Slide 1

Slide 1 text

© itosho All Rights Reserved. インターネットサービスの育て方 @itosho 文教大学「コンテンツ発想法」2024.12

Slide 2

Slide 2 text

© itosho All Rights Reserved. おはようございます!

Slide 3

Slide 3 text

© itosho All Rights Reserved. はじめに ・是非チャットを積極的に使ってください!  →質問はもちろん、賑やかしでも何でも大歓迎 ・リラックスしながら聴いてください!  →基本的に何していてもOKです(聴いてくれていれば👌)  →少しでもみなさんにとって有意義な時間にできればと思います

Slide 4

Slide 4 text

© itosho All Rights Reserved. きょうのお品書き Opening: 自己紹介 01 Presentation: インターネットサービスの育て方 02 Workshop: 次に流行るインターネットサービスを考えよう! 03 Closing: まとめ 04

Slide 5

Slide 5 text

© itosho All Rights Reserved. きょう話さないこと ・いわゆるマーケティング的な理論や法則  →「銀の弾丸」は存在しない(もちろん、そういった知識は必要) ・世の中で流行っているインターネットサービスの分析  →自分が携わっていない + 既に多くの資料が存在する ・上手くいかなかった事例の紹介  →上手くいかなったことのほうが圧倒的に多いが、きょうは成功事例(自分比)を紹介

Slide 6

Slide 6 text

© itosho All Rights Reserved. プレゼンとワークについて ・専門的な話ではなく、n=1の経験や学びを広く浅くお伝えします  →みなさんの思考を刺激するというよりは、思考をほぐせればなと思います ・サービスという言葉をコンテンツとほぼ同義で使っています  →あまり厳密に使い分けずに両方の言葉を使います  →世の中には様々なコンテンツがありますが、きょうはインターネットに閉じた話 ・ワークがきょうの本丸です!  →発想力を高めるにはインプットだけではなく、自分でアウトプットを出すことが大切  →「次に流行るインターネットサービス」を考えながら、僕のプレゼンを聴いてください

Slide 7

Slide 7 text

© itosho All Rights Reserved. 自己紹介 01

Slide 8

Slide 8 text

© itosho All Rights Reserved. 基本情報 伊藤 翔 @itosho ・コネヒト株式会社 取締役: https://connehito.com ・1986年生まれ、慶應義塾大学総合政策学部卒(白土先生の後輩です😉) ・職業: ソフトウェアエンジニア ・職歴: 金融系のSIer→Webの開発会社→スタートアップ→現職 ・趣味: スポーツ・アイドル鑑賞(主にインターネット上で)

Slide 9

Slide 9 text

© itosho All Rights Reserved. ソフトウェアエンジニアを志したきっかけ ・当初はメディア制作系の仕事に興味があった  →専攻が社会学で、趣味で映像制作をよく行っていた  →広告代理店の制作会社を中心に就活を行う ・リーマンショックで状況が一変  →もともと就活が上手くいっていたわけでもなかった  →無職の危機に陥り、幅広く様々な会社を受ける ・最初は消極的な理由でIT業界を選ぶ  →ものづくりに携わりたい + 大学の授業で少しだけプログラミングを学んでいた  →当時は就活失敗したと思っていたが、結果的には良かった!

Slide 10

Slide 10 text

© itosho All Rights Reserved. “未来は過去を変えることができる” (『マチネの終わり』より)

Slide 11

Slide 11 text

© itosho All Rights Reserved. 僕にとってインターネットは第二の親 ・高校生までインターネットは「屋根裏部屋」的な存在  →家にパソコンがなかったので、近所の図書館のパソコンで掲示板をこっそり読む日々 ・大学生からどっぷりインターネットにハマる  →mixi廃人と化し、Twitter(現X)やiPhoneといった新しいサービスや製品で遊びまくる ・社会人になってからずっとインターネットサービスをつくっている  →仕事でも個人でもたくさんサービスを立ち上げてきた 出典: https://www.buzzfeed.com/jp/narumi/mixi-quiz

Slide 12

Slide 12 text

© itosho All Rights Reserved. きょうのお品書き Opening: 自己紹介 01 Presentation: インターネットサービスの育て方 02 Workshop: 次に流行るインターネットサービスを考えよう! 03 Closing: まとめ 04

