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1 © Internet Initiative Japan Inc. 変化に強いチーム作りとチームを支える組織文化を作り出す仕掛けを大公開 株式会社インターネットイニシアティブ 2024年1月11日 中日本事業部 名古屋支社 技術部 技術4課 北河 直樹

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2 このテーマを話すモチベーション 私はマインドおじさん • 過去、スクラムフェス大阪や三河でマインドの重要さについて話をしてきた • スクラムをやりたい訳じゃないよね?アジャイルになりたいんだよね? • プロセスだけを真似ても効果はないよ。マインドとセットで意味があるよ • だからマインドの注入はめちゃくちゃ重要 • だけどスポット的に効果があっても定着するまでには至らないことも分かってきた • マインドを定着させるには継続させる “仕掛け” が効果的ということも分かってきた 開発ベンダーである私たちの “仕掛け” を知ってもらうことで 何らかのヒントになればうれしい

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3 アジェンダ 1. 自己紹介 2. インターネットイニシアティブの紹介 3. 開発ベンダーのスクラムチーム事情 1. 名古屋支社 技術4課の立ち位置 2. (疑問)そもそも開発ベンダーのスクラムって需要あるの? 3. 変化に強いチームとは? 4. それらを支える組織文化とは? 4. 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 1. 仕掛けの話をする前に 2. 変化に強い組織文化を作る仕掛け 3. 変化に強いチームを作る仕掛け 4. うまく働かなかった仕掛け 5. 実際どうなの?現在のとあるチームを紹介 5. まとめ

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4 自己紹介

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5 自己紹介 北河 直樹 株式会社インターネットイニシアティブ 中日本事業部 名古屋支社 技術部 技術4課 IIJ名古屋支社でのアジャイルへの取り組みに共感して2020年8月に入社 組織運営・スクラムマスター・技術営業をしつつ、社外へIIJでの取り組みを情報発信中 スクラムフェス三河実行委員 ■X (旧Twitter) @nk_tamago 1998 カーナビ向け地図エンジニアとして地図製作システムの開発・運用に従事 2018 チーム開発に専念するため、ユーザ―企業からベンダー企業へフィールドを移す 2020 IIJ名古屋支社でのアジャイルに共感し現職に至る 2014 アジャイルに出会い可能性を感じる PdM 兼 PO として自動運転を見据えた次世代地図プラットフォームを推進 国内2拠点 + オフショア1拠点 の 3チームで成功体験し、チームのポテンシャルを知る 1997 デジタルカメラの組み込みエンジニアとしてキャリアスタート

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6 情報発信 IIJ Engineers Blog で情報発信しています IIJ Technical NIGHT vol.11 https://eng-blog.iij.ad.jp/archives/10716 名古屋開発チームのアジャイルな日々 https://eng-blog.iij.ad.jp/ngy-agile

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7 インターネットイニシアティブの紹介

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8 IIJとは 国内初の「商用インターネット接続サービス」事業者です。 東証上場時 創業時オフィス IIJは、1992年に設立され翌年「日本初の商用インターネット接続サービス」の提供をはじめました。以来、IIJグループはネットワーク社会の基盤をつくり、技術力でその発 展を支えてきました。IIJは、これからもインターネットの進化を支え続けていきます。 2022年12月3日に30周年を迎えました IIJは、高い技術力で“国内初“を創り続けています。 ➢ 1993年 国内初 商用インターネット接続サービス提供開始 ➢ 1994年 国内初 ファイアウォールサービス提供開始 ➢ 1999年 国内初 サービス品質保証制度(SLA)を導入 ➢ 1999年 国内初 IPv6の商用実験サービスを提供開始 ➢ 2003年 国内初 ルータ管理システム「IIJ SMF」を開発し特許取得 ➢ 2005年 国内初 送信ドメイン認証技術の導入を開始 ➢ 2011年 国内初 外気冷却を利用したコンテナ型データセンターを開設 ➢ 2018年 国内初 フルMVNOとしてサービス提供開始

