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© 2024 Loglass Inc. 0 © 2024 Loglass Inc. Cursor導入でログラス社の現場はどう変わったか - #Forkwell_AI_Study CursorとDevinが仲間!? AI駆動で新規プロダクト開発に挑んだ 3ヶ月を振り返る r.kagaya 2025.5.13

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© 2024 Loglass Inc. 1 自己紹介 新卒でヤフー株式会社に入社、ID連携システムの開発 2022年に株式会社ログラスに入社 経営管理SaaSの開発、開発生産性向上に取り組んだのち、 生成AI/LLMチームを立ち上げ、複数LLM機能の開発を リード 現在は新規AIプロダクトの立ち上げに従事 株式会社ログラス シソフトウェアエンジニア r.kagaya(@ry0_kaga)

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© 2024 Loglass Inc. 2 今日のテーマ AI駆動で挑んだ新規プロダクト開発の 学びや失敗を振り返る

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© 2024 Loglass Inc. 3 ソフトウェア開発の変化

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© 2024 Loglass Inc. 4 ソフトウェア開発は、 今まさにAIによる変革の真っ只中

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© 2024 Loglass Inc. 5 「私たちが知っているプログラミングの終焉」 https://www.oreilly.com/radar/the-end-of-programming-as-we-know-it/

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© 2024 Loglass Inc. 6 「私たちが知っているプログラミングの終焉」 https://www.oreilly.com/radar/the-end-of-programming-as-we-know-it/ There’s a lot of chatter in the media that software developers will soon lose their jobs to AI. I don’t buy it. It is not the end of programming. It is the end of programming as we know it today. 訳)メディアでは、ソフトウェア開発者がすぐにAIに仕事を奪われるという噂 が広まっています。私はこれを信じません。 これはプログラミングの終わりではありません。現在知られている形での プログラミングの終わりなのです。

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© 2024 Loglass Inc. 7 AIは開発プロセスの第一級市民に Microsoftの新規のソースコードの約3割をAIが生成 ザッカーバーグ氏: 「おそらく来年には開発の半分が人間ではなくAIによって行われるようにな る」 https://news.mynavi.jp/techplus/article/20250507-3271749/

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© 2024 Loglass Inc. 8 AIと新規プロダクト、 そしてAI駆動開発

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© 2024 Loglass Inc. 9 始まり

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© 2024 Loglass Inc. 10 3ヶ月でAIプロダクトのMVPリリース その時点ではエンジニアは自分一人! 頼れるのはCursorとDevin! (注釈: 共通基盤チームや、フロントエンドチーム、クラウド基盤チームの多くの助けはあ りました。あくまでアプリケーション開発の人員というお話) 与えられたミッション

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© 2024 Loglass Inc. 11 当時の私(12月〜1月時点) AIコード生成に一定慣れてはいたが...? ● 数年前からGithub Copilotはヘビーユーザー ● Cursorは割と使っていた(2023年からだった様子) ○ とはいえ個人開発や小さめなプロジェクト利用のみ ○ サーバーサイドKotlin問題もあり、ログラスで顧客提供プロダクトでの開発には利用して いなかった ● Devinは12月にPoCのための契約をもらい、年末に遊び倒していた

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© 2024 Loglass Inc. 12 時代はVibe Coding AI駆動でどこまでプロダクト開発を ブーストできるのかの挑戦

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© 2024 Loglass Inc. 13 AI駆動開発について考える、 Vibe Codingに溺れる

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© 2024 Loglass Inc. 14 前提 ● MVPリリースまで到達したら、その後に一定リファクタ・リニューアル余地はある ● 品質保証やリスク許容範囲を踏まえて、Vibe Codingを受け入れることが可能だった

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© 2024 Loglass Inc. 15 当時考えていたこと 図引用: https://qiita.com/hirokidaichi/items/53f0865398829bdebef1 まずはレベル1の生産性を上げるのが命題

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© 2024 Loglass Inc. 16 当時考えていたこと 生産性を上げるには?(NOT MECE) ● 自分がコードを「たくさん書ける」ようにする ○ 単位時間あたりの生産性を上げる ○ 開発してる時間を増やす ● 自分がコードを「書かなくても済む」ようにする ○ AIに生産させる 自分の生産性を上げる、自分が生産してる時間を増やす、AIが生産できるようにする

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© 2024 Loglass Inc. 17 当時考えていたこと 生産性を上げるには?(NOT MECE) ● 自分がコードを「たくさん書ける」ようにする ○ 単位時間あたりの生産性を上げる ○ 開発してる時間を増やす ● 自分がコードを「書かなくても済む」ようにする ○ AIに生産させる 自分の生産性を上げる、自分が生産してる時間を増やす、AIが生産できるようにする on Cursorでのナレッジ/ルール、ドキュメント管理 ・検索の工夫が大部分 (時間の問題で触れられず)

