Slide 1

Slide 1 text

UIをもたらすコンテクストの考察 森田 雄 インフォメーションアーキテクト 株式会社ツルカメ 2024年3月2日

Slide 2

Slide 2 text

情報が表示されていて、 それを編集するっていうようなタスクの時…

Slide 3

Slide 3 text

たとえばBacklogは、 viewとは異なるURLへ遷移してeditする

Slide 4

Slide 4 text

たとえばfreee人事労務は、 viewと同じURLのままでeditする

Slide 5

Slide 5 text

たとえばJiraは、 viewとeditが同居している (項目単位でそのままedit)

Slide 6

Slide 6 text

どうしてこういう違いがもたらされるのだろう?

Slide 7

Slide 7 text

分解されたタスクのステップをそのまま画面ごとに割り振っている viewとeditをそれぞれモードとして解釈している editするユースケースを鑑みて、editの単位を細かく細分化している そもそも実装のフレームワークに依存してこうなっている このタスクではこうなっているけど、他方のタスクではまた違うインタラクションである 支援技術での使用のしやすさを鑑みて選択 ユーザーにヒアリングした結果を反映

Slide 8

Slide 8 text

…などなど、さまざまな文脈から、こうした結果が もたらされているが どれが正解か?は作るプロセスに依存している

Slide 9

Slide 9 text

そのうえで、最終アウトプットに対する ユーザビリティテストやリリース後の分析などを経て、 さらに正解を求めて改善活動が行われて、 その結果がそれぞれのUIとなっていると考えられるだろう

Slide 10

Slide 10 text

No content

Slide 11

Slide 11 text

UIの正解を考える時、 そもそもとして、 UIのデザインがどうのこうのという前に、 情報設計の原点から考えたい

Slide 12

Slide 12 text

ユーザー目線も 大事だけれど

Slide 13

Slide 13 text

もっと大事な 情報目線

Slide 14

Slide 14 text

UIレイヤーにおける UXデザイン的なアプローチは、 どうしてもユーザー目線に偏りがち

Slide 15

Slide 15 text

でも、ユーザーの声を聞く前に 情報の声を聞こう

Slide 16

Slide 16 text

IAにおける、ごくごく基礎的な活動として、 情報の組織化(構造化や体系化)がある 構造化:情報を要素単位で分解・分類すること 体系化:情報から原理や法則を導出して関連付けること というと小難しいが、さいわい、便利な分類方法がいくつか あって、たいがいは、それらを使って組織化できる

Slide 17

Slide 17 text

LATCH リチャード・ソール・ワーマンによる、 世界で最も有名な情報の組織化の手法 [L] Location (位置) [A] Alphabet (文字のソート) [T] Time (時間) [C] Category (カテゴリー) [H] Hierarchy (連続量) 出典 Information Architects (Graphis Inc, 1996/3/1) Information Anxiety (Doubleday, 1989/1/21)

Slide 18

Slide 18 text

そのほかにも The 7 C's of Data Visualization J. Hilden, J. Koponen “Data Visualization Handbook” Aalto University, 2019 ファセット分類 R. Ranganathan (ランガナタン), Colon Classification (コロン分類法), 1933 から ハブ・アンド・スポーク構造 FedEx創業者Frederick Smith氏考案の物流の構造概念を情報構造に拝借

Slide 19

Slide 19 text

No content

Slide 20

Slide 20 text

情報の声を聞くというのは、 そういうことじゃない

Slide 21

Slide 21 text

たとえばプレスリリースというコンテンツ 表示されるインデックスページで、 時系列に並んでいるのはなぜか? ユーザーがそう望んだから、ではない そう設計する時にいちいちユーザー調査なんかしないし、 過去の文献や論文をあたることもしない 必然として、時系列に並べるのだ

Slide 22

Slide 22 text

なぜ「必然」なのか?

Slide 23

Slide 23 text

プレスリリースが 時系列で表示されたがっているから

Slide 24

Slide 24 text

UIの正解を もたらすには

Slide 25

Slide 25 text

ユーザーがどう見たがっているか? どう編集したがっているか? どう使いたがっているか? といった、UX寄りなUI設計よりも

Slide 26

Slide 26 text

情報がどう見られたがっているか? どう編集されたがっているか? どう活用されたがっているか? むしろ情報の気持ち・人格へ寄り添った設計こそが重要

Slide 27

Slide 27 text

ユーザーへ通ずるコンテクストと 情報へ通ずるコンテクストが交わる点に、 WebサイトやWebアプリケーションのインターフェース そのものがあるのだと そう考えるのです。

Slide 28

Slide 28 text

情報の気持ちだの人格だのというと、 じゃっかんオカルト的なのではありますが、 「情報のふるまい定義」という言い回しで表現しながら 普段からこのアプローチでいろいろ設計しています。

Slide 29

Slide 29 text

聞こうよ!情報の声!

Slide 30

Slide 30 text

Presented by Yu Morita @securecat