Slide 1

Slide 1 text

2025/11/15 田端 大志 JJUG CCC 2025 Fall @tbtdis Javaコミュニティの歩き方 ~参加から貢献まで、 すべて教えます~

Slide 2

Slide 2 text

2 © 2025 Fujitsu Limited ●アプリケーションサーバー製品の開発・保守 ●OpenJDK関連のコミュニティ活動 自己紹介 所属:富士通株式会社 OpenJDK JDK Project Author JCP Executive Committee メンバー

Slide 3

Slide 3 text

3 © 2025 Fujitsu Limited 概要 コミュニティ初参加 JJUG CCC 2023 Fall 2024 2025 現在 JJUG CCC 2025 Fall ●コミュニティの知人0人 ●懇親会でもあまり話せず ●国内外に知人多数 ●気軽に会話できるように どんなことに挑戦してきたか それがどんな影響をもたらしたか 実体験をもとに語ります 2年後

Slide 4

Slide 4 text

アジェンダ 海外カンファレンスへの参加 初登壇への挑戦 OSSコミュニティへの貢献

Slide 5

Slide 5 text

5 © 2025 Fujitsu Limited 海外カンファレンス参加のきっかけ お疲れ様です、ちょっと会話できますか? ある日突然上司からチャットが来た 再来月、1人でサンフランシスコに行って JavaOneとJCP EC会議に参加してみませんか? ぜひ行かせてください!(即答) 初海外&英語▲

Slide 6

Slide 6 text

6 © 2025 Fujitsu Limited 即答できた理由 Q.なぜ即答で行きたいと言った? A.行きたかったから ●JDKコア機能の開発者の話を直接聞いてみたい ●JJUGナイトセミナー「海外カンファレンス報告会」で興味増大 ●漠然とした海外へのあこがれ ●キャリアの面でも貴重な経験を積めるチャンス

Slide 7

Slide 7 text

7 © 2025 Fujitsu Limited 声がかかった理由 Q.なぜ私に声がかかった? A.行きたがっていたから ●海外カンファレンスのアーカイブを見て 面白かったことや学びをチームに共有 ●CCCやナイトセミナー、勉強会にも頻繁に参加 ⇒ 積極的に社外から学びを得る姿勢を日ごろからアピール

Slide 8

Slide 8 text

8 © 2025 Fujitsu Limited サンフランシスコ編 JavaOne JCP EC会議

Slide 9

Slide 9 text

9 © 2025 Fujitsu Limited JavaOne ●Oracle主催の世界最大級のJavaカンファレンス ●JDKコア機能の開発者も数多く登壇 ●3日間開催 / 参加者限定交流パーティーあり

Slide 10

Slide 10 text

10 © 2025 Fujitsu Limited JCP EC会議 ●Java Community Process(JCP) ●Java標準仕様(Java SE)を策定・改訂するオープンな取り組み ●企業や組織、個人など誰でも参加可能 ●世界中のJava User Groupの取りまとめ役 ●Executive Committee(EC) ●Java技術の進化を導く、JCPを代表するメンバーのグループ ●Java標準仕様の策定・改訂が適切なプロセスを経ているか承認 ●現在は、3つのWG(教育、AI、エコシステム)を中心に活動中 ●ECメンバーがFace to Faceで集まる会議が年に2回開催

Slide 11

Slide 11 text

11 © 2025 Fujitsu Limited 現地での日本人との交流 1人!初海外!緊張!!! とは裏腹に、、 到着後、空港でいきなり日本からの参加者と合流 事前にXのグループで作戦会議 歴戦の参加者ばかりで心強い!