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© 2024 Loglass Inc. 18 当時考えていたこと 生産性を上げるには?(NOT MECE) ● 自分がコードを「たくさん書ける」ようにする ○ 単位時間あたりの生産性を上げる ○ 開発してる時間を増やす ● 自分がコードを「書かなくても済む」ようにする ○ AIに生産させる 自分の生産性を上げる、自分が生産してる時間を増やす、AIが生産できるようにする 実際には開発チーム人員の増加もHowだが AI駆動開発ではないので本スライドでは割愛

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© 2024 Loglass Inc. 19 開発してる時間を増やす 一番シンプルなのは開発してる時間そのものを増やすことだ!の発想 ● 朝夕の移動時間やMTGの隙間時間こそDevinをできるだけ動かす ○ Devinに細かなタスクや実験的なリファレンス実装のタスクを指示しておく 会社のトイレで株価をチェックするデイトレーダー並みにずっとスマホを見ていた

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© 2024 Loglass Inc. 20 (閑話休題)迷走期。とにかくたくさんマルチタスクを追求していた PC複数台・音声入力を駆使、とにかく同時並行にたくさん動かすことに囚われる Cursor + Devin 5セッション程度が自分の限界であることを知った

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© 2024 Loglass Inc. 21 マルチタスクを追求した結果 「人間の集中力には限界がある」ということに気づく ● Cursor + Devin 10セッションを同期的に扱えるようになるには時間がかかりそう ● 一方で、24時間働けるAIを有効活用したいという発想 寝てる間にAIが仕事して欲しい

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© 2024 Loglass Inc. 22 発想の元) AirbnbのLLMワークフローを用いたマイグレPJ 当初1.5年の見積もりを6週間で完遂 ● 4,000弱のテストをEnzymeからReact Testing Library に移行 ● AgenticなLLMワークフローを構築 ● コンテキストは10万トークン!シンプルに関 連するファイル・ドキュメントは突っ込む ● 失敗したテストのリカバリープロセス含めるこ とで75%→97%移行完了 https://medium.com/airbnb-engineering/accelerating-large-scale-test-migration-with-llms-9565c208023b

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© 2024 Loglass Inc. 23 エンジニアが移行作業ではなく、 “移行作業を自動化する”LLMワークフローを作る

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© 2024 Loglass Inc. 24 休みの時も自動で動いてくれる 夢の不労コード生活

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© 2024 Loglass Inc. 25 文言変更/小さなUI改善の自動化 細かな文言変更等の修正は、Slackで変更内容を書いて特定スタンプを押下したらPRが作成 可能

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© 2024 Loglass Inc. 26 文言変更/小さなUI改善の自動化 細かな文言変更等の修正は、Slackで変更内容を書いて特定スタンプを押下したらPRが作成 可能 PdMが文言や細かいUI修正を行えるように なった (レビューはエンジニアだが、間接的にPdMが 出したPRマージもできるように) PdMが文言や細かいUI修正を行えるようになった (レビューはエンジニアだが、間接的にPdMが出したPR マージもできるように) PdMが自らフォームに補足文言を追加するなど

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© 2024 Loglass Inc. 27 仕様ドキュメント更新自動化 mainブランチにマージされたら自動で最新仕様・FAQの更新 レビュー用のAIも同時に動かす

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© 2024 Loglass Inc. 28 仕様ドキュメント更新自動化 mainブランチにマージされたら自動で最新仕様・FAQの更新 レビュー用のAIも同時に動かす PRの変更を元に最新の仕様情報が 自動で更新されるようになった

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© 2024 Loglass Inc. 29 自動化ワークフローへの投資はやりきれなかった (ドキュメント自動更新など可能性は感じた)

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© 2024 Loglass Inc. 30 その他にも色々AI駆動チャレンジを行い ともかくCursorやDevinで コード量の生産性を追い求めた結果

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© 2024 Loglass Inc. 31 Vibe Codingに溺れる

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© 2024 Loglass Inc. 32 Vibe Codingに溺れる、それにより起きたこと ①AI生成コードへの自制心が弱まる ②コードへのオーナーシップが低下 ③AIが割れ窓の拡散器・ブースターに ④要件定義やレビュー、品質保証がボトルネックに

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© 2024 Loglass Inc. 33 ①AI生成コードへの自制心が弱まる ● 徐々に自制心が弱まって、AIコードやYoloモードの承認やレビューに対する抵抗が少なく なっていった ● 「動いてるから、これでよし!」の世界 AIでたくさん コードを生成 レビューが ボトルネックに 徐々にコードを 追いきるのが辛くなる 承認ハードルが 下がる

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© 2024 Loglass Inc. 34 ②コードへのオーナーシップが低下 ● 実質自分では書いてないので、記憶に残らない(個人的感想) ○ 「自分が書いた」実感の希薄化 ○ 「借り物」感覚の増大 ● 最終的には全てのコードをレビューし直した イメージは、写経をコードコピペでやってる状態?記憶に残りづらい

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© 2024 Loglass Inc. 35 ③AIが割れ窓の拡散器・ブースターに ● AIが比較的苦手 / やりがちなコードがある ○ e.g. 〇〇Serviceの乱用、Exceptionの握り潰し ● 初期は調子に乗って、ひたすらバイブでコーディングしてた ○ イケてないコードをAIが生成して、それを真似して、AIがさらにコードを生成する ○ 人間がリファクタするスピードは追いつけない コード品質の担保の重要性が身に染みた。そこからはリファクタにAIを活用するように

