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自作言語のすすめ シン・プログラミング自作版

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自己紹介 会津大学 学部1年の sou7 / soukouki です。 twitter:@sou7___ (アンダーバーは3つ!) discord:sou7#0094 github:soukouki atcoder:soukouki

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かわいい!

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すごいかわいい!

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自作〇〇、といえば? 自作PC 自作OS そのなかでもやっぱり! 自作言語 これは外せない!

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インタプリタとコンパイラ 言語の処理系を作るには、大まかに インタプリタ トランスパイラ コンパイラ のどれかを作ることになります。 この中では、インタプリタの実装が一番簡単(構文木を使って実行するだけで済む)の で、今回はインタプリタを実装しました。

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インタプリタの構造 インタプリタは、概ね次の3段階の処理に別れます。 字句解析 ソースコード(文字列)をトークン(後ほど説明します)の列に切り分ける処理 構文解析 トークンの列を木構造の抽象構文木(これも後ほど説明します)に解釈する処理 評価 抽象構文木を使ってプログラムを実行する処理 これら3つの処理の実装方法などについても触れていきます。 余談ですが、実行速度が重要なインタプリタ(RubyやNode.jsなど)は更に何段階かに分 かれているそうです。

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トークンとはなんぞや トークンとは、一言で言えばコード上で意味を持つ最小単位の文字の並びです。 具体的にはこんなものです。 予約語 (C言語でいう if とか const とか。yokan言語には予約語はありません。) リテラル ( 123 , "str" のような、プログラム上の数値や文字列) 識別子 (関数名や変数名のような、プログラム上で自由に名前をつけられるもの) 演算子 ( == , < , + ) 括弧 デリミタ (カンマとか)

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抽象構文木とはなんぞや 抽象構文木とは、コードの構造を木構造で表したものです。 今回はGoの構造体を組み合わせて表現しました。 具体例 1+2*3 は字句解析で 1 + 2 * 3 のようなトークンの列になり、さらに構文解析で Add(1, Mul(2, 3)) このような抽象構文木になります。

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字句解析 字句解析とは、ソースコードの文字列から、トークンの列に変換する処理です。 yokan言語では、その文字と、その次の文字を見ることでトークンを区別できるように なっています。( = と == を考えてみると良いでしょう) たいていの言語では、コメントはこの段階で除去されます。(yokan言語にコメントは ありません...) 実装はそこまで難しくないです。

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構文解析 構文解析とは、字句解析で得られたトークンの列から、抽象構文木に変換する処理で す。 この構文解析には幾つもアルゴリズムがあります。今回はその中から再帰下降構文解 析という、比較的素朴な方法を使いました。 ちなみに、構文解析を高速に行うために更に高度な構文解析のアルゴリズムを使うこ とが多いのですが、そのコードは複雑で人には書けないため、ソースコードを生成す るコンパイラ(パーサジェネレータ、コンパイラコンパイラとも)を使うことが多いで す。

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再帰下降構文解析 再帰下降構文解析は、相互再帰(複数の関数を組み合わせて作る再帰)で構成される構文 解析のアルゴリズムです。 アルゴリズムを構成する関数(または処理のまとまり)と、解析する言語の文法が1対1に 対応するため、簡単に実装できます。

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具体例 Wikipedia「再帰下降構文解析」より引用 void term(void) { factor(); while (sym == times || sym == slash) { getsym(); factor(); } } void expression(void) { if (sym == plus || sym == minus) getsym(); term(); while (sym == plus || sym == minus) { getsym(); term(); } } (yokanではもう少しごちゃごちゃした処理を書いています。)

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構文木を使った評価 インタプリタなどでは、プログラムを実行することを「評価する」と言うことが多い です。 yokan言語では、構文解析で得られた構文木を使って、直接評価しています。 func evalMinusPrefixOperatorExpression(right object.Object) object.Object { // 型チェック err, ok := checkTypeIsInteger("MinuPrefixOperator", right) if !ok { return err } // 内部の整数を取得 value := right.(*object.Integer).Value // マイナス演算子を適用 return &object.Integer{Value: -value} }

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yokan言語の推しポイント yokan言語では無名関数は '(' <カンマ区切りの引数リスト> ')' '{' <文> '}' というかなりシンプルな構文を使います。これによって if( cond, (){puts(true)}, (){puts(false)} )() という形で、if関数 を使って条件分岐を実装できます。

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yokan言語について リポジトリはこちらです。 プルリクエスト歓迎してます! https://github.com/soukouki/yokan

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yokan言語でFizzBuzzを実装してみた! remainder=(n,d){n-(n/d)*d} fizzbuzzii=(n){ if( remainder(n,15)==0, (){puts("fizzbuzz\n")}, (){ if( remainder(n,3)==0, (){puts("fizz\n")}, (){ if( remainder(n,5)==0, (){puts("buzz\n")}, (){puts(n)} )() } )() } )() } fizzbuzzi=(max,n){ fizzbuzzii(n) if( max>n, (){fizzbuzzi(max,n+1)}, (){} )() } fizzbuzz=(max){ fizzbuzzi(max,1) } fizzbuzz(15) (改行はうまく読み込めないので、動かすには改行を取り除く必要があります。)

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参考図書 「Go言語でつくるインタプリタ」 https://www.oreilly.co.jp/books/9784 873118222/ 基本的な構造はこの本と同じです。 ただ、構文が違ったり、構文解析の アルゴリズムが違ったりと、自分で アレンジした箇所も多くあります。

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ありがとうございました!