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AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成⻑戦略 株式会社CARTA HOLDINGS 執⾏役員CTO 鈴⽊健太(@suzu_v) CoLab Conf 2025.07.13

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今⽇話すこと ● AI/LLMの急速な普及により、これまでのエンジニアリング から変わらなければならないと多くの⼈が考えていると思い ます。 ● 不安でもあり、チャンスでもあると感じている⽅も多いと思 いのではないでしょうか。 ● これに対するCARTAのアプローチを紹介しつつ、どのように 個⼈として成⻑していくべきかを考えます。 AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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略歴 2011: (⼤学時代)スタートアップ⽴ち上げ。CTOとしてウェブメディア⽴ち上げやる。 2012: VOYAGE GROUP新卒⼊社。でかいデータをつかってみたいな、と思い広告技術の世界へ。 2014: クラウドのデータ基盤ができたので、解析チームをマネジメントしてみる 2015: やっぱりもっと⼤きな開発チームで挑戦してみたいなと思い、fluct SSPチームへ。 2016: もっとプロダクトにコミットしてみたいな、と思いマネジメントをまたやる 2019: 会社経営にももっとコミットするかと、fluct CTOをやる 2022: このエンジニア組織や⽂化をもっと広めて良くしたいな、と思いCARTA CTOをやる CARTA HOLDINGS 執⾏役員CTO 鈴⽊ 健太 すずけん X: @suzu_v 著書 (いずれも共著) CARTA内の役割 CARTA Tech Board 情報セキュリティ委員会 委員⻑ CTO室 & ICT担当

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事業: 20+ エンジニア: 180+

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AGENDA 01 AI時代の前提 02 AI時代の成⻑戦略 03 CARTAにおける実践例

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01 AI時代の前提

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前提となる考え⽅ 仕事の効率があがっても、効果があがらなければ意味がない。 ⽣産性があがっても、価値創造できていなければ意味がない。 効果 > 効率 価値創造 > ⽣産性 AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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今起きている or 起きつつあること ● レビュー速度に⽣産性が律速する ○ あまりにもコード⽣成が早すぎて、レビューが⼤変 ● 簡単なツールはすぐできるようになった ○ ⼀部の業務しか改善されない (アウトカムが⼩さい) ● リスクマネジメントの危機 ○ ちゃんとレビューするの⾯倒だし、スピード優先で 「えいや」でリリースしちゃいたい気持ちと戦う AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 レビューによって⽣産性が律速する ※CARTA Engineer Youtubeチャンネルに アーカイブ

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(経営として、個⼈として)考えるべきこと ● 「質とスピード」の両⽴ ○ ⻑期的なアウトカムを組織として⾼めるには? ● AI/LLMによる創造性の増幅 ○ 組織としてレバレッジをかけて活かすには? ○ 前提: 競合のチームもAIの恩恵を受ける ● 個としての成⻑ ○ 個⼈として能⼒にレバレッジをかけるには? ○ 経営視点: 個が成⻑すれば組織も成⻑する = ⼈的資本投資 AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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「質」への投資は1ヶ⽉で元を取れる https://martinfowler.com/articles/is-quality-worth-cost.html AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 これまでのエンジニアリング これまでの エンジニアリング やりたい こと 調べる 創る 動かす 直す 考える Developer

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 これからのエンジニアリング これからはその全てを AIと共に実⾏する時代に これまでの エンジニアリング やりたい こと 調べる 創る 動かす 直す 考える Developer

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02 AI時代の成⻑戦略

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70% The Proble m Beyond Vibe Coding / Chapter 3 https://learning.oreilly.com/library/view/beyond-vibe-coding/9798341634749/

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「いい感じにコード書いて」は効かない ● 「いい感じ」ではAIの考える「良い」コードがでてくる ○ 何が良いコードなのかを⾔語化する必要がある。 ● 完全に任せているだけでは、必ずしも良いコードにはならない ○ 持続可能性 ○ 読みやすさ ○ テスタビリティ ○ 依存の深さ ○ データの切り分け ○ 命名 ○ … AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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「ソフトウェアエンジニアリング」と「プログラミング」の違い プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの決定的な違いは3 つある。 時間、スケール、そして作⽤しているトレードオフだ。ソフトウェ アエンジニアリングのプロジェクトにおいてエンジニアは、時間の 経過と、結果的に出てくる変更の必要性に、より配慮しなければな らない。ソフトウェアエンジニアリング組織内では、⽣産するソフ トウェアと、ソフトウェアを⽣産する組織、それら両⽅のスケール と効率に関してより配慮しなければならない。最後に、ソフトウェ アエンジニアとして我々は、時間と発展に対する不正確な⾒積もり に多くの場合基づき、⽐較的⼤きな利害の関係する結果を伴う、よ り複雑な決定の実⾏を求められる。 “