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© 2024 Loglass Inc. 36 ④要件定義やレビュー、品質保証がボトルネックに DevinもガンガンPRを出してくる AIがコードを量産すればするほど、それを検証する人間の作業が追いつかなくなる ● コード/PR量やスピードが早くなった結果、シンプルにPRを捌くのも、それらを認知し続 けることが辛くなった 要求/要件定義・デザインFixもボトルネックになりがちだった コーディングの前後工程もアップデートしないと、ボトルネックが別に移るのみ

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© 2024 Loglass Inc. 37 AI駆動開発を振り返って

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© 2024 Loglass Inc. 38 基本的にはWith AIなしでの開発には戻れない・戻らない AI駆動開発・ Vibe Codingは ”底なし沼”な体験 反復的タスクからの解放 PoCや新領域に挑戦する際の ハードル低下 ● コードの生成量・スピードが向上しすぎて、爽快 感がすごい ● 大半のコードは初手はAI Generated(レビュー や手直しはしてる) • 新しい技術やライブラリに取り組むハードルが大 いに下がった。コードリーディングも • 試すことのコストが低下 • AIが十分に知っていることに人間は敵わない ● テストコード量産/カバレッジ上げ、定型的な実装 などはAIの恩恵を大いに受けた ● 既存コードを参考にした賢いボイラーテンプレー ト生成(e.g. 新規エンドポイントの一連のコードを 生成)

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© 2024 Loglass Inc. 39 基本的にはWith AIなしでの開発には戻れない・戻らない

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© 2024 Loglass Inc. 40 今改めてプロジェクトを始めるなら何をするか?(一例) 社内全体でドキュメント 管理も含めたモノレポに 向かう流れ 一方、大規模コードでの 活用ハードルを踏まえる と、ドラスティックに小さ な単位にする選択肢 は? AI Dev Exへの投資 AIフレンドリーな アーキテクチャ Rulesの定義・整備から、 今だとMCPフル活用も視 野に 例:共通ライブラリの利用 ガイド、コーディング規約 for AI プレーンテキスト・検索 性の重要度 「AIのための仕様書」完 全情報ゲームを目指す 新たなボトルネック への備え AIリーダブルな ドキュメンテーション 設計/要件定義、品質保 証やレビューがボトル ネック コーディングだけ爆速に なってもどこかで詰まる

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© 2024 Loglass Inc. 41 Vibe Codingはプロダクション・継続改善の壁を乗り越えられるか? Replitで趣味で開発してみたサイト ● ちゃんとスライド検索も全文検索らしいことはできている ● ほぼコードを見てない、機能追加しようとしたら壊れたりする ● これはメンテナブルなのか? -> おそらくNO

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© 2024 Loglass Inc. 42 コードが育つほど手がかかる? 前述の対談記事でも新規コードより、既存コードの方が活用できていないと言及 「新規のコード生成がかなり実用的なレベルになっているのに対して、既存コードの書き直しには まだ十分な効果を発揮できていないという見解を明らかにした。」 とはいえお手本コードがあれば、それに近いコードは生成できる AIリーダブル・アクセシビリティを担保、コンテキストとして渡せるなら、むしろ参照情報が増 えるのでやりやすい側面はあった https://news.mynavi.jp/techplus/article/20250507-3271749/

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© 2024 Loglass Inc. 43 ● コードを書くのはAIかもしれない。しかし、その コードの責任は人間が負う ● プロダクトへの情熱、品質へのこだわり、そして 最終的な意思決定 AI駆動開発の時代に向けて AIにオーナーシップで負けない AI時代のToBeの言語化 ガードレール・評価を絡めた継続改善 AIが保持しないドメイン知識・コンテキス トを与える専門家に ● まだAIは我々が本当に知ってほしいドメイン知識 やコンテキストを知らない ● ドメイン理解やモデリング、それらを AIに渡すこと が重要な役割に? ● AIに何かを語るに足る専門家になる ● AIのためのアーキテクチャ・プロセス設計 ● AI時代の「今と未来」を言語化する。ガードレー ルと評価で進化を促す

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© 2024 Loglass Inc. 44 AIをどれだけ効果的に活用し、 本質的な課題解決に時間を割けたか?

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© 2024 Loglass Inc. 45 「Vibeに身を任せる」度合いを慎重に判断し、 「Vibeのコスト」を見失わないこと

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© 2024 Loglass Inc. 46 まとめ

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© 2024 Loglass Inc. 47 まとめ ● とにかく自分で手を動かす / 試してみるが正義 ○ 「〇〇できないかなぁ」を思ったら、実際にやってみる ● 今のやり方を日々疑う / 定期的に見直す ○ モデルの性能は日進月歩、3ヶ月前はできなくても今なら?がありえる ● AIは人間より圧倒的に早くコーディングが可能、長期的にはその物量を前提とした世界にな る ● このトレンドを楽しんで探求できるなら最高の時代

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