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9 イニシアティブの軌跡 高い技術力で先進的なカタチを創る インターネット接続サービス提供開始 インターネットのビジネスにおける活用を加速させるため、国内初のイ ンターネットの商用接続サービスを開始。 ファイアウォールサービス提供開始 ネットワーク機器のアウトソース志向の高まりに応じて国内初のファイ アウォール運用・監視サービスを開始。 サービス品質保証制度 (SLA) を導入 回線遅延により品質が求められる中で、インターネット接続サービスを お客様に保証する国内初の制度を開始。 IPv6 の商用実験サービスを提供開始 IPv4の枯渇問題にいち早く取り組みを開始し、国内初のIPv6の通信を 行う仕組みを開発。 リソースオンデマンドサービスを開始 サーバなどの必要なリソースを柔軟に利用可能なクラウドサービス (IaaS)の先駆けとなる「iBPS」を開始。 ルータ管理システム「IIJ SMF」を開発 ルータ設置の課題を解決するため、独自ルータ「SEIL」を管理する国内 初のシステムを開発し、特許を取得。 送信ドメイン認証技術の導入を開始 迷惑メールへの対策として、早期から送信ドメイン認証の実用に取り組 み、国内初のサービスへの導入を開始。 松江データセンターパークを開設 求められるコスト最適化のため、国内初の外気冷却を利用し、収容効率 を高めたコンテナ型データセンターを開設。 情報分析基盤 (SOC) の構築 高度化する脅威に対し、早期の発見・対処を実現するため、バックボー ン上のログを解析するSOC基盤を構築。 フルMVNOとしてサービス提供開始 NTTドコモ網を利用する国内初のフルMVNOとして、独自のSIMカードを 発行・管理し、柔軟なサービス設計を実現 インターネットを商用化 ルータの現地設定を不要に 研究目的の限定的利用 ビジネスへの活用 現地での煩雑な設定 現地でつなぐだけ 199 3 199 4 199 9 199 9 200 0 200 3 200 5 201 1 201 6 201 8

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10 事業領域の拡大 セキュリティ事業 クラウド事業 インテグレーション事業 ネットワーク事業 9,429Gbps 接続サービス契約総帯域 モバイル事業 モバイル回線数 (法人+個人+MVNE) 440.1万回線 324.3億 1109.4億 クラウドサービス(ストック)売上高 システムインテグレーション売上高 (機器販売含む構築+運用保守) ※ネットワーク、モバイル事業:2024年3月期 上半期 決算説明会資料より ※クラウド、セキュリティ、インテグレーション事業:2023年3月期 決算説明会資料より ISPから事業領域を拡大 267.4億 セキュリティサービス(ストック)売上高

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11 IIJサービスの全体像

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12 開発ベンダーのスクラムチーム事情

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13 名古屋支社 技術4課の立ち位置

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14 名古屋支社 技術4課の立ち位置 ネットワーク事業 インテグ レーション事業 クラウド事業 セキュリティ事業 モバイル事業 会社、家庭、学校などを「つなぐ」事業 ITシステムとネットワークの安全を「守る」事業 お客様の要望を、ITで「作って叶える」事業 例えばスマホ、IoTなど「無線でつなぐ」事業 ネットワーク経由で「システムの機能を貸す」事業 名古屋支社 技術4課 IIJ テクノロジ― ユニット ビジネスユニット MVNOなどIIJサービスを担当 インテグレーション事業など 顧客ビジネスを担当 事業 組織図 IIJの事業領域 顧客フロントとして、IIJのサービスを使 い顧客のビジネス拡大に貢献していく ビジネス みまもり・エネマネ アプリケーション, シス テム クラウド (AWS) クラウドネイティブ, サーバーレス IoT, WebAPI, WebUI, モバイルアプリ 顧客 インフラ アーキテクチャ 要素技術 開発物 顧客ドメイン ※スクラムロール 開発者 スクラムマスター プロダクトオーナー

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15 (疑問)そもそも開発ベンダーのスクラムって需要あるの?

