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地表面抽出の方法であるSMRFについて紹介 板倉健太 ImVisionLabs株式会社代表取締役

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3次元点群から地表面抽出を行う方法について  3次元点群の前処理として地表面抽出は重要です • 例1: 森林の点群から地表面抽出をすることで樹木の高さが計算可能 • 例2: 点群から建物の高さを計算したり、物体の認識のヒントとして利用可能 地表面:茶色 Pingel, T. J., Clarke, K. C., & McBride, W. A. (2013). An improved simple morphological filter for the terrain classification of airborne LIDAR data. ISPRS journal of photogrammetry and remote sensing, 77, 21-30. 1 東京都デジタルツイン実現プロジェクトによる公開データを使用しています https://info.tokyo-digitaltwin.metro.tokyo.lg.jp/

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SMRFについて:実行結果 2  SMRFを実施した結果 〈RGB表示〉 〈地面を青、地面以外を黄色で表示〉 ◆SMRFによる地表面の分類結果(MATLAB R2024aにて実行) ◆CloudCompareによる可視化(正解データ) 〈地面を青、地面以外を黄色で表示〉 上手く分類できていることが分かります 東京都デジタルツイン実現プロジェクトによる公開データを使用しています https://info.tokyo-digitaltwin.metro.tokyo.lg.jp/

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3 SMRFの全体像 鳥瞰図化 最小点抽出 ノイズ除去 厚みをもとに分類 分類の調整 • 点群をX-Y平面のDSM (Digital Surface Model)へ変換 • グリッド内の最小値から表面を形成 • 地表面の平滑化 • ステップ4で作成した基準面と厚みから地表面抽出 • 勾配情報から地面を分類 ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5 ステップ6 欠損値穴埋め • スキャンできなかった地表面や欠損値をなめらかに補間

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SMRFについて:鳥瞰図への変換  ステップ1:上から見た図(鳥瞰図)に変換します 画像出典:PointPillars — 3D point clouds bounding box detection and tracking https://becominghuman.ai/pointpillars-3d-point-clouds-bounding-box- detection-and-tracking-pointnet-pointnet-lasernet-67e26116de5a • 主なパラメータ:グリッドサイズ 4 • 対象が広い場合はグリッドサイズを大きく設定する

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SMRFについて:最小値を利用して表面を形成  ステップ2:各グリッドでの最小の高さを持つ値を探索し、そのグリッドに格納します 上から見た図 各グリッドに その場所の最小値を格納 青:人為的に穴を開けたので 外れ値のようになっている • 「地表面は点群の最も低い点であることが多い」という前提 5

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SMRFについて:ノイズの除去  ステップ3:建物の屋根や樹木の点(樹冠)の除去を行います • 以下の赤枠のように、樹冠下がスキャンできない場合、樹冠の点が最下点となります 6 図出典: Pingel, T. J., Clarke, K. C., & McBride, W. A. (2013). An improved simple morphological filter for the terrain classification of airborne LIDAR data. ISPRS journal of photogrammetry and remote sensing, 77, 21-30.

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SMRFについて:ノイズの除去  ステップ3:建物の屋根や樹木の点(樹冠)の除去を行います • 建物や樹冠の点は「オープニング」にて除去可能です 画像出典: ディジタル画像処理 Kindle版 7

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SMRFについて:ノイズの除去  ステップ3:建物の屋根や樹木の点(樹冠)の除去を行います • オープニングで除去された点⇒地表面ではない • オープニング時に利用する探索範囲 ⇒上限値まで増やしながら複数回行う 8 • 繰り返し処理の回数などは自分で設定 対象の点群を上から見た様子 建物

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SMRFについて:ノイズの除去  ステップ3:建物の屋根や樹木の点(樹冠)の除去を行います • オープニングで除去された点⇒地表面ではない • オープニング時に利用する探索範囲 ⇒上限値まで増やしながら複数回行う 9 • 繰り返し処理の回数などは自分で設定

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SMRFについて:欠損した点の穴埋め  ステップ4:スキャンできなかった地表面の穴埋めを行います • うまくそのグリッドの点が取得できない場合、そのグリッドの値が欠損します 各グリッドに その場所の最小値を格納 青:人為的に穴を開けたので 外れ値のようになっている 10

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SMRFについて:欠損した点の穴埋め  ステップ4:スキャンできなかった地表面の穴埋めを行います • 地表面の欠損した点は「クロージング」にて補間可能です 画像出典: ディジタル画像処理 Kindle版 11 • 自然に欠損値を埋める(内挿)する方法であればどのような方法でも可能(※) ※ Pingelらのオリジナルの実装(MATLAB)では、 inpaint_nansという手法が利用されています

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SMRFについて:推定高度モデル 12  ステップ4:穴埋めされたグリッドの高度情報を補間します a: 初期状態のイメージです b: 近くの点を探索します c: 近くの点から重み付けにより欠損部分が保管されます d: 平滑化された最終結果です。 高さの情報が欠落している

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SMRFについて:厚みを設定  ステップ5:厚みを設定し最下点からどれくらいの高さの点までを地表面とするかを指定 • 解析の目的などで調整することが望ましいです 厚み • 各グリッドの最下点は、平滑化処理で滑らかにすることも可能です 13

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SMRFについて:高度が高い点を除去  ステップ5:高度が閾値よりも高い点を除去します • 周辺ピクセルと比較し、閾値(任意)以上のグリッドを地表面でないとします 14 最小点 閾値 地表面 地表面以外 • 急な傾きの斜面がある場合、地面とみなされない場合があるため勾配を考慮します 最小点 閾値 地表面 地表面以外 本当は地表面

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SMRFについて:急峻な面を除去  ステップ6:勾配の大きい面を除去します • 以下の赤枠のようにビルの一部がこれまでの処理で残る場合があります • 周辺ピクセルと比較し、一定の勾配(任意)以上のグリッドを地表面でないとします 15 図出典: Pingel, T. J., Clarke, K. C., & McBride, W. A. (2013). An improved simple morphological filter for the terrain classification of airborne LIDAR data. ISPRS journal of photogrammetry and remote sensing, 77, 21-30.

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SMRFについて:パラメータ一覧  本スライドの作成におけるSMRFの実行にて利用された主なパラメータを掲載します 16 パラメータ名 値 説明 グリッドサイズ 1 m ステップ1にて説明されたグリッドの一辺の長さ 高さの閾値 0.7 m 各グリッドでの地表面のシード点からどの高さまでの範囲の 点を地表面とするか 勾配 0.15 隣あうグリッドの高さの違い(比率)がどの値以下である場合 に、そのグリッドが地表面であるか。急こう配な斜面も地表面 としたい場合は、この値を大きくする。