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ハードウェア企業から700万ユーザーを抱える B2B SaaSへ:PMのキャリアシフトで見えた 共通点とギャップ 株式会社kubell VPoP 海老澤 雅之 2024年12月5日

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目次 CONTENTS 01 | はじめに 02 | 自己紹介 03 | 会社紹介 04 | ハードウェア企業とB2B SaaSのギャップ 05 | 求められるスキルの共通点 06 | さいごに

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01 | はじめに

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こんな人向けの話です ● SaaS業界で経験を積んで、ネクストキャリアとしてハードウェア企業や 非ITの大企業のDX組織を考えている ● ハードウェア企業からITスタートアップへのキャリアチェンジを考えている 4

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背景 ● 近年、PMの認知度が向上し、IT業界以外にも活躍の場が拡大 ● SaaSの次のキャリアとしてハードウェア企業や非ITの大企業DXを 選ぶ人も増えている ● しかし意外と両方を経験して違いを共有している人が少ない 5

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前提 ● ハードウェア企業におけるソフトウェアの内、サービス・アプリレイヤーの立ち上げの経 験と、IT企業におけるB2B SaaSの経験からの比較のお話です ● ハードウェア企業でのお話は数年前の個人の経験に基づく見解です 6 ハードウェア OS / ファームウェア アプリケーション クラウドサービス アプリケーション クラウドサービス ハードウェア向け サービス・アプリ B2B SaaS このセッションの スコープ

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02 | 自己紹介

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自己紹介 ● ソニー・エリクソンでガラケーのソフト開発、サービス企画(PM) ● ソニーで音楽サブスクリプションサービス立ち上げ ● アメリカでPlayStation NetworkのPMとしてPlayStation4立ち上げ ● 帰国後、日産自動車でコネクテッドカーのPM組織づくり ○ pmconf 2019に登壇 ● センシンロボティクスで新規B2B SaaSプロダクト立ち上げ ● Chatwork(現 kubell)で認証基盤やBPaaSプロダクトの立ち上げの 後、2024年1月よりVPoP就任 8 株式会社kubell VPoP 海老澤 雅之 ハードウェア B2B SaaS Sony Ericsson SONY PlayStation NISSAN SENSYN ROBOTICS

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大手ハードウェア企業からIT企業へのキャリアシフトの背景 ● 新しいビジネスモデルにチャレンジして感じたスタートアップとの競争の難しさ ○ 2010年に、当時まだ主流ではなかった音楽サブスクサービスを立ち上げたが、収益化できるフェーズではな く、資金調達しながら赤字でも事業拡大していくSpotifyなどのスタートアップと戦うことに限界を感じた ● アメリカで感じたITスタートアップが既存の事業モデルを破壊していく業界変化 ○ UberやLyftのライドシェアサービスが爆発的に普及してタクシー会社が経営破綻する変化を目の当たりにした ● 大きな業界変化のタイミングと自分のキャリアの時間軸のズレ ○ 自動車業界の変化のフェーズでモビリティサービスに取り組みたかったが、コロナ禍の影響で業界変化のスピー ドの鈍化を感じ、年齢的に自分が現役の間に大きな変化に関われないリスクを感じた 9

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03 | 会社紹介

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2024年7月1日よりChatwork株式会社は、 株式会社kubell(読み:クベル)に社名変更しました。

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会社名 株式会社kubell 代表取締役CEO 山本 正喜 グループ従業員数 557名(2024年9月末日時点) 所在地 東京、大阪 設立 2004年11月11日 会社概要 働く人の心に、薪をくべる存在へ。

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事業概要 13 *1 Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2024年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。 調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む41サービスを株式会社kubellにて選定。 *2 2024年9月末時点。 ● 国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を展開。 業界のパイオニアであり国内利用者数No.1*1、導入社数は60.5万社*2を突破 ● 圧倒的な顧客基盤とプラットフォームを背景に、DXされた業務プロセスそのものを提供する クラウドサービス、BPaaSを展開 BPaaS (Business Process as a Service) ビジネスチャット「Chatwork」 お客様 オペレーター

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BPaaSは、マジョリティ市場DXの本命 14 多数のSaaSプロダクトを使い分けることが困難な層に対し、 業務プロセスごと巻き取り、顧客に代わりSaaSを使いDXを推進する BPaaS SaaS 業務代行 CRM/SFA Web会議 ストレージ 採用 人事評価 電話代行 SaaS向きユーザー ・自力でツールを選定できる ・経営陣も従業員も使いこなせる 業務プロセスごと依頼・DXも外部に依頼 DXによる業務課題解決を自力で 自社で選定・ 使いこなす ITに詳しい先進層 BPaaS向きユーザー ・SaaS導入の意思決定が困難 ・使いこなしが困難 マジョリティ市場 勤怠管理 労務管理 エンゲー ジメント タスク管理 プロジェクト管理 ドキュメ ント管理 代行する業務の中で SaaSを積極活用

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04 | ハードウェア企業とB2B SaaSのギャップ

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ハードウェア企業ならではの特徴

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ソフトウェアだけでは実現できない顧客体験 ● ハードxソフトトータルで最適化されたUXが提供できる ○ Appleの複数デバイス間でのシームレスな連携 ○ ゲームをオンラインで予約購入すると発売日前にダウンロードが終わっており、0:00からプレイできる ○ アプリとクルマが連携して、乗る前から降りた後までナビゲーションしてくれる ● しかし実現するのは簡単ではない ○ 担当領域に閉じずにハードxソフトトータルでのUXを考える視点 ○ ハードウェアを含めたシステム全体の理解 ○ 多くのステークホルダーを巻き込んでの調整力 17

