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QAエンジニアを 諦めつつある 2025/05/26 QA engineer at a Startup Vol.12 シチウ(@dashi_no_ajiwai)

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自己紹介です シチウ (水落 光) Xとか: @dashi_no_ajiwai ● コドモンのQAエンジニア ○ 自動テストを作りやすい環境づくり ○ CIパイプラインの整備 ○ 品質の測定・オブザーバビリティ向上 ● いろんなサービスのユーザー名をそのとき食べて いる食べ物からつけている ○ クリームシチューではなくビーフシチュー 2

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おはなしのまえに 3 https://blog.dashi-no-ajiwai.net/entry/2025/04/07/181021 ☝ こちらのブログ記事をベースにお話しします (ピャーっと読めば数分で読めます)

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ブログ記事内容(抄) 4 ● テスト自動化すべく開発エンジニアからQAエンジニアに ● テストの作り方について経験が乏しく負い目を感じていた ● JaSSTに行ったらテストだけに限らない話が多くあった ○ 凝り固まっていた、という気づき ● 同僚QAエンジニアに相談 ○ 「知ってる」「できないよね」「やろうと思わないだけ」 ● (世間一般の)QAエンジニアになることを諦めることにした ● アドバンテージを生かしつつやるべき/やりたいことをやる ● 結局QAエンジニアではある

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今日のおはなし 5 QAエンジニアをQAエンジニア たらしめるものは何か? ブログ記事書く前後に考えたこと (世間一般の)QAエンジニアになることを 諦めたとき、どう考えたか?

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現職のQAエンジニア周辺の 立ち位置 6

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コドモンのQAエンジニアの配置 7 ● ストリームアラインドチームでのQAを基本としている ○ 「QAチーム」という組織はない ● QAエンジニアで私のみ横断チームでSET風味なことをしている チームA チームB チームC … 横断チーム1 横断チーム2 QA1 QA2 ※100名弱 くらいの 開発組織

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コドモンのQAエンジニアの状況 8 ● 「テストをなんとかしないと」という思いで動いてきた ● 「QAってテストだけじゃないよね」という潮流 ○ なお自身の進むべき道がわからなくなりつつあった ● 開発上がり一人目QA ● 無駄なテストをしない方向 のQA(自動化など) ● テスト作成は苦手 私 ● 様々なキャリアでテストに 関する技法を習得 ● 最適なテストを作るQA ● テスト作成は得意で上手 私以外

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”QAエンジニア”の アイデンティティ 9

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一般のQAエンジニア像 10 ● テストを構築できる人 ○ 仕様を読み、テストを作ることができる ○ テストを分析・計画・設計できる ○ 仕様のテスト(レビュー)ができる ○ 不具合を分析し、改善につなげることができる など 「テスト」という語の表す範囲は一致してはいないものの 統一した認識は ”QAエンジニア” = テスト周りに強みをもつエンジニア

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本来のQAエンジニア 11 🤔 QA = Quality Assurance (品質保証) そもそも語義的に 「テストができる人」である必要がない “テスト”っぽい語は 全く含まれてなくない?

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なぜQA = テストなのか? 12 ● “QA Engineer”という語は1996年にはすでに使用されていた † https://groups.google.com/g/comp.software.testing/c/fp_9-bS06nQ ↑おもしろ興味深いですこれ † ● 当時すでに”QA Engineer”はテストエンジニアの肩書きとして 一般的だった ● 当時から「QA = テスト、ではない」という議論があった 30年くらい議論して定まってないなら 各々の思う”QAエンジニア”でいいでしょ👶 テストをしないQAエンジニアがいてもいいでしょ👶

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テストではない QA活動を考える 13

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“テスト”について 14 https://danashby.co.uk/2016/10/19/continuous-testing-in-devops/ そもそもQA業界の 「テスト」という ものが広すぎるのよ ● いまだにQAエンジニア以外と認識の隔たりがある ● QAエンジニア自身も「テスト」の範囲を分かっていないのでは ★(世間一般の)QAエンジニアがやっているテストをしないことにする

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品質ってなんだろう 15 品質 ● 要求に対する適合(P.Crosby) ○ 本来備わっている特性の集まりが、要求事項 を満たす程度 (ISO 9000・JIS Q9000:2015) ● 品質は誰かにとっての価値である(G.Weinberg) ○ ある時点で、それが問題となる誰かにとって の価値(M.Bolton) 主観的で相対的なもの ということではありそう †† Cummings-John, R., & Peer, O. (2019). Leading Quality: How great leaders deliver high quality software and accelerate growth. ROI Press. ††

