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対比較法を用いた パークファクター推定方法 佐治 篤,小中 英嗣† (名城大学) 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会

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背景:野球場の設計 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会 (https://www.google.com/maps/?hl=ja)

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令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会 (https://www.google.com/maps/?hl=ja)

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令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会 甲子園球場: 両翼95m. 中堅118m 神宮球場: 両翼97.5m. 中堅120m (https://www.google.com/maps/?hl=ja)

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背景:野球場の設計 公認野球規則 各塁およびピッチャーマウンドの位置は厳密に規定 外野フェンスの位置および高さは「望ましい(preferable)」距離のみ規定 Baseball official rule, 2.01 “Layout of the Field” The distance from home base to the nearest fence, stand or other obstruction on fair territory shall be 250 feet or more. A distance of 320 feet or more along the foul lines, and 400 feet or more to center field is preferable. 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会

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背景:野球場の設計 野球:打球の到達地点と,そこに守備の選手がいつ到達できるか どうかが重要⇒球場の設計は結果に影響を与えるのでは? 顕著な例:クアーズフィールド(コロラド州デンバー) MLBコロラド・ロッキーズの本拠地 別名”Mile-high stadium.” 標高1マイル(≒1600m)に位置することに由来. 「海抜0 メートルで400 フィート(121.92 メートル) 飛ぶ打球は,デンバーでは440 フィート(約 134.11 メートル) 飛ぶ」(ロッキーズ公式サイトより) 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会

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背景: 球場の特性を定量化したい 球場の特性を定量化したい! パークファクター(park factor, PF)が提案される 打者・投手のどちらに有利な球場か? ESPNなどのサイトで公開され,デファクトスタンダード 学術論文の文脈ではほとんど議論が見当たらない. 本研究の目的と結果 パークファクターの新しい算出方法を提案 既存のものと比較 提案手法がよりよい評価指標となっている事を定量的に示す IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 7

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発表の構成 背景 パークファクター(PF) 既存PFの定義 提案手法 対比較法による算出 算出と評価 約14万打席の結果に基づく評価 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 8

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パークファクター 定義(既存PF) 球場aを本拠地とする球団Aの試合での,(ホーム1試合当たりの生起 数)/(ロード1試合当たりの生起数) 本塁打(HR)に関するPF 𝐻𝑆, 𝐻𝐴, 𝐺𝑎𝑚𝑒𝑠:ホームラン数,被ホームラン数,試合数 添字 ℎ𝑜𝑚𝑒, 𝑟𝑜𝑎𝑑: ホーム,ロードの試合 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 9

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既存PFに対する批判 学術的文脈での批判はあまり見当たらない 試合数の不均衡は影響を与えていないのか? 地方球場開催 選手の能力もPF算出に含まれているのは適切なのか? 「平均化できているから良い」らしいが,本当? 四球・単打の出やすさが球場ごとに異なるとは信じがたい. セイバーメトリクスの投手評価:被本塁打,奪三振,四球を重視 野手の影響を受けない要素として IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 10

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発表の構成 背景 パークファクター(PF) 既存PFの定義 提案手法 対比較法による算出 算出と評価 約14万打席の結果に基づく評価 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 11

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提案手法 打席を[打者(攻撃)]対[投手(守備)+球場]の対戦と考える:対比較法 打席𝑙: 打者(攻撃)𝑖 対 投手(守備)𝑗 + 球場𝑘 評価関数𝐽: 打席の結果𝑥𝑙 ∈ {0,1}との誤差の二乗和 勾配法で各パラメータを更新 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 12

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既存PF形式への変換 「平均的な打者と平均的な投手が球場kで対戦したときの事象の生起確率を, 平均的な打者と平均的な投手が平均的な球場で対戦したときの事象の生起 確率で正規化」する. IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 13

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発表の構成 背景 パークファクター(PF) 既存PFの定義 提案手法 対比較法による算出 算出と評価 約14万打席の結果に基づく評価 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 14

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利用したデータ/評価指標 パリーグ 2017年~2021年 約14万打席 打席ごとの(打者,投手,球場,結果) セリーグは同様のデータが未公開 大規模改修 ZOZOマリンスタジアム:2019年開幕前 算出項目 本塁打,四球パークファクター 単打,二塁打,三塁打も算出済み(本発表 では割愛) 打者,投手ごとの能力推定値(本発表では 割愛) 評価 年をまたいだ変化 構造が一定→PFも一定 四球パークファクター 球場の大きさに依存するとは考えづらい 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会

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結果:ホームラン,四球のPF ホームランPF 四球PF 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会

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結果:ホームランPF ホームランPF 考察 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会 青:提案手法 年毎の変化が少ない 同じ形状→同じパークファクター 提案手法:同じ形状の球場に対し 安定したパークファクターの評価

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結果:四球PF 考察 四球PF 令和四年度 電気・電子・情報関係学会 東海支部連合大会 青:提案手法 四球は球場の影響を受けづらい セイバーメトリクスの投手評価:被本塁 打,奪三振,四球を重視→四球は投手 の責任 提案手法:選手の責任を分離した 球場特性の推定

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まとめ: 球場の特性を定量化できた! 目的:球場の特性を定量化したい! パークファクター(park factor, PF)が提案済み パークファクターの新しく適切な算出方法を提案 打席結果を選手と球場の影響に分離 提案手法はよりよい評価指標 形状が同じ球場で変化が少ない 四球を球場の責任から分離 今後の発展 選手の能力推定への活用 OPS(On-base plus slugging)の代替 IEICE-MSS(2019/7/31)@MORIOKA 19