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キャッシュレス先進国の取組・スマートシティの実態調査 2024年度ICT職専門研修(海外派遣研修) デジタルサービス局総務部総務課 (GovTech東京 テクノロジー本部 テクニカルグループ派遣) 奥木 稜平

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2 01 研修概要 渡航テーマ 渡航先と日程 02 研修内容 • シンガポール • コペンハーゲン 03 まとめ 都政に還元したいこと

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3 03 まとめ 都政に還元したいこと 02 研修内容 • シンガポール • コペンハーゲン 01 渡航テーマ 渡航先と日程 研修概要

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研修概要 01 渡航テーマ ▍研修テーマ キャッシュレス先進国の取組 ▍背景 私が派遣されているGovTech東京では、社会的意義のある活動への参加推進をコンセプトに、東京 都と連携して共通ポイント基盤を構築している。 本施策の推進にあたり、国内大手QR決済業者や開発事業者に数多くのヒアリングを実施しており、国 内事例については情報量があるが、日本よりもキャッシュレスが進んでいる海外の事例については調 査ができていない。 海外における政府がキャッシュレスを推進してきた事例や、社会的意義のある活動への参加推進の事 例を調査し、都政に還元したいと考え、上記テーマを設定した。 4

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研修概要 01 渡航テーマ ▍研修サブテーマ スマートシティの実態調査 ▍背景 国土交通省が提唱するスマートシティは、「都市が抱える諸問題に対して、ICT等の新技術を活用しつ つ、マネジメント(計画・整備・管理・運営)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地 区」と定義し、分野横断的なデータ連携により社会の課題解決や地域経済の向上を図ることとしている。 一方で、北欧でのスマートシティでは社会の課題解決や市民の生活水準向上のための「ソリューション」 として捉えられている。 渡航予定先のコペンハーゲンでは、エネルギー関連の基本計画である「The CPH 2025 Climate Plan」の 達成に向けた様々な都市整備が進められている。サスティナビリティは私が興味がある分野でもあり、 視察先のCopenPayでもこのテーマが取り上げられている。コペンハーゲンのスマートシティの取組 を学び、日本で推進するスマートシティに活かせるものがないか視察したいと考え、上記のサブテーマ を設定した。 5

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研修概要 01 渡航先と日程 ▍シンガポール(10/18) • Monetary Authority of Singapore ▍コペンハーゲン(10/21~24) • Wonderful Copenhagen • コペンハーゲン中央図書館 • コペンハーゲンのスマートシティ 6

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7 03 まとめ 都政に還元したいこと 01 渡航テーマ 渡航先と日程 研修概要 02 • シンガポール • コペンハーゲン 研修内容

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8 シンガポール Monetary Authority of Singapore

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研修内容 02 Monetary Authority of Singapore 視察概要 ▍基本情報 • Monetary Authority of Singapore(以後、「MAS」)は、シンガ ポールの中央銀行 • 外為基金の管理や、銀行など金融業に対する監督、通貨制度の維持が 主な任務である • Singapore Quick Response Code(以後、「SGQR」)と呼ばれ る世界初の統一QRコード*1決済規格を推進している ▍MASを視察した目的 SGQRについてヒアリングを実施し、推進方法を参考にするため 9 Monetary Authority of Singapore *1 QRコードは株式会社デンソーウェーブの商標登録

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研修内容 02 世界初の統一QRコード決済規格 SGQR SGQRは、シンガポールの小売店の90%にあたる30万件で使用できる。 日本でも同様の取組「JPQR」があるが、2021年の時点では普及率は1.5%に留まる*1。 10 Monetary Authority of Singapore *1 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01776/091000004/ After SGQR SCAN TO PAY XX PAY WW PAY ZZ PAY YY PAY QRコードは1つだけ 使用したいQRコード決済アプリでSGQRを読み取る Before XX PAY ZZ PAY WW PAY QR決済事業者の数だけQRコード ?

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研修内容 02 視察内容 ▍デモンストレーション 使い慣れている決済アプリを利用できるため、利用者はいつもの処理をするだけ 11 Monetary Authority of Singapore 決済アプリを選ぶ スキャン画面を開く SGQRをスキャンする 金額を入力する 決済完了 1 2 3 4 5 複数の決済業者の QRコードが 1つにまとめられている

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍SGQRの進め方 2017年にタスクフォース*1を結成し、まずは調査・研究(市場調査)を1年間実施した。 タスクフォースの構成員はMASとシンガポールの情報通信開発庁であるInfocomm Media Development Authority(IMDA)をリーガルオーナーとし、決済事業者、テクノロジープロバイ ダーが参画した。 → いわゆる官民共創での推進 ▍重視したこと • 混乱を起こさないこと SGQRと各社のQRコードを併用できる移行期間を設けた • 民間企業のコストが増え過ぎないようにしたこと コストを転嫁すると結果的に消費者に戻ってきてしまう 12 Monetary Authority of Singapore *1 https://www.mas.gov.sg/development/e-payments/sgqr/for-merchant-acquirers

