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実務のための統計入門 2020.03版 主に検定手法と,相関係数の選び方 (2020.04.11微修正)

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はじめに n 対象 u とにかく,統計を使って分析しないといけない実務家 n なんか目的と手段の関係がおかしくない? u おかしいです J u とはいえ,「やれって言われたので検定しなきゃ…」 みたいな感じで作業をする方も現実にはいるので, そういう場面で,とりあえず間違ってはいないかな? という最低限のレベルを満たすことを目指します 2 ← 正確性よりわかりやすさ重視

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そもそもなんで統計か? n 沢山データがあったときに… u その特徴をうまく要約して伝えたり p 例:「このクラスのテストの平均値は36点でした」 u グループに違いがあるのかどうかを明らかにしたり p 例:「1組と2組を比べると,1組の平均点は有意に5点高い」 …したい・できると便利 3 統計をつかうとできる!

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違いがあるかどうか?? n 「1組と2組を比べると,1組の平均点は5点高い」 u 5点も差があるから,1組と2組は違う! n 測定には“誤差”がつきもの u 単純に「平均値が違うから違う!」とはならない p 2つのサイコロを各3回振って 平均が1違った…2つは違う? n 何かの差があったときに, それが誤差の範囲かどうか…を調べる方法 4 とは,実は言えない それが統計的検定

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5 いろいろな統計手法

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統計手法いろいろ 6 ベイズ統計 パラメトリック ノン パラメトリック 少数サンプルから 全体を推定 あるものがすべて/ 場合によりデータ生成も 推計統計 “もともとの母集団は正規分布に従う” という仮定を置くことで,精度良く分析 母集団についての仮定は置かない 正規分布でないものでも使える コンピューターの力で, いろいろ便利な機能を(無理矢理)実現! 推計統計の方が古い.昔はデータも取りにくく,計算も手作業なので, 少ないデータから少ない手数で精度良く,全体を俯瞰したかった 今は機械の力でいろいろできるベイズ統計に脚光(機械学習などに不可欠)

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ベイズ統計の基本的な考え方 n 観測データが増えるほど,より正確な分布を取得できる u 分布の修正には多重積分を行う必要が… u 解析的に解くのでは無く,モンテカルロシミュレーションなどで おおまかに解くことが可能になり使えるように p ものすごい回数の計算が必要になるため,手計算では実現不可能だった 7 適当な分布を設定 観測データで分布を修正 ここの計算が大変 MCMCなどで無理矢理解く

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この資料で扱う範囲 n 古典統計(記述統計・推計統計) u 具体的には… n ベイズ統計はもちろん,因果推論,因子分析, などの話題もこの資料では扱わない u 基本的には,統計的検定と線形相関を扱いたい 8 パラメトリック ノン パラメトリック

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記述統計 n 前のスライドでいきなり出てきた謎ワード u 合計や平均,分散などを計算する…みたいな意味 p 合計や平均を「記述統計量※」と,呼ぶことも 9 要するに Excel で パパッと計算して出せそうなヤツ ※ 後述する確率分布の分布形状を上手く表現する指標群

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10 いろいろな尺度

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尺度いろいろ 11 n “数値データ”にも色んな種類が u 種類毎にできること・していいことの範囲が違います u 基本の種類(尺度)は4種類 分類尺度 (名義尺度) 順序尺度 間隔尺度 比尺度 単に区分けのためだけに数値化したもの 例:電話番号,「女性は1,男性は2 と記入」 大小関係についてのみ意味を持つもの 例:マラソンの入賞順位 順序に加えて,その間隔が定まっているもの 例:摂氏温度 間隔尺度に加えて,原点が一意に定まり比を求められるもの 例:距離,水の量(殆どの物理量)