Slide 12

Slide 12 text

No content

Slide 13

Slide 13 text

13 © 2025 Fujitsu Limited 初海外カンファレンス参加を振り返って 異国の地で長い時間をともにするので、 そこで初めて知り合った方とも関係値がかなり深まる ●コミュニティの知人0人 ●懇親会でもあまり話せず ●国内外に知人多数 ●気軽に会話できるように 反省点:現地参加したのに海外の方とあまり話さなかった

Slide 14

Slide 14 text

14 © 2025 Fujitsu Limited ヨーロッパ編 Devoxx Belgium JCP EC会議

Slide 15

Slide 15 text

15 © 2025 Fujitsu Limited Devoxx Belgium ●(おそらく)現在参加者が世界で最も多いJavaカンファレンス ●5日間で3000人以上の参加者 ●200人以上の登壇者 / 200件以上のセッション

Slide 16

Slide 16 text

16 © 2025 Fujitsu Limited 海外の方とのコミュニケーションに挑戦 前回の反省から、 JCP EC会議参加者の「誰に、何を話そう」を事前に準備 いざ現地に行くと、 ほかの参加者らで会話が盛り上がっている 準備していたけど話しかけられない ●彼ら同士は以前からの知り合い ●英語でのスピーディなやりとり 理由

Slide 17

Slide 17 text

17 © 2025 Fujitsu Limited 対処 話したい人が1人になった瞬間を見計らって声がけ スマホのメモをときどき見しながら質問 ⇒ 優しい英語で丁寧に回答してくれた 準備していない質問以外の私の英語は▲ でもなんとか会話はできる!! 気づき:必要なのは勇気だけ

Slide 18

Slide 18 text

18 © 2025 Fujitsu Limited 思いがけない機会 Devoxx Belgiumへの日本からの参加者は私含め2名だけ ランチやディナーを食べながら長時間雑談 JJUG CCC 2025 Fallでコミュニティ活動に ついての登壇をしないかとご提案をいただく 人と人のつながり(コミュニティ)で 新たな挑戦・活躍の機会を得た

Slide 19

Slide 19 text

19 © 2025 Fujitsu Limited 海外カンファレンスまとめ ●日本からの参加者の方々と仲良くなれる ●初参加でも色々教えていただけて心強い ●現地での雑談きっかけで思いがけない機会を得られた ●英語堪能でなくても海外の方と会話はできる 必要なのは勇気だけ(もちろん勉強はすべき) ●問題はお金と時間 ●日ごろのアピールでチャンスをつかめるかも 海外カンファレンスへの参加は 国内外の知人を圧倒的に増やすズル技

Slide 20

Slide 20 text

アジェンダ 海外カンファレンスへの参加 初登壇への挑戦 OSSコミュニティへの貢献

Slide 21

Slide 21 text

21 © 2025 Fujitsu Limited 初登壇のきっかけ ある日突然上司からチャットが来た https://event.shoeisha.jp/form/1998 応募してみてください ※CfPとは、主催者が登壇者を応募すること。登壇者は応募し、選考される。 Developers Boost 2024 ~U30エンジニアの登竜門~ 特徴:聴講者を含め、30歳以下だけが参加可能 備考:デブサミの兄弟イベント テーマはJavaに限定されていない Call for Papers(CfP)の枠は5分間のライトニングトーク

Slide 22

Slide 22 text

22 © 2025 Fujitsu Limited 初登壇挑戦を決意 https://event.shoeisha.jp/form/1998 応募してみてください 教えてきただきありがとうございます。 テーマを考えて応募してみます。 ●応募を決断した理由 ●初めて参加したJJUG CCCが楽しく、 自分も登壇してみたいとは考えていた ●5分間だけのLTだから挑戦しやすかった ●参加者が若手だけだから挑戦しやすかった

Slide 23

Slide 23 text

23 © 2025 Fujitsu Limited 登壇準備 たった5分の登壇に約30時間の準備 ⇒ 登壇の大変さを痛感 発表テーマ:新入社員がOpenJDKにプルリクを出した苦労の体験談 CfP作成 → CfPレビュー(繰り返し) → CfP提出 → 採択!! → 資料作成 → 資料レビュー(繰り返し) → 発表練習(繰り返し) 準備 印象的なレビューコメント ●聞いたひとにどんな行動をさせるのかを考える ●誰にでも言えることではなく、自分だけの実体験が面白い

Slide 24

Slide 24 text

24 © 2025 Fujitsu Limited 登壇当日 ●会場には約200人の聴講者 ●私を含めた3人のLT登壇者は全員が初登壇 緊張で待合室で誰も話していなかったのが印象的

