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社会の中のわたしの技術 ─ 自分の地図の描き方 2025/06/28 鳥井雪

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S P E A K E R P R O F I L E 鳥井 雪 NPO法人Waffle:カリキュラム・マネージャー 株式会社万葉:フェロー とりいゆき Webプログラマー/いろいろ本関係/ 2024年Forbes Japanの「Women in Tech 30 テクノロジー領域 で未来を創造する30人の女性」選出 女性エンジニアが 「増えた」話をきいた とき

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自己紹介 Webエンジニア(15年?もっと?)  NPO法人 カリキュラムマネージャー

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最近よくある学生の相談「大学でプログラミングを学ぶ意 味はあるんでしょうか?」 「このAIの時代に、大学でコンピュータサイエンスを学ぶ意味はありますか?」 「どうせ AIが全部やってしまうなら、意味ないのでは …?」

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どう答えるか? 「その問題意識を持って大学の授業を受け、問題を考える力をつけてほしい」 「AIがどのように社会を変えていくのか、その先をデザインするために大学で学んでほしい」

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しかし同じ問題・不安はわたしたちにもありますね ● AIの発展で仕事がなくなるかも ... ● この技術って将来も必要とされる? ● 自分にしかできないことってなんだろう?

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しかし同じ問題・不安はわたしたちにもありますね ● AIの発展で仕事がなくなるかも ... ● この技術って将来も必要とされる? ● 自分にしかできないことってなんだろう? “自分の技術の地図”を描くことで行き先を見通す

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地図を描くための三つの要素 - 現在地:自分の「好き」や「得意」な技術 - 地形:社会的需要。その現在地からどこへ道が通じるか - 方角:自分がどんな価値を生み出したいか

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  現在地:自分の「好き」や「得意」な技術 /視点 たとえば.... 技術(ハードスキル) - HTML/CSSが好きで、レイアウトを整えるのが得意 - Pythonでデータ処理をするのが面白い - ゲーム開発のUnityが楽しい ソフトスキル - 人にわかりやすく説明するのが得意 - バグを見つけるのがうまい(観察眼) - 複数人の意見をまとめるのが好き - タスク整理・進行管理ができる 視点・価値観 - 「誰が使うのか?」を常に意識して設計する - 「小さな不便」に気づける感覚がある - 地方や高齢者など、情報にアクセスしにくい人を意 識している - バリアフリーやジェンダー配慮に関心がある

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地形:社会的需要 -その現在地からどこへ道が通じるか 技術面 : その技術が今、どんな問題を解決し、どんな文脈で必要とされているか 例:AIの登場によって増えた「データのクレンジング」「バイアスのチェック」「説明可能性( Explainability)」といった課題。  →単なるコー ディングスキルではなく、 倫理や社会的責任を理解している技術者が必要 になる 技術x文脈によってその技術の活かし方は様々なバリエーションがある 経済面:その技術が、経済の中でどのような価値を生んでいるか/期待されているか 例: 自然言語処理(NLP)を用いたカスタマーサポート自動化は、数千万円単位のコスト削減につながることもある。 → 資源の再分配として技術を用いたい

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方角:自分がどんな価値を生み出したいか - 選べる道のなかで、「あなた」がどこを目指し、何を解決したいのか - 次の「現在地」にいくためにどんな技術が必要か

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様々な場所に立っている「あなた」がたくさんいることで広 がりが生まれる ● 単一の視点では生まれないビジネスモデルやサービスは 多様な技術者がいるからこそ誕生する 。 - 視覚障害者向けナビ - LGBTQ+配慮型のUX 例:音声アシスタントの開発 従来:男性の声に最適化(僕 /俺の認識率の高さ、声のレンジなど) 多様な視点を持つ開発者の参入 →高齢者、子ども、非ネイティブスピーカーの声にも対応 アクセシビリティ向上と市場拡大

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ここまでのまとめ:地図を描くための三つの要素 - 現在地:自分の「好き」や「得意」な技術 - 地形:社会的需要。その現在地からどこへ道が通じるか  → その技術が活きる社会の領域 - 方角:自分がどんな価値を生み出したいか  → どんな課題を解決したいか

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AIの世界でどう道を見つける?: ジュュニアエンジニアと AIの現実 プログラミング教育の現場の悩み ... ジュニアレベルのスキルで解決できる問題は AIが解決できる プロダクトレベルのコードに関与できるところまでスキルを引き上げられるか ...?

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求められる「道」は変わっていきそう Before: After: ● 手書きでのコーディング能力  アルゴリズムや機能を一から自力で実装する力 ● デバッグ・エラー解析スキル  バグを特定し、正確に修正する力 ● 特定言語/フレームワークへの深い習熟  一つの言語や技術スタックを極めることが強みと された。 ● 情報収集・検索力( Stack Overflow など)  必要な情報を素早く見つけて活用する能力 ● 問いを立てる力  AIに適切な指示を与えて、求めるコードやアウト プットを引き出す能力。 ● コードレビュー・選別力  AIが生成したコードを読み解き、適切に取捨選択・ 改善できる力。 ● システム設計・アーキテクチャ思考  「どう作るか」より「何をどう設計するか」 ● 倫理・セキュリティ・ AIリテラシー  AI活用における著作権、セキュリティ、データの扱 いなどへの理解

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地図はなんどでも書き直すことができる ● AIで代替できない「問いを立てる力」が必要そう? ● AIツールを使いこなす技術リテラシーで AIを味方につける? ● チームの中での対話・調整力やリーダーシップを身につける?

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まとめ:技術と自分をつなぐ「地図」は描き続けられる あなたはどんな問題を解決して、どこへいきたいですか?

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Have a nice trip!