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16 (疑問) そもそも開発ベンダーのスクラムって需要あるの? 日米におけるソーシング手段 出典: DX白書2023 ITシステム・デジタル技術活用 日本は全てにおいて内製より も外部委託の比率が高い 日本は外部委託頼みとなっている お手伝いお願いしますー

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17 (疑問) そもそも開発ベンダーのスクラムって需要あるの? 内製化への推進と妨げ 出典:IDC Japan 内製化する社内エンジニアの状況(従業員規模別) 2022年6月29日 出典:ガートナージャパン 2023年1月18日 日本の内製化はまだまだ時間がかかる 大企業は内製化は進んではいくが、 中小企業の内製化は進みが遅い 1 1 2 2 内製化推進の妨げとして、 人材不足、育成、スキルの問題がある

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18 (疑問) そもそも開発ベンダーのスクラムって需要あるの? 結局どうなの?需要ある? 出典:IPA プレス発表記事 2020年3月31日 • 日本はまだベンダーによる開発が主流 • 内製化するには解決すべき課題が多い 日本での外部委託は当面無くならないので需要はある ユーザー企業とベンダー企業が協働 するアジャイル開発が求められる

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19 実際の現場で起きていること

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20 実際の現場で起きていること 顧客が変わったり、同じ顧客でも案件が変わると… ◼技術がごっそり変わる • 案件に必要な技術は、得意な技術ではない場合がある • 使ったことの無い技術やサービスが必要となる場合がある ◼人の入れ替わりが発生する • 案件の規模によってメンバーの IN/OUT が発生してしまう • 協力会社の都合でも IN/OUT が発生してしまう • 場合によってはチームがバラバラになる場合も ◼ビジネスドメインがごっそり変わる • 顧客ビジネスやサービスが変わるため、今まで培ったドメイ ン知識が意味を持たなくなる • ドメイン知識 ゼロスタートから始まる 様々な変化に対応することが求められる 今までの知識が約に立たない… ハンダは得意なんだけどなー 次の案件では役に立たないなー 明日から君はこっちに来て

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21 実際の現場で起きていること 開発ベンダーは変化に強くあれ 技術 の変化 ビジネス の変化 人 の変化 ビジネス・技術・人 は常に変化するためチームの安定が難しい 変化に強いチームが必要 だからこそのスクラムチーム!

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22 変化に強いチームとは?

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23 変化に強いチームとは? 私たち(開発ベンダー)が描く変化に強いチーム ◼技術の変化に追従できる • 使ったことの無い技術やサービスに抵抗がない • 変化を楽しみながら学んで使いこなせる ◼人の変化に追従できる • メンバーの IN/OUT が発生してもチーム文化が継承されてい る ◼ビジネスの変化に追従できる • 新規顧客や新規案件でビジネスドメインが変わりドメイン知 識をゼロから学びことに抵抗がない ビジネス・技術・人 の変化に強いチーム ヒャッハー!新しいドメイン知識だぞ! ほー、こうやって使うのか わっしょいわっしょい

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24 チームC 実際の現場で起きていること チームだけではなく組織も変化に追従できる必要がある 組織が変化に追従できないとチームだけでは変わることはない チームA チームB チームC 組織 失敗ゆるさんよ 即結果だしてよ (何も変えたくない…) (だんまり) (言われたことやろ) こんな組織では何もできない!

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25 それらを支える組織文化とは?

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26 それらを支える組織とは? 組織が目指す姿 アジャイルな組織 … 顧客やトレンドの変化に対して敏感になり、素早く適応できる組織 ◼ヒエラルキー型組織ではなくネットワーク型組織 • 指示・命令ではなく、個々が協調し変化に対して素早く動く 組織 ◼文化を大切にし、チーム・文化を継承し続ける組織 • チームは様々な経験から学習し文化を形成する。チームの集 合知である文化を守る組織 Team ZeroScope (結成4年半) メンバー交代を繰り返しながら文化を継承して現在に至る 様々なジャーゴンが生まれ一体感のあるチーム ◼アジャイルになるために変化し続ける組織 • 組織運営もアジャイルになることで組織の成長をインクリメ ント出来る組織 民族 戒 ヒエラルキー型組織 ネットワーク型組織

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27 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け