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍成功のポイント 決済業者を巻き込み、賛同した決済業者に頑張ってもらう • 2017年当時、QRコード決済はデジタル決済の中でもコンタクトレス決済などの他の決済方法 と比較して認知度が高くなかった • そこで、業界(決済業者)はQRコード決済の認知度を上げるべく、SGQRへ参画 • キャンペーンの実施や啓もう活動によりSGQRも拡大し、QRコード決済は2017年から2022 年にかけて年平均成長率(CAGR)72%で大幅に増加した ▍決済業者を巻き込むために工夫したこと 決済事業者の意見も聞き、丁寧に説明した • 参加した業者も利益が感じられることが大切。SGQRが広がると機会創出になる、といったよう な循環を生み出す仕組みにすることで、事業者のキャンペーンや啓もう活動を推進 • 決済事業者の意見を反映し、民間のコストが増え過ぎないよう、SGQRの運用にかかる費用はで きるだけ下げた 13 Monetary Authority of Singapore

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研修内容 02 所感 変化が激しくスピード感をもって対応しなければならない昨今の情勢において、調査・研究(市場調査) を1年間を実施したことに非常に興味を持った。この入念な市場調査がシンガポールの90%にあたる 30万件の小売業者で使用できる結果に繋がっていると考える。 必ずしも市場調査に時間をかければいいというものではないのでバランスを取ることが必要だと思わ れるが、SGQRにおいては2017年のタスクフォース結成から現在まで続く長期的なプロジェクトでは このくらい必要であることは理解できる。 東京都で同じことをするのは難しいかもしれないが、予算要求から執行までに時間があるのを利用し て、市場調査に時間をかける方法はあると思うので、長期的なプロジェクトを検討する際には市場調査 にも時間をかけることを推奨したい。 14 Monetary Authority of Singapore

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15 コペンハーゲン ・Wonderful Copenhagen ・コペンハーゲン中央図書館 ・コペンハーゲンのスマートシティ

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研修内容 02 Wonderful Copenhagen 視察概要 ▍基本情報 • デンマーク首都圏の公式観光団体 • 1992年に設立され、民間企業、団体、産業・ビジネス・財務省を含む公的機関からの寄付金によって 運営されている ▍Wonderful Copenhagenを視察した目的 コペンハーゲンでサスティナブルな活動をするとリワードがもらえるCopenPayのヒアリングするた め。 CopenPayは単一のキャンペーンではなく、ハブとして複数のキャンペーン(アクティビティ)を実施し た。我々の施策もCopenPayと同様に複数のキャンペーンを統合し、利用者に多様な選択肢を提供す ることを目指している。CopenPay2.0も計画されていることから、成功事例として我々の施策の参 考にしたいと考えた。 16 Wonderful Copenhagen

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研修内容 02 CopenPayについて パイロットプロジェクトとして2024年7月15日~8月11日の期間で実施。 サスティナブルな活動(アトラクション)をすると、それに対してリワードを得ることができる取り組み。 アトラクションは26あり、最終的なアトラクションの参加者は約5200名であった。 • アンケートによると参加者の100%が満足 • パートナーも訪問者数が増え非常に満足 17 Wonderful Copenhagen 無料で船に乗りながら、サスティナブルにつ いてディスカッション 海辺のゴミ拾いをすると 無料でセーリングできる カヤックに乗りながらゴミ拾い (カヤックに乗るのは無料) アトラクションの一例

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍CopenPayが生まれた背景 旅行事業はいいことばかりではない。 • 旅行事業は将来をよくするものだと考えている • しかし、CO2の排出など、気候変動に対してよい影響ばかりではない 5人のうち4人がサスティナブルな行動をとりたいと思っているが、実行に移せたのはそのうちの1名*1 → このギャップを埋めるために、CopenPayの発想が生まれた。 「これらの活動を通じて、サスティナブルな旅行先としてコペンハーゲンを認知してほしい」 との思いから、CopenPayが誕生した。 18 Wonderful Copenhagen *1 https://www.wonderfulcopenhagen.com/wonderful- copenhagen/international-press/copenhagen-launches-new-green- experience-economy-initiative-copenpay

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍パートナー募集のポイント • CopenPayの考えに共感してもらうこと • CopenPayが生まれた背景を伝えることで、パートナーの賛同を得る • まずはキーパートナーから声をかけ、その後に広く公募した • 参加パートナー側にもメリットが感じられるような仕組みを作っておくこと • CopenPayのブランディングや、観光客からの注目が得られる等、パートナーが参加する価値 を伝えることを心掛けた。 19 Wonderful Copenhagen

