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なぜ勉強会だけでは浸透しないのか 数百人規模の組織で コーディングエージェントを当たり前にした戦略とその結果 株式会社アプリボット 杉浦 優介

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このセッションでお伝えしたいこと アプリボットでは、約1年足らずでエンジニアの コーディングエージェント使用率 100% を達成 個人が 使いこなすこと 組織全体で当たり前に 使われる状態を作ること この2つは 全く別の課題 なぜ勉強会だけでは浸透しないのか、壁とその後行った打ち手と成果をお話しします

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自己紹介 杉浦 優介 すぎうら ゆうすけ 2018年 サイバーエージェントへ入社 その後、子会社であるアプリボットへ出向 NieR Re[in]carnation など複数タイトルで クライアントリーダーやリードエンジニアを担当 現在は、 クライアントエンジニア領域責任者 兼 AI推進責任者 @siguma_sig

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アプリボットの概要 技術スタック 事業領域 スマートフォン向けゲームを中心に Web / ネイティブアプリケーションも開発 Unity / Go クライアント / バックエンド サイバーエージェントグループ子会社 組織規模 約600名 うちエンジニア 約150名 プロジェクト数 10+ 100名超の大規模案件から、10名程度の小規模案件まで

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1. 初期の取り組みと方針転換 2. 具体的に行った施策とその効果 3. 実際の成果と各社の推進担当に伝えたい 教訓

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01 初期の取り組みと方針転換

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初期の取り組み(2025年5月〜8月) AI浸透のため、横断組織「生成AI室」を設立(2025年5月) 当時、Cursorを知らない人が大半だった まず、誰もが「AIツールを使いはじめられる環境」を整備 AIツール・MCPのホワイトリスト管理 ・使用可否を明確化 ・迷わず安全に使える状態に 社内ツールMCPの内製化 ・当時はMCPが未成熟で社内のツール も公式では無いものが多かった ・Confluence・Wrike等に自前で対応

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初期の取り組み(2025年5月〜8月) あわせて、「触れる機会」と「投資の仕組み」も準備 全職種向けCursorハンズオン 生成AI室予算(研究費)の確保 ・MCP含む基本の使い方を体験 ・社長と相談し予算を確保 ・全職種がAIに触れる機会に ・新しいツールへ投資しやすく それでも、組織全体への浸透には至らなかった…

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どうなったのか 社内の多くのメンバーが「興味はあるが、実践まで至らない」状態にとどまった また、チームによってコーディングエージェント活用度の格差が大きかった 熱意のある人がいるチーム どんどん活用が進む VS それ以外のチーム 停滞したまま 組織内で 「二極化」 が発生 勉強会や環境整備しただけでは組織は変わらない

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勉強会だけでは越えられない、定着までの5つの課題 1 実践に至らない 勉強会の参加者は「興味はある」で止まり、現場での実践に至らない 2 チームによって浸透具合がバラバラ 熱意のある人がいるチームだけが進み、それ以外は停滞する 3 普及度合いが定量で測れず、効果検証ができない どの施策が効いているのかわからない 4 発展的な内容が扱いづらい 職種を絞らずに進めたため、エンジニア向けの深い話ができない 5 ゲーム開発での活用方法が難しいと思われている MCPは何を使えば良いか、そもそも開発のどこで使えるかなどがわかりづらい

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3つの方針転換(2025年9月〜) 1 2 3 AI推進代表者を 各プロジェクトに配置 「活用レベル」を定義 毎月計測 推進対象を エンジニア職に限定 現場に近い場所で、 リーダーシップを持っ て巻き込む体制を構築 エージェント理解度や 並列活用、ルール整備 状況など多角的な設問 でレベル付け より発展的・技術的な 内容を扱えるように 勉強会中心の全体展開 → 現場主導かつ計測可能な状態で、エンジニア中心の推進へ

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02 具体的に行った施策とその効果

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施策全体像 計測する 責任者を置く 時間を確保する 同じ基準で見える化 現場に熱を浸透させる 試す時間を公式に用意 施策① AI活用レベル計測 施策②③④ AI代表会 戦略共有会 エバンジェリスト会 ツールで型化する 一歩目をより 踏み出しやすく 施策⑤ 施策⑥ AI Week ツール整備 一度きりの「勉強会」ではなく、この4つの戦略に基づいて施策を設計

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施策① AI活用レベル 概要 コーディングエージェントの活用度を定量で見える化するためにレベル定義と計測 目的 「浸透したか」を感覚ではなく、同じ基準で追えるようにする 計測の流れ 25問の設問回答 理解・並列活用・ チーム内への展開など → Lv1〜Lv5判定 個人の自己評価 → 組織別に集計 PJ/会社の弱点 → 測る対象は「成果」ではなく、コーディングエージェントをどれだけ理解し、使いこなせているか 施策の効果検証が可能になり、全社平均Lv3という定量目標を置くことが可能になった 翌月施策へ活かす 低スコア項目を改善

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施策① AI活用レベル AI活用レベルごとの定義 Lv1〜Lv5の定義 Lv1 AIアシスタント AIツールの基本操作を習得し、コード補完を部分的に活用 使う Lv2 AIペアプログラミング AIとの対話で単一の開発タスク(バグ修正・機能追加)を完結 使う Lv3 AIオーケストレーター 複数セッションの並列活用・ワークフロー構築と知見のチーム還元 使いこなす Lv4 AIアーキテクト コーディングをAIに委任し、要件定義・品質保証に専念 使いこなす Lv5 AI・ワークフロー開発 自分や他のエンジニアが使えるAIツール・ワークフローを開発 Lv1-2「使う」→ Lv3-4「使いこなす」→ Lv5「作る」の3フェーズで段階的に引き上げる 作る