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12 分類尺度 (名義尺度) 単に区分けのためだけに数値化したもの 例:電話番号,「女性は1,男性は2 と記入」 n できること u 基本的には,分類ごとに数を数えて量を比べる p 「分類」なので,他の計算の分類軸にする • 分類間のオッズ比を求めたり,分類間の代表値の差の検定をしたり n やってはいけないこと u 名義尺度そのものの数値計算全般 n ダメなアンケートの解析 u 性別欄に女性は1,男性は2 と記入してもらった u 性別欄のデータの 合計が1421,平均が1.45 だった 性別が 1421,1.45 とは? 性別って足したり,割ったりできるの? & たまたま女性を1にしただけで,女性が9999,男性が3,でもよかった

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13 n できること u 厳密には,分類尺度に加えて大小比較 n やってはいけないこと u それ以外 順序尺度 大小関係についてのみ意味を持つもの 例:マラソンの入賞順位 Goal 1位 2位 3位 順序尺度のイメージ 1位がゴールした後,0.1秒後にゴールしても,2時間後にゴールしても2位 とにかく,前か後か,大きいか小さいかだけが問題

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基準1: 基準2: 14 n できること u 分類尺度に加えて,足し引き n やってはいけないこと u 割り算,かけ算※ 間隔尺度は原点を自由に決められるため,比率を出すと変なことに… 基準1では… Aが1,Bが3 なので, B は A の 3倍 基準2では… Aが-1,Bが1 なので, B は A の -1倍 間隔尺度 順序に加えて,その間隔が定まっているもの 例:摂氏温度,日付 3 4 -2 -1 0 B A 1 2 0 1 2 !? 基準の取り方で,比率が全く異なるため,意味をなさない たとえば,摂氏温度・華氏温度は 「温度」と言うものについて それぞれ任意に基準を与えている したがって,これらは間隔尺度 (40度のお湯は20度の二倍の熱さ!…ではない) ※ 平均算出は値同士の直接の乗除算ではなく,合計値を個数で割っているのでやってもOK

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15 n できること u 分類尺度に加えて,乗除算(=四則演算全部) n やってはいけないこと u 四則演算は全部できるので,計算面では制約はない 比尺度 間隔尺度に加えて,原点が一意に定まり比を求められるもの 例:距離,水の量(殆どの物理量) 3 4 B A 1 2 0 3m は 1m の3倍だし, 2kg は 4kg の 0.5倍 ある・ない がはっきりしていて,数える・計れるものは大抵比尺度 (摂氏0度は温度が無いわけでは無い,時間も存在しないという状態はない)

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イメージをつかもう 16 分類尺度 (名義尺度) 順序尺度 間隔尺度 比尺度 1 3 104 52 9 1 2 3 4 5 1 2 3 -1 0 1 2 3 -1 0 1 2 -1 0 -2 1 -3 -1 0 -2 … … … … … フリーダム! 順番はあるが, 間隔はバラバラ 間隔は一定だが, 原点は自由 間隔は一定で, 原点も固定

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尺度とできること 17 分類尺度 (名義尺度) 順序尺度 間隔尺度 比尺度 大きさ比較 差 比

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尺度と情報量(解像度) n 当然ながら… u 情報量が多いものを削減することは可能 p 比尺度を間隔尺度に,間隔尺度を順序尺度にすることは可能 p 順序尺度を間隔尺度に…は不可能 18 分類尺度 (名義尺度) 順序尺度 間隔尺度 比尺度 < < <

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19 n 実は多くのアンケートの尺度は「順序尺度」 u 本当は平均を取ったりしてはいけない p 平均などを算出できるのは間隔尺度から u アンケートなどでは,順序尺度を間隔尺度と見なす p 間隔尺度に見なせるように設定する必要がある 順序尺度 間隔尺度 と ─ 理論と実務の間 ─ 1/3 例:この資料はわかりやすいですか? とてもわかりやすい わかりやすい わかりにくい とてもわかりにくい どちらでもない 「とてもわかりやすい」と「わかりやすい」の間の間隔と, 「わかりやすい」「どちらでもない」の間隔が同じかどうかは不明…

