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提案のレベルを上げる
 Qiita Conference 2025
 2025/04/25 (金)
 @konifar


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小西 裕介 (こにふぁー / @konifar)
 株式会社Kyashで7年半くらいプロダクトを作っています。 役割が色々と変わり、社内外ともに関わる人も増えました。

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物事を前に進めていくには
 どうすればよいのか


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https://konifar-zatsu.hatenadiary.jp/entry/2023/11/01/193210 


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提案のレベルを上げる話を
 zatsuに少し丁寧に話します


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2013年くらいのある日の評価フィードバック
 前々職のシャチョー 「konifarさんは色々選択肢は出してくれるけど、決めないよね」

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2013年くらいのある日の評価フィードバック
 前々職のシャチョー 「konifarさんは色々選択肢は出してくれるけど、決めないよね」 当時の自分 (いやいや、決めるのは俺じゃないやろ。パフォーマンスとか実装工数とか色々な 意思決定に必要な情報を全部検討して伝えてるし、自分のエンジニアとしての責 務は全うしてるつもりなんだけどな)

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2013年くらいのある日の評価フィードバック
 前々職のシャチョー 「konifarさんは色々選択肢は出してくれるけど、決めないよね」 当時の自分 (いやいや、決めるのは俺じゃないやろ。パフォーマンスとか実装工数とか色々な 意思決定に必要な情報を全部検討して伝えてるし、自分のエンジニアとしての責 務は全うしてるつもりなんだけどな) 「ちょっと意識してやってみます!」

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とりあえず意識してやってみることに
 (Before)「それぞれPros/Consありますがどうしましょうか?」 => 「色々懸念はあるんですが、この方針で行くのがいいと思います」 (Before)「このミーティングいります?」 => 「このミーティングなくてもいいと思うのでやめるのはどうですか」

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結果としてよかった
 - 物事の進みが明らかに早い - 自分でコントロールしている感覚が増えて気持ち的にも楽 - 最初は思うところがあったが「自分の提案のレベルが低いだけだったな」と考 えるようになった - 自分のまわりの物事をグイグイ進めている人を思い返しながら、提案レベルと いう概念で考えるようになっていった

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https://x.com/dosukoi_android/status/1719664280768024731 
 10年後...


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提案のレベル分け


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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 提案ではなく指摘で止まっている 状態。 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 いくつかの案を整理して伝えられ る状態。 選択肢の提示に加えて「自分はこ うしたらいいと思う」という 意見を 添えられる状態。 レベル2の整理にさらに様々な立 場の意見も考慮され、 意思決定を 促している状態。 提案のレベル分け
 気づいていることは素晴らしい が、レベル1に行くことでそこから 決めていくのが大変だということも 理解できる。 実施スケジュールや懸念に対する リカバリプランなどを横に広げて 考えてPros/Consをまとめる必要 がある。 評価軸を決め、意思決定のため の材料を集める必要がある。ロジ カルな判断ではなく思想をのせて 伝えなければならないこともある。 相談された人や意思決定者が話 を聞いて「いいと思う」「じゃあそれ で」くらいのやりとりで終わる。

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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 提案ではなく指摘で止まっている 状態。 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 いくつかの案を整理して伝えられ る状態。 選択肢の提示に加えて「自分はこ うしたらいいと思う」という 意見を 添えられる状態。 レベル2の整理にさらに様々な立 場の意見も考慮され、 意思決定を 促している状態。 提案のレベル分け
 気づいていることは素晴らしい が、レベル1に行くことでそこから 決めていくのが大変だということも 理解できる。 実施スケジュールや懸念に対する リカバリプランなどを横に広げて 考えてPros/Consをまとめる必要 がある。 評価軸を決め、意思決定のため の材料を集める必要がある。ロジ カルな判断ではなく思想をのせて 伝えなければならないこともある。 相談された人や意思決定者が話 を聞いて「いいと思う」「じゃあそれ で」くらいのやりとりで終わる。

