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複数の反実仮想説明に基づく 複数の意思決定の促進を目的とした ひとつの施策の設計を支援する手法の提案 桂川大輝

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反実仮想説明の活用例〜マッピング〜 2 有識者が必要 有識者が不要 意思決定者が 多い(BtoC) 意思決定者が 少ない(BtoB) ①意思決定者が反実仮想説明 を確認し「行動指針」を理解 し自ら行動(組織) ②意思決定者が反実仮想説明 を確認し「行動指針」を理解 し自ら行動(個人) ③有識者が反実仮想説明を解 釈して行動指針(施策)を意 思決定者に提案 ④有識者が複数の反実仮想説 明を解釈し複数の意思決定を 促進する施策を提案

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④有識者が複数の反実仮想説明を解釈し施策を提案 ● BtoCな形式のサービスかつ有識者が必要 ○ 例:健康な人を増やしたい(医療) ● 各反実仮想説明の解釈が必要 ○ 例:◯◯の数値がXということは… ○ 対象者の人数によっては個別の対応は非現実的 3 複数の意思決定を促進させる施策を設計するサポートのために 複数の反実仮想説明の“要約”に着目

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1. クラスタリングによる似た反実仮想説明の要約を生成 2. 有識者は要約を解釈し、これを参考に施策を設計 (この施策は複数の意思決定を促進) 複数の意思決定の促進を目的としたひとつの施策の設計を支援する手法 4 反実仮想 説明×n件 反実仮想 説明の 要約×k件 施策×k件 クラスタリング (n≧k) 有識者による 解釈&設計

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反実仮想説明の要約の想定 ● 特定のクラスタにおける反実仮想説明(差分)の基本統計量 ○ 最大値、中央値、最小値など ○ 例:各説明変数の差分の中央値を参考に意思決定者が施策を設計 ● 参考になる特徴の数が減少すると施策の設計がより簡単に ○ 個人の反実仮想説明に近いため 5

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有用性の検証〜シナリオ〜 6 各意思決定者の状態、 どうしたら“望ましい 状態”になる傾向が高くなる のかがわかる 自身の状態、どうしたら“望 ましい状態”になる傾向が高 くなるのかはわからない。 有識者群 “望ましい状態”になる 傾向が高い意思決定者群 “望ましい状態”になる 傾向が低い意思決定者群 診断に基づく 意思決定により変動 施策(一対一)による 意思決定の支援(診断)

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有用性の検証〜シナリオ〜 7 各意思決定者の状態、 どうしたら“望ましい 状態”になる傾向が高くなる のかがわかる 自身の状態、どうしたら“望 ましい状態”になる傾向が高 くなるのかはわからない。 予測により、各意思決定者 の状態、どうしたら“望まし い状態”になる傾向が高くな るのかがわかる。 有識者群 “望ましい状態”になる 傾向が高い意思決定者群 “望ましい状態”になる 傾向が低い意思決定者群 提案手法を実行する 組織と有識者 診断に基づく 意思決定により変動 予測、 反実仮想説明の生成 施策(一対多)による 意思決定の支援 施策(一対一)による 意思決定の支援(診断)

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有用性の検証〜シナリオの理解を容易にする目的でルール①〜 ● 有識者による診断コストと施策の設計コストは同一 ○ 診断コストと施策の設計コストはそれぞれ1と設定 ○ 例:k件の施策を設計する場合、施策の設計コストはk   つまりk人の有識者が必要になるということ 8

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有用性の検証〜リサーチ・クエスチョン(RQ)〜 ● RQ1:クラスタ数の増大により施策設計は簡単になるか? ○ ひとつの施策において参考になる特徴の数は厳選されるか? ● RQ2:設計した施策が有用な可能性はあるか? ○ 促進数もしくはコストにおいて診断より高い効果を見出す可能性があるか? 9

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RQ1:クラスタ数の増大により施策設計は簡単になるか? ※参考になる特徴:少しでも差分がある(最小値が0かつ最大値が0ではない) 10 クラスタの数の増大により施策設計は簡単に

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有用性の検証〜シナリオの理解を容易にする目的でルール②〜 ● 参考になる特徴の条件: ○ 中央値が0ではない特徴 ○ 複数に絞り込まれた参考になる特徴からt件をランダムに選択 ● 施策による特徴の変化量: ○ 反実仮想説明の要約より中央値と変化率cを掛け合わせた結果 ● 意思決定の成功有無: ○ 各意思決定者に対して成功率pで施策が成功(特徴が変化) 11

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有用性の検証〜シナリオの理解を容易にする目的でルール③〜 ● 施策の質を表現する要素(パラメータ)とそのデフォルト値 ○ 参考になる特徴の数(基準値:1) ○ 施策の成功率(基準値:0.5) ○ 施策の特徴の変化率(基準値:0.5) ※施策と比較するための有識者による診断の定義: 「確実に“望ましい状態”に変化させること」(施策に対する診断の質の高さを表現) 12

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RQ2:設計した施策が有用な可能性はあるか? 13 有用な可能性を確認

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RQ2:設計した施策が有用な可能性はあるか? 14 有用な可能性を確認

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今後の課題・展望 ● より詳細なシミュレーションの設計 ○ 本来の問題はより複雑で不確実な点があるはず(例:施策および質の表現) ● 実証実験 ○ 提案手法のフレームワークに人が存在しているため必要 ○ そもそも有用になる余地があるのかは不明確 15

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まとめ ● 反実仮想説明法の活用例 ○ 様々なドメインへの貢献が期待 ○ 有識者が複数の反実仮想説明を解釈し施策を提案する場合が課題 ● 複数の意思決定の促進を目的とした ひとつの施策の設計を支援する手法を提案 ○ クラスタリングに基づき反実仮想説明を要約 ○ 複数の要約の提供により施策の設計を支援 ● 有用性の検証 ○ シミュレーションにより有用性がある可能性を確認 ● 課題と今後の展望 ○ より詳細なシミュレーション ○ 実証実験 16 元記事:https://daikikatsuragawa.hatenablog.com/entry/2022/01/30/120000