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UXリサーチの誕生 2022/07/01 @bob3bob3

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この資料は ● UXリサーチについての現時点での個人的な認識を描き起こしたものです。 ● 読者として、主にマーケティングリサーチに関わる方々を想定しています。 ● 間違ったことを書いていたらご指摘ください。

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最近よく目にするようになった「UXリサーチ」 Google Trends によると10年代に入ってからじりじりと増えてきた感じ。 (「UX Research」の「すべての国」でのトレンド)

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国内でも注目が集まっている

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UXリサーチとは? ● UXリサーチとは「ユーザー体験(UX、User Experience)」に関する調査。 ● UXは「製品やサービスと接触・利用した際に、ユーザーが得られる体験や感情の 総称」。 ● UXデザインとはサービスや製品を通じたユーザー体験の全般を設計すること。

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UXリサーチの誕生 ● 90年代半ば:Webデザインの誕生 ○ 初期はグラフィックデザイナーが印刷物も Webもデザインすることが多かった。 ○ Webデザインの高度化・専門化が進むにつれ、専門職としての Webデザイナーが生まれる。 ● 00年代半ば:UIデザインの誕生 ○ スマホの登場に伴い、ユーザビリティ(ざっくり言えば「使いやすさ」)が重視されるようになり、 UIデ ザイン、UIデザイナーが生まれる。 ○ UI = User Interface。利用者が操作をするための部分。画面に表示されるメニューやアイコン、ウイ ンドウなど。 ● 10年代半ば:UXデザインの誕生 ○ 表層的なUIではなく、「ユーザーの体験( UX)をデザインする」という考え方が広まる。 ○ UX = User eXperience。UI/UX。 ○ UXはユーザーの中に存在する。そのため UXをデザインするには、ユーザーを知る必要がある。 →UXリサーチの誕生。

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UXリサーチとマーケティングリサーチの対比 UXリサーチ マーケティングリサーチ 出自 Webデザイナー、UIデザイナー マーケター、心理学、社会学 評価対象 UIを中心に拡張中 プロダクト、サービス 関心 UX ベネフィット、エッセンス 理論 Fogg行動モデル 消費者行動モデル ジョブ理論 ベネフィットの3分類 プロダクトコーン理論 手法 定性調査、特にパーソナルインタ ビュー中心 各種定量調査と各種定性調査 調査主体 事業会社自身 事業会社と市場調査会社 資料 スタイリッシュ! 事務的

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手法 ● 調査手法、分析手法はほとんど同じ ○ パーソナルインタビュー ○ コンテクスチュアル・インクワイアリー(師匠と弟子) ○ 思考発話法 ○ 行動観察 ○ 日記 ○ ユーザービリティテスト ○ コンセプトテスト ○ ペルソナ ○ カスタマージャーニーマップ ○ KJ法 ○ ……などなど ● FGIやCLT、サーベイなどはUXリサーチではあまり使われていない印象。

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UXリサーチ側からのマーケティングリサーチの見え方 「(UXリサーチとマーケティングリサーチの違いは)興味の軸が「当事者という個人を理解するこ と」にあるのか「市場という集団を理解すること」にあるのか、という違いで捉えています。 
  当事者という個人を理解することに着目するのはUXリサーチです。当事者とはサービスを利用 する理由となる悩みや欲求を持つ人のことを指します。(中略)そのため、用いる手法としても、個 人に着目するデプスインタビューなどの質的な調査手法が使われる頻度が高くなります。 
  対して、市場という集団を理解することに着目するのはマーケティングリサーチです。特定の サービスに対する市場はどのような集団で構成されているのかを俯瞰して理解していきます。そ のため、用いる手法としては、集団を推定できるアンケートなどの量的な調査手法が使われる頻 度が高くなります。」
 『はじめてのUXリサーチ』(p34-p35)


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UXリサーチ側からのマーケティングリサーチの見え方 「マーケティングリサーチとデザインリサーチの違いについて一言で述べるとすれば、リサーチの 目的が違うと言えるだろう。マーケティングリサーチでは、マーケットの状況に応じて、既存の製品 やサービスをどのように改善すればより消費者にとって受け入れられやすくなるかを探るため実 施されることが多い。一方でデザインリサーチは新しいプロダクトを創出するために、あるいは既 存のプロダクトを改善するために、言い換えれば新たなイノベーションを起こすために実施される ことが多い。
  自動車王ヘンリー・フォードの有名すぎる言葉に「人々にどのような馬が欲しいかと聞いていた ら、“もっと速く走る馬が欲しい”と答えるだろう」がある。
  このような顧客の声を聞いた上で「ではもっと速く走る馬を育てればいいのだな」と答えるのが マーケティングリサーチである。」 『デザインリサーチの教科書』(p69-p70)

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現状 ● 出自の違いが大きいのか、UXリサーチ界隈とマーケティングリサーチ界隈はあまり 交流が無いように見える。 ● UXリサーチ界隈はマーケティングリサーチのことをほとんど認識していないし、 マーケティングリサーチ界隈はUXリサーチに関心が薄いように見える。 ● ほぼ同じことをしているのに交流がないのは、お互いにとって大きな損失だと思う ので、交流を図れるといいといいと思ってます。 ● 以上