Slide 1

Slide 1 text

初参加のハノーバーメッセで感じた 世界最大級イベントの熱気と AI活用の未来 2025/5/14 製造ビジネステクノロジー部 濱田孝治(ハマコー)

Slide 2

Slide 2 text

2 濱田孝治(ハマコー) 製造ビジネステクノロジー部 マネージャー • 独立系SIerを経て2017年9月 クラスメソッド入社 ブログ, SNS • 「クラスメソッド 濱田」で検索 • はてなブックマーク累計 約15,000個 • Xアカウント:@hamako9999 コミュニティ運営 • JAWS-UG コンテナ支部運営 • Grafana Meetup Co-organizer AWS認定関連 • 取得済みAWS認定:SAP, DOP, DBS, SOA, SAA, DVA, SCS, CLF, AIF, MLA, MLS • AWS APN Ambassador 2020 執筆書籍 • みんなのAWS • SoftwareDesign 2022年11月号 コンテナ特集

Slide 3

Slide 3 text

3 はじめに これだけ覚えておいてもらえれば @hamako9999

Slide 4

Slide 4 text

4 Agenda •クラスメソッドの製造業における取組の紹介 •現地のリアルな雰囲気と熱気 •製造業におけるAI活用の最前線ユースケース

Slide 5

Slide 5 text

5 クラスメソッドの製造業における 取組の紹介

Slide 6

Slide 6 text

6 AWSの日本最優秀SIパートナー https://classmethod.jp/news/20250508-aws-partner-awards

Slide 7

Slide 7 text

7 製造業のお客様向けソリューション一覧 https://classmethod.jp/segment/manufacturing/

Slide 8

Slide 8 text

8 製造業のお客様向けソリューション一覧

Slide 9

Slide 9 text

9 PLC Data to Cloudの代表的なアーキテクチャ

Slide 10

Slide 10 text

10 可視化部分イメージ:設備監視

Slide 11

Slide 11 text

11 製造業向けアジャイル支援サービス https://classmethod.jp/services/insource/manufacturing-agile-support/

Slide 12

Slide 12 text

12 研修によるティーチングや伴走型開発も実施

Slide 13

Slide 13 text

13 AI駆動開発支援サービス https://classmethod.jp/services/aidd/

Slide 14

Slide 14 text

14 製造ビジネステクノロジー部の顧客事例

Slide 15

Slide 15 text

15 現地のリアルな雰囲気と熱気

Slide 16

Slide 16 text

16 ほとんど全てここに書きました https://dev.classmethod.jp/articles/hannover-messe-2025/

Slide 17

Slide 17 text

17 会場マップ

Slide 18

Slide 18 text

18 会場規模(ホール9 上段から)

Slide 19

Slide 19 text

19 会場マップの丸の位置からみた景色

Slide 20

Slide 20 text

20 会場マップの丸の位置からみた景色

Slide 21

Slide 21 text

21 王者シーメンス ドイツを代表する総合電機メーカー

Slide 22

Slide 22 text

22 王者シーメンス ドイツを代表する総合電機メーカー

Slide 23

Slide 23 text

23 王者シーメンス ドイツを代表する総合電機メーカー

Slide 24

Slide 24 text

24 SAP ERPを中心としたデータ活用

Slide 25

Slide 25 text

25 SAP ERPを中心としたデータ活用

Slide 26

Slide 26 text

26 AWS 実家のような安心感(個人の感想)

Slide 27

Slide 27 text

27 AWS e-Bike工場による製品製造ライフサイクル全般のクラウド活用

Slide 28

Slide 28 text

28 AWS マルチベンダーで実現する自律移動ロボット(AMR)デモ

Slide 29

Slide 29 text

29 Microsoft サービスに深く根ざしたIndustrial CopilotとAI

Slide 30

Slide 30 text

30 Microsoft サービスに深く根ざしたIndustrial CopilotとAI

Slide 31

Slide 31 text

31 Google Manufacutring Data Engine

Slide 32

Slide 32 text

32 行ってみた率直な感想 テーマも会場も参加している人も 本当に本当に本当に 幅広い

Slide 33

Slide 33 text

33 製造業におけるAI活用の 最前線ユースケース

Slide 34

Slide 34 text

34 結論 以下が実現するのも 夢物語ではなくなってきたのかも? 自己修復型生産ライン 動的需要応答型サプライチェーン 知識継承型スマートファクトリー

Slide 35

Slide 35 text

35 例:動的需要応答型サプライチェーン 従来の課題: 需要変動への対応は遅く、在庫過多や 欠品リスクが高い 新たな可能性: •UNS: ERPデータ、市場データ、生産能力データを 統合 •MCP: AI需要予測エージェントが外部データ(天 候、イベント、SNS)にアクセスして需要の急変を 予測 •A2A: 需要予測エージェントが生産計画エージェン ト、サプライヤーエージェント、物流エージェント と連携 具体例: 食品メーカーでは、大型スポーツイベント 前のSNS分析から特定商品の需要急増を予測。AIが 自動的に原材料発注を調整し、サプライヤーAIと納 期交渉、生産ラインのスケジュール再構成、物流ル ートの最適化を実施。これにより売上機会損失を防 ぎつつ、過剰在庫リスクを軽減。

