Slide 1

Slide 1 text

SIMってなんだ? factory 2024/4/6 ~セルラー通信がつながる仕組み、解説します~ SORACOM UG Online #19

Slide 2

Slide 2 text

株式会社ソラコムでソリューションアーキテクトをやっ ています。 むかし、イマイファクトリーという名前でグラフィックデザイ ンとかやっていました。 今井 雄太(factory)

Slide 3

Slide 3 text

今日はシムの日なので SIMの勉強をしましょう。 ~2回目~

Slide 4

Slide 4 text

No content

Slide 5

Slide 5 text

SIMとは 認証 ローミング ユーザデータ USIM=Universal Subscriber Identity Module USIMとは、欧州の2G(GSM)の移動機に採用されていた SIMカードを拡張したもの。 CPUを内蔵したICチップ(UICC)で、3G/LTE移動機において 不可欠なデバイスの1つ。

Slide 6

Slide 6 text

SIMとは セキュリティが提供されており、このなかにはキャリアと の接続時の認証に利用される鍵が入っている。 かなりざっくり言えば、SIMとはキャリアとの接続認証を うけるための鍵、と言える。 他にもキャリアの優先度や許可/拒否リスト、電話帳など 様々な情報が記録されています。

Slide 7

Slide 7 text

SORACOMのSIMたち SORACOMではさまざまな「サブスクリプション(回線プ ラン)」を提供しています。 この回線契約を識別するために利用されるのがSIMです。

Slide 8

Slide 8 text

ざっくり言えば・・・ 「SIM≒鍵」 とご理解いただくとこのあとの話が腹落 ちしやすいと思います

Slide 9

Slide 9 text

はい、わかりましたね?

Slide 10

Slide 10 text

SORACOMプラットフォームのおさらい

Slide 11

Slide 11 text

インターネット 端末 基地局 データセンター ISP パケット交換 帯域制御 顧客管理 課金・・・ 通信キャリア 専用線接 続 MVNO事業

Slide 12

Slide 12 text

インターネット 基地局 データセンター ISP パケット交換 帯域制御 顧客管理 課金・・・ 携帯通信事業者の基地局と AWSクラウドで バーチャルキャリアを実現 端末

Slide 13

Slide 13 text

ソラコムを使うとデバイスとクラウドをセキュリティに接続できる! 普段はセルラー接続部分のセキュリティは所与のものと して、クラウドとの接続やアプリケーションレベルのセ キュリティの話をすることがおおいですが・・・・

Slide 14

Slide 14 text

インターネット 端末 基地局 データセンター ISP パケット交換 帯域制御 顧客管理 課金・・・ 通信キャリア 専用線接続 今日はこちらの仕組み とセキュリティの話で す。

Slide 15

Slide 15 text

SIMが挿さったデバイスが モバイルキャリアに接続されるまで

Slide 16

Slide 16 text

3G/LTE のSIM認証 VPC 加入者情報DB 2.認証情報レスポンス Auth Token(AUTN), Random(RAND) 4.ネットワーク の認証&鍵生成 5.認証レスポンス RES 6.SIMの認証 Secret Key Sequence Number N Secret Key Sequence Number N 7.鍵の派生 7.鍵の派生 SIM SIM 端末 接続要求 1.認証情報リクエスト 基地局・制御局 3. 認証リクエスト ATUN, RAND, XRES, Security Key (CK + IK) CK + IK RES, (RES==XRES) RES, Security Key (CK + IK)

Slide 17

Slide 17 text

3G/LTE のSIM認証 VPC 加入者情報DB 2.認証情報レスポンス Auth Token(AUTN), Random(RAND) 4.ネットワーク の認証&鍵生成 5.認証レスポンス RES 6.SIMの認証 Secret Key Sequence Number N Secret Key Sequence Number N 7.鍵の派生 7.鍵の派生 端末-基地局間では 鍵を交換しない SIM SIM 端末 接続要求 1.認証情報リクエスト 基地局・制御局 3. 認証リクエスト ATUN, RAND, XRES, Security Key (CK + IK) CK + IK RES, (RES==XRES) RES, Security Key (CK + IK)

Slide 18

Slide 18 text

3G/LTE のSIM認証 VPC 加入者情報DB 2.認証情報レスポンス Auth Token(AUTN), Random(RAND) 4.ネットワーク の認証&鍵生成 5.認証レスポンス RES 6.SIMの認証 Secret Key Sequence Number N Secret Key Sequence Number N 7.鍵の派生 7.鍵の派生 端末-基地局間では Secret Keyを交換しない さらに言えば、端末も基地局も Secret Keyを持たない! SIM SIM 端末 接続要求 1.認証情報リクエスト 基地局・制御局 3. 認証リクエスト ATUN, RAND, XRES, Security Key (CK + IK) CK + IK RES, (RES==XRES) RES, Security Key (CK + IK)

Slide 19

Slide 19 text

SIMとキャリアは共通鍵を使って チャレンジ&レスポンス認証をしている

Slide 20

Slide 20 text

SIMとキャリアは共通鍵を使って チャレンジ&レスポンス認証をしている ネットワーク越しに鍵交換はしていない つまり鍵を盗まれないように 防御すべき場所はSIM(とHSS)

Slide 21

Slide 21 text

あらためてSIMについて見てみよう

Slide 22

Slide 22 text

FLASH / EEPROM ROM RAM CPU • CPU : 32bit • メモリー: FLASH • 標準規格: ISO / 3GPP / ETSI / GP • 電気特性: 1.8 / 3 / 5 v • クロック: 1~5MHz • 形状 : 2FF(plug-in)/3FF(micro) • 4FF(nano)/embedded • 機能 • Java Card (ver. 3.0.1) or later • OTA(RFM/RAM) • SAT/USAT • Secure Element • PKI • Crypt ベースのSecure ICは Infineon/Samsung/ST Microsystems などの半導体ベンダが供給 UICC (Universal Integrated Circuit Card)