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28 仕掛けの話をする前に

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29 仕掛けの話をする前に なぜ仕掛けが必要なのか? 行動変容 マインド マインドを注入・意識するだけでは一時的な行 動変容はあっても継続しないことは経験済み 過去のスクラムフェス大阪・三河での話 「意識しましょう!」では変わらない 仕掛け 直接的 間接的 継続させるための仕掛けがあっ て行動変容が定着 変化こわい… 変化好き!! 行動変容するにはマインド注入と何からの仕掛けが必要

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30 仕掛けの話をする前に 仕掛けとは? (1) 相手にしかけること。先に攻撃などをすること。「敵の―を待つ」 (2) 目的のために巧みに工夫されたもの。 ア. 装置。からくり。「自動的に閉まる―」「種も―もない」 イ. 策略。たくらみ。「まんまと―にはまる」「色―」 ウ. 釣りで、ねらう魚に応じて、糸・針・おもり・浮きなどを仕組んだもの。 (3) 物事をし始めて中途であること。やりかけ。「―の仕事を済ます」 (4) 「仕掛け花火」の略。 (5) もののやり方。手段。「今の商売の―、世の偽りの問屋なり」〈浮・胸算用・一〉 (6) 食事などの用意。「流元(ながしもと)に明日の―してゐると」〈滑・膝栗毛・発端〉 (7) 江戸時代、金貨・銀貨・銅貨の換算相場をごまかすこと。 出典元:デジタル大辞泉 目的あっての仕掛け 目的を忘れた仕掛けは形骸化する

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31 現在継続中の仕掛け

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32 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 現在継続中の仕掛け スクラムマスターズ会 チーム集合知を組織集合知へ 能動的コーチング 一歩踏み出せ チームNOCKnock 運営もアジャイル・スクラム ペア・モブワーク 集合知で良いプロダクトを チームビルディング 時間を惜しむな。最初が大事 ライトニングトーク会 表現力を磨け 1 on 1 小さな変化を察知 変化に強い組織文化を作る仕掛け 意識向上活動 絵本を作れば解決とかおこがましい スクラムガイドガイド 鮮度が落ちた解説書を誰が読む 全員前衛に立つ 誰もが開発者、誰もがファシリテータ 終日オンライン顔出し コミュニケーションロスを減らせ 全部入り 誰もがフルスタックエンジニア 変化に強いチームを作る仕掛け うまく働かなかった仕掛け

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33 変化に強い組織文化を作る仕掛け

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34 [チーム NOCKnock] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け チーム NOCKnock • 目的 • “運営もアジャイルになる” • 組織運営をスクラム で変化に追従しながら組織のテーマに沿ってビジョン・ゴールへ向かう • 課目標を達成するために、名古屋支社技術4課 というサービスを成長させるチーム • 組織のテーマ • 組織運営 … 高品質なサービスをアジャイルに提供できるチームの運営 • 営業 … 強みを活かした営業・提案 • 広報 … 私たちを知ってもらう種まき活動 個人目標 課目標 部目標 事業目標 ビジョン・ ゴール策定 Q単位 ゴール策定 テーマ毎の バックログ フィード バック 技術4課の組織運営 スクラム(1週間スプリント)で実施 短いサイクルでゴールに向かってピボット 事業計画 Q単位でふりかえり、ゴール見直し 課の目標を達成させるのが チーム NOCKnock チームNOCKnock 運営もアジャイル・スクラム 方針策定 年間実行 計画 定期確認 計画修正 一般的な組織運営 月単位・Q単位で確認、修正

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35 組織運営 営業 広報 [チーム NOCKnock] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け NOCKnockのミッション 技術4課 サービス 既存・新規 顧客 サービス開発チーム チーム A チーム B チーム C チーム D チーム E IIJ社外 (潜在顧客) IIJ社内 (案件紹介) チーム NOCKnock 高品質なサービスをアジャイルに 提供できるチームの運営 顧客サービスを素早く提供 することで顧客満足度向上 知ってもらうことで 将来案件に繋げる種まき活動 新規案件の獲得に向けた提案 「技術4課」というサービスを 営業・広報・組織運営 の3つのテーマで成長 エンドユーザにどん な価値を提供できる か?が説明できるこ とが大切

