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preencoded.png セキュリティ要件の作り方 :効果的なプロセスと実践 的アプローチ セキュリティ要件の策定は、組織のITセキュリティ体制を構築する上で極め て重要なプロセスである。本プレゼンテーションでは、セキュリティ要件 を効果的に作成するための体系的なアプローチを紹介する。計画段階から 実装、承認に至るまでの各ステップを詳細に解説し、実践的なガイドライ ンを提供する。

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preencoded.png 1. 目的の確認と文書体系の整理 目的の確認 セキュリティ要件作成の第一歩は、明確な目的の設定である。 どのようなリスクに対して統制をかけたいのかを特定すること が重要である。これにより、要件の焦点が明確になり、効果的 な対策の立案が可能となる。 文書体系の整理 要件の粒度(方針レベルか実装レベルか)を決定し、既存の文 書体系における位置づけを明確にする。新規文書の作成か既存 文書の拡充かを判断し、全体的な文書構造を整理することで、 一貫性のある要件策定が可能となる。

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preencoded.png 2. 運用の整理と検討体制づくり 1 運用の整理 所管部門の決定、改廃のタイミングと権限の設定、要件の参照プロ セスの明確化を行う。これにより、要件の継続的な管理と適切な活 用が可能となる。 2 検討体制づくり 外部支援の必要性を判断し、影響を受ける部門を特定する。キーパ ーソンを決定し、レビューに巻き込む。承認者を確認し、全体的な 検討体制を構築する。 3 アプローチの決定 ゼロベースアプローチか既存文書ベースアプローチかを選択する。 それぞれの長所と短所を考慮し、組織の状況に最適なアプローチを 決定する。

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preencoded.png 3. 学習フェーズと論議フェーズ 参考ドキュメントの選定 ベストプラクティス、ガイドライン、自社の既存要件など、適切な参考 資料を選定する。これらの資料は、要件作成の基礎となる重要な情報源 となる。 学習フェーズ 1〜2週間かけて、選定した資料から学習を行う。セキュリティの仕組み 、リスク、対策、未対応の影響などを理解し、不明点や論点を洗い出す 。 論議フェーズ ベンダー、セキュリティ担当、現場担当者と方針を議論する。ベストプ ラクティスと現場のニーズのバランスを取り、実現可能で効果的な要件 を模索する。

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preencoded.png 4. 記載フェーズ(その1) 1 たたき台の作成 要件本体、チェックリスト、必 要に応じて補足資料を含むたた き台を作成する。これが後続の 改訂作業の基礎となる。 2 自己レビュー 内容、構造、見た目の観点から 20〜30回程度の自己レビュー を行う。論議した方針との整合 性、表現の明確さ、対象範囲の 適切さなどを確認する。 3 構造と見た目の最適化 箇条書きの関係性明記、要点の 冒頭配置、重要度順の配列、文 章構造の明確化など、読みやす さと理解しやすさを重視した構 成を心がける。 4 表現の統一と簡潔化 主語・目的語の明確化、文体の 統一、用語の補足、重複の排除 、表記のゆれの解消などを行い 、一貫性のある簡潔な文書を作 成する。

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preencoded.png 5. 記載フェーズ(その2)とレ ビュー 現場担当のレビュー 実装のイメージが明確か、自社環 境で実現可能か、予期せぬ困難が 含まれていないかなどを確認する 。現場の視点からの実現可能性と 妥当性を評価する。 記録の保存 すべてのやりとりを内部資料とし て保存する。これにより、後の参 照や改訂時の参考資料として活用 できる。 承認者のレビュー 最終的な承認者によるレビューを 行う。組織の方針との整合性、全 体的な妥当性などの観点から確認 を受ける。 周辺文書の作成 新旧対照表、現場への情宣資料、 英訳版、参考ドキュメントとのマ ッピングなど、必要な周辺文書を 作成する。これにより、要件の理 解と実装を促進する。

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preencoded.png 6. 情宣と承認プロセス 1 情宣活動 各関係部門を訪問し、改定概要を説明する。要件の目的、主要な変 更点、期待される効果などを丁寧に解説し、組織全体の理解と協力 を得る。 2 最終確認 情宣活動中に得られたフィードバックを反映し、必要に応じて微調 整を行う。すべての関係者が納得できる最終版を作成する。 3 正式承認 新しい要件を正式に発効し、規定された運用方法で実施することに ついて、承認の証跡を残す。これにより、要件の正当性と実行力が 担保される。

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preencoded.png セキュリティ要件作成の成功に向けて 明確な目的設定 リスクと対策の明確化により、焦点を絞った効 果的な要件を作成する。 包括的な検討体制 関係部門の巻き込みと外部知見の活用で、バラ ンスの取れた要件を策定する。 綿密な文書作成 詳細なレビューと継続的な改善により、高品質 で実効性のある要件を作り上げる。 組織全体の合意形成 丁寧な情宣と承認プロセスにより、要件の浸透 と実践を確実なものとする。 セキュリティ要件の作成は、組織のセキュリティ体制強化の礎となる重要なプロセスである。本プレ ゼンテーションで紹介した方法論を参考に、自組織に最適化されたアプローチを採用し、効果的なセ キュリティ要件の策定と運用を実現していただきたい。