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「候補者をファンにする」 エンジニア採用 エンジニア選考カンファレンス 2025.02.28

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文字 拓郎 Takuro Monji 株式会社ユーザベース 上席執行役員 NewsPicks CEO シンプレクスにて大手銀行や証券会社向けプロジェクトの開発責任者を歴 任した後、NewsPicks 立ち上げ初期にエンジニアとして入社。一般ユー ザー向けのプロダクト開発・新規事業の立ち上げなどを担当し、2020 年か ら執行役員。2021 年から CPO/CTO としてプロダクト開発組織を管掌 し、2022 年からはプレミアム事業担当役員を兼務。2025 年から現職。 https://x.com/monzou 2 自己紹介

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3 サービス紹介・会社紹介

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4 ユーザベースについて パーパス「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」 事業 9 事業 経営のスピードを上げる情報プラットフォーム BtoB 国内最大級の経済ニュースプラットフォーム BtoC 組織規模 1,200 名以上 オフィス 8拠点 サービス提供 16カ国 海外進出 組織規模 1,000 名以上 創業 2008年 (17年目)

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5 NewsPicks:国内最大級の経済ニュースプラットフォーム ユーザー・会員数 1,000 万人+ 有料会員数 19 万人+ 公式 YouTube チャネル登録者数 160 万人+

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6 NewsPicks のミッション

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7 NewsPicks を使う理由

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8 NewsPicks の関連サービス NewsPicks for Kids 家族でニュースを楽しむ、 まったく新しい子ども新聞 NewsPicks for WE 女性ビジネスパーソンを エンパワーメントするコミュニティ NewsPicks Education NewsPicks を活用した 新しい学びのプラットフォーム NewsPicks Publishing NewsPicks の書籍レーベル NewsPicks NewSchool 最先端・実践型の学びの場 NewsPicks Expert 経済情報に特化した 専門家マッチングプラットフォーム

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「候補者をファンにする」 エンジニア採用

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10 エンジニア採用において 大切なこと

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11 エンジニア採用で大切な二つの体験 開発者体験 候補者体験

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12 エンジニア採用で大切な二つの体験 開発者体験 候補者体験 自信を持って語れる 新しい挑戦が増える

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13 エンジニア採用で大切な二つの体験 開発者体験 候補者体験 今日は こちらの話

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14 エンジニア採用で大切な二つの体験 開発者体験 候補者体験 Software Design で 1 年ほど連載していました

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15 今日お話しすること 「候補者をファンにする 💘」を掲げて採用プロセスを見直したことで ● 採用状況の劇的な改善(内定承諾率 90% 超・年間採用数 3.6 倍) ● 新規メンバーの入社後エンゲージメント向上 ● 既存メンバーのエンゲージメント向上 を実現できた事例について話します。 みんなハッピー

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17 なぜ 「候補者をファンにする」 と掲げたのか

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18 当時の状況 前任者からエンジニア採用を引き継いだが、採用未経験で何も分からない状態。 ただ、リファラル以外での採用は少なく、採用が大幅にビハインドしているのは事実 だった。 また、リファラル以外で入社したメンバーの 入社後の定着率にも課題 があった。 → まずは採用状況と関連業務の把握から始めた。 採用って何するの?

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19 当時の課題分析 リファラル以外の採用ファネルを分析してみると、面接からの内定承諾率は 1% 未満 だった 😱 スカウト 内定受諾 カジュアル面談 面接 オファー

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20 当時の課題分析 300 人カジュアル面談しても、ひとりも入社してくれない 世界観・・・😱 スカウト 内定受諾 カジュアル面談 面接 オファー 10 % 33 % 7 % 13 % スカウトからの返信率は平均的(らしい) 選考に進む候補者が少ない 💦 面接からの内定率は問題なさそう 内定承諾率が極めて低い 😭

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21 当時の課題分析 選考が進むにつれて志望度が上がるのが理想的 だが、そうなっていない。 スカウト 内定受諾 カジュアル面談 面接 オファー 10 % 33 % 7 % 13 % 特にココが 致命的 😨