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個⼈の戦略: 「問い」を磨き、経験を重ね、判断⼒を磨く 「問い」によって状況を深く理解し、レバレッジポイントを探すことができる。 (= 効果的なアプローチを⾒つける⼒を⾼める) ● なぜその機能がほしいのか ● ⼩さな投資で⼤きなリターンを得るにはどうしたらいいか ● いま過度に作り込まないほうがいいのではないか ● ピーク時の負荷への耐性、将来的な拡張性、リソース効率などを 多⾓的に満たすにはどうすればよいか AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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「問い」によって、AIからも⼈からも⼒を引き出す ● AIにより学習を増幅し、反復的に⾃⾝の⼒を⾼める。 ● ドメインに習熟し、深く問題を理解する。 ● よい「問い」を持てば、AIからもより⼀層⼒を引き出せる。 AIは脅威でなくチャンス。 AIと共に進化するエンジニアの成長戦略

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役割を分けず、企画‧開発‧テスト‧ デプロイ‧運⽤‧サポートまで 価値提供の全てを担う。 フルサイクル開発は、 CARTAが実践する象徴的なスタイル。 ⾃分で作ったものを⾃分で運⽤する。 経験を加速するフルサイクル

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AIを推進⼒に 開発が更に加速する。 経験も加速する。 結果として素早く失敗し、早く成⻑する。

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03 CARTAにおける実践例

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AIとともに進化するエンジニアの成長戦略 CARTAとして実践していること ● 能⼒を⾼める(学習環境への投資) ● 素早く試し、経験獲得のスピードを⾼める(⾼速実践) ● ⾔語化能⼒を⾼める(暗黙知の表出)

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AIとともに進化するエンジニアの成長戦略 すべての開発チームに共通したプラクティス ● 徹底したコードレビュー ● コードの可読性の重視 ● MTTR(平均修復時間)の重視 ● CI/CDとテスト⾃動化の推進 ● Observabilityへの投資

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AGENDA 01 開発環境への投資: Devin / Claude Code配布 02 毎⽇の情報共有: 「楽しみ」によるコラボレーション 03 技術⼒評価会: 実践知の⾔語化とフィードバック 04 学習基盤: O’Reilly Online Learning 05 AI推進の専⾨組織: CARTA Generative AI Lab PRACTICE

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 エンジニアへDevin / Claude Code配布 Devin AIを全事業部に導⼊(Ver1.0〜) 希望者に Claude Code配布

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 楽しみを生み出す仕掛けづくり CTOが毎週30分技術ネタ(主にAIについて)雑に話す会。 基盤モデル、アプリ、開発ツールの最新トピック共有。 とにかくAI系最新ネタを調べたり見たら SlackのAI Labチャンネルにすぐ共有(400人以上が参加) AIネイティブな開発チームから知見を伝搬 https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/ai-lighthouse-studio

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 ⾔語化⼒の底上げ 主な流れ エンジニアリングの進化を⽀える「技術⼒評価会」 ‧⾃分の仕事をレポートにまとめる ‧他部署2名のエンジニア(評価者)に⾃⾝の仕事をプレゼンする ‧フィードバックレポートをもらう ‧事業部はそのレポートを参考にエンジニア評価を決定する 具体的な評価プロセス

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 学習基盤の整備 - O’Reilly Online Learning導⼊ 全エンジニアを対象に導⼊ ● O’Reilly本はほぼ読める (洋書、和書、翻訳含む) ● Cloud Labs ○ 実際に試せるSandbox環境 ○ e.g. AWS, Google Cloud, Azure ● カンファレンスアーカイブも⾒れる AI系コンテンツが急激に増加中(読みきれない悩みも‥)

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 Generative AI Labの設立と目的 グループ横断でAI推進を行う部署 実装による実験を活動の中心に据え、プロダクトへのAI組み込みを推進

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 Generative AI Labの設立 (2023.04) 事業会社 CARTA CTO ソフトウェアエンジニア データサイエンティスト AI Lab 管掌 知⾒ PoC 共同調査 プラクティス共有 AI活⽤相談 事業開発相談 業務環境 外部サービス ICT本部(情報システム) ガバナンスの連携 ⽣成AIガイドライン設置 外部サービスの共同検証 事業開発機会 AI応⽤実践知識 探索 モデル(LLM)検証 開発ツール 外部サービス ガバナンス面を支えつつ、 AIの探索・応用を加速。 法務‧IT‧セキュリティ etc. リスクアセスメント 情報セキュリティ委員会

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まとめ AI時代の成長戦略 ● AIによって「考え」「作る」時間が濃縮され、サイクルが速くなる ● 素早く失敗し、サイクルを回すことで成⻑が加速する ● 経験価値をあげるには「問い」によって状況判断を深める必要がある ● 内部品質への投資はAI前提時代でより重要性を増す ● 暗黙知を⾔語化することで、AIからも効果的に⼒を引き出せる

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 Generative AI Lab、メンバー募集してます ソフトウェアエンジニア: https://hrmos.co/pages/cartaholdings/jobs/carta-e07 データサイエンティスト: https://hrmos.co/pages/cartaholdings/jobs/carta-e08

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AIは脅威でなくチャンス。AIと共に進化するエンジニアの成長戦略 ブース・コーヒースポンサー実施中!

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EOS