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20 順序尺度 間隔尺度 と とてもわかりやすい わかりやすい わかりにくい とてもわかりにくい どちらでもない 「とてもわかりやすい」と「わかりやすい」の間の間隔と, 「わかりやすい」「どちらでもない」の間隔が同じ …かどうかは不明だが, まあ,同じとみなせば間隔尺度としていける(みなし間隔尺度) 2 1 0 -1 -2 許せそうなケース ○ ─ 理論と実務の間 ─ 2/3

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21 順序尺度 間隔尺度 と とてもわかりやすい わかりやすい ややわかりにくい 全くわからない どちらでもない ぱっと見た感じでは良さそうだが,文言のバランスが違うため, これも「みなし間隔尺度」として扱うのは厳しい… 2 1 0 -1 -2 とてもわかりやすい わかりやすい わかりにくい とてもわかりにくい 2 1 -1 -2 「わかりやすい」と「わかりにくい」の間隔が2,他が1なので, これはさすがに「みなし間隔尺度」として扱うのは厳しい… 許せないケース × ─ 理論と実務の間 ─ 3/3 許せないケース ×

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22 いろいろな分布

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確率分布 n 物事が起きる確率の分布 u どの事象も同じ割合で起きる:一様分布 p サイコロは特定の目だけ良く出る…ということはない • 無限回 試行したら,1/6 になる u ある平均値の周りのものは良くおきる:正規分布 p 身長は150-180cmまで均等…ということはない • 170cm位が平均であれば,その辺りが一番多く,極端な値は少ない 23

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確率分布 n 世の中にはいろいろな分布が… u 代表的なものが「正規分布(ガウス分布)」 24 出典:wikipedia

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正規分布(ガウス分布) n 平均値をピークとして,左右対象に確率が減少していく ような,釣り鐘型の分布 u “偶然誤差”は正規分布に従うことが知られている u 身長や体重も正規分布によく従うことが知られている 25 平均値 正規分布の分布形状

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いろんな分布の例 26 正規分布 べき分布 正規分布は代表的な分布ではあるが,それ以外の分布も多数あり, あらゆるデータが正規分布するわけではないことに注意 ハンマーを持つと,あらゆるものがクギにみえる

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正規分布に従わない事象の例 n 企業の時価総額 u 企業は沢山あるが,時価総額は正規分布していない n Instagram の フォロワー数 u 有名人などはものすごい数のフォロワーがいるが, 多くの人はせいぜい2桁どまり n YouTube の 再生回数 u YouTuberとして成功している人は意外と少ない 多くの動画は100回も再生されていなかったりする n ほかにもいろいろ 27 あるいは,少数の持つモノと,多数の持たざるモノの例

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論文の被引用件数 28 arXiv から収集した論文のうち,引用数が99件までの論文数 期間: 2014〜2018年 対象論文数: 572,898件 データなし: 2,103件 引用0〜99件: 566,817件 引用件数最大は 9,999回 2020.01.22時点での収集データ.被引用データは Semantic Scholar を通じて取得

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29 いろいろな代表値

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代表値 n つまり平均値とか,そういうやつ。 u その集団の性質を一つで上手く表現できるような数値 p 平均値,中央値,最頻値など p 平均値もいろいろ • 算術平均 :一般的に「平均」といったらコレ • 幾何平均 :変化率の平均を取るなら • 調和平均 :時速などの計算をするなら • …など u 理想的な正規分布では,平均値,中央値,最頻値が一致 p そうでない場合は,色々と注意が必要!!! 30

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さまざまな代表値 n 平均値(算術平均) u 観測値の総和を,観測点数でわったもの u 一種の重心的なモノ n 中央値 u データを大きさ順に並べたときの真ん中の値 u データが偶数の時はちょっと調整したりする n 最頻値 u 一番よく出てくる値 31 cf. 四分位値 代表値毎に表しているもの・意味するものは異なる