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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 提案ではなく指摘で止まっている 状態。 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 いくつかの案を整理して伝えられ る状態。 選択肢の提示に加えて「自分はこ うしたらいいと思う」という 意見を 添えられる状態。 レベル2の整理にさらに様々な立 場の意見も考慮され、 意思決定を 促している状態。 提案のレベル分け
 気づいていることは素晴らしい が、レベル1に行くことでそこから 決めていくのが大変だということも 理解できる。 実施スケジュールや懸念に対する リカバリプランなどを横に広げて 考えてPros/Consをまとめる必要 がある。 評価軸を決め、意思決定のため の材料を集める必要がある。ロジ カルな判断ではなく思想をのせて 伝えなければならないこともある。 相談された人や意思決定者が話 を聞いて「いいと思う」「じゃあそれ で」くらいのやりとりで終わる。

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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 提案ではなく指摘で止まっている 状態。 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3 
 「これでいいですか」
 いくつかの案を整理して伝えられ る状態。 選択肢の提示に加えて「自分はこ うしたらいいと思う」という 意見を 添えられる状態。 レベル2の整理にさらに様々な立 場の意見も考慮され、 意思決定を 促している状態。 提案のレベル分け
 気づいていることは素晴らしい が、レベル1に行くことでそこから 決めていくのが大変だということも 理解できる。 実施スケジュールや懸念に対する リカバリプランなどを横に広げて 考えてPros/Consをまとめる必要 がある。 評価軸を決め、意思決定のため の材料を集める必要がある。ロジ カルな判断ではなく思想をのせて 伝えなければならないこともある。 相談された人や意思決定者が話 を聞いて「いいと思う」「じゃあそれ で」くらいのやりとりで終わる。

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レベル0 
 「どうすればいいですか」
 提案ではなく指摘で止まっている 状態。 レベル1 
 「どれにしましょうか」
 レベル2 
 「自分はこれがいいと思います」
 レベル3
 「これでいいですか」 
 いくつかの案を整理して伝えられ る状態。 選択肢の提示に加えて「自分はこ うしたらいいと思う」という 意見を 添えられる状態。 レベル2の整理にさらに様々な立 場の意見も考慮され、 意思決定を 促している状態。 提案のレベル分け
 気づいていることは素晴らしい が、レベル1に行くことでそこから 決めていくのが大変だということも 理解できる。 実施スケジュールや懸念に対する リカバリプランなどを横に広げて 考えてPros/Consをまとめる必要 がある。 評価軸を決め、意思決定のため の材料を集める必要がある。ロジ カルな判断ではなく思想をのせて 伝えなければならないこともある。 相談された人や意思決定者が話 を聞いて「いいと思う」「じゃあそれ で」くらいのやりとりで終わる。

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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 「何人かと雑談的に話してみたら 課題感は揃ってそうだったので、 明日の振り返りで決定しましょう。 もしちょっと待った方がよければ 言ってください」 例) 会議体の見直し
 「この定例会議ってこれからも同じ ように続けます?」 「他のメンバーにもアンケート的に 聞くといいかもしれません。それか 振り返りをしてどうするか決定する のもいいかもですね」 「明日振り返りもあるし、そこで話 してみるのがいいかなと思うんで すがどうでしょう」

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レベル0
 「どうすればいいですか」 
 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 「チケット確認して、後続タスクを 考慮してこれをやっていくことにし ます。一応チームメンバーにも確 認して問題はなさそうなんです が、もっと優先した方がいいことが あったら声掛けしてください」 例) 次のタスクの確認
 「手が空いてきたので、何かやっ たほうがよいことあれば言ってくだ さい」 「チケットの優先度が高いものを 上から取っていくのがいいです か?◯◯さんに確認して決めるの がいいですか?」 「チケット見たかぎりあまり優先度 が高いものはないですが、後続タ スクを考えるとこれをやっておいた 方がよさそうだと考えてます」

