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ガードレールの有用性とリスク対策 2024年11月22日 NRIネットコム株式会社 デジタルソリューション事業本部 クラウド事業推進部 大林 優斗

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1 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します ◼ 登壇者:大林 優斗 ◼ 2024 Japan AWS Jr. Champions ◼ 業務:AWSを活用したシステムの設計・開発を担当 ⚫ 450以上あるAWSアカウントに統制を効かせる ◼ AWS認定資格 ◼ 書籍執筆:AWS の薄い本の合本 Vol.01 自己紹介

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2 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します AWSで起きるインシデント

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3 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します インシデント例 ◼ アクセスキーの漏洩 ⚫ 共有ストレージやチャットツールでの不適切な共有 ⚫ アクセスキーが記載されたファイルをコード管理ツールに上げてしまう ◼ S3バケットのオブジェクトをパブリック公開 ⚫ バケットポリシーの設定ミスなどで生じる AWSで起きるインシデント Amazon S3 匿名

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4 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します インシデントによる影響 ◼ インシデントの発生によって、下記の影響が発生し得る AWSで起きるインシデント コストの急増 情報漏洩 攻撃に利用される

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5 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します ガードレール

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6 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 予防的ガードレール ◼ イベントの発生を防止するためのガードレール ⚫ 例:特定のIAMロール以外はIAMリソースの作成を禁止する ガードレール Workloads_1 OU Workloads_2 OU SCP:IAMリソースの作成を禁止 IAMロール IAMリソース作成 IAMロール アクセスキー IAMユーザー IAMロール IAMユーザー IAMリソース作成 IAMロール アクセスキー IAMユーザー IAMロール

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7 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 発見的ガードレール ◼ イベントが発生したときに検出されるように設計されたガードレール ◼ 例:Amazon GuardDuty S3 Protection ガードレール Amazon GuardDuty AWS CloudTrail Amazon S3 S3 Data Plane Events データソース

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8 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します AWSアカウントを運用するあるべき姿 ガードレール 調査・修正 分析 改善 検知・通知 セキュリティ検知にどのような 傾向があるのか分析する 検知内容を確認して リソースの設定変更 分析した結果を踏まえて 改善アクションを実施 ガードレールからの逸脱などを検出

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9 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します AWSアカウントの運用における課題

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10 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 人材・コスト ◼ 人材・コスト削減は思ったよりうまくいかない ⚫ AWSアカウントの理想的な運用方法を実現しようとすると、結局コストが増加してしまう ⚫ コストを抑えるために自動化する仕組みを導入する AWSアカウントの運用における課題 理想 現実

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11 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ GuardDutyで不正だと判断されたIPアドレスを脅威IPリストに自動で登録する ⚫ 意図しないIPアドレスを脅威として検知するようになるリスク AWSアカウントの運用における課題 Amazon GuardDuty Amazon EventBridge AWS Lambda Amazon SNS 脅威IPリストを更新 SNS通知 Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) 運用担当者

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12 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ 自動でWAF IP setsを更新する仕組みを導入 ⚫ 運用負荷が減少するが、意図しないIPアドレスをブロックするリスク AWSアカウントの運用における課題 AWS WAF Amazon EventBridge AWS Step Functions Amazon SNS Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) SNS通知 運用担当者 IP setsを更新 Amazon Athena

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13 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ 自動化の仕組みを導入した際に起こりうるリスク AWSアカウントの運用における課題 Step1 人材不足 Step2 自動化を導入 Step3 インシデント発生 Step4 インシデント対応

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14 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ 自動化の仕組みを導入した際に起こりうるリスク AWSアカウントの運用における課題 Step1 人材不足 Step2 自動化を導入 Step3 インシデント発生 Step4 インシデント対応

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15 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ 自動化の仕組みを導入した際に起こりうるリスク AWSアカウントの運用における課題 Step1 人材不足 Step2 自動化を導入 Step3 インシデント発生 Step4 インシデント対応

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16 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 自動化のリスク ◼ 自動化の仕組みを導入した際に起こりうるリスク AWSアカウントの運用における課題 Step1 人材不足 Step2 自動化を導入 Step3 インシデント発生 Step4 インシデント対応 小さく自動化を進めていく必要がある

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17 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 小さく自動化を進める ◼ 遮断対象のIPアドレスを運用担当者が判断してWAF IP setsを更新する ⚫ 遮断対象のIPアドレスのリストは手動で、その後の処理は自動化する AWSアカウントの運用における課題 運用担当者 Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) AWS Lambda 遮断リスト アップロード 成功/失敗 完了連絡 Amazon EventBridge AWS Step Functions workflow Amazon SNS AWS WAF AWS Lambda

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18 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 小さく自動化を進める ◼ Configの自動修復はタグで制御すれば使いやすい ⚫ 例:「TestKey:True」というタグが設定されている場合はインバウンドルールを削除する AWSアカウントの運用における課題 Security group Public subnet Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) AWS Config [インバウンドルール] 0.0.0.0/0 [タグ] TestKey:True Amazon EventBridge AWS Lambda 「インバウンドルール 0.0.0.0/0」を削除

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19 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 小さく自動化を進める ◼ Security Hubオートメーションルールを活用 ⚫ 検出結果の重要度(Severity)を引き上げる ⚫ 検出結果の重要度(Severity)が「Informational」の場合は抑制(SUPPRESSED)に変更する ◼ 環境に合わせた重要度の変更が強み AWSアカウントの運用における課題

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20 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 大量課金リスクが発生する一例 ◼ Config の大量課金が発生する可能性がある ⚫ 特に繰り返しリソースを作成・削除する開発環境で起こりうる ⚫ IaCでの作業でConfigの料金が急増する ガードレールの実装におけるリスク Public subnet Container ECS Cluster Virtual private cloud (VPC) AWS Config

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21 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 大量課金リスクが発生する原因 ◼ 記録頻度を「継続的な記録」にしている場合は特に注意 ⚫ Configがリソースタイプを記録するたびに料金が発生する ⚫ だが、絶対に日時記録を推奨するわけではない ガードレールの実装におけるリスク

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22 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します セキュリティとコストのバランスを考える ガードレールの実装におけるリスク コスト セキュリティ ◼ ケースに応じたセキュリティとコストのバランスが重要 ◼ セキュリティを強化するためには一定のコストがかかってしまう ➢ 必ずしもコストの増加が悪ではない

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23 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 大量課金リスクを抑制する ◼ Configの記録頻度設定をオーバーライド ⚫ 特定のリソースタイプのみ記録頻度の設定を変更 ガードレールの実装におけるリスク

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24 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 大量課金リスクを抑制する ◼ マルチアカウント構成における記録頻度の設定をオーバーライド ⚫ 環境の柔軟性を保ちつつ、統制を効かせていくことが重要 ガードレールの実装におけるリスク Root OU マネジメントアカウント Security OU 監査アカウント System OU アカウント_01 アカウント_02 AWS Control Tower AWS Security Hub AWS Config AWS Config オーバーライド

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25 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 転載、複製、改変等、および許諾のない二次利用を禁止します 大量課金リスクへの継続的な対応 ◼ 予算作成 ⚫ アカウント全体で予算を作成して、請求金額の閾値を設定する ⚫ 特定のサービスで予算を作成して、請求金額の閾値を設定する ◼ コスト分析 ⚫ 月次、日次などでAWSサービスごとにコスト推移を分析する ◼ メトリクス分析 ⚫ Configがどのリソースタイプを一番記録しているのか確認する ガードレールの実装におけるリスク AWS Cost Explorer AWS Budgets Amazon CloudWatch 予算作成 コスト分析 メトリクス分析

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