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0 1 2 3 4 5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 出席番号 点数 1 1 2 13 3 14 4 13 5 10 6 12 7 13 8 11 9 13 10 16 たとえばこんな 32 人数 平均値: 11.6点 中央値,最頻値:13点 タカシ君は平均11.6点のテストで1点を取りました。 先生はタカシ君に指導をすべきでしょうか? 点数

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たとえばこんな 33 人数 出席番号 点数 1 1 2 2 3 1 4 1 5 2 6 1 7 2 8 3 9 3 10 100 0 1 2 3 4 5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 平均値: 11.6点 最頻値:1点 中央値:2点 タカシ君は平均11.6点のテストで1点を取りました。 先生はタカシ君に指導をすべきでしょうか? 点数

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我が国における世帯所得 34 厚生労働省:平成 29 年 国民生活基礎調査の概況 景気対策に 100億円 を配布するとして, 閾値には何を使うべき? 閾値無しで全世帯に均等割? 平均以下で均等割? 中央値?最頻値?

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35 正規分布のいろいろ

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正規分布の位置・形状を決めるもの n 平均値と分散(標準偏差)の2つ u 平均値 : 山の中心位置を決める u 標準偏差: 裾野の広さ(山の傾斜)を決める 36 stdv = 5.0 stdv : Standard Division(標準偏差) stdv = 10.0 stdv = 20.0 平均値は左右にシフトするだけだが,標準偏差が変わると印象は大きく変わる

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正規分布の形状を決めるもの n 標準偏差はおなじで,平均値が違う例 37

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分散?標準偏差? n 先ほどの図でいうと,山の裾野の広さのこと u 学生1000人,平均点50点のテストがあったとして… p 最低 0点,最高 100点 p 最低 30点,最高 70点 p 最低 40点,最高 60点 p 最低 50点,最高 50点 …など,いろんなパタンがあり得て,それぞれ意味が違いそう 38 これらは平均値だけではわからないので バラツキの程度=分散 も見ることがとても大事

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もう少しちゃんとした分散 n 分散 u 各標本の平均値からのズレの程度の平均 n 標準偏差 u 分散の平方根 39 3 4 B A 1 2 0 ざっくりしすぎ?とは言え,数式を嫌がる人も多そうなので… 以下のような2点しかないデータでイメージ 平均値 ※ホントは母集団の…と,標本の…で違いがあります.これは母集団の.

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分散のイメージ 40 3 4 B A 1 2 0 平均値 分散は 平均値からのズレの程度 なので,どの位離れているかを知りたい 平均値から標本値(AとかBの値)を引いたらいいんじゃない? Aのズレ = 平均2 − 1 = 1 Bのズレ = 平均2 − 3 = -1 とりあえず2乗したら,全部正の値になるからいいんじゃない? Aのズレ =(平均2 − 1)の2乗 = 1 Bのズレ =(平均2 − 3)の2乗 = 1 !? ズレの程度は同じ 1 のハズなのに, 符号が違ってしまっている 1/2 符号がそろった! ※ホントは母集団の…と,標本の…で違いがあります.これは母集団の.

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分散のイメージ 41 3 4 B A 1 2 0 平均値 分散は 平均値からのズレの程度 なので,どの位離れているかを知りたい 2/2 ここまででA, B それぞれのズレの程度は分かった でも,今知りたいのは全体のヤツ 全体って言うことなら,そのズレの平均取ったらいいんじゃない? というわけで,やってみた (Aのズレ + Bのズレ)/ 2 = 1 これが分散 ※ホントは母集団の…と,標本の…で違いがあります.これは母集団の.

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分散から標準偏差へ n 標準偏差は 分散の平方根 と定義していた u なんで??? u さっき,A, B のズレの程度を計算するときに2乗したから p 世の中には細かいことを気にする人がいて… • 「さっき2乗したから単位がズレてるじゃん!」 とか言いにくる p はいはい,わかりましたー。2乗したのが嫌だっていうんなら, 平方根を取ってもとに戻せばいいんでしょ!! 42 これが標準偏差 ※ホントは母集団の…と,標本の…で違いがあります.これは母集団の.

