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業務システムの銀の弾丸?  メモ機能を考察する UI/UXデザイナーLT会 - vol.6

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自己紹介 腹筋ローラーの力を信じろ (Twitter: @8845musign) 株式会社イエソド所属 業務システムのUIデザインを中心に、プログラミングや 運用、プロジェクトの進行管理まで、必要なことを必要 なタイミングにいろいろやる人

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業務システムには「メモ機能」を 求められることがある

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経費申請システムの申請時に入力可能なメモ 引用元: https://www.teamspirit.com/ja-jp/blog/entry/teamspirit-9.html

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保存したインポート設定に記入可能なメモ

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Macのファイル詳細に 入力可能なメモ

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「メモ」はどういう要求から 設計されるのか?

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実際の「メモ」の利用例に 焦点を当ててみる

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メーラーのメモをフル活用した話 お客様からの依頼メールを受け取って、データをシステムへ投入する業務 当時使っていたメーラーでは、メールにメモが追加可能だった メールとメモは全員に共有されていた

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ユースケース 作業するメールに、自分が担当であることを記載 作業の進捗状況をメモ タスクがどこまで完了したか お客様とのやりとりステータス 完了をメモ

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ユースケース 作業するメールに、自分が担当であることを記載 → アサイン管理 作業の進捗状況をメモ タスクがどこまで完了したか お客様とのやりとりステータス 完了をメモ

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ユースケース 作業するメールに、自分が担当であることを記載 → アサイン管理 作業の進捗状況をメモ → 個々ののTODO管理、作業ログ タスクがどこまで完了したか お客様とのやりとりステータス 完了をメモ

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ユースケース 作業するメールに、自分が担当であることを記載 → アサイン管理 作業の進捗状況をメモ → 個々ののTODO管理 タスクがどこまで完了したか お客様とのやりとりステータス 完了をメモ → 全体のTODO管理

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創意工夫によってさまざまなケースで メモは それなりに機能する

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それぞれ専用のツールを導入/開発した方がより 効率化できるのでは?

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それは確かに正論ですが メールを起点にタスクが回るのであれば、メール自体に情報を付与したい 横断的にツールを行き来するめんどくささ 細かい生産性を上げるための予算は降りなかった 明日から業務を改善したいのに、ツール選定/開発に時間をかていられない

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最近のヒアリング(情シスの方)

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ツールは何かを保存し名前をつけることができる ただし、名前や設定から、「なぜそれが生まれたのか?なぜ存在するのか?」を推察す ることが難しい 1人で業務をやるのであるのなら良いが 行間を埋めるために、wikiやスプレッドシートでの情報管理が始まる (腹筋の心の声: またスプシーくんかよ……ウンザリ。でもスプシーくんは我々プロダク トの足りない部分を引き受けて頑張ってくれてるんだよな。ごめんな。でも嫌い。) またはSlack上で質問のやりとりが行われ、流れる なのでメモが欲しい

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現場に隠れた、ツールでは解決しきれていない コミュニケーション課題をメモは解決するかも

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結論: メモとはなんなのか? 抽象的なツール 抽象化された要求 抽象的なユースケース 抽象的なデータ構造

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ユースケースだけからはメモは生まれない 個人の体験をデザインしてコントロールしてやろう、ということは可能なのだろうか 作られたユーザー像と現実のギャップは確実にある 明確に定義をすればするほど、玉虫色の部分は失われる 具体から抽象に進んで、遊びを持たせることはデザインにおいて重要 塩梅が難しいが

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ユーザーに自由を開放する 初期の設計から、あらゆる要求・ユースケースを想像しきることは不可能 ユーザーを自由に「遊ばせる」 その遊びから次の解が見えてくるかもしれない

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ユースケースを狭めるシグニファイア的な発想から、アフ ォーダンスつまり可能性のデザインへ シグニファイア→これはこう使ってください 可能性→これはAもBもCも(工夫次第で)できますよ それどころか、あなたが変われば(スキルが高まる or 別のツールと組み合わせる) もっとできることが増えますよ

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メモ機能ってそういうもんですよね(多分)

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(おまけ1)「業務システムだから」XXXはホント? そんなわけはない。前提条件で全部変わる 例: 業務システムは毎日使うもの。ユーザーは慣れる 担当が退職して溜まった知見が消えたり システムの利用がつらくて退職されることも…… 月一しか使わない、経費生産システムありますよね 都度ユーザーと向き合ったが良い この発表はタイトル詐欺

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(おまけ2)メモは銀の弾丸か? そんなことはない むしろ免罪符になる 「メモで十分だら改善しなくてOK」 運用と共に、カオスとなることもある 何かしらの記載ルールが決まったメモ。読み解くためのマニュアルが必要 ex. 日付の記載がない、この古いメモは今も有効なのか?

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(おまけ2)メモは銀の弾丸か? ある段階で、機能の切り出しは必要 私たちは、メモという抽象から具体に揺り戻しをしなくてはならい この抽象と具体のループによって、システムは磨かれるのでは メモはそのきっかけになるという点で、メモ機能はデザインのための道具でもある

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ご清聴 ありがとうございました