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卒論・修論執筆における生成AI 活用とAI 不安: 広島大学での実態調査 広島大学 情報メディア教育研究センター/先進理工系科学研究科/情報科学部 隅谷 孝洋, 村上祐子, Muhammad N. A. M. Anuardi, 鈴木俊哉 2024-10-06 CE176@尾道市立大学

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大学生の生成AI利用調査 ‣ 全国調査 ✓ 大森先生 et al. (2023/05)、生協 (2023/10)、データサイエ ンティスト協会 (2023/12)、仙台大学 (2024/03)など ‣ 各大学で ✓ 北海道大学 (2023/06)、大阪大学 (2024/03) など ‣ 就職活動に関係して ✓ オファーボックス (2024/05) n=612 ✓ マイナビ (2024/05) n=4224 2

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広島大学での出口調査 ‣ 教育課程の仕上げになる研究で、学生はいかに生成AIを使ったか ‣ 2024年3月卒業・修了の学生対象 (2300+1038) ‣ Webアンケートへの回答を、eメールで依頼 ‣ 回答期間: 2024年3月21日〜31日 ‣ 回答数: 395/3338=11.8% ✓ 学部卒業生 231/2300=10.0% ✓ 修士課程修了生 164/1038=15.8% 3

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質問内容 ‣ https://www.riise.hiroshima-u.ac.jp/svy3/gai-usage-2023.html ✓ 所属や専門分野に関する質問 (Q1-Q3) ✓ 普段の生成AI利用に関する質問 (Q4-Q5) ✓ 教員からの指導に関する質問 (Q6) ✓ 卒論・修論での生成AI利用に関する質問 (Q7-Q17) ✓ AI不安尺度を測定する質問 (Q18-Q29) 4

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回答者の専門分野 5

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普段の生成AI利用 6 0 25 50 75 100 使ったことがある (262) 使ったことがない (128) 学習・研究に (123) ֶशɾݚڀҎ֎ʹ 日常的に使っている (193) •ほぼ100%が生成AIを知っている •そのうち約2/3が使ったことがある •約1/2が日常的に使っている

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予稿の図2が間違ってました… 7 38 21 39 40 24 31

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教員からの指導 8 特に話なし (306) 具体的な使い方を示された (23) 使い方は示されていなかった (42) 禁止されていた (17) •88%は教員から指示なし

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卒論・修論にどの程度生成AIを利用したか (N=389) 9 •約1/4が卒論・修論にAIを利用

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専門分野ごとの利用率 10 •理工系の利用率が高い •工学系が突出

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利用しなかった理由 学部生 N=177, 院生 N=115 11 ・必要性なし ・ハルシネーション ・セキュリティ上の懸念 ・生成AIの能力不足 ・経済的な理由

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主として利用した生成AIは? 12 5% 16% 79% ChatGPT 無料 有料版 そ の 他 •ChatGPT利用者の6人に一人はPlus

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用途は? 13 学部生 大学院生 •幅広く、望ましい使い 方をしているような…

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生成AIはどのように役立ったか 14 •ほぼ全てが、効率的と回答 •大学院生では半数が「質が上がった」 •学部生ではさらに半数

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生成AIを利用することに対する不安 15 不安あり(28) なし (21) なし (29) あり(19) 不安ありの内容 •多くの学生が不安を持ちながら使っている

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AI不安尺度 1. AI技術やそれを使った製品に関する専門機能のすべてを理解するための学習をすると不安になる。 2. AI技術やそれを使った製品の使い方を学ぶと不安になる。 3. AI技術やそれを使った製品の特定の機能を使うことを学ぶと不安になる。 4. AI技術それを使った製品に依存するようになるのではないか心配だ。 5. AI技術やそれを使った製品は、私たちをより怠惰にするのではないか心配だ。 6. 私は、AI技術やそれを使った製品が人間に取って代わることを恐れている。 7. AI技術やそれを使った製品が悪用されるのが怖い。 8. AI技術やそれを使った製品に潜在する様々な問題が怖い。 9. AI技術やそれを使った製品が制御不能になり、誤作動するのが怖い。 10. 人型のAI技術やそれを使った製品(人型ロボットなど)を怖いと思う。 11. 人型のAI技術やそれを使った製品(人型ロボットなど)は威圧的だと思う。 12. なぜか分からないが、人型のAI技術やそれを使った製品(人型ロボットなど)は怖い。 16 7件法 1:全くそう思わない 7:とてもそう思う スコアは12-84 大きいほど不安が高い

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AI不安:学年・分野による差 17

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AI不安:卒論・修論の生成AI利用の有無による差、利用に対する不安の有無による差 18 p=0.38 (d=0.10) p=0.001 (d=0.70) •卒論・修論に利 用するかにAI不 安は影響なし 「利用あり」の中で

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まとめ ‣ 2024年3月、広大の卒業生・修了生対象に調査。回答率は約10% ‣ ほぼ全員生成AIを認知、2/3は利用経験あり、1/2は日常的に利 用、1/4は卒論・修論にも活用 ‣ 9割の学生は指導教員から使い方の指導を受けていない ‣ 幅広く、望ましい(?)使い方をしている ‣ 大学院生では1/2が、学部生では1/4が論文の質が向上したと回答 ‣ 多くの学生が不安を持ちながら使用している 19 •学生の不安を払拭する必要→教員からの指導の拡充 •教員調査の必要性もあり