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自動車の開発期間のイメージ ハードの開発サイクルの長さと依存関係 18 ● ハードウェア開発がウォーターフォールで開発期間が長い ○ ハードとのインテグレーションが必要な新機能は数ヶ月〜年単位で先行して仕様調整、開発、検証が必要 ○ タイミングを逃すと次期ハードでの対応となり、実現したいことが数年単位で遅れることも ● ファームウェアは影響範囲が広い(ゲームの互換性、自動車の安全性など)ため、更新頻度は高くない ● アプリ・サービスの高頻度なアップデートにはアーキテクチャ、プロセス面での疎結合化が必要 ハードウェア 数年 OS/ファームウェア アプリ・サービス ローンチ ゲームハードの発売サイクル 2006 PS3 2011 PS Vita 2013 PS4 2004 PSP 7年 7年

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サービスのSOMが自社製ハードの販売台数に依存する ● 自社製ハードの市場シェアがサービスのSOMになるため、事業規模拡大に時間がかかる ○ 先進的なサービスを提供しても、ハードが普及しないと大きなインパクトを生み出すことができない ● ハードがシェアを取れるとサービスの価値を独占的に広く届けられる ○ ソフトとハードの両輪でエコシステムを構築し、大きなインパクトを生み出すことができる ○ PS4の普及が進んだことでサブスクであるPS Plusの加入者数が拡大し、更にプラットフォーム上での決済額が増 えて大きな事業貢献を果たした 19 すでにDX化を検討して いる コアターゲット*4 TAM SOM 世界の自動車市場 自社が販売網を持つ 地域の市場 自社の市場シェア SAM 自動車のコネクテッドサービスの SOM 通信機能付き オプション装着数

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B2B SaaSで感じたギャップ

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Product Led Growth (PLG) ● B2Cのハードウェア企業においては全く経験のなかった領域 ○ ハードウェアを購入したユーザーに対するアプローチが基本だった ● 「Chatwork」は中小企業マーケットで長年PLGで成長してきたプロダクト 21 IS?FS?CS? AARRR? 引用元:2024年12月期 第3四半期 決算説明資料

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ハードウェア企業 SaaS プロダクトが事業に直結している ● 自社製ハードの市場シェアがサービスのSOMになるため、事業規模拡大に時間がかかる ○ 自分の仕事が業績に影響していると実感することは多くなかった ● SaaSではプロダクト施策がダイレクトに事業に影響する ○ 「Chatwork」はPLGモデルのため、プロダクトによる事業貢献範囲が広い ○ プロダクトが事業に直結しているため、より事業視点が求められる フリーミアムによる 自然増の売上 プロダクト施策により 押し上げる 22

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顧客理解の難しさ ● ビジネスチャットはホリゾンタルSaaSで利用方法が幅広く、顧客像の特定難易度が高い ● 定量、定性両面でアプローチして顧客解像度を高める取り組みをしている ○ 取り組みの詳細はサイドイベントで紹介しました! 23 引用元:プロダクト活用度で見えた真実 ホリゾンタルSaaSでの顧客解像度の高め方 - Speaker Deck

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ソフトウェア資産化の考え方 24 *発売後のソフトウェア開発費の扱いの整理がついていない過渡期固有の事情であり、これが一般的ということではないです ● 開発予算はクルマ単位で管理 ● 発売後にアップデートのための開発予算を 取るスキームがなく、スマホアプリ等の開 発費は資産化せずに経費扱い*していた 自動車開発 ● 収益化・効率化に寄与する施策は資産化 kubell 全く逆だ... 会計知識が 足りない...

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05 | 求められるスキルの共通点

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共通点 26 ● PMに求められる基本的なスキルは共通 ○ エンジニア、デザイナーもIT人材で内製化している組織においてはプロダクト開発の進め方は基 本的に同様 ○ プロダクトが大きくなって複雑化したり、複数プロダクトやプラットフォーム化したりすること で起きる課題にも共通点がある ● カルチャーやプロセスなどのギャップがある分、アンラーニング、ドメイン知識習得は重要 ● ハードウェア企業ではプロダクトモデルへのシフト、IT企業でもソフトウェアに閉じない事業 の増加により、共通する部分が増えてきている SaaS SaaS SaaS ハード プロダクトモデル へのシフト ハードウェア・リアル連携

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kubellで活きている経験 27 ● ハードウェアxソフトウェアトータルでプロダクトを考えてきた視点 ○ ソフトウェアxオペレーションで中小企業の業務をDXするBPaaS事業において、必要な視点が 似ている ● 複雑度の高いプロダクトマネジメントの経験 ○ kubellは「Chatwork」単一プロダクトから複数プロダクトへの拡大フェーズ ○ マルチプロダクトやプラットフォーム化を進めるフェーズで考慮すべきことや、あるべき形が ある程度予測できる SaaSをベースとしたプラットフォーム化、 BPaaS事業を立ち上げていくフェー ズでハードウェア企業での経験が活かせている

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06 | さいごに

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さいごに ● 異業種へのキャリアチェンジにより、PMとしてスキルの幅を広げるチャレン ジができる ● ハードウェア企業、ソフトウェア企業それぞれの変化により、PMが越境して 強みを発揮できるチャンスは増えている ● 自分の強みを活かせる環境、フェーズの見極めは大事 29

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30 プロダクトマネージャー絶賛募集中です! kubellが取り組んでいる BPaaSも、SaaSの次の潮流のひとつとして これからが面白いフェーズです! プロダクトマネジメント部 採用情報 |Chatwork Product Management

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働くをもっと楽しく、創造的に 31