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分散のイメージ 43 平均値 このズレの程度の(2乗したヤツの)平均 分散(標準偏差) ここまできたら怖くないと思うので, いつの日にか,数式も眺めてみてください ※ホントは母集団の…と,標本の…で違いがあります.これは母集団の.

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理想的な分散とは? n そんなものは存在しない u テストであれば,0点 から 100点 まで広がってほしい p その方が弁別力(区分けのしやすさ)が高まる u 何かの機能の評価であれば,小さくなってほしい p 誰がどうやっても,同じ感じになってほしい p 例 • 平均点10で,分散がとても大きい:人によって0,20などばらつく • 平均点 6で,分散はとても小さい:だれがやっても 6前後 をとれる 44 目的や比較対象に照らして,適時意味を読み取るしかない

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45 統計的検定の考え方

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統計的検定とは? n グループ間に差があるのかどうか調べるような方法 u 測定には誤差がつきもの p 2つのサイコロA, Bを用意して,それぞれ10回ずつ振る p Aのサイコロの目の合計と,Bのサイコロの目の合計は一致する? p 多くの場合に一致しないハズ • 気になる場合は実際に何度か試してみましょう J • もっと単純に,1回ずつ振って同じ目が出るか考えてもよいです u グループ間で平均値や代表値に違いがあったとして, それは誤差の範囲で起きうることか,そうでないか… が,ワカラナイと判断がつかない 46 判断する方法 = 統計的検定

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たとえばこんな n Aという画期的な方法を考えました! テストの結果,これまでの方法Bに比べて, なんと得点が5点も高く,すばらしい方法だとわかりました 47 ほんとに〜? 偶然じゃないの〜? 統計的検定をおこなってあれば, 「偶然では無さそう」ということが示せる

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統計的検定はなにをしているか? n “差がない”…なんてことはない。ことを調べる u “差がある” を直接調べるのは難しい p 数値的に「差がある」とは,「ゼロ以外」なので, “差がある”という状態は無数にありうる p 無数に候補があるので,全部調べるのは無理… u “差がない”を調べるのは簡単 p 「差がない」とは「差がゼロ」というひとつの状態 p 簡単に調べられる!!「差がないことはない」=「差がある」 48 ?? 差があるかどうか調べたかったのでは??

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どんな風なことを考えているか? n 大まかには以下の通り u 差がない=おなじ確率分布からデータがでてきてる p …と,信じて分析をはじめる u 実際に出てきた2つのグループのデータを比較し, 想定した確率分布からそんな分布がでてくるか考える p おなじ確率分布なのに片方は1ばっかり,片方は3ばっかりでる… なんていうコトは起きえるのか??? u 「差がない場合こんなデータができる確率はX%」 と, 計算できるので,Xの値が小さかったら差があるとする 49

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統計的検定でよく出る記号 p値,α値 n p値:有意確率 u 前頁の最後 X% のこと u 比較しているグループの値が同じ確率分布にしたがって 生成されたものとした場合に,こんな違いが出る確率は X% です。ということを示す n α:有意水準 u 前頁の最後 「小さかったら」の小さいの基準値 u 分野によって違うが概ね 5%,1%,0.1% のどれか p 昔の人が感覚的に決めたもので,特に意味はない • 「α=5%で有意」と言われたら「p値は5%以下でした」の意味 • “2つが同じである確率は5%より小さいです”という意味でもある 50

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検定というのはどうやったらできるのか? n Googleとかで,「R 検定」とかで調べて, 出てきたヤツを参考に何とかします u “R” は 無料で使える統計ソフト…だと思ってください p Amazonなどで検索すると,入門書・参考書が沢山出てきます p 「R 入門」とかで検索すると,参考サイトも沢山でてきます n 気をつけるべきポイント u 「統計的検定」には実は沢山の種類が… u データの尺度や,正規性の有無,後述する“対応の有無”など, 目的や条件によって,使うべき手法が異なります p 間違った手法を選ぶと,検定の意味がなくなります 51 「おまけ」のセクションにある チャートを使って適切な検定を選びましょう

