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AI時代に⾮連続な成⻑を実現する エンジニアリング戦略 執⾏役員 / VPoE / Bill One Engineering Unit 部⻑ / Bill One事業部 プロダクト室 室⻑ ⼤⻄ 真央

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⼤⻄ 真央 Sansan株式会社 執⾏役員 / VPoE / Bill One Engineering Unit 部⻑ / Bill One事業部 プロダクト室 室⻑ SEとしてエンジニアのキャリアをスタートさせ、2012年以降は アジャイルやDDDなどの開発スタイルを経験。 2016年にSansanに⼊社し、ビジネスデータベース「Sansan」 の⼤阪開発拠点⽴ち上げや経理DXサービス「Bill One」の⽴ち 上げにプロダクト開発責任者として携わる。 現在は、VPoEとしてエンジニアリング組織の強化と「Bill One」のプロダクト開発責任者を担う。

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会社概要 2 本社 神⼭ラボ Sansan Innovation Lab 社 名 Sansan株式会社 所在地 本社 東京都渋⾕区桜丘町1-1 渋⾕サクラステージ 28F グループ 会社 Sansan Global Pte. Ltd.(シンガポール) Sansan Global Development Center, Inc.(フィリピン) Sansan Global (Thailand) Co., Ltd.(タイ) ログミー株式会社 株式会社ダイヤモンド企業情報編集社 ナインアウト株式会社 株式会社⾔語理解研究所 従業員数 1,961名(2025年5⽉31⽇時点) 2007年6⽉11⽇ 設 ⽴ ⽀店:関⻄⽀店、福岡⽀店、中部⽀店 サテライトオフィス:Sansan神⼭ラボ、Sansan Innovation Lab、 Sansan⻑岡ラボ 拠 点 寺⽥ 親弘 代表者

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働き⽅を変えるDXサービス 請求 ⼈や企業との出会いをビジネスチャンスにつなげる「働き⽅を変えるDXサービス」を提供し、 ビジネスフローにおけるさまざまな分野でサービスを展開しています。 名刺管理 名刺DX 営業 営業DX 契約 契約DX 経理DX 個⼈向けDX 法⼈向けDX 必要な情報を すぐに⾒つけられる 情報の管理がしやすく すぐに共有できる 情報を分析・活⽤しやすく データに基づいた判断ができる SansanのDXサービスの活⽤で変わる働き⽅

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1. なぜ今「挑戦型組織」への変⾰が必要なのか 2. AI時代のエンジニアリング戦略:挑戦型組織の実現 1. AIネイティブ組織の構築 2. 全エンジニアのリーダーシップ発揮 3. AI駆動開発の実践例と具体的な成果 4. AI時代に進化するエンジニアの本質的な価値 5. OKRで事業戦略・AI活⽤・組織変⾰を統合する⽅法 3. 今後の展望:AIとの共存と競争⼒強化 Agenda

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なぜ今「挑戦型組織」への変⾰が 必要なのか 1. ©Sansan, Inc.

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従来の「連続的な成⻑」の限界 6 Plan Do Check 従来の成⻑サイクル ⾮連続な成⻑

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この現象は、プロダクト設計と プロダクト改善の重要性が相対的に⾼まる 「スマイルカーブ現象」として 現れています。 AI時代におけるソフトウェア開発の根本的変化 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計 プロセス 付 加 価 値

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実装の相対的な価値低下 - コーディングの半⾃動化 - GitHub Copilot、Claude Code、 Cursorなどの⽣成AIによって、 コーディング作業が半⾃動化 - テスト・リファクタリングの効率化 - AI⽀援によるテストや リファクタリングの効率化で ⼈的差別化が困難に 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計

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プロダクト設計が競争⼒の源泉に - 上流⼯程の重要性拡⼤ - AIをどう活⽤するかというプロダクト戦略・要件定義が競争⼒の源泉に 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計 ✓ AIを組み込んだ体験設計 ✓ AIと⼈間の役割分担の最適化 ✓ プロンプトエンジニアリング ✓ AIシステムアーキテクチャ設計

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プロダクト改善の重要性 単なるリリースではなく、継続的な改善プロセスがビジネスの差別化に直結 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計 フィードバックループ ユーザーフィードバックを通じたAIの性能向上 継続的改善 運⽤しながら学習し続けるMLOps/LLMOps データ収集 独⾃性のあるデータ収集

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AI時代では『何を作るか』『なぜ作る か』を深く考える設計段階と、『本当 に価値があるのか』を検証し、継続的 に改善する運⽤段階が、プロダクト開 発の成功を左右する鍵となる 3つの変化がもたらす 競争⼒の再定義

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- 2023年以降、AIを活⽤した新機能の リリースが加速 - AIがもたらす真の変化は、『何を作 るか』の判断そのものを変えること 具体的な市場環境の変化 3ヶ⽉ 従来の開発期間 AI活⽤後の開発期間 1ヶ⽉

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従来の延⻑線上から脱却 13 従来の思考 既存の延⻑線で「何ができるか」を考える 今、求められるのは「リーダー」 AI時代の思考 AIの可能性を活かして、「何ができるか」 を考える

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従来 「問いを設定する」リーダーシップ 14 このリーダーシップの本質は、「問いを設定する」こと How どうやって作るか Why なぜ作るか AI時代 Why なぜ作るか What 何を作るか

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AI時代のエンジニアリング戦略: 挑戦型組織の実現 2. ©Sansan, Inc.