Slide 13

Slide 13 text

© itosho All Rights Reserved. インターネットサービスの育て方 02

Slide 14

Slide 14 text

© itosho All Rights Reserved. きょう取り上げるインターネットサービス

Slide 15

Slide 15 text

© itosho All Rights Reserved. サービス事例① Tokyo Edit ・個人サービス: https://www.youtube.com/@tokyoedit ・地下鉄に乗りながら地上の景色を潜望鏡のようにみるサービス ・大学の卒業制作をコンテンツ・アプリ化(アプリは現在停止中) ・ITmediaや雑誌で取り上げていただく 出典: https://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1305/07/news111.html

Slide 16

Slide 16 text

© itosho All Rights Reserved. サービス事例② PRESENT4229 ・個人サービス: https://uruudoshi.com ・2月29日限定のWebサービス ・4年後に2月29日にメッセージを送ることができる ・2012年から運営をはじめ、今年4回目の開催を無事終える ※画像はX(旧Twitter)のスクショです

Slide 17

Slide 17 text

© itosho All Rights Reserved. サービス事例③ アンサー ・前職nanapi社のサービス(現在はクローズ) ・スマートフォンに特化したQ&Aアプリ ・匿名 + 即レス(5分以内のレス率90%)が特徴のコミュニティ ・Google Play2014年ベストアプリを受賞 出典: https://logmi.jp/business/articles/90105

Slide 18

Slide 18 text

© itosho All Rights Reserved. サービス事例④ ママリ ・コネヒト社のサービス: https://mamari.jp / https://qa.mamari.jp ・プレママ・ママ向け情報メディアおよびコミュニティサービス ・悩みの解消と共感が特徴のコミュニティ(月間約110万投稿) ・ママの3人に1人が利用する規模まで成長  ※:「ママリ」で2023年内に出産予定と設定したユーザー数と、厚生労働省発表「人口動態統計」の出生数から算出 ※画像はママリのスクショです

Slide 19

Slide 19 text

© itosho All Rights Reserved. アイディアはどこから生まれるか?

Slide 20

Slide 20 text

© itosho All Rights Reserved. アイディアは社会にもう存在している

Slide 21

Slide 21 text

© itosho All Rights Reserved. アイディアは社会にもう存在している ・頭の中からアイディア(サービスやコンテンツの種)は生まれない  →インターネットサービスをつくるのにセンスは必要ない  →アイディアを出すことが苦手な人でもインターネットサービスはつくることができる ・サービスやコンテンツの種は常に社会や生活の中にある  →インターネットはリアルの代替であり、拡張であり、カウンターである(ことが多い)  →重要なのは、センスではなく、社会をとらえる力

Slide 22

Slide 22 text

© itosho All Rights Reserved. それぞれのサービスが生まれたきっかけ ・Tokyo Edit  →当時、地下鉄は電波が入らず、時間を持て余すことが多かった  →暗い窓から地上の景色が見れたら面白いんじゃないか? ・PRESENT4229  →東日本大震災を経験したことがきっかけ  →日本は相対的に恵まれた国だが、必ずしも数年後の未来が保証されているわけじゃない ・アンサー / ママリ  →当時、スマホの普及率が急上昇していた(2013年: 36.8%、2014年: 46.7%)  →一方でQAサイトはPCベースのものが多かった 出典: https://www.moba-ken.jp/project/mobile/20230410.html

Slide 23

Slide 23 text

© itosho All Rights Reserved. 何がサービスを面白くするのか?

