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藤井 大祐 (daitasu) 開発組織の課題解決を加速するための権限委譲           〜する側、される側としての向き合い方〜 2026年3月4日 Engineering Management Conference Japan 2026 千株式会社

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自己紹介 Name: @daitasu Belong to: Engineering Manager in SEN, Inc. Favorite: TypeScript, Sauna, Cafe, Dinasaurus Community:    Tachikawa.any (第1回 4月開催予定) @daitasu

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会社紹介 写真を中心とした、幼保業界の DXプロダクトを展開

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本日のお話 開発組織の課題解決を加速するための権限委譲       〜する側、される側としての向き合い方〜

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Learning Outcome 対象聴衆: ● 自分のキャパシティが限界に達しているEM ● 組織課題に手を出したいが、どう動けばいいか分からないEM このセッションで得られるもの: ● 経営層から権限を引き出すための、委員会制度などの具体的な仕組みと交渉方法 ● 自チーム内で権限委譲を進める際の、期待値の伝え方と可視化、段階的な任せ方のコツ

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最初に本日の結論

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権限と責務の委譲は 「当事者」と「周囲」をセットで巻き込もう!

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エンジニアリングマネージャーの役割とは? “マネージャーのアウトプット  = あなたのチームのアウトプット  + あなたが影響を与えた他のチームのアウトプット”

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エンジニアリングマネジメントのキャリアラダー チームの 技術リード メンバー テックリード 人/チームの管理 マネージャー シニアマネージャー 複数チームの管理 技術部長 複数の管理者の管理 CTO/VPoE 経営幹部 マネジメントの大まかな例

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マネージャーは多くの場合、 組織の「中間」に存在する

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エンジニアリングマネージャーが向き合う課題 ① 自分のチームの課題 ② 開発組織全体の課題 ③ 部門間の課題

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中長期的な成果を目指すほど、より広範囲の課題に直面する 1チームの 課題 複数チームの 課題 開発組織の 課題 経営課題 生産性最大化 採用 予算管理 オンボー ディング 事業計画 人事設計 技術広報 部門間シナジー プロダクトロードマップ 技術戦略

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大前提、人は「有限」

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見るべきものを絞る 生産性最大化 採用 予算管理 オンボー ディング 事業計画 人事設計 技術広報 部門間シナジー プロダクトロードマップ 技術戦略 EM EM CTO/VPoE 誰が何を担うのか、 可視化が重要

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見るべきものを絞る 生産性最大化 採用 予算管理 オンボー ディング 事業計画 人事設計 技術広報 部門間シナジー プロダクトロードマップ 技術戦略 EM EM CTO/VPoE 誰が何を担うのか、 明示化が重要 責務と権限の委譲

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権限移譲がうまくいっていないとき

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権限移譲がうまくいっていないとき 当事者たちの意思決定は、 周囲の人には見えない 権限委譲の成立には、 「可視化」と「承認」が必須

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権限と責務のあるべき姿 形式的な状態 真の成立条件 責務の委譲 双方の合意・約束 例:「頼んだよ!」「はい!」 受け手の「内発的な当事者意識」 例:「俺が守護神!絶対にやり遂げるんだ!」 権限の委譲 言葉や書面での明示 例:議事録「〇〇に託すことにする」 周囲の「社会的承認」 例:「この件は〇〇さんに相談すればOKです よね?」 委譲の真の成立には「委譲される当人」と「周囲の人」 の認知変容(承認)が必要

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SEN CORPORATION 千の権限委譲 される側 開発組織の話

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開発組織の特徴:急激なリード層の増加 Before After プロダクトA (メイン事業) プロダク トB プロダク トC EM 1名 (PdM兼務) EM 1名 (PdM兼務) PdM 1名 (EM兼務) メンバー 20人程度 メンバー 5人程度 メンバー 10人弱 VPoE ● EM or PdMが兼務で1プロダクトを担い、 プロジェクト遂行で手一杯 ● VPoE 1人で組織/技術/プロダクトと経営 との橋渡しを全て担う ● CTOが参画し、経営層の責務分割が進む ● リード層が急増し、EM/PdM が揃う状態へ ● 組織課題に向き合う余力が生まれる プロダクトA (メイン事業) プロダク トB プロダク トC EM 1名 PdM 1名 EM 2名 PdM 3名 PdM (EM兼務) メンバー 20人程度 メンバー 5人程度 メンバー 10人弱 VPoE プラット フォーム 情シス QA SRE R&D リード層増加

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課題は見えてきたが、委譲が急務へ マネージャー/リード層から 組織の問題提起が増加 嬉しい悲鳴だが、 既存の体系から責務の見直しが急務に 評価制度を 見直したい 採用を 加速化せね ば 技術広報を 強化したい オンボーディ ングを 改善したい ちょ、ちょっと待っ て、、、! VPoE マネジメント層 VPoE/CTOから巻き取れる 課題はないか考え始める

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上位レイヤーから業務を巻き取る際の3つの壁 VPoEやCTOには、経営陣への説明責任がある 説明責任を担保しつつ、実行責任を奪える構造を作らねばならない リソースの壁 連携の壁 信頼の壁 委譲準備もできない忙し い上位層から、どう権限 を引き出すか? マネージャー間で連携し、 組織としての統制を図れ るか? 現場に任せても「説明 責任」を果たせる状態 をどう作るか?