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主観的で相対的な品質 16 ● ある時点 ○ 今 ○ (将来) 「品質」を誰の視点から捉えるか、 ということが重要なのかも? ● 誰か ○ 誰だ? &

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視点とQA活動 17 ● テスト自動化に取り組んで 開発者視点でのテスト環境 の必要性を強く感じていた 開発者視点での「品質」を 指向するQAもアリかも https://speakerdeck.com/dashinoajiwai/minnadezi-dong-tesutoniqu-rizu-mu-tamenibi-yao-datutakoto

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私がQAエンジニアとして やることの分類 18

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スキルマップで考える 19 にがて😥 とくい😎 スキ😊 キライ😤 テスト自動化 バックエンド インフラリソース コンテナ周辺技術 ベンダー コントロール (テスト分析〜実施) ☝ ● スキ😊 × とくい😎 ○ どんどんやっていく ● スキ😊 × にがて😥 ○ どんどん勉強する ● キライ😤 × とくい😎 ○ 積極的にはやらない ○ 飯の種 ● キライ😤 × にがて😥 ○ やらない ○ お願いする フロントエンド UT CIパイプライン モニタ リング

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ここで決めたこと 20 😲 どうせやるべきことと やった方がいいことは いっぱいある! どうせ人生短いから 好きなこと・やりたいこと を中心にやって バリュー出していこう!

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アジャイルテストの4象限で考える 21 Supporting the Team Critique the Product Business Facing Technology Facing テスト自動化 UT CIパイプライン https://lisacrispin.com/2011/11/08/using-the-agile-testing-quadrants/ ユーザー目線 外部品質指向 開発者目線 内部品質指向 ● スキ😊なテスト(っぽい) ものをマッピング ○ プロダクトを外から見 るか?中から見るか? ○ 自分にとっての”顧客” は誰だろうか? モニタ リング (ストーリー 受け入れテストなど) (ユーザー 受け入れテストなど) (負荷テストなど) 自分が追っていきたい 目線・品質の裏付けになる

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→スキ😊なことはがんばれる スキ😊を活かす 22 * (テストではないかもしれないけど)スキ😊なことをやる ★ バックエンド(実装) ★ フロントエンド(実装) ★ プロダクトコード自体の品質の 測定と改善 ★ インフラリソース ★ コンテナ周辺技術 ★ プロダクトのパイプライン・デ プロイの品質改善 「こじつけ?やらねえよりいいだろ」 の精神で

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まとめ (模索中なのでまとまってはいない) 23

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ここまで考えたことのまとめ 24 ● 「QA = テスト」ではないということに立脚して今後を考えた ○ 品質は主観的で相対的 → 誰の視点から捉えるか? ● 好きなこと・やりたいことをやる ○ 限られたリソースで最大限コミットする ○        を活かす テストらしいテストはしないが テストマインドを持ち 品質のことを考えるエンジニア → 結局QAエンジニアではある

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25 というのが 今年4月までの話

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ブログ公開後 さらに考えたこと 26

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27 生成AI類がめっちゃ進歩して モデルとかが乱立して わけがわかんない!!!

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今後どうなるだろう 28 ● ただ動的テストをするだけのQAエンジニアは要らなくなるはず ○ AIと開発者によるTDD・ATDDが当然、シフトレフトが当然 ■ 人間はドメインエキスパートとしてやるべきことをやる ○ QAエンジニアの役割? ■ テスト技術のユビキタス化をするQAエンジニア ■ テストを作りやすく実行しやすくするSET ● QAエンジニアの目指す”品質”は分化していくのではなかろうか ○ 対外的: シフトレフト・シフトライトがより先鋭化 ○ 対内的: AIと開発者が自由に泳いで開発→価値提供できる エンジニアがAIに追いやられることが前提になりそう

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じゃぁどうするか 29 各々の独自の攻め方を作りつつ 組織の総体でプロダクトの品質を考える ● 選択と集中してコミットする ○ AIが全てで人間を上回っているわけではない ■ 特に人間と機械の間のインタフェース ● 何をするか考えるガイド ○ やはり誰かの視点・自身のやりたいこと 「テストしている」だけではなく主体的なQAが できないと生き残れない世界になりつつある

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30 テストマインドを持ち 誰かの目線で誰かのために 品質のことを考えながら 好きなことでコミットする QAエンジニア 先の見えない時代だからこそ っていうのもアリじゃない?