Slide 24

Slide 24 text

© itosho All Rights Reserved. 制約と余白がサービスを面白くする

Slide 25

Slide 25 text

© itosho All Rights Reserved. 制約と余白がサービスを面白くする ・制約はサービスの独自性をつくる  →物理的な制約がないインターネットサービスは「百徳ナイフ」になりがち  →完成した機能の多くは使われない(諸説あるが64%というデータも)  →「Less is more」の精神が重要 ・余白はユーザーの創造性を刺激する  →自分のサービスに愛着が湧くと、ユーザーに使い方を強制しすぎることがある  →インターネットサービスは「遊び」要素が求められる(ことが多い)  →サービス提供者が予期しない使い方をユーザーが発明してくれることを目指す 出典: https://mtx2s.hatenablog.com/entry/2023/03/27/222358

Slide 26

Slide 26 text

© itosho All Rights Reserved. それぞれのサービスで意識した制約と余白 ・Tokyo Edit  →制約: 地上の景色を見えすぎないようにする ・PRESENT4229  →制約: 何があっても2月29日以外は使えないようにする  →余白: 自分宛に送るというケースは想定していなかった ・アンサー  →制約: 一人相撲モード(自分以外、誰からもみえなくなる) ・ママリ  →余白: いいね機能がアンケート的に使われるようになった ※画像はママリのスクショです

Slide 27

Slide 27 text

© itosho All Rights Reserved. サービスはつくって終わりではない

Slide 28

Slide 28 text

© itosho All Rights Reserved. サービスはつくって終わりではない ・インターネットサービス≒ソフトウェアのシステム  →システムは何もしないと壊れる  →個人のサービスはまだしも、企業や商用のサービスはつくってからが本番 ・インターネットサービスはつくって、育てるまでがセット  →人や社会から求められることは日々変わっていく  →一瞬のブームをつくるより、息の長いコンテンツであり続けることのほうが難しい  →ここからはSNSやコミュニティサービスにフォーカスして話します

Slide 29

Slide 29 text

© itosho All Rights Reserved. 熱量と健全性をコントロールする

Slide 30

Slide 30 text

© itosho All Rights Reserved. 熱量と健全性をコントロールする ・熱量は重要、しかし、高すぎても長続きしない  →1日何十時間も使ってしまうインターネットサービスはユーザーの生活が破綻する ・適切な新陳代謝が必要  →古参ユーザーが幅を利かせすぎるとコミュニティは衰退する ・サービス運営者は公園の管理人のようなスタンスを目指す  →LINEのオープンチャットを複数運営しているが、黒子に徹したほうが荒れないことが多い 出典: https://logmi.jp/business/articles/310160

Slide 31

Slide 31 text

© itosho All Rights Reserved. 熱量と健全性をコントロールする仕掛け ・アンサー  →キャラクターの活用や地獄カテゴリー  →サービス上でユーザーと企画会議を行う ・ママリ  →現時点でフォロー機能を実装していない(制約でもある)  →妊活ユーザーへの配慮やUIのアップデート実施 出典: https://and-engineer.com/articles/YBe2uhAAACYAjM29

Slide 32

Slide 32 text

© itosho All Rights Reserved. 細部にこだわる

Slide 33

Slide 33 text

© itosho All Rights Reserved. 細部にこだわる ・機能だけで差別化を図る難易度は年々上がっている  →テクノロジーがコモディティ化し、誰でも容易にサービスの立ち上げが可能になった  →アンサーもママリも仕組みや技術的な実装はかなり似ている ・例えば、ママリではUXライティングや世界観にこだわっている  →遊園地をつくるにしてもディズニーランドかUSJのどちらを目指すかで使う言葉は変わる 出典: https://and-engineer.com/articles/YBe2uhAAACYAjM29

Slide 34

Slide 34 text

© itosho All Rights Reserved. ここまでのおさらい ・アイディアは社会や生活の中にすでに存在する  →インターネットサービスをつくるためにセンスは不要 ・制約と余白がインターネットサービスの味噌  →サービスの独自性とユーザーの創造性を刺激することが重要 ・インターネットサービスはつくって終わりではない  →育て続けるためには熱量と健全性をコントロールし、細部へのこだわりが必要

Slide 35

Slide 35 text

© itosho All Rights Reserved. きょうのお品書き Opening: 自己紹介 01 Presentation: インターネットサービスの育て方 02 Workshop: 次に流行るインターネットサービスを考えよう! 03 Closing: まとめ 04

Slide 36

Slide 36 text

© itosho All Rights Reserved. 次に流行るインターネットサービスを考えよう! 03

Slide 37

Slide 37 text

© itosho All Rights Reserved. なぜ、ワークをするのか?