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22 つまり 候補者を 魅力付け出来てない

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23 仮説:入社判断のための三つの魅力 ヒト 一緒に働く人の 魅力 事業 事業や製品の 魅力 条件 待遇や成長環境の 魅力

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24 仮説:事業や条件の話ばかりしていないか? ヒト 一緒に働く人の 魅力 事業 事業や製品の 魅力 条件 待遇や成長環境の 魅力

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25 変えられない条件ではなく ヒトやカルチャーの魅力を 正直に伝えたい

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26 選考は「相互理解」のプロセス ● 採用側が 一方的に評価する場ではない ● 候補者にとっても、会社を評価する場である ● 一緒に働く仲間として、お互いに心から納得できるか(= 相互理解の場) ● そのためには、もっとヒト同士の対話が必要なのではないか ● そうすれば、お互いに熱意を持って挑戦できるし、本気で受け入れられるはずだ 魂は合ってるね

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27 候補者に本気で向き合おう 候補者を ファンにする

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28 あとで気付いたこと 候補者を ファンにする 候補者の ファンになる 💞

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29 候補者をファンにするために 具体的に何を変えたか

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30 主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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31 0.「候補者をファンにする」チームづくり 採用の重要性と方針を、エンジニア全員に何度も発信し続けた。 ● 候補者をファンにする心構え で臨んでほしいこと ● 選考は 相互理解のプロセス であること ● 一部のメンバーではなく、全員で採用する こと ● 正しい相互理解のために、会社の良い面も悪い面もオープンに話す こと ● 結果がどうあれ「いい会社に出会ったなぁ」と思ってもらえる場にすること みんなで頑張ろうぜ

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32 0.「候補者をファンにする」チームづくり

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33 主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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34 1. スカウト:正しい情報を伝える 正しい情報を伝えるために、当たり前にやるべきことをやる。 ● エンジニア採用サイトの開設 ● エンジニア採用カルチャーデッキの作成 ● チャレンジストーリーの公開 ● 各種採用媒体での情報充実化 ● スカウトメッセージの大幅な見直し

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35 1. スカウト:カルチャーデッキ 自分たちが大切にしている価値観や雰囲気がよく伝わるようにした。

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36 1. スカウト:リーダー全員でスカウト 転職ドラフト開始日に、リーダー全員が缶詰でスカウトを送るお祭りを毎月開催。 エンジニアのコンピテンシーとして、採用へのコミットを明確に定義。 転ドラの季節だ〜

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37 主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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38 2. カジュアル面談:熱意を持って魅力を伝える カジュアル面談は 会社の印象を決める重要なプロセス であり、担当者は「会社の顔」。 会社のことを最も正しく魅力的に伝えられる & ヒトとしての魅力を感じてもらうために、 役員と一部のシニアリーダーが基本的に担当する。 最も数が多い大変なプロセスにエースを当てる 意思決定をした。 最初に全力を出そう

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39 2. カジュアル面談:カルチャーを伝えよう マニュアルと必要資料を揃えて話す。 特にカルチャー面をしっかり伝えると、魅力を感じて頂ける方が多かった。 だからこそ、Values を自ら体現できているシニア人材が担当する必要がある。 カルチャー ハンドブックが 役に立ちます

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40 主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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41 3. 面接:相互理解を深める 相互理解を深めてヒトの魅力を感じてもらうために、出来るだけ多くの人に会ってもらう。 少なくとも 6 人・場合によっては 10 人以上のメンバーと話す機会を設ける。 プロセス 担当者 主な目的 一次面接 エンジニア 2 名 スキル(Execution・Edge)の見極め 二次面接 エンジニア 2 名 お互いに「一緒に働きたい」と思えるか(ワークショップ面接) バリュー面接 他事業部の役員 会社の Values にマッチしているか 最終面接 担当役員(CTO) 相互理解・総合判断(チームの可能性が拡がるか)

