Slide 1

Slide 1 text

© 2024 Loglass Inc. 2024.08.07 Yoshiki Iida エンジニア組織30人の壁を超えるための 評価システムとマネジメントのスケール 2024夏のジンジニアMeetup! 〜みんなで学ぼう!開発組織の評価制度と運用〜

Slide 2

Slide 2 text

© 2024 Loglass Inc. 飯田 意己 株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 部長 シニアエンジニアリングマネージャー Profile 2015年に株式会社クラウドワークスに入社。エンジニア、スクラムマス ター、プロダクトオーナーを経て、2019年から執行役員として開発部門 の統括を行う。現在は株式会社ログラスにてソフトウェアエンジニアとし てプロダクト開発に携わったのち、1人目のエンジニアリングマネージャー として事業と組織の成長にコミットしている。 X: @ysk_118 Yoshiki Iida

Slide 3

Slide 3 text

© 2024 Loglass Inc. Contents 1. エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題 2. 評価とマネジメントの関係性 3. ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 4

Slide 4 text

© 2024 Loglass Inc. Loglassについて

Slide 5

Slide 5 text

© 2024 Loglass Inc. 01 エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題

Slide 6

Slide 6 text

© 2024 Loglass Inc. スタートアップの初期フェーズでのあるある課題 ● 急激な事業成長に伴い組織が拡大し、整備が追いつかない ○ ユーザーや顧客が増える→要望が増える→やりたいことを実現するために組織拡大を実施 ○ 人事制度やマネージャーの設置の必要性が高まるが、知見・経験を持った人がいない ● 制度や体制が不十分でエンゲージメントを高めきれず、組織拡大が頭打ちになる ○ マネージャーや経営陣に対しての不満が出始める ○ 入社フェーズが後になればなるほど制度や体制への期待が高まり、 そのギャップが埋められず採用しても定着しないという状況が発生する ○ 2~30名くらいまではスケールできるがその先は制度や体制がないと難しい(個人の感想) 01|エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題

Slide 7

Slide 7 text

© 2024 Loglass Inc. 人が増えない課題に対する良くない対策 ● 制度面を整える投資をせずに採用予算に投資し続ける ○ バケツの穴があいた状態で媒体やエージェント、リファラルインセンティブなどに投資 ○ 定着しないので回収できない(し、エンゲージメントは悪化し続ける) ● 制度面の投資を短期的にしか捉えていない ○ たとえば、マネージャー置くだけ、制度作るだけ、がゴールになってしまうケース ○ 効果を発揮するまでの運用やマネージャーの育成に時間がかかることを見込めていない 01|エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題

Slide 8

Slide 8 text

© 2024 Loglass Inc. 持続的な組織拡大のために必要なこと ● エンジニア組織の全体のバランスをみた採用 ○ たとえば、機能が足りないから機能開発のエンジニアだけ増やしても、インフラが追いつかないQA が追いつかない、デザイナーやPdMが追いつかないといった課題が発生する ○ ユーザー数や顧客数の計画から採用計画、組織設計を逆算し、未来において必要なケイパビリティ を見積もる ● マネジメントの重要性を啓蒙する ○ マネージャーというラベルでロールを設置するかはさておき、マネジメント的業務が発生しそれが 会社のスケールにとって必要な仕事であるというメンタルモデルを作る ○ 雑務を押し付けられるようなイメージが先行してしまうと登用が難しくなる 01|エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題

Slide 9

Slide 9 text

© 2024 Loglass Inc. 骨と筋肉 01|エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題 大事なのは

Slide 10

Slide 10 text

© 2024 Loglass Inc. 骨と筋肉? ● 組織のバランス ○ 局所的な採用で腕力をつけていくだけでは全体最適を作れず、持続性が生まれない ○ 現場の自律性は重視しつつ会社としての戦略や方針のアラインは必要 ● 組織を支える屋台骨としてのマネジメント ○ 現場(筋肉)だけでなく、マネジメント(骨)が組織の方向性を作り出す ○ マネジメントをうまく厚くしていくことができれば、組織としての全体最適を作りやすくな り、現場は本質的な課題解決に向き合いやすくなる 01|エンジニア組織の拡大に伴うよくある課題 採用予算

Slide 11

Slide 11 text

© 2024 Loglass Inc. 02 評価とマネジメントの関係性

Slide 12

Slide 12 text

© 2024 Loglass Inc. 評価フィードバックにより個人と組織のパフォーマンスを引き出す ● Q. 評価を何のためにやるか? ○ A. 業績向上のため ■ 会社の等級に合わせて期待を言語化し、その成果に対してフィードバックを行う ■ 良くも悪くも個人や組織に対して会社の力学を働かせるもの ■ 大きなコストがかかるので評価フィードバックを価値あるものにできなければ大きな 損失となってしまう ■ 逆にうまく活用できれば業績向上に寄与できる 02|評価とマネジメントの関係性