Slide 38

Slide 38 text

© itosho All Rights Reserved. なぜ、ワークをするのか? ・サービスやコンテンツの質は思考量に比例する  →センスは必要ないが、継続的な訓練が必要(急に上手くはならない) ・お題「次に流行るインターネットサービス」  →サービスの種類や規模、時間軸は問いません  →アイディアはくだらないことでも何でもOK!オープンに発信することが重要! ・ワークの進め方  →シンキングタイム(個人作業): 15〜20分前後  →チャット投稿(全員) + 発表タイム(任意): 5〜10分前後

Slide 39

Slide 39 text

© itosho All Rights Reserved. ワーク標準フォーマット ・サービス名: ◯◯◯  →どういうサービスかを一言で!(整ってなくてOK) ・サービス説明: ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯  →サービスの詳細(文字数制限なし) ・流行る理由: ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯  →このサービスが流行ると考えた理由(文字数制限なし) ・発表可否: Yes or No  →チャット投稿後、当てられても話せない環境にいる方はNoをお願いします

Slide 40

Slide 40 text

© itosho All Rights Reserved. ワークのヒント ・思いつかない方向けなので、引っ張られる必要はありません  →ワークをたのしむことを最優先してください🙏 ・きょうのプレゼンの内容を踏まえた思考例  →社会系: 生成AI時代になり価値が低くなるもの、高くなるものはなにか?  →制約系: いま流行っているサービスからこの機能がなくなるとどうなるか?  →熱量系: 大学生なら絶対毎日使いたくなるサービスは?

Slide 41

Slide 41 text

© itosho All Rights Reserved. きょうのお品書き Opening: 自己紹介 01 Presentation: インターネットサービスの育て方 02 Workshop: 次に流行るインターネットサービスを考えよう! 03 Closing: まとめ 04

Slide 42

Slide 42 text

© itosho All Rights Reserved. まとめ 04

Slide 43

Slide 43 text

© itosho All Rights Reserved. 小咄

Slide 44

Slide 44 text

© itosho All Rights Reserved. ・同じレベルの会社Aと会社Bが存在します、会社Aの勝率は? 小咄 VS

Slide 45

Slide 45 text

© itosho All Rights Reserved. ・同じレベルの会社Aと会社Bが存在します、会社Aの勝率は? 小咄 VS 50% 50%

Slide 46

Slide 46 text

© itosho All Rights Reserved. ・会社Aに超優秀な経営者が参画しました、会社Aの勝率は? 小咄 VS

Slide 47

Slide 47 text

© itosho All Rights Reserved. ・会社Aに超優秀な経営者が参画しました、会社Aの勝率は? 小咄 VS 60% 40% 詳細は『ファスト&スローあなたの意思はどのように決まるか?』を参照

Slide 48

Slide 48 text

© itosho All Rights Reserved. 世の中は運の占める部分が多い

Slide 49

Slide 49 text

© itosho All Rights Reserved. 世の中は運の占める部分が多い ・10%の改善をどう捉えるか?  →10%は高くはないが、低すぎることもない  →成功確度を1%でも上げる工夫はし続けるべきだと思う(きょうの話はここ) ・一方で、運が占める要素は無視できない  →きょうの事例もたまたま上手くいった部分も大きい(もちろん、僕だけの成果ではない)  →ビジネス書のサクセスストーリーは参考になるが、鵜呑みしすぎないことも大切

Slide 50

Slide 50 text

© itosho All Rights Reserved. どうすれば、運を味方にできるか?

Slide 51

Slide 51 text

© itosho All Rights Reserved. Connecting the dots

Slide 52

Slide 52 text

© itosho All Rights Reserved. Connecting the dots ・点と点をつなげる  →ジョブズの有名なスピーチ: https://www.youtube.com/watch?v=UF8uR6Z6KLc  →スケールは小さいが、僕がソフトウェアエンジニアになったのもひとつの「dots」 ・たくさんのチャレンジや経験を積むことが大切  →Dotsはコントロールできないが、Dotsを増やすことはできる  →この授業がいつかみなさんのdotsになれば幸いです!

Slide 53

Slide 53 text

© itosho All Rights Reserved. ご清聴ありがとうございました!