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36 [ライトニングトーク会] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け ライトニングトーク会 • 目的 • 人前で伝える力を鍛える • 私たちのチームには固定ファシリテータは存在しない • 誰もがファシリテータでもある • (純粋に楽しい) • 具体的な取り組み • 毎週チーム単位で発表 • 毎週木曜日 13:00-14:00 • 2019年7月開始 • 約180回開催。約700以上のLTネタ • 縛りはなく、趣味、ハマっていること何でもあり • 北河は19回発表 • 組織の当たり前文化 • 課会と同じ位置付け • お互いを知る手段の一つとしても重要な位置づけ ライトニングトーク会 表現力を磨け 北河の過去LT内容 2020-09-08 自己紹介 2020-12-22 らすかるMK-2爆誕 2021-03-35 ありがたいお話し 2021-05-27 キラキラお菓子 2021-08-05 キーボードのお話 2021-09-30 DARK SOULS 10周年 2021-11-18 イヤホンの偏った世界 2022-01-20 おもち回 2022-03-10 leaflet.js 2022-04-28 17人のおっさん 2022-06-23 天才かな? 2022-08-18 デザインパターン 2022-10-20 8bit 2023-01-26 定年後もエンジョイしたい 2023-03-16 映像は奥深い 2023-05-11 知らない世界 2023-07-13 カンファレンス運営の裏側 2023-09-07 日本バスケの小話 2023-11-09 記憶の話

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37 [スクラムマスターズ会] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け スクラムマスターズ会 • 目的 • スクラムマスター同士が経験から学んだことや失敗したことを共有しチーム力を底上げする • 外部の旬な話題など情報を取り込んで知識のアップデートを行う • スクラムマスターの悩みを吐き出せる場 • 業務連絡の場や Scrum of Scrum ではない • 具体的な取り組み • 2019年4月より開始。毎週、各チームのスクラムマスターが集まる • チームで起きた出来事・チャレンジしたこと・学んだことを共有 • オススメの本や、カンファレンスの内容共有などジャンルは様々 • 話すテーマはなんでもよい • 情報を出して考えて何か学びとなれば勝ち • 直近で興味深かった話 • Q: 「チームが何となく元気ないなあ と感じるときに何かしていることありますか?」 • デイリーがシーン...と始まるのがツライ • アイスブレイク入れるけど滑る • こういった内容で意見を出したりAIに聞いたりしてワイワイ 参考: 議事メモ スクラムマスターズ会 チーム集合知を組織集合知へ

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38 [1on1] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 1on1 • 目的 • 1on1 を通じて個人・チームの変化を察知し、素早く対処ができるようになる • 巷で言われている1on1というより、健康診断的な位置づけ • 具体的な取り組み • チーム・個人の状態、出来事、心配事などを会話 • 実施タイミング • 四半期単位で定期的実施 • デイリーやふりかえりなど日常から変化を察知 • 心配事や課題感の内容によってアクションを実施 • ふりかえりで話題を出す • 緊急度が高ければ個別対処するなど • 重かった 1on1 • スキル・ドメイン知識が豊富なメンバーの “無意識な有害ふるまい” を察知 • 1on1で向き合い、チームで話し合い、改善したと思わせてからの再燃を何度も繰り返す • 最終的にHRTを心で理解できない人はこれ以上無理と判断 1 on 1 小さな変化を察知

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39 [能動的コーチング] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 能動的コーチング • 目的 • 日常的にチームへ顔を出すことでチームの困りごとやタコツボ化をいち早く察知し、一歩先に踏み 出せるように後押しをする • 具体的な取り組み • デイリーやふりかえりなどに参加し、ここだ!というタイミングで差し込む • 突然差し込まれてもチームは困惑する。会話の中やふりかえりでチームの関心が高まった時に差し 込むと有効 • とあるデイリーでのコーチング • スプリントゴール … 「(PBI)が完了すること」 • 「完了したらどんな状態になっている?どんな価値を提供できる?それをゴールにすると、それを 為すために何をすべきかって話合えるね」 能動的コーチング 一歩踏み出せ