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対応の有無 n 統計的検定を行う上で, “対応の有無”が手法選択の分岐点 u おおまかには,AとBを比較するときに… p 同じ人にAとBをそれぞれ試してもらって比較する p Aを試したグループと,Bを試したグループを比較する 52 対応がある 対応がない

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53 相関のいろいろ

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相関とは? n A と B の間には関係がありそうなんだけど… どのくらい強く関係してるか言いたい n 基本的には「線形相関」のみ計算可能 u 直線的に比例・反比例している度合いのみを測る u 2変数間の関係のみを測る 54 相関係数

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どうすれば相関がありそうか分かるか? n 感覚的には散布図を書けばOK 55 ぼやーっと広がっていて 関係が無さそう 何となく線が見えるので 関係がありそう

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とはいうものの 56 n この場合では,どちらの方が関係が強そう? u 数値的に関係の度合いを示したい = 相関係数の算出 u 相関係数は 0 から ±1 の間の値を取り, 0 なら関係なし, 0.4 あたりから相関あり,1で強い相関 ※ 実データで相関係数0.8以上出てくるとなにか怪しい(計算ミスか,計算するまでもなく当然関係があるものか)

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相関というのはどうやったら計算できるのか? n Googleとかで,「R 相関 計算」とかで調べて, 出てきたヤツを参考に何とかします u “R” は 無料で使える統計ソフト…だと思ってください p Amazonなどで検索すると,入門書・参考書が沢山出てきます p 「R 入門」とかで検索すると,参考サイトも沢山でてきます n 気をつけるべきポイント u 「相関係数」にも,いくつかの種類が… u データの尺度によって,使うべき手法が異なります p 間違った手法を選ぶと,相関の意味がなくなります 57 「おまけ」のセクションにある チャートを使って適切な手法を選びましょう

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相関にも検定が n 相関係数がでた! 0.7もある!! u 相関係数だけ見て,喜ぶのはまだ早い u 相関係数が同じでも,左右の図で意味は違いそう p 左の方が,より確実に相関していそう 58 無相関検定 という手法でチェック可能

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59 おまけ

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統計処理早見表 60 データはたくさん (1000件以上)ある? ベイズ統計 (他の資料へ) 正規分布してそう? 分散もおなじそう? 間隔尺度以上? No Yes パラメトリック ノン パラメトリック No Yes ※なにかのデータ間で(主に代表値に)差があると言いたいとした場合に,何を使うか? データが少なくてもベイズは使えるが, 現状では古典統計の方が入門書籍も多く, 調べたり聞いたりしやすいので

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代表値の差の検定 61 比べる群は2つ? パラメトリック 対応のあるt検定 t検定 一元配置分散分析 One-way ANOVA 対応はある? 同じ被験者が, 違う条件で試行? Yes Yes No (平均値) No 対応はある? 同じ被験者が, 違う条件で試行? Yes No 反復測定分散分析

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代表値の差の検定 62 ノン パラメトリック マンホイットニーのU検定 (順位和検定) ウィルコクスン検定 (符号順位和検定) 比べる群は2つ? クラスカル・ウォリス検定 対応はある? 同じ被験者が, 違う条件で試行? No Yes Yes No フリードマン検定 対応はある? 同じ被験者が, 違う条件で試行? Yes No

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その他の注意点 n 多重検定には要注意 u 多数の群を比較したいときに,単純に2つずつ比較はダメ p A, B, C の 3つを比較するのに,AとB,AとC,BとC に それぞれ検定を行えば良いような気がする… p が,やってはいけない p 多群間の比較で,差があることを確認した後, たとえばシェッフェの方法などで対比較していく 63 直感的には2つずつ比較で良さそうに思えるが, 数学トリック・錯覚があって, 本当は差がないのに「ある」となる可能性