Slide 36

Slide 36 text

36 AI関連でのニュース このあとテクノロジーで 関連するキーワードを紐解きながら 説明していきます

Slide 37

Slide 37 text

37 製造業における データ活用の潮流と課題感

Slide 38

Slide 38 text

38 re:Invent2024で参加したワークショップ ref: https://dev.classmethod.jp/articles/workshop-deigital-thread/

Slide 39

Slide 39 text

39 製造業に関わるデータは幅広い https://dev.classmethod.jp/articles/workshop-deigital-thread/

Slide 40

Slide 40 text

40 製造業におけるよくある困り事 https://dev.classmethod.jp/articles/workshop-deigital-thread/

Slide 41

Slide 41 text

41 製造業におけるよくある困り事 https://dev.classmethod.jp/articles/workshop-deigital-thread/ • 設計エンジニア: 「コンセプトから詳細設計段階に移行するために、主 要な材料供給の課題を知る必要があります」 • サプライチェーン: 「パーツ#XYZが遅延しています。調達の問題はあ りますか?同様の品質スコアを持つ代替サプライヤーを検討できます か?」 • 事業開発: 「新しいRFQ(見積依頼書)が来ています。類似点を特定す るために、過去のRFQ回答や仕様書にアクセスできますか?」 • 計画/購買: 「部品のリリース状況と変更記録を入手して、調達計画を 立てられますか?」

Slide 42

Slide 42 text

42 これらサイロ化したデータをいかに活用していくのか? https://dev.classmethod.jp/articles/workshop-deigital-thread/

Slide 43

Slide 43 text

43 解の一つになりうるのが UNS(Unified Name Space) IDF(Industrial Data Fabric)

Slide 44

Slide 44 text

44 UNS(Unified Name Space)とは? 製造環境における「単一の信頼できる情報源」として機能するイ ベント駆動型のデータアーキテクチャ 主要コンポーネント • MQTTブローカー:発行/購読型メッセージングの中心ハブ • Sparkplug:MQTTプロトコル上で動作し、メタデータを追加 し自動検出や例外報告を実現 • データモデリング:ISA-95標準に基づく階層的なデータ構造 • エッジオペレーション:エッジに配置されたソフトウェアが機 器に接続し、生データを変換・標準化

Slide 45

Slide 45 text

45 UNS(Unified Name Space)アーキテクチャ

Slide 46

Slide 46 text

46 UNSの特徴とAIモデルやエージェントと相性が良い理由 ①データの一元化と標準化 • 従来の課題:製造環境では、PLC、MES、センサー、ERPなど 多数のシステムが独自のデータ形式を採用し、データサイロが 形成されていた • UNSの解決策:全てのデータソースからの情報を単一の標準化 された形式で集約 • AIへの影響:AIモデルは一貫した形式のデータにアクセスで きるため、AIエージェントが複数のソースからのデータを統合 する前処理が不要となる

Slide 47

Slide 47 text

47 UNSの特徴とAIモデルやエージェントと相性が良い理由 ②リアルタイム性の確保 • 従来の課題: 多くのデータは定期的なバッチ処理やエクスポー ト/インポートプロセスを通じて移動し、データのリアルタイ ム性が無い • UNSの解決策: MQTT/Sparkplugベースのイベント駆動型アー キテクチャにより、データの変更がほぼリアルタイムで伝播 • AIへの影響: AIエージェントは常に最新の情報に基づいて判断 できるため、現実の状況とAIの認識のずれが最小限

Slide 48

Slide 48 text

48 UNSの特徴とAIモデルやエージェントと相性が良い理由 ③コンテキストの保持とメタデータの充実 • 従来の課題: データは文脈から切り離されることが多く、その 価値や関連性が失われていた • UNSの解決策: Sparkplugによるメタデータの追加や、ISA- 95に基づく階層構造により、データに豊富なコンテキストを 付与 • AIへの影響: AIモデルはデータポイントだけでなく、その意味 や関係性も理解できるため、より高度な推論が可能