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技術課題を廃止し、ワークショップ面接を導入。 最も相互理解が進みやすく、候補者の志望度が上がりやすい! ● モブプロ型のライブコーディング面接(候補者がドライバー・面接担当者がナビゲーター) ● 簡単なアルゴリズム問題だが、ゼロから書くわけではない ● 後輩が提出してきたコードを、チームで保守できる状態にまで改善する ● 開発というエンジニアの最重要業務を通じて、両者が一緒に働きたいと思えるか が重要 ● 実際の仕事の様子が想像できるようになる ● 候補者の引き出しや魅力を自然に引き出せるのも良いところ 42 3. 面接:二次面接 こうしたら良さそうだね

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会社の文化の 90% は採用でつくられる ので、バリューフィットは最重要。 バリュー面接は他事業部の役員が担当し、採用拒否権を持つ。 43 3. 面接:バリュー面接 ● オープンコミュニケーションできるか(表現力ではなく話せるか) ● ミッション・ビジョン共感は伸びるか(共感の種があるか) ● 自己認識力は高いか(FB を受けて成長できる人か) ● カルチャーの変化に順応できるか(変化に適応できるか)

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44 主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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45 4. オファー:熱意を伝える 最終面接後、オファーを出す場合は、最低 1 時間のオファー面談を実施。 その際、「何故あなたと一緒に働きたいと思っているのか」を伝えるレター を必ず作成する。 ● オファー内容の説明 ● 報酬体系・評価体系の説明 ● 一緒に働きたい理由 ● 入社後の期待とキャリアイメージ ● NewsPicks で働く魅力 よろしくお願いします このレターを書く中で、自分の気持ちも再確認できる。

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無理に採用しても お互いに苦労します 46 4. オファー:サインアップボーナスの廃止 過去の失敗事例からの学びとして、サインアップボーナスを廃止した。 一時金で調整するのは会社のカルチャーに合わないし、あとから苦労することが多い。 お互いにとってもアンハッピーな状況になり得る。 そのため、現在では 前職給与等を考慮した相対調整はしない 方針にしている。 評価タイトルを誠実に説明し、連動する報酬に納得いただいた方に入社いただく方針。

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47 結果

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KPI が大幅に改善 ● 内定承諾率:13% → 90% 超 ● 採用数:3.6 倍 候補者の声 ● 「面接が楽しかった」 ● 「ワークショップ面接で実際に働けるイメージが持てた」 ● 「いい人が多いと感じた」 ● 「オファー面談で熱意を持って伝えてくれた」 選考辞退されたから、その後も連絡をいただける関係性を築けたのが個人的には嬉しかった 😊 48 大きな変化が起きた!

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49 まとめ

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50 再掲:主要な施策サマリー スカウト カジュアル面談 面接 オファー ● 採用サイトは他職種と共通 ● 一部の採用担当エンジニアが実施 ● エンジニア採用サイト等を開設 ● 全エンジニアリーダーがコミット BEFORE AFTER ● スカウト担当者が各々で実施 ● 面談の仕方は人それぞれ ● 役員とシニアリーダーをアサイン ● カジュアル面談ガイドを作成 ● 1 人 × 3 回 = 3 人 ● 技術課題あり ● 2 人 × 2 回 + 1 人 × 2 回 = 6 人 ● 技術課題 → ワークショップ面接 ● 担当役員が口頭で面談 ● 一時金あり(必要に応じて) ● 担当役員がレターを作成して面談 ● 一時金なし(例外を認めない) 1 2 3 4

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51 私たちがやったこと ● 結局、何を変えたのか ○ 候補者をファンにする 💘 方針を掲げ、全員で候補者体験の改善にコミット ○ 選考を相互理解のプロセスと捉え、コミュニケーション量を大きく増やした ○ 負担は大きくなったが、お互いに納得できた状態で入社いただけるようにした ● すると、どうなったのか ○ 内定承諾率:13% → 90% 超 ✨ ○ 採用数:3.6 倍 😊 ○ 入社後 1-2 年定着率:大幅に改善 💪 ● 副次的効果 ○ 既存メンバーのエンゲージメントも大幅に向上 💕

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52 候補者を ファンにする 候補者の ファンになる 💞

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53 候補者をファンにして 候補者のファンになる 採用プロセスをつくる

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本日の発表の元になった記事はこちら https://tech.uzabase.com/entry/newspicks-engineer-2022 54 ありがとうございました