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ホテル業界における ダイナミック・プライシングの現状と 課題 白金鉱業 Meetup Vol.13 株式会社空 馬場一輝

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自己紹介 twitterID:kazukibs 経歴:経済学博士課程〜オークション〜ファッションx人工知能 今:ホテルの料金設定最適化ツールの開発 役割:データ分析とそれにまつわる企画/ディレクション/サーバーサイド/インフラなど バックグラウンド:ゲーム理論、産業組織論、限定合理性、          実験経済学、(ミクロ実証)

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MagicPriceとは? ホテル向けダイナミックプライシングSaaS ホテル以外に駐車場、レンタカー、高速バス、電車などにも展開予定 https://www.magicprice.co/ 予約の状況や過去の振り返り、気づきを与えるコンテンツなど色々あるけど 今日は「推奨料金」に絞ってお話しします。

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お品書き - 使う技術 - 業界特有の課題 - 解決アプローチ

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主な使用データ ・予約台帳データ ・OTAの価格データ(在庫も) ・イベント(興行チケット、受験、インターハイ、学会など)

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最適化の時に考慮すべきものの例 ・季節変動 ・予約の状況 ・競合の価格設定/空室状況

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ホテル(およびシナジーのありそうな分野の)特徴 ・キャパシティが決まっている ・季節変動が大きい ・曜日によって変動が大きい ・地域によって傾向が違う ・ビジネスと観光で傾向が違う(旅客、施設ともに。旅客の違いは航空券と近いものが あ る)

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使う技術1 - レコメンデーション - DP - ゲーム理論 - 強化学習 - 機械学習(予測)

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使う技術2 - 因果推論的なモデル評価 - 経済学的な最適化/構造推定 - 異常検知(ヒューマンエラー、台風(わかってるけど例としてわかりやすい)) - アンサンブル学習 - 時系列

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DP (Dynamic Programming) ホテルの場合は: - 宿泊日までのT期間で売上(利益は難しい)を最大化するように (待っていれば安いタイミングが来るのでキャンセルポリシー的に問題ない期間中は、 とりあえず予約して下がったらキャンセルして同じ予約を安価で取り直す→あまりやる 宿泊客はいない) - 一見さんだけでなくリピーターなどを考慮、キャンペーンなど長期を考える

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ゲーム理論 - ホテルは大体寡占市場と見なせる。 - 製品差別をしているが、ビジネスホテルはそれなりに価格競争をしている - 合理的だと均衡戦略を取っていると考えられるが・・ ベルマン方程式解析的に解けない・・・ そうでもないので最適反応を考える。 - 談合問題

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強化学習 - 行動:価格(料金ランク) - 状態:稼働率 - 報酬:売上

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経済学的な最適化/構造推定 - 需要曲線の推定 - 需要の価格弾力性 - ゲームの構造 - 独占・寡占・完全競争

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因果推論的なモデル評価 - 売上が上がったかどうかをみたい - トレンドがある - 導入効果を知りたい(主にホテルが) - アルゴリズムとして優れているか知りたい(主に開発側が)   → - 前年同月比は良くない。(トレンドや突発イベントがあるから) - 例:福岡 (かつては足りず建設ラッシュ、日韓問題などで苦戦) ホテルからもわかる、というのと機械学習的?に正しいに分ける

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SaaSであることの難しさ ホテル特有の課題とは? - 意思決定主体が複数ある・・・経営とRMの認識の違い - 解釈性が必要 - 何故その価格をつけるといいのか担当者がわからないと怖くて従えない→過去の振 り返り、"係数"の開示、ロジック、グラフ - 上司に説明できないといけない - 自分の考えと違う料金が推奨されているときに何故か知りたい(説明なしで察せる場 合と察せない場合がある)

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ユーザー行動の課題 - リスク回避的(今までと違うことしたくない、極端なことしたくない) - ヒューリスティクスに引っ張られすぎなことがままある  (稼働率上げればいい) - リテラシーのレベルがユーザーごとに違う

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まとめ - 単純に最適化をすればOKというわけではない。 - いろんな分析技術をてんこ盛り。 - 経済学系の考え方使えるもの多い。

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参考文献 Williams, Kevin (2018). Dynamic Airline Pricing and Seat Availability, revise and resubmit, Econometrica Cho, Lee, Rust & Yu (2018). Optimal Dynamic Hotel Pricing, working paper