Slide 49

Slide 49 text

49 UNSの特徴とAIモデルやエージェントと相性が良い理由 ④拡張性と適応性の強化 • 従来の課題: 新しいデータソースやAIモデルの追加には、多く の場合カスタム統合が必要 • UNSの解決策: 標準化されたプロトコルとインターフェースに より、新しいデバイスやシステムの追加が容易 • AIへの影響: 生成AIでは事前学習無しに、新しいデータソース を容易に活用できる

Slide 50

Slide 50 text

50 UNSの特徴とAIモデルやエージェントと相性が良い理由 ⑤例外報告メカニズム • 従来の課題: すべての時系列データが定期的にポーリングされ るため、データ量が膨大になり重要な変化の検出が困難 • UNSの解決策: Sparkplugの例外報告機能により、意味のある 変化が発生した場合にのみデータを送信可能 • AIへの影響: ノイズの少ない重要なデータに集中できるため、 シグナル検出が向上し、より効率的な処理が可能

Slide 51

Slide 51 text

51 これらUNSの実装プレイヤーが 現地で複数存在感を出していた

Slide 52

Slide 52 text

52 IDF(Industrial Data Fabric) HighByte

Slide 53

Slide 53 text

53 IDF(Industrial Data Fabric) HighByte 現地展示:AWS上でのHighByteの実装例

Slide 54

Slide 54 text

54 IDF(Industrial Data Fabric) LITMUS

Slide 55

Slide 55 text

55 IDF(Industrial Data Fabric) LITMUS https://litmus.io/ja/blog/embracing-the-unified-namespace-architecture-with-litmus-edge UNSの解説はこれが非常にわかりやす い

Slide 56

Slide 56 text

56 オープンソースIIoTプラットフォーム FREEZONEX

Slide 57

Slide 57 text

57 オープンソースIIoTプラットフォーム FREEZONEX

Slide 58

Slide 58 text

58 オープンソースIIoTプラットフォーム FREEZONEX https://supos.ai/

Slide 59

Slide 59 text

59 FREEZONEXのGitHubリポジトリのDeepWiki作成済 DeepWikiでfreezonexで検索

Slide 60

Slide 60 text

60 FREEZONEX/Factory-Agent FREEZONEX/Factory-Agent Factory Agentは、産業システムが大型言 語モデル(LLM)を活用してリアルタイ ム監視、意思決定、自動制御を実現する オープンソースフレームワークです。こ のフレームワークは、オペレーションテ クノロジー(OT)のデータソース、情報 テクノロジー(IT)システム、現代のAI 機能の間を、MQTTブローカーと通信する カスタムNode-REDノードの集合体を通 じて接続します。 https://deepwiki.com/FREEZONEX/Factory-Agent

Slide 61

Slide 61 text

61 AI関連でのニュース ハノーバーメッセ2025の会期前後に AI界隈で非常に大きな パラダイムシフトが発生

Slide 62

Slide 62 text

62 近年よく見るキーワード MCP A2A

Slide 63

Slide 63 text

63 さらなるAI活用の未来の形 MCPとA2Aの産業界への実装について

Slide 64

Slide 64 text

64 The Industrial AI Podcast https://aipod.de/

Slide 65

Slide 65 text

65 The Industrial AI Podcast Colin Masson https://open.spotify.com/episode/1akdmbHfJHOMPu2ohktiRq MCPとA2Aは、現場での活用に最適 か? 要約:MCPとA2Aプロトコルが工場デー タの活用に革新をもたらす可能性につい て議論。Anthropicがオープンソースとし てリリースしたMCPは、産業機器データ のコンテキスト化を可能にし、それをAIと 接続。GoogleのA2A拡張機能は複数の AIエージェント間の連携を実現します。

Slide 66

Slide 66 text

66 MCPとA2Aについて MCP(Model Context Protocol) • AIモデルやエージェントが外部データソース・ツールと接続するための オープンスタンダード • 「AIのUSBポート」とも呼ばれる標準化されたインターフェース • AIとツール・データ間の接続を単純化し、M×N統合問題を解決 A2A(Agent2Agent Protocol) • 異なるAIエージェント間の通信・協調を可能にするオープンスタンダー ド • Googleが提唱した、ベンダーに依存しない相互運用可能なプロトコル • エージェント間の自律的な協調をサポート

Slide 67

Slide 67 text

67 OPC UA, UNS, MCP, A2Aの関係 •UNS(Unified Namespace):OPC UAの上に構築され、 個々の機械と直接通信する必要なく、工場内の機械とその能力 (温度、圧力、流量など)を整理するレイヤー •MCP:AIエージェントがUNSに簡単に接続できるようにする プロトコル(OPC UAとも直接通信可能) •A2A:複数のAIエージェントが互いに通信し、MCPを通じて アクセスしたデータやツールを使ってタスクを調整するための 拡張機能

