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正解のない未知(インボイス制度対応)を フルサイクル開発で乗り越える方法 CARTA HOLDINGS fluct 開発本部 テックリード なっかー (@konsent_nakka) Full Cycle Developers Night #1 2025.05.15

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株式会社fluct テックリード なっかー @konsent_nakka 略歴 ● 2020新卒でCARTA HOLDINGS⼊社 fluctに配属され6年⽬ ● 1年⽬はパブリッシャー向け広告配信システム全体開発を担当 ● 2年⽬から数年は1名で会計システムを保守管理 ● 広告配信設定システム/ツール開発チームのテックリード 役割/領域 management engineering Front Server Data Cloud Intra

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Full Cycle Developerとはどういう在り⽅なのか、 CARTAにおける具体例を交えて話します

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概要 ● Netflixの出した記事をCARTAエンジニアが翻訳したもの ○ Netflixにおけるフルサイクル開発者―開発したものが運用する ○ https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/2019/02/04/171325 ● CARTAでのフルサイクルを定義したもの ○ CARTAとフルサイクル開発者 ○ https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/carta-full-cycle はじまり

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CARTAにおけるフルサイクル開発者とは はじまり ● プロダクトライフサイクル 全体に関わる(フルサイクル開発) ● コードを書くだけでなく、 ビジネス(企画)にも深く関わり ● プロダクトを通して、 ユーザーにどのような価値を届けるか まで考える

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つまり 全部やる

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当時未知の事例であった インボイス制度に⽴ち向かった話を元に、 どのようにフルサイクルに進めたのかについて話します

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前提

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概要 ● フルサイクルという考え方が当然のところに新卒で入社した ● 新卒2〜3年目は会計システムを1人で対応 ○ 前任者、ドメインエキスパートが育休で不在 ● インボイス対応当時、新卒3年目〜4年目のタイミングなので1人 ○ 4年目で23新卒が1人入ってきて一部一緒に対応した はじまり

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話さないこと (発表/パネディス/懇親会すべて) ● fluctがインボイス制度において媒体社に対してどのような対応を検討 したのかは話さない ● ”法的な”解釈としてどれが正しいと思うかなど意見も話さない はじまり 注意: 質疑応答、飲み会の場でも答えません

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インボイス制度とは

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インボイス制度とは ● 適切な書式に則った請求書(インボイス)を発行する必要がある ○ それには特別に発行された登録番号が必要 ○ 記載される登録番号はお金の流れる先側の番号 ● インボイスを発行できない場合、消費税の控除が受けられない ○ つまり支払った消費税がコストになり辛い はじまり

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AGENDA A 対応の始まり 1. なぜ私が対応をすることになったのか 2. 既存の仕事の調整 対応 1. インボイス制度について調べる 2. 対応策をボード陣と相談 3. fluctでインボイス制度についての共有会 4. システム開発などでの対応 B

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AGENDA A 対応の始まり 01 なぜ私が対応をすることになったのか 02 既存の仕事の調整 01

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インボイスは会社にとって⼤きな影響を及ぼすため 重要度のかなり⾼い仕事であり 確実に期限内でやり切る必要があった

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会計システムを対応しているのは私1⼈だし、 1番詳しいのも私だった

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タスクとしてあったわけではないが、 ⾃らやりますと声を上げて、 早々に対応について調べ始めた

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AGENDA A 対応の始まり 01 なぜ私が対応をすることになったのか 02 既存の仕事の調整 01 02 01

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当時は会計システムを1⼈で対応しており、 どのタスクを優先するかはもちろん、 どんなタスクをやるべきかも⾃分で考えていた

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最優先でインボイス対応することを ⼀緒に働いているチームに伝え、 他のタスクは横に置いて対応を進めた

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「対応の始まり」のまとめ ● インボイス対応は超重要で絶対にやらないといけないこと ● 主体的に会社/プロダクトのやるべきことを判断する ● そして主体的に必要なことをやる ○ もちろんステークホルダーとのやり取りが必要ならそれもやる ● 誰かの手を借りる必要があれば存分にコミュニケーションする 既存の仕事の調整

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AGENDA B 対応 01 インボイス制度について調べる 02 対応策をボード陣と相談 03 fluctでインボイス制度についての共有会 01 04 システム開発などでの対応

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エンジニア主導で知識を取りに⾏き、 必要であれば関係者ともやり取りする

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どうやって知識を得るのか ● まずは自分で情報を集める ○ 記事、Youtube、国税庁、国税庁への質問 ● 集めた情報を深めたり、擦り合わせるために関係者と話す ○ 今回は法務と経理の知識が必要だったので質問に行った ○ ここで全体感の統一とエッジケースを詰める ● さらにfluctとしての対応策も相談した インボイス制度について調べる

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エンジニアがどこまで法律や経理知識に踏み込むのか

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必要になれば気にせず 越境する

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どこまで踏み込むのか ● 主体をこちらで持つ ● 簿記的な話もそうだし、インボイスに関係する法律の話は出来る限り 私だけで答えられるくらいまで調べた ● 毎度法務に聞くのはリードタイムが大きすぎる ○ 対応する私が一番詳しいくらいの気持ちで資料を作る ○ 最終確認を法務に投げる インボイス制度について調べる

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そんなにやることを増やして何が嬉しいのか

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事業を前に進められる

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なぜそこまで踏み込むのか (組織目線) ● 事業を前に進めるために必要なことをやっているだけ ○ 結果的に踏み込んでいるだけ インボイス制度について調べる