Slide 25

Slide 25 text

25 © 2025 Fujitsu Limited 登壇後 ●十分に準備したこともあり、無事発表を終えることができた ●なんと5人の方から質問をいただいた ●プルリクを出すのはハードルが高いが、ほかに何かできないか? ●どうやってプルリクのネタを見つけ出すのか? ⇒自組織で当然のようにしていた活動が 外から見るとインパクトが強い活動であると認識できた 自分たちの当然が万人の当前とは限らない 登壇のネタは身近に潜んでいる 気づき:

Slide 26

Slide 26 text

26 © 2025 Fujitsu Limited 登壇まとめ ●登壇は自己成長に非常に価値のある活動 ●もちろん、必死に苦労して準備して良い発表をすることは この上なく立派なコミュニティへの貢献 ✓JJUG CCC懇親会のLT ✓初級向けカンファレンス ✓小規模勉強会 etc. 挑戦しやすいところから始めてみましょう!

Slide 27

Slide 27 text

アジェンダ 海外カンファレンスへの参加 初登壇への挑戦 OSSコミュニティへの貢献

Slide 28

Slide 28 text

28 © 2025 Fujitsu Limited Javaを取り巻くOSS ●Javaエコシステムには大量のOSSがある 例:OpenJDK, Spring, Maven, Tomcat, JUnit, etc. ●私が貢献したことがあるOSS

Slide 29

Slide 29 text

29 © 2025 Fujitsu Limited OpenJDK概要 ●Java SE(標準仕様)に準拠したJDKのソースのみを提供 ●ソースをビルドしたJDKのバイナリは提供しない ●ベンダ提供のJDKバイナリはOpenJDKがベース(一部除く) 例:Amazon Corretto, Eclipse Temurin, etc. ●JDKはJavaエコシステムの基盤 ⇒ バグや非互換の影響が甚大 ⇒ 修正提供のプロセスが厳密 JDK フレームワーク ・ライブラリ アプリケーション

Slide 30

Slide 30 text

30 © 2025 Fujitsu Limited OpenJDKへの修正提供のハードル ●技術的ハードル ●ソースコードは12Mステップにも及ぶため、 修正目的以外の影響がないことを証明するのは困難 ●熟練JDK開発者による厳格なレビューをパスする必要あり ●プロセス的ハードル ●OCAへの署名が必須 ●初めは何も権限を持たないため、 Issue発行や修正取込を権限持ちの人に依頼しなければならない 修正提供は難易度が高い

Slide 31

Slide 31 text

31 © 2025 Fujitsu Limited 修正提供以外の貢献(1/2) ●JEPへのフィードバック JEP 523: Make G1 the Default Garbage Collector in All Environments JEPドキュメントの記載 「単一CPU、かつヒープサイズが1.8GB以下の環境下では G1 GCよりもSerial GCにアドバンテージがあるため、 Serial GCが自動選択されていました。」 本当にそうなのか?試してみよう!

Slide 32

Slide 32 text

32 © 2025 Fujitsu Limited 修正提供以外の貢献(2/2) 試したところ、JEPドキュメントの記載が誤っていた ● 参照するのはヒープサイズではなく利用可能な物理メモリサイズ ● しきい値は1.8GBではなく1.75GB ドキュメント修正を提案 JEP作成者が気づいて修正 JEPドキュメントの 正確性向上に貢献!!

Slide 33

Slide 33 text

33 © 2025 Fujitsu Limited OSS貢献の初めの一歩とステップアップ ●まずはとにかく使ってみる ●バグや改善案をフィードバック ●工夫した使い方をブログや登壇で発信 もっとやり込みたい場合 ● ドキュメントの日本語翻訳版作成 ● ソースコードを提供 ● ソースコードをレビュー 品質向上・プロジェクト継続 の観点で必要不可欠な貢献

Slide 34

Slide 34 text

コミュニティで新たな一歩踏み出せば、 想像を超える出会いが待っています あなたのエンジニア人生を もっと面白くしてみませんか? Summary

Slide 35

Slide 35 text

35 © 2025 Fujitsu Limited © 2025 Fujitsu Limited Thank you セッション 全体