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解1 : リソースの壁を突破する 判断するだけの状態をつくる(当事者意識の証明) 決裁者としては、成果の解像度が粗いと判断が難しい 自分が思う 理想の組織体制を Figma に整理 人事と共に ブログを作成し 投稿者を募る OKR導入を検討し、 組織目標を仮定して自 チームで導入 可視化で課題感の 目線を揃える 運用の流れをトライアルで 構築 自分の脳内を可視化し、実例を 作る(成果と反省を作る)

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解2 : 横の壁(マネージャー間の合意)を突破する EM / PdM 全員によるワークショップで、 組織課題についての洗い出しを実施

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解3 : 信頼の壁(説明責任)を担保する 半期の注力テーマを4つまで絞る 委員会制度を定め、週次の部会でレポート 1. 最初に半期の目標、マイルストンを策定 2. 週次の部会でVPoE/CTO/取締役から フィードバック(縦軸の承認) 3. 適宜、マネージャー全体でのワークショッ プ等を実施(横軸の承認)

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結果(される側) ● 半期で各テーマごとにマネージャー主導で多くの課題解決を リードできた ● 人事や広報など、マネージャーとコーポレートの連携が強化され、 会社全体としての動きへと接続された

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SEN CORPORATION 千の権限委譲  する側 自チームの 課題解決の話

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自チームの特徴 事業部制チームで、マネジメント配下に PdM/デザイナー/エンジニアが存在 ◎ ✕ ● 組織的な壁がなく、統制が早い ○ AI の利活用推進など ● 職能を超えた振る舞いがしやすい ○ デザイナーが開発する等 ● 職能単位の役割が明文化されない ○ 責任の所在が曖昧 ● 意思決定がマネージャーに集約さ れやすい

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のしかかる課題は山積み 退職ラッシュや組織再編などもあり、あらゆるボールを受け持つことに

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全然MTGに来ない私 毎日5-6h MTG がデフォに。 全くチームMTGに来ない人へ。。。

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マネージャー不在で回るチームへ。 意思決定オーナーの言語化が必要

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1:1の合意:目標設定面談で個人との目線を揃える 目標設定とは別に、自分の「なりたい像」を書いてもらう 各自のWill とチーム状況を紐づけて期待値を設定 (内発的な当事者意識の醸成) 合意

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1:N の開示:全メンバーへの期待値を「文字」として開示 「MGRとして託したいこと」としてチーム全体に それぞれへの期待を開示 誰 が 何 を期待されているか、 メンバー同士で分かる状態をつくる (縦軸の承認の開示) 開示

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横軸の承認: ① ドラッガー風エクササイズ メンバー同士 に書いてもらうことで、 双方向の期待合わせ(横軸の承認)を促す 横軸の承認 緑:自分の得意なこと・強み 青:どんなことを期待されていると思うか 黄:他のメンバーに期待することはなにか

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横軸の承認:② デリゲーションポーカー 意思決定の委譲 を促すワークショップ 意思決定から離れるほど右に進む 横軸の承認

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横軸の承認:② デリゲーションポーカー as-is と to-be の自分の位置にアイコンを配置 誰が何を決めるのかを承認(認知変容)する 横軸の承認

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意思決定の場づくり 権限 が 明示 されても、 「意思決定の場」がないと軌道に乗らない 場

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意思決定の場づくり:① ADRの作成 ADR(Architecture Decision Record) を作成し、デイリーMTGで合意。 技術に限らず、仕様案、デザイン相談、なんでもOK。 場 Github Discussion のQ&Aを採用

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結果(する側) ● 自身がチームに介入する機会が減りつつも、チームの生産性は向上し、プロジェク トが安定稼働へ ● ビジネスサイドから自分に対するメンションが減り、意思決定をするメンバーに直接 飛ぶように変わった ● 自身からの委譲だけでなく、テックリードやPdMから他メンバーへの意思決定 の委譲も加速した

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まとめ 責務と権限を渡すには、するもされるも 認知醸成が不可欠 受け手の「内発的な当事者意識」 周囲の「社会的承認」

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するもされるも 権限の縦と横の「可視化」と「場作り」は 概ね変わらない

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権限と責務の委譲は 「当事者」と「周囲」をセットで巻き込もう!