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40 変化に強いチームを作る仕掛け

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41 [チームビルディング] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け チームビルディング • 目的 • 様々な背景を持つメンバーがグループではなく1日でも早くチームとなりチームビルディング後に迷 わず進めれるようになる • 具体的な取り組み • アジャイル・スクラムに触れて理解 • お互いの立場、背景を知って、目指す方向性に合わせる • 約3日間のコンテンツ。チームに新規メンバー参入時も実施 • アジャイル・スクラムの座学・体験 • 自己紹介 • アジャイル開発の概要説明 • スクラムの概要説明 • レゴスクラム体験 • プロジェクトの概要を知る • プロダクト概要の説明 • インセプションデッキ作成 • われわれはなぜここにいる、エレベータピッチ、 ご近所さんを探せ、トレードオフスライダー • チームになる • Step1 お互いを知る • Step2 目指すものを明確にする • チームで大事なことは?、ワーキングアグリー メントを決定する、チーム名を決定する • Step3 スクラムの時間割を設定する • Step4 Ready,Doneの定義を設定する • スプリント0でやることを知る • スプリント0の説明 • MVPの説明 • バックログと計画の説明 • バックログの作成方法、粒度 • バックログの優先度決め • 相対見積に関する座学 • 全体見積、リリースバーンダウン • プロダクトの概観整理の説明 • 開発環境、検証環境、本番環境 • ネットワーク等のアーキテクチャの整理 • 非機能要件の整理 • 環境・非機能要件から技術的負債の洗い出し • チームについての説明 • メンバースキルの明確化 • 不安に思っていること、心配ごとの洗い出し チームビルディング 時間を惜しむな。最初が大事 チームビルディング例

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42 [全員前衛に立つ] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 全員前衛に立つ • 目的 • 誰もが各種イベントのファシリテータ、ロガーとなることで属人化を排除 • ファシリテータはスクラムマスターの役割ではない • 新規メンバーにも公平に回ってくる • ファシリテータとなることで当事者意識を持つ • 具体的な取り組み • 具体的な人選はチームにお任せ • ローテーションやクジ引きで決めている • ファシリテータだけではなくロガーも全員が公平に担当 • イベントの準備はモブで行うため新規メンバーも安心 • 進め方や実際行ったイベントでうまくいかなかった場合はふりかえりで改善 全員前衛に立つ 誰もが開発者、誰もがファシリテータ

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43 [終日オンライン顔出し] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 終日オンライン顔出し • 目的 • コミュニケーションの質を高める • コミュニケーションの質を上げるには顔出しが良いと過去の経験から • 五感の内、視覚と聴覚しかないオンラインで情報量を増やす仕掛け • 監視が目的ではない • 具体的な取り組み • 9:00 - 17:30 の間 常時カメラON • モブ、ペアワーク中も 常時カメラON • 休憩中や離席する場合はカメラOFF 終日オンライン顔出し コミュニケーションロスを減らせ

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44 [ペア・モブワーク] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け ペア・モブワーク • 目的 • 複数視点を持つことで一人では解決が難しい課題を克服し、品質向上とより良いプロダクトにする • メンバーの入れ替わりが発生する組織であるため、スキトラ・メンバー育成にも期待 • 具体的な取り組み • モブワーク • アーキテクチャ検討などチームの集合知を駆使して対応する場合 • 難易度が高いなどチームがモブが良い判断した場合 • 初めての技術・サービスを扱う場合 • ペアワーク • プロダクトバックログアイテムを対応する場合 • 組織としてはペアワークを推奨 • ペア・モブとソロの使い分け • ただ “やるだけ” のタスクは分担してソロワーク ペア・モブワーク 集合知で良いプロダクトを