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AIネイティブ組織の構築 2.1. ©Sansan, Inc.

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挑戦型組織への変⾰の中核 17 AI プロダクト サービス 開発 プロセス

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組織の本質的な変化 18 「AIで何ができるか」を探すだ けでなく、「⾃分たちの仕事や プロダクトをAIでどう変えられ るか」を問い続け、実⾏してい くこと 単に「技術をどう使うか」を考える だけでなく、「その技術で何を変え たいか」を語れる存在であること AIネイティブな組織 エンジニア

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上流⼯程での競争⼒強化 19 プロダクトの本質的な価値を理解する プロダクトマネジャー 最新のAI技術の可能性を探求する 研究員 • AIをどう活⽤するかというプロダクト戦略 • 要件定義が競争⼒の源泉 • AIと⼈間の役割分担の最適化 • AIシステムアーキテクチャ設計 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計

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AIネイティブ組織への変⾰ロードマップ 20 フェーズ1 AIツールの導⼊と基本的な活⽤ フェーズ2 | 現在 AIを活⽤した開発プロセスの再設計 2倍の⽣産性向上を実現 フェーズ3 AIを⽤いて価値創造できる組織へ進化 AIネイティブな組織⽂化の醸成

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イーサン・モリック⽒が提唱する原則 21 1. 常にAIを参加させる あらゆるタスクの最初からAIをパートナーとして 活⽤する AIとの「共同知能」を実践し、失敗を恐れない⽂化を作ることが重要 2. ⼈間参加型にする AIに最終判断を任せず、⼈間が批判的思考と監視 を⾏う 3. AIを⼈間のように扱う 明確なペルソナ設定とプロンプトエンジニアリン グで効果的な対話を⾏う 4. AIの進化を前提とする 「今使っているAIは、今後使⽤するどのAIよりも 劣悪だ」と仮定する

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全エンジニアのリーダーシップ発揮 2.2. ©Sansan, Inc.

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- 現状の枠を超えた新しい価 値の創造 - 未踏の領域への挑戦 - ゼロからの課題発⾒と解決 - 組織全体を巻き込む変⾰の 推進 - 仕組みや制度を整える - チームの⽣産性を⾼める - ⽇々の課題を解決する - 安定した成果を出す マネジャーとリーダーの役割の違い 23 マネジャーの役割 連続的な成⻑を実現する リーダーの役割 ⾮連続的な成⻑に責任を持つ

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⾮連続的成⻑への対応 24 連続的成⻑ マネジャー ⾮連続的成⻑ リーダー AIネイティブ 組織

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役職名ではないリーダーシップ 25 「リーダー」は、特定の役職名ではありません。 ⼀部のマネジャーや、⼀部の特別な⼈間だけがリーダーになる のではないのです。 私たちの⽬指す「挑戦型組織」では、全エンジニアがそれぞれの持ち場でリーダーシップを発揮する⾏動が鍵となる Sansanは「マネジャー型」から「リーダー型」へ、 管理型から挑戦型の組織へ進化していきます。

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正解を求めないチャレンジ 26 従来のアプローチ 正解がある問題を効率的に解決する 新しいアプローチ 正解が分からない問題に挑戦する 機会を積極的に作り、イノベーションを促進

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チャレンジから⽣まれるイノベーション 27 1 従来の枠を超えた価値創造へ 知⾒の共有 各プロダクトで得られた知⾒ を共有する会を設ける AIへの積極投資 各プロダクトそれぞれで AIへの投資を積極的に⾏う 2 3 4 プロダクト間連携 他プロダクトの挑戦にヒントを 与え、新しい発想をもらう ⾃発的学習 エンジニアたちが⾃発的に 学習し、新しいアイデアを 提案 「正解を求めないチャレンジ」 に取り組む⽂化の醸成

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AI駆動開発の実践例と具体的な成果 2.3. ©Sansan, Inc.