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施策① AI活用レベル 実際のアンケート設問 集計結果 機能ごとの活用度を0〜4の5段階で自己評価 (全25問) 平均レベルの推移を毎月可視化し、 伸ばす領域を特定 改善ポイントが具体化され、どのような部分が伸ばせることをやるべきかが明確になる

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施策② AI代表会 概要 各プロジェクトにAI推進代表者を立て、その代表者間で毎月やったことを共有する 目的 各プロジェクトの成功を全社へ横展開 毎月の共有サイクル 1 現状を可視化 AIレベル平均と伸ばすポイント 2 実践したことを持ち寄る モブプロ、Skills作成、 AI勉強会など 3 良い施策を横展開 他プロジェクトで再利用 代表者のミッションとして半期評価にも組み込み、責任を明確化&評価にも繋げられるように 結果、成功パターンが全体へ波及した。また、各プロジェクトの推進者が密に連携する機会になった

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施策② AI代表会:共有例 毎月の会で実際に共有された「アクション → 効果」の例 アクションと効果をセットで毎月共有 共有された型は他プロジェクトでも再利用

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施策③ 半期AI活用戦略共有会 概要 各プロジェクト代表が、半期ごとにAI活用の現状と次半期の戦略を全社へ発表する会 目的 全体の意識統一と代表の責任感向上 発表内容 現状 戦略 宣言 AIレベルから現状を把握 プロジェクトの現状をみて、 どんな施策を実施して、 活用度を上げていくか 次半期に 具体で何をやり切るか 社内のエンジニア全員が各プロジェクトのAI活用方針について知る機会になり、活用に向き合う意識が向上

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施策④ エバンジェリスト会 概要 AIエバンジェリストが社長と毎月直接対話し、現場の取り組みを共有する会 目的 先進的なAI活用をしているメンバーと社長筆頭に経営陣のシンクロをする 対話するテーマ例 1 SDD/ハーネスなど最新トレンド 2 3 若手とAIの付き合い方のような 組織論 AIコストと投資判断 社長筆頭に経営陣とのシンクロができ、全社で推し進めるものやコストなどの肌感をすり合わせができた

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施策④ エバンジェリスト会:共有例 社長に毎月共有している内容の例 今月のアクションと効果を社長へ直接共有 SDD導入など、成果・変化まで踏み込んで共有

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施策⑤ AI Week 概要 1週間の間、必ずコーディングエージェントを使って開発を行う 目的 「使いたいが、学ぶ・試す時間がない」状態を、1週間の集中期間で解消する 1週間の進め方 目標設定 具体的なやること を決める → 業務で実践 PMと工数を確保 → 試行・改善 使い方を磨く → 成果を共有 次の習慣につなげる 「余裕があれば試す」ではなく、各プロジェクトのPMと合意して正式に時間を確保 最初の一歩を強制的につくることができ、日常業務だけでは後回しになる学習と実践が組織全体でできた

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施策⑤ AI Week 実際の目標アンケート 目標例 1 業務フローから3つのSkillsを作る 2 複数並列の開発環境を構築する 3 チームのナレッジとルールを整備する 全員が“AI Week後のなりたい姿”を記入 使ったことがない人が居なくなり、活用レベルが一気に向上し、AIについての議論レベルも上がった

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施策⑥ ツール整備 目的 社内の課題をツール整備で解決し、社内のAI活用浸透をサポートする 課題① 解決案 worktreeでの並列開発がしづらい worktree作成CLIツールを作成・展開 Submodule構成のリポジトリが多いため Submodule構成も考慮して自動セットアップ 課題② 解決案 Skillsなどの作り方がわからない Pluginsリポジトリを作成 他プロジェクトの活用例も知りたい Applibot標準のSkills / MCPなどを提供 困りごとベースでツールが整備され、現場が使い始めやすい形でAI活用の浸透が進んだ

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03 実際の成果と各社の推進担当に伝えたい教訓

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定量的成果(方針転換前 → 現在) 100% 100% 75% コーディング エージェント使用率 開発の起点が AIとの対話 複数並列で エージェントを活用 全エンジニアが使用 習慣として定着 高度な活用も浸透 「開発時にまずAIとの対話を行う」習慣の定着 = 開発スタイルそのものの変化

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活用状況の推移 2025年5月 2025年9月 現在 コーディング エージェント使用率 10% → 20% → 100% 開発の起点が AIとの対話 5% → 15% → 100% 複数並列で エージェントを活用 0% → 5% → 75% 2025年9月の方針転換(勉強会 → 仕組み化)を境に、一気に加速

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各社の推進担当に伝えたい4つの教訓 1 AIが日常にある環境を作る 2 現場に近い人を巻き込む あらゆる場で発信し、 経営層も巻き込んで組織の優先度を上げる 身近な人の実践がいちばん響く 3 計測できる指標で目標を立てる 4 推進者自身が一番詳しくなる 計測できなければ評価できない 可視化が推進の後押しになる 何を聞かれても答えられることが、 組織からの信頼につながる 「勉強会」だけではなく、「仕組みと文化」を作ることが大切

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今後の展望 他職種への展開 成果への繋がりを 可視化 AIドリブンな 新規開発 同様のフォーマットで、 企画職向けにも展開 現状は活用する文化が できた状態で、 成果はまだ肌感のみ AIを最大限活かすには、 新規でワークフロー自体 を変える必要がある

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ご清聴ありがとうございました!