Slide 13

Slide 13 text

© 2024 Loglass Inc. 評価のスケールとマネジメントのスケール ● いいフィードバックをできるマネージャーを増やすことができれば、組織を拡大して いきやすくなる ● スタートアップで30人の壁を越えるために、評価の仕組みを整えることが重要 02|評価とマネジメントの関係性

Slide 14

Slide 14 text

© 2024 Loglass Inc. 03 ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 15

Slide 15 text

© 2024 Loglass Inc. やってきたこと ● 等級制度の策定 ● 評価フィードバックのプロセスの整備 ● 評価理由の蓄積 ● マネージャー間でのキャリブレーションの仕組み ● ・・・ 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 16

Slide 16 text

© 2024 Loglass Inc. 等級の概要(エンジニア組織だけではなく全社共通) ● 7段階 ● 等級ごとの期待値の明示 ○ タイムスパン、組織の影響範囲、バリュー体現度 ● 等級は全社員公開されている ○ メリットデメリットはあるが、性善説の関係性を信じて公開している 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 17

Slide 17 text

© 2024 Loglass Inc. エンジニア組織での等級活用 ● 採用時にも想定等級を面接官が判断 ○ 等級期待ベースで評価基準を定めているので面接官ごとのブレがなくなり、 申し送りも認識齟齬がなくなる ● 等級ごとの期待をベースにオンボーディングプランも最適化する ○ 入社時のウェルカムレターに30日、60日、90日での期待を言語化 ○ いつまでにどういった成果を期待するのか本人とチームで擦り合わせる 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 18

Slide 18 text

© 2024 Loglass Inc. OKRと評価 ● 大前提:OKRと評価を直接紐づけてはいけない ○ OKRはあくまで高いアウトカムに向かうためのフレームワーク ○ OKRから生み出されたアウトカムを等級期待に照らし合わせて判断 ○ 達成度などをそのまま評価に接続しない 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み OKR アウトカム 等級に基づく ベース期待 成果評価 バリューに 基づく⾏動評価 総合評価 昇降格‧ 報酬改訂 昇給原資など 経営的な⽅針

Slide 19

Slide 19 text

© 2024 Loglass Inc. OKRと評価 “グーグルではOKRが評定に占める割合は3分の1 以下だという。それよりも部門横断的チームからの フィードバックや、何よりその人物の置かれた状況が 重視される。” 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み ジョン・ドーア; ラリー・ペイジ. Measure What Matters . 日本経済新聞出版社.

Slide 20

Slide 20 text

© 2024 Loglass Inc. 評価フィードバックのプロセス整備 ● 評価フィードバックのフォーマットを整備 ● 各マネージャーごとにフィードバックコメントを 書いてもらい、マネージャー間で観点や文字数を アライン ○ 1人あたり1000文字以上書くようにしている ○ 手厚さは一つの価値だが、これを実現するために はメンバーをしっかり見る必要がある ● マネージャーで調整した上でコーポレートとの キャリブレーションを実施 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み 上⻑評価: 【成果評価】 ★GOODポイント ★改善ポイント 【⾏動(バリュー)評価】 ★GOODポイント ★改善ポイント

Slide 21

Slide 21 text

© 2024 Loglass Inc. 評価のスケール ● スパンオブコントロールを意識 ○ 1人のマネージャーが担当できるメンバー数 ● 1人のマネージャーに対してメンバー6名くらいを目安にしている ● 評価フィードバックの重みが大きいため、大人数になるとフィードバックの質が下がる と考えている 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 22

Slide 22 text

© 2024 Loglass Inc. 評価の質の向上 ● 内部品質についても評価フィードバックに組み込めるように情報収集を行う ○ アウトカムは重要だが、設計や実装もいいものはきちんと評価したい 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 23

Slide 23 text

© 2024 Loglass Inc. 評価の質の向上 ● 評価フィードバックに対するフィードバックを集めている ○ 一方的なコミュニケーションにしない ○ しかし、交渉による変更は絶対行わない 03|ログラスのエンジニア組織での取り組み

Slide 24

Slide 24 text

© 2024 Loglass Inc. まとめ ● 組織スケールを実施していく上でマネジメントのスケールや評価のスケールが重要 ○ 現場(筋肉)の増強だけでなく、マネジメント(骨)の増強が必要になる ● 個人の成果に向き合うためにしっかり労力をかける

Slide 25

Slide 25 text

© 2024 Loglass Inc.