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なぜそこまで踏み込むのか (個人目線) ● 事業が儲かり給料が増える ● 周りの人間が嬉しくなると嬉しい ● 出来ることが増え、人材としての価値が上がる ● フルサイクル開発者として成長すれば、そのまま事業視点を持てる ○ それはつまりキャリアの先に繋がる インボイス制度について調べる

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なぜそこまで踏み込むのか(小話) ● 経理の方から以下のように言っていただけた 「『ここまで踏み込んで経理の事についてエンジニアに相談していいんだ』と 思えたのはなっかーさんのお陰です」 ○ つまり世には相談できてない潜在的な問題が多く存在する ○ 問題を見つけ、解決すればさらに事業が進む可能性がある ○ そうなれば利益も上がるかもしれない ○ 相手にも喜んでもらえてハッピー インボイス制度について調べる

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AGENDA B 対応 01 インボイス制度について調べる 02 対応策を経営陣と相談 03 fluctでインボイス制度についての共有会 01 04 システム開発などでの対応 02 01

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対応策を経営陣と相談 ● いくつかの対応をまとめて検討する ○ Pros/Cons、世間の意見、過去の事例などを元に ● これで行きましょうと経営陣に相談して決断 ○ 検討した内容や情報をdocsにまとめた 対応策を経営陣と相談

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上からの決断を待つだけでなく 対応する⼈の主導で 最適な解決策を考える

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先に上からの決断が降りてきたとして、 ⾃分ならどう考えるかは⼤事にし、 ⾃分の⾔葉で語れるようにする

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AGENDA B 対応 01 インボイス制度について調べる 02 対応策をボード陣と相談 03 fluctでインボイス制度についての共有会 01 04 システム開発などでの対応 03 01

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お客様などに説明が必要だったり、 業務フローの変更が必要になるので、 fluct全体にインボイスとは何かを共有しなければ

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fluctでインボイス制度についての共有会 ● 社内説明会での内容を抜粋 fluctでインボイス制度についての共有会

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fluctでインボイス制度についての共有会 fluctでインボイス制度についての共有会

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fluctでインボイス制度についての共有会 ● インボイス制度についての共有会をfluct全体に対して実施 ○ 概要、fluctがどう影響するのか、QAをまとめスライドに ● やってくれと言われたわけではなく、自発的にやることにした ○ インボイス対応の主語をfluctとすれば自然と ○ 全員がインボイス制度について理解する必要があると分かる ○ コンサルなどはお客様に説明出来る必要がある fluctでインボイス制度についての共有会

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主語を複数持つことで ⾃然とやるべきことが分かる

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主語を広く持てるようになるには ● 2つある ○ 仕事を任せる人: 影響範囲/責任のある仕事を任せ期待を伝える ○ やる人: 自分から影響範囲の広い仕事を取りにいく ● 自分から手を挙げるのは文化的に許容されるか否かも影響する ○ 十分な権限を渡す ○ 評価する ● 今より上の能力を求められる仕事をやる fluctでインボイス制度についての共有会

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AGENDA B 対応 01 インボイス制度について調べる 02 対応策をボード陣と相談 03 fluctでインボイス制度についての共有会 01 04 システム開発などでの対応 04 01

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要件定義が出来た時点で やることは明確だったため 細かく話すことはしない

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システム開発などでの対応 システム開発などでの対応 ● 画面/API/インフラ/ヒアリング/タスク管理、必要なことは全部やる ● インボイス登録番号を集める ● 番号の検証 ● インボイスの作成 ● 税区分、支払/請求分類、消費税、なんやかんやの調整 ⭐ ● 新規ユーザーの登録番号を集めるための改修 ● 経理との相談

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インボイス制度 開始後

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インボイス制度が始まった後 ● 想像していた範囲外の問い合わせも来た ○ 専用のチャンネルを作って答えつつ、Q&Aを充実させたり ● お客様から日付のフォーマットを調整して欲しいという要望も ○ 要望の意図や本当に求めているものが何なのか調べる ○ 開発するしない、代替策などを考えて実施したり、返信したりす る ● 2026年に向けて考えたり、コード設計を見直したり インボイス制度開始後

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まとめ

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まとめ ● 主語を広く、複数持つ ● 主体的に動く ○ 成長にも繋がる ● プロダクト/事業の成長にとって必要なことを全部やる まとめ

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No day but TODAY CARTA HOLDINGSについて 約 53% 電 通 (株) VOYAGE GROUP 約 47% 既存株主 事業例 サービス例 CARTA HOLDINGSについて

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まとめ ● 主語を広く、複数持つ ● 主体的に動く ○ 成長にも繋がる ● プロダクト/事業の成長にとって必要なことを全部やる まとめ

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Q&A

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Q & A (採用どうやってるか) ● 同じような働き方ができそうなマインド前提で採用する ○ 新卒/インターン生などは特に ● 最初からフルサイクルな働き方を要求する ○ どのくらい出来ているかグラデーションはある ○ グレード定義とも多少繋がる部分はある まとめ

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Q & A (育成どうしてるか) ● そもそも性格的な適性はあると思っている ○ コミュニケーション絶対嫌な人には厳しい ● ただ、後から姿勢を意識したり、スキルとして上達はする ○ 内的要因と外的要因の両方があると良い ○ まとめると評価と成長 まとめ

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Q & A (育成どうしてるか) ● 外的要因 ○ 評価制度にフルサイクルな働き方を組み込む ● 内的要因 ○ 自発的にやったほうが学習効果高い、満足度も高い ○ 通常キャリアの上の方に行かないと付かない事業視点を、フルサ イクル開発では延長線上に進んでるだけで身に付きやすい ○ つまりキャリアが進んだ時に移行が自然 まとめ