Slide 23

Slide 23 text

FLASH / EEPROM ROM RAM CPU • CPU : 32bit • メモリー: FLASH • 標準規格: ISO / 3GPP / ETSI / GP • 電気特性: 1.8 / 3 / 5 v • クロック: 1~5MHz • 形状 : 2FF(plug-in)/3FF(micro) • 4FF(nano)/embedded • 機能 • Java Card (ver. 3.0.1) or later • OTA(RFM/RAM) • SAT/USAT • Secure Element • PKI • Crypt ベースのSecure ICは Infineon/Samsung/ST Microsystems などの半導体ベンダが供給 UICC (Universal Integrated Circuit Card) CPUやRAM、ストレージ があるのに注目

Slide 24

Slide 24 text

そうなんです。 SIMは独立したコンピュータであり、 単なるストレージデバイスではありません。 なので鍵を外部から直接は読めないように なっている

Slide 25

Slide 25 text

3G/LTE のSIM認証 VPC 加入者情報DB 2.認証情報レスポンス Auth Token(AUTN), Random(RAND) 4.ネットワーク の認証&鍵生成 5.認証レスポンス RES 6.SIMの認証 Secret Key Sequence Number N Secret Key Sequence Number N 7.鍵の派生 7.鍵の派生 SIM SIM 端末 接続要求 1.認証情報リクエスト 基地局・制御局 3. 認証リクエスト ATUN, RAND, XRES, Security Key (CK + IK) CK + IK RES, (RES==XRES) RES, Security Key (CK + IK) ここはストレージ IOSではなくAPI呼び 出しだった!

Slide 26

Slide 26 text

UICCの論理構造 Core O.S UICC Card Manager and Security domains Remote Applet Management Core Applications (USIM) File System servers Toolkit and Java Card runtime environment UICC API and USIM API Java Card Toolkit Applet Java Card packages Java Card Applet

Slide 27

Slide 27 text

スマートカードリーダー モデム

Slide 28

Slide 28 text

実際にはこんな感じ カードリーダ モデム アンテナ APDUの世界 ※詳細はのちほど

Slide 29

Slide 29 text

APDU 例:IMSIの読み取り 00 B0 00 00 3F 00 7F 20 6F 07 (Application Protocol Data Unit) • 端末とJava Cardアプレットがやり取りするためのバイト列 CLA INS P1 P2 P3 SW1 SW2 Command APDU Response APDU Data Read Binary ディレクトリ ファイル

Slide 30

Slide 30 text

あれ? APDUコマンドで任意の領域のファイルを 読み取れる? それはちょっとまずいんじゃ・・?

Slide 31

Slide 31 text

秘密はAPDUコマンドに まず大前提として、SIMカードはストレージへの直接アクセスを提供 していない。アプリケーションはAPDUコマンドというAPIを介して アクセスする必要がある。 ● APDUコマンドには認証機構があり、コマンド実行時にPUKやユ ーザー認証、生体認証を求めることができる。 ● WRITE ONCEの領域の設定もできる。 詳細はISO7816-4、 ISO7816-11あたりを読んでみよう。 もちろんですがAPDUの認証情報が漏洩すると大変なことになりま す!!!!

Slide 32

Slide 32 text

APDUで提供されるコマンド(API)の例 1. SELECT a. スマートカードからアプリケーションを選択するために使用されるコマンド。 2. READ BINARY a. スマートカードからデータを読み取るために使用されるコマンド。 3. UPDATE BINARY a. スマートカードにデータを書き込むために使用されるコマンド。 4. VERIFY a. スマートカードの認証のために使用されるコマンド。 5. INTERNAL AUTHENTICATE a. スマートカード内部で生成された認証データを使用して、通信相手とスマートカード間の 相互認証を行うために使用されるコマンド。キャリア認証で利用されるのはこれ。 6. EXTERNAL AUTHENTICATE a. スマートカード外部から提供された認証データを使用して、スマートカードへのアクセス を許可するために使用されるコマンド。

Slide 33

Slide 33 text

でも、ストレージに物理的にアクセスされたら?

Slide 34

Slide 34 text

SIMカードの物理的セキュリティ(耐タンパー性) 多くのSIMカードは、物理的な攻撃を検知した際にSIMカード内の データを自己消去するようにプログラムされている。例え ば・・・ 1. 温度センサーによる手法 a. カードの温度が急上昇した際にデータ消去 2. 振動センサーによる手法 a. カードが振動や衝撃を受けた場合に反応してデータ消去 3. 光センサーによる手法 a. カードの筐体が開けられば場合に反応してデータ消去

Slide 35

Slide 35 text

SIMカードの物理的セキュリティ(耐タンパー性) 物理的な攻撃に対する対策はISO7816に定めはなく、スマートカ ードメーカーが独自に定めている。 メーカーやカードごとの具体的な防御策については、詳細な情報 は非公開となっている場合が多く、一般的な情報を得ることは困 難。

Slide 36

Slide 36 text

まとめ

Slide 37

Slide 37 text

SIMの(おもな)役割 カードリーダ モデム アンテナ キャリア SIMはキャリアとの間に共通鍵を持っていてそれを使っ てモデムがキャリアと接続する際の認証をサポートして いる。SIM自身のセキュリティは「とてもつよい」。 共通鍵 共通鍵