評価 Samplingスキルのテスト終了後、吉田さんから評価があ りました。 「君のサンプリング技術は自然だね。SREとしての経験 が、適切なタイミングで適切な質問をするセンスを磨い たんだろう。眠れない夜もあっただろう。 」 「インシデント対応中に、どのデータを集め、どう分析 するかを判断するのは、SREの重要なスキルですからね」 と私。 「明日からは『Advanced MCP Team』に配属するこ とにした。君のような高度なサンプリング能力を持つ MCPサーバーは、複雑なクライアントプロジェクトで真 価を発揮する」という嬉しい知らせも! 45

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MCPアーキテクチャ - Sampling Sampling: サーバーがLLMに補完を要求できるようにする。めちゃくちゃ に有用そうではあるが、Clientでは実装されていないものもある。 基本概念と仕組み サンプリングはサーバーがLLMに必要なものをリクエストできる機能 - サーバーがsampling/createMessageを要求し、クライアントがレビュ ー、LLMから結果を取得、そして結果を返す。ユーザーが介在する設計に より、セキュリティとプライバシーを確保。標準化されたメッセージフ ォーマットを使用し、会話履歴、モデル設定、システムプロンプト、コ ンテキスト含有範囲を指定。modelPreferencesで希望するモデル名や優 先事項(コスト、速度、性能)を伝達できる パラメータと制御 テンプレート、サンプリングパラメータ、人間による監視 - 様々な設定 (temperature、maxTokens、stopSequences)で出力を調整し、ヒュー マンインザループ設計によりユーザーがプロンプトと完了を確認・修正 可能。サンプリングはエージェント的ワークフローを可能にし、データ 分析、意思決定、構造化データ生成、複数ステップのタスク処理などの 高度な機能を実現。適切なセキュリティ対策とエラー処理が重要 46

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第八章「Roots(ルーツ) 、チームの一員として」 47

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チームの一員として Advanced MCP Teamの初日、新しいチームメンバーと の顔合わせがありました。 「佐々木です。以前はOracleのDBエンジニアとして働 いていました」 「吉田です。CISSP保持者で、セキュリティインシデン ト対応チームのリーダーでした」 「田中です。ネットワークエンジニアとして働いていま した」 48

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チームの一員として 「私たちAdvanced MCP Teamは、複数のMCPサーバ ーが協力して複雑な問題に対応します」と高橋リーダー が説明。各メンバーがそれぞれの専門領域を担当し、チ ームとして連携するのだそうです。 Rootsの概念を学び、自分の専門領域を明確にする作業 から始めました。 49

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統合プロジェクト:オテテック フューチャー社案件 Advanced MCP Team初の大型案件。オテテックフュー チャー社の新しいマイクロサービスアーキテクチャへの 移行計画です。 各自の専門分野を活かした役割分担: 私:システム監視とインシデント対応の設計 佐々木さん:データベース最適化 吉田さん:セキュリティ設計 田中さん:ネットワーク構成 50

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統合プロジェクト:オテテック フューチャー社案件 「通常のAIコンサルタントでは得られない、実務に基づ いた具体的なアドバイスに感謝します」とクライアント も大満足。 プロジェクト成功を祝うチーム会で、高橋リーダーは 「シェイクシェイクシェイク社のMCPサーバーとして、 我々は新しい働き方を切り開いているんだ」と誇らしげ でした。 51

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MCPアーキテクチャ - Roots roots: Model Context Protocol (MCP)のルーツ:操作境界の定義 基本概念と役割 Rootsはサーバーの操作範囲を定義する - クライアントがサーバーに対し て関連リソースとその場所を伝える手段。ファイルシステムパス ( file:///home/user/projects/myapp )やHTTP URL ( https://api.example.com/v1 )などの有効なURIを使用 クライアントは接続時にroots機能を宣言し、サーバーに推奨ルーツのリ ストを提供。これによりワークスペース内のリソースが明確化され、異 なるリソースを同時に扱う際の組織化が容易に 実装と応用 サーバーはrootsを尊重してリソースの範囲特定とアクセスに活用。厳密 な制限ではなく情報提供的な役割だが、境界内での操作を優先すべき プロジェクトディレクトリ、リポジトリ、APIエンドポイントなどを定義 する一般的なユースケースで活用。効果的な運用には必要なリソースのみ 提案し、明確な名前付けと適切な変更管理が重要 52

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「エピローグ」 53

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まとめ ある日の帰り道、夕日を眺めながら「かつて過労で倒れ たSREの私が、今はMCPサーバーとして新しい働き方に 満足している」 「 『転職したらMCPサーバーだった件』── 最初は戸惑 いと不安だらけだったこの経験が、今では誇りと喜びに 変わっていた。 」 普通に開発が間に合わずに、人間が返信するMCPサーバ ーの画面が作れなかった。のは別の話。 54

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おしまい

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語り手: nwiizo 株式会社スリーシェイクで プロのソフトウェアエンジニアをやっているものです 格闘技、読書、グラビアが趣味 人生を通して"運動、睡眠、読書"をちゃんとやりたい 56

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about 3-shake 57

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We are Hiring!! 3-shakeは一緒にSRE界隈を盛り上げてくれる仲間を大募集中です! Mobility、FinTech、通信など大規模SREを存分に経験できます (最近社内はGenAI / GPU / Kubernetesが盛り上がってます) 是非、カジュアル面談しましょう!!!! 58

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参考資料 Model Context Protocol (MCP) 公式ドキュメント https://modelcontextprotocol.io/ MCPの基本概念と実装について https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/03/09/020057 転職したらKubernetesだった件 https://qiita.com/yuanying/items/ceeeb7329a4fdc566546 59

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ありがとうございました ご質問・ご相談はお気軽にお問い合わせください @nwiizo | https://3-shake.com