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イメージでつかむパラ・ノンパラ n パラメトリックが使えるのは 正規分布でかつ分散がおなじ(違うのは平均値だけ) という前提を満たすグループの比較 n つまりこういうこと 64 正規分布で分散も同じなのでパラでOK 正規分布だが分散が違うので パラはNG,ノンパラで分析※ (※ と,言いつつ,まぁ実用上は正規分布してればそこそこOK)

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パラの使い勝手わるそう n なぜ,統計の入門書などではパラの説明ばかりで ノンパラの記載が余りされていないのか??? u 正規分布で,分散も等しくないと使えないなんて, 使える場面が少なさそうなのに…?? u 制約がいろいろある故に,はまった場合は精度が高い p ノンパラはいろいろ使えるので精度が低い p 手計算の時代に考えたので,別の分布をいろいろやるのは ちょっとあんまり現実的ではなかったし, 正規分布にしたがうものは多く,基礎としても大事 65

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相関係数早見表 66 尺度は…? 線形相関? MIC Maximum Information Coefficient ピアソンの 積率相関 HSIC Hilbert-Schmidt Independence Criterion Yes No & 間隔/比尺度 ケンドルの 順位相関 スピアマンの 順位相関 ペアワイズ相関 クラメールの 連関係数 その他の相関 分類 順序 間隔・比 ポリシリアル相関 ポリコリック相関 間隔尺度っぽい順序尺度

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FAQ n 最低どの位データが要りますか? u とりあえず,各群で6件位あればパラ,ノンパラ共にOKです u でも,差が出ないか,検定するまでもなく差があるか…です n 最高どの位データを取れば良いですか? u 検出力の問題があるので,データの取り過ぎもよくないです u 計算式がありますが,まぁ Max 1000件 でしょうか? n 正規分布かどうか,分散が同じかわかりません u 「正規性の検定」と言うのがあるので,使ってみてください u 分散は「等分散性の検定」と言うのがあるので,そちらで n p値は小さい方が偉い・強い・格好いい・モテるんですか? u まあ,とりあえず 5% を下回っているかどうかだけを見ておけば 最低限はOKでしょうか u あとは0.1%でも4.9%でも一緒…くらいの気分がオススメです 67

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さらに勉強するために n 大野木,中澤:心理学マニュアル 研究法レッスン,北大路書房,2002 http://www.kitaohji.com/books/2264_7.html n 数理社会学会:社会の見方、測り方―計量社会学への招待,勁草書房,2006 http://www.keisoshobo.co.jp/book/b26175.html n 山田,村井:よくわかる心理統計(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ),ミネルヴァ書房,2004 http://www.minervashobo.co.jp/book/b48724.html n S.B Hulley, et al.:医学的研究のデザイン 第4版 - 研究の質を高める疫学的アプローチ -, メディカルサイエンスインターナショナル,2014 https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3400 n 統計学自習ノート(Webサイト) http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/tests.html u どんなときに,どの統計手法を使うか? u どういう数学的背景か? u Rのコマンドは? …などの情報がまとまっていて便利です 68

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69 おまけ Rで検定&相関算出

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R を使った検定・相関の算出 n 手順はとっても単純 3ステップ u Excel で 元データを作り,csv で保存 u R にデータを読み込み u 手法を選んで実行 …これだけ!! 70

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計算の手続き n Excel で データを作る 71 グループ(群)ごとに 縦に測定値を記入 1行目にはグループ名を できれば英語で記入 (“A”,”B” などでOKです)

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計算の手続き n csv で 保存 72 この例ではデスクトップに sample.csv が,保存される

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計算の手続き n R を 起動 73

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計算の手続き n データの読み込み 74

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計算の手続き n t検定の例; p値は 0.9551 で差は無い 75

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計算の手続き n 積率相関の例; 相関係数は -0.34 でとても弱い逆相関?(p値を見るとそもそも意味なし) 76

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