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AI駆動開発の実践例と成果 29 2倍 ⽣産性向上 AI駆動を実践しているチームでは、 開発速度が従来⽐で2倍の⽣産性を 実現 4.5 2.0 開発期間短縮(⽉) Claude Code Maxを主要ツールとして活⽤し、 従来4.5ヶ⽉かかっていたプロジェクトが 2.0ヶ⽉で完了

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成功事例 30 AIツールを使う前に、⼈間同⼠ で設計の⽅向性を整理すること で、AIが⽣成するコードの品質 が⼤幅に向上。 イベントストーミングの効果 PdMに情報の抜け漏れなくPBI を記載してもらうことで、AIの 成果に直結。⼈間による事前の 整理と品質向上が不可⽋だと学 びました。 PBIの品質向上

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失敗から学んだ教訓 31 AIツールを使っても、設 計段階での曖昧さは解決 されません。むしろ、AI が曖昧な設計をそのまま 実装してしまうため、後 で⼤きな問題になること があります。 設計の曖昧さは 解決されない 完璧な設計書を作っても、 実装段階で新たな課題が 発⾒されることがありま す。AI時代では、設計と 実装を並⾏して進め、継 続的に改善していくアプ ローチが重要です。 設計と実装の 並⾏進⾏ 実装⽅針や仕様の変更・ 軌道修正をした際、内容 を仕様書側にフィードバ ックしておかないと、後 続タスクを実⾏するAI Agentへの引き継ぎが上 ⼿くいかず混乱します。 仕様変更の ⽂書化

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実践知と今後の⽅向性 32 実施の推奨事項 - PdM/デザイナーとの協⼒によるAI駆動開発 - イベントストーミングの実施で設計精度向上 避けるべきこと - ⼤きなプルリクエスト(段階的にPRを分割) - 設計ドキュメントの過度な詳細化(必要最⼩ 限の情報に絞る) 今後に向けて 設計ドキュメントの テンプレート改善 AIツールの協業⽅法検討 PdM・デザイナー・エンジニアの 新しい分業・協業モデルの確⽴

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AI時代に進化する エンジニアの本質的な価値 2.4. ©Sansan, Inc.

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AI時代における価値の変化 34 継続的改善 実装の 効率化 戦略的 最適化 ⾼付加価値エンジニア 実装 + 改善思考 AI時代の戦略価値 従来の実装価値

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アンラーン(学びほぐし)の必要性 35 コードを書く=価値創出 実装だけが評価される時代は終わり、「課 題を定義すること、AIを活かす構造を設計 すること」に価値が移ります。 ⾃分の⼿でやらないと意味がない ⾃分が理解して実装したものが⼀番安⼼と いう考えから、AIによる⽣成物を理解し、 意図をもって選択・検証できることが重要 になります。 正解のある世界での最適化志向 仕様が決まっていて、それをいかに速く・ 正確に実装するかが問われた時代から、 「問いを設定する」側に回る必要がありま す。 知識=差別化の幻想 ⾃分だけが知っている技術や⼿法が強みだ った時代から、「知識を活⽤する⼒・構造 化する⼒・共有する⼒」が真の強みとなり ます。

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磨くべき本質的な価値 36 問題を定義する⼒ 技術の⼒で何を解決すべきかを ⾔語化・構造化できる⼒。良い 問いなしに、AIをどう使っても 価値は⽣まれません。 ⼈間にしかできない 直感と意味づけ なぜそれを作るのか?誰が幸せ になるのか?という、プロダク トの本質的な問いに向き合い、 価値に「意味づけ」をする⼒。 構造設計・ ワークフロー設計能⼒ AIを単に使うだけでなく、⼈、AI、そ して既存のシステムが連携する最適な ワークフローを設計する⼒。 コラボレーションと知識流通⼒ AIが⽣成する知識を、チーム・組織全 体に流通させ、再利⽤可能にする設計 ⼒。 スピードと打席数の最⼤化 AIによって試⾏錯誤のサイクルは劇的 に⾼速化。この速度を最⼤限に活かし、 フィードバックを⾃動で得る環境を整 える⼒。

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OKRで事業戦略・AI活⽤・組織変⾰を 統合する⽅法 2.5. ©Sansan, Inc.

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OKRによる統合戦略 38 AI活⽤ AI x 事業 AI x 組織 OKRで実現する最⼤価値 戦略 x 変⾰ 組織変⾰ 事業戦略 Company OKRレベル 事業戦略 × AI活⽤ × 組織変⾰ 全マネージャー主導で、各組織の業務をAIに置き換える プロダクトOKRレベル 事業戦略 × AI活⽤ 進化するAIに対するプロダクトのポジショニングを定める エンジニアリング組織のOKRレベル AI活⽤ × 組織変⾰ AI駆動で開発されたPBIを1件以上リリースする 具体的な実践例

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今後の展望: AIとの共存と競争⼒強化 3. ©Sansan, Inc.

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挑戦型組織の未来像と3つの取り組み 40 Sansan技術本部のVision このプロダクトで世界を変える AIネイティブな 開発プロセスの確⽴ 全エンジニアの リーダーシップ発揮 事業戦略と技術戦略の 統合

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最後に AI時代のエンジニア組織づくりは、簡単ではありません。 しかし、避けて通ることはできません。 ⼩さく始める 完璧な計画よりも、まずは⼩さな ⼀歩から 素早く学ぶ 試⾏錯誤を繰り返し、知⾒を蓄積 する 継続的に改善 学びを活かして、常に進化し続 ける

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Sansan 技術本部 採⽤情報 https://media.sansan-engineering.com/

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