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45 [全部入り] 変化に強いチームと組織文化を作る仕掛け 全部入り • 目的 • なんでも出来るチームにしたい • 特定分野に対して苦手意識をなくし、技術の変化に素早く対応できるようにする • 最初から役割を決めると無意識に限界を作ってしまうため、それを取っ払い限界突破してもらう • この人はフロント、バックエンド と最初から決めてしまうとそれしか対応しなくなってしまう • 成長の機会を奪う悪手と考える • 具体的な取り組み • 得意苦手、経験している・していない関係なしに、全員がフロントエンド、バックエンド、スマホ アプリ、インフラ構築、運用を対応する • 初めてや慣れていない技術や分野は、モブ・ペアで学びながら覚える • とあるチーム • 参加したメンバーは、クラウドを触ったことない・アジャイル初めてでも1年後はフルスタックエン ジニアに成長 • インフラは IaaC でAWS上に構築 • バックエンドはサーバレスアーキテクチャで構築 • フロントエンドはSPAをvueを使って構築 • スマホアプリはマルチプラットフォームアプリをFlutterでリリース 全部入り 誰もがフルスタックエンジニア

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46 うまく働かなかった仕掛け

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47 うまく働かなかった仕掛け 意識向上活動 • 目的 • アジャイルに必要な品質や効率意識を高めて行動変容させる • 具体的な取り組み • 意識を高めるための仕掛けとして 啓蒙絵本 を作成し展開 • 結果どうなったか? • 瞬間的な行動変容はあったものの、存在自体はすぐ忘れられえてしまう ドキュメントを作れば行動変容が起きるとかおこがましい 意識向上活動 絵本を作れば解決とかおこがましい

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48 • 役割 • PO ( プロダクトオーナー ) • SM ( スクラムマスター ) • メンバー ( 開発者 ) • ステークホルダー • イベント • デイリースクラム • バックログリファインメント • スプリントプランニング • スプリントレビュー • スプリントレトロスペクティブ • アウトプット • プロダクトバックログ • スプリントバックログ • インクリメント • misc • キャパシティ • ベロシティ • バッファ • リファレンスストーリー • ポイント見積もり • スプリント0 • Ready の定義、Done の定義 • 幸福度・幸福指標 • プロダクトゴール うまく働かなかった仕掛け スクラムガイドガイド • 目的 • スクラムを実践してきた経験を生かしてスクラムガイドを未経験者でも理解できるようにする • 具体的な取り組む • スクラムマスターズ会でスクラムガイドの内容を読み解き、ドキュメント化する • 結果どうなったか? • 長期間にわたる取り組みの中で、理解の変化に対応出来ず鮮度が落ちた使えないガイドが完成 スクラムガイド スクラムマスターズ会 スクラムガイドの理解は実践の中で経験を積むと変化する その時点での経験から理解した内容をドキュメント化したところで誰も読まない スクラムガイドガイド 鮮度が落ちた解説書を誰が読む

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49 実際どうなの?現在のとあるチームを紹介

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50 実際どうなの?現在のとあるチームを紹介 実際のチーム紹介 ◼気が付いたら真のフルスタックになっていたチーム • スマホアプリ、フロントエンド、バックエンド、インフラ構 築(AWS)、運用、すべてがこのチームで対応出来る • 様々な技術を吸収していった結果 ◼開発者のビジネスドメインがクソ強くなったチーム • PO(顧客)と開発者がビジネスドメインについての疑問や旬な 話題について常に会話している • デイリー後に会話することで日々情報をアップデート • ビジネス変化に強い! とあるチームの紹介 わいわい わいわい やいのやいの インフラも構築してー スマホアプリ作ってー 任せなさい! 任せなさい! 任せなさい! 任せなさい! チームが変化に追従した結果、強いチームとなった

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51 まとめ

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52 まとめ 変化に強いチームと組織文化を作るには 私たちは変化に強くなるマインドを浸透させるために “仕掛け” を用いている 仕掛けは目的があって効果を発揮する 他の仕掛けを真似ても意味がない 仕掛けは大掛かりである必要もないし、発明する必要もない 持続可能な仕掛けにしてチームと組織をインクリメントしていこう 自分たちに効果がある持続可能な 仕掛け を マインド と一緒に実践していきましょう!

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53 IIJ-BKLT999-0001