Slide 68

Slide 68 text

68 OPC UA, UNS, MCP, A2Aの関係

Slide 69

Slide 69 text

69 産業用AIの将来 これは単に新しいタイプのAIではなく、既存のAI分類(ML、ニューラル ネット、コンピュータビジョン、生成AIなど)を適用し、組み合わせて 特定のスキルやタスクに最適なツールを使用できるようにする建築的進 化です。 産業分野は以前、AI/ML技術の適用において先行していましたが、 ChatGPTの登場(2022年11月)以降、遅れをとっているという認識が あります。 しかし、生成AIと大規模言語モデルは、エンジニアリングの厳密さ、正 確性、根本原因分析、説明可能性が必要な多くの産業用AIユースケース には適していません。 エージェントベースのアプローチへの移行により、産業分野は再びリー ダーシップを取り戻し、製造業のスキルギャップに対処し、次のレベル の生産性を達成する機会があります。

Slide 70

Slide 70 text

70 リスナーへのアドバイス 事業会社はベンダーに以下の質問をすべき • 統合名前空間(UNS)のために何を使用しているか • 統合名前空間とOPCと相互作用するMCPサーバーの提供に向けて何を しているか • エージェント間(A2A)の次のステップとエージェントのオーケストレ ーションについてどのように考えているか 主要プレイヤーがこれらのプロトコルと標準をサポートしていることで、 産業用AIのニーズに対応するための協力が進んでいきます。

Slide 71

Slide 71 text

71 未来の製造業の形 その先に見えてくるユースケース

Slide 72

Slide 72 text

72 ユースケース①:自己修復型生産ライン 従来の課題: 設備故障は事後対応が基本で、早期発見で きても人間の判断と介入が必要 新たな可能性: •UNS: 全ての機器からのセンサーデータを統合し、リア ルタイムで異常パターンを検出 •MCP: AIエージェントが過去の故障履歴と現在のデー タを分析し、問題を診断 •A2A: 保守エージェントが部品調達エージェントと連携、 自動的に部品発注・ロボット修理指示 具体例:自動車組立ラインの溶接ロボットが振動異常を 示した場合、AIが原因を特定(ベアリング劣化)し、部 品在庫を確認、最適なメンテナンス時間を計算、必要に 応じて代替生産ルートを確保しながら、次のシフト変更 時に自動修理ロボットが対応する一連の流れが人間の介 入なく実行される。

Slide 73

Slide 73 text

73 ユースケース②:動的需要応答型サプライチェーン 従来の課題: 需要変動への対応は遅く、在庫過多や 欠品リスクが高い 新たな可能性: •UNS: ERPデータ、市場データ、生産能力データを 統合 •MCP: AI需要予測エージェントが外部データ(天 候、イベント、SNS)にアクセスして需要の急変を 予測 •A2A: 需要予測エージェントが生産計画エージェン ト、サプライヤーエージェント、物流エージェント と連携 具体例: 食品メーカーでは、大型スポーツイベント 前のSNS分析から特定商品の需要急増を予測。AIが 自動的に原材料発注を調整し、サプライヤーAIと納 期交渉、生産ラインのスケジュール再構成、物流ル ートの最適化を実施。これにより売上機会損失を防 ぎつつ、過剰在庫リスクを軽減。

Slide 74

Slide 74 text

74 ユースケース③:知識継承型スマートファクトリー 従来の課題: 熟練作業者の退職によるノウハウ喪失、 新人教育の長期化 新たな可能性: •UNS: 作業手順、センサーデータ、品質結果の関連 付けと蓄積 •MCP: AIが熟練者の作業パターンを学習し、データ から暗黙知を形式化 •A2A: 知識エージェント、トレーニングエージェン ト、支援ロボットエージェントが連携 具体例: 精密機械メーカーでは、熟練技術者の動作を 複数のセンサーで捉え、その判断と手技をAIが学習。 新人作業者がARグラスを装着すると、AIが作業をリ アルタイムで分析し、熟練者レベルの指導を提供。 さらに協働ロボットが自動的に最適な補助を行い、 作業効率と品質を向上。蓄積された知識は継続的に 更新され、組織全体で共有される。

Slide 75

Slide 75 text

75 未来の製造業の形 はてさて 来年のハノーバーメッセは どうなっていることやら… 楽しみですね!!

Slide 76

Slide 76 text

76 最後に

Slide 77

Slide 77 text

77 まとめ • 製造業におけるデジタル革新の波は非常に大きい • おそらく来年のハノーバーメッセでは、ほとんどのデジタル ソリューションブースにMCPとA2Aが出てくる • データを整備して未来のAI活用に向けて準備することが非常 に大事になってくる