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提案レベルの向き合い方


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レベル0 (提案ではなく指摘) は悪くはない
 - 課題に対するアクションのレベルとしては、気づけているし素晴らしい a. そもそも気づいていない b. 認知してる (けど言語化できない ) c. 問題指摘する d. 解決策を提示する e. 解決する - ただし、指摘だけで物事が前に進むことはないのでレベル1に上がっていく方 がよい 視座の可視化 by kgmyshin https://note.com/kgmyshin/n/ndbed1f3496a1


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提案レベルを上げておくと選択肢が広がる
 - 「なんでそんなに領域を広げて前のめりにやっていかないといけないのか」と 感じるかもしれない。一理あるしわかる - 経験上、提案レベルを上げていった方が自分でコントロールできることが増え てやりやすいし楽しいという前提に立っている - 何事も自分でコントロールできないとストレスを感じてつらくなりがち - 実際に提案するかは置いといて、レベルを上げといた方が選択肢が広がって よいと思う - 小さい組織規模で意思決定者が自分であっても、合意形成が必要なことはよくある

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レベルを上げていく = 意思決定の練習
 - 考えの幅と深さを広げないとレベル1とレベル2の動きはできない - 自分だけで決められないことを提案するレベルを上げていくことが、いつか自 分で意思決定をすることになった時の練習になる - 相談相手や意思決定者の考え方をエミュレートするようなイメージ - エンジニアに限らず、自分で意思決定した数だけ強くなるので疑似訓練を積 み重ねておくのが大事

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どんなことも提案して前に進められる
 - レベル2や3が難しい要因のひとつは、「自分がどこまでの範囲で意見を言っ たり決めたりしていいのかわからない」というもの - そのすり合わせ自体も提案していけばよい - レベル0: 「どこまで自分が決めていいものかわからないのでやりづらいんですよね」 - レベル1: 「ここまでは決めていいですか?逐一確認したほうがいいですか?」 - レベル2: 「デリゲーションポーカーで整理してすり合わせましょうか」 - レベル3: 「^で整理したいので予定入れました。たたき台は用意しておきますね」 - 「自分で提案して進められないか」というスタンスで考えてみること

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相手は意外と答えを持っていない
 - 「自分より明らかに知識も経験もある人に提案するのむずかしい」と思う人も いるかもしれないが... - 自分のマネージャーも実は”答え”自体は持っていないことが多い - 経験に基づく”考え”はあるものの、意思決定のための情報をたくさんは持っていないし整理 もできていない状態 - 自分がオーナーシップを持っているタスクや課題解決については、自分が一 番考えているし一番一次情報に触れているという自負を持つこと

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役割ごとに提案レベルを上げる
 - メンバーからTech Lead、プレイヤーからマネージャー、エンジニアから Product Manager、ミドルマネジメントから経営 など役割は変わる - 役割が変わると今までできていた動き方ができず、提案レベルがリセットされ たように感じてしまう - これまで培ってきた提案レベル自体はリセットされない。その役割ごとのレベ ルをまた上げていけばよい

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Tips: 枕詞と注意書きの引き出しを増やす
 レベル0
 「どうすればいいですか」 
 「代替案がない中で申し訳ないん ですが〜」 「ちょっと懸念の吐露レベルの話 なんですけどいいですか」 「どうすればいいかわからない中 でまず課題感だけ伝えると〜」 レベル1
 「どれにしましょうか」 
 レベル2
 「自分はこれがいいと思います」 
 レベル3
 「これでいいですか」 
 「もっと選択肢があるかもしれない と思いつついったん自分で考えて みたんですが〜」 「いくつか選択肢を考えてみたの でまず壁打ち的に相談したいんで すけど〜」 「◯◯さんの観点も入れていった ん選択肢を広げて考えてみたい んですが〜」 「自分で一次意思決定してみたん ですが〜」 「考慮できていない観点あったら ぜひ補足してもらう前提で〜」 「ちょっと評価軸が過不足ないか 自信がないんですが〜」 「もしまずかったら教えてください」 「いったんやってみつつ、随時報 告はしていきます」 「1週間後に振り返って必要に応じ て軌道修正する前提で〜」

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提案のレベルを上げて
 物事を前に進めていきましょう


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ありがとうございました