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍成功の秘訣 とにかくシンプルにすること • アプリを作らず、Webでアトラクションのリスト*1を出すだけ とにかくやってみて、柔軟に対応できるように心がけた • コンセプトもシンプルに 利用者にもわかりやすく、広報しやすいように “Copenhagen attractions for climate-friendly actions” 取組みが評価され、2024 GDS Innovation Award*2を受賞 20 Wonderful Copenhagen *1 https://www.visitcopenhagen.com/copenpay *2 https://www.gds.earth/blog/gds-movement-reveals-the-winners-of-the- 2024-gds-awards/ これをスキャンすることで、ア トラクションのリストを見るこ とができる

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍これからの展望 CopenPay2.0を計画中 • 性善説のシンプルなコンセプトは変えない • 数多くの希望の中、参加希望パートナーを26に絞らざるを得なかったので、より多くのパートナーが 参加できるように 一方で、アトラクションに参加したらコーヒー一杯サービス、といったようなサスティナビリティにあま り関係のないものは避け、よりサスティナビリティについて考えてもらえるようなアトラクションを増 やしていく • アトラクション後に、行動がどう変わったのか、フォローアップして質問していきたい 21 Wonderful Copenhagen

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研修内容 02 所感 CopenPayのパートナー募集の際のポイントとして、業者にもメリットを感じてもらうことが大切と おっしゃっていた。これはSGQRを推進するMASでもおっしゃっていたことでもあり、事業の成功には 非常に大切な要素であることを改めて痛感した。 また、仕組みはとにかくシンプルにというもとても印象に残った。お話によるとデンマークでは性善説 で成り立っているものが多いらしい(メトロには開札がない など)のだが、CopenPayも仕組みをシン プルにするためアクティビティを実施したかどうかは自己申告だったそう。 行政機関でここまでシンプルにするというのは難しいかもしれないが、シンプルにするということはわ かりやすさにも繋がり、結果デバイド対策にもなると思うので、東京都のデジタル10か条にもあるよう に、“シンプルなサービス”を心掛けていきたい。 22 Wonderful Copenhagen

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研修内容 02 コペンハーゲン中央図書館 視察概要 ▍IT-café コペンハーゲンの図書館では、コンピューター、タブレット、スマートフォンのサポートが必要な方のため、 定期的に「IT-café」が実施されている。 私が視察したコペンハーゲン中央図書館では毎週水曜13:00~16:00の時間帯で行われており、予 約不要で気軽に参加することができる。 なお、この「IT-café」 はIT企業の退職者の方など6名のボランティアにより運営されている。 ▍コペンハーゲン中央図書館を視察した目的 コペンハーゲン中央図書館で行われている「IT-café」を視察し、デンマークにおけるデジタルデバイド 対策を参考にするため。 23 コペンハーゲン中央図書館

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研修内容 02 ヒアリング内容 ▍IT-caféの様子 ボランティアの方に話を伺ったところ、参加者は高齢 者が多く、質問はメールボックスの使い方など基本的 な使い方が多いとのこと。 ここでいうメールボックスとは、政府からメールが送 られてくるとおっしゃっていたので、デンマークの電 子私書箱e-Boks(Digital Post)のことを指してい ると思われる。 24 コペンハーゲン中央図書館 IT-caféの様子 手前の女性が参加者。 まさにCaféのようなリラックスした空間で行われている。

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研修内容 02 所感 デンマークは行政のデジタル化が進められているが、一方でデジ タルツールの使い方を知らない高齢者が取り残されるリスクが ある。 高齢者のインターネット普及率がデンマークの方が日本よりも高 いが、ヒアリング内容も加味すると、行政サービスの利用にはイ ンターネットが不可欠だからではと考える。 日本及びに東京都でも行政のデジタル化を進めているが、誰一 人取り残さないためにはデジタルデバイドは重要な課題である。 視察したIT-caféのように、定期的にかつ予約不要で誰もが利 用しやすい環境を整えることで、自然とデジタルデバイドが解消 されていくのを感じた。 25 コペンハーゲン中央図書館 69 % 24 % デンマーク 日本 高齢者のインターネット普及率比較 デンマークはほぼ毎日インターネットに アクセスしている75~84歳の割合*1(2020年) 日本はインターネットをよく利用している 70歳以上の割合*2(2021年) *1 https://en.digst.dk/numbers-and-statistics/ *2 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111430.html

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ 視察概要 ▍概要 コペンハーゲンは2025年のカーボンニュートラルに向けて、「The CPH 2025 Climate Plan」を 掲げ、「エネルギー消費」「エネルギー生産」「排出量を削減したモビリティ」「市政の取組」の4つの柱で実 行されている。 本視察では、これらの柱が実際にどのような仕組みで実施されているのかを確認し、2025年に向け た現在地を確認する。 26 コペンハーゲンのスマートシティ

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|BLOX BLOXにはデンマーク建築センター(DAC)、デンマー クデザインセンター(DDC)、BLOX HUBなどが入居 している。 ▍BLOX HUB 混沌とした社会問題を解決するには、異なるセクター、 関わる全ての利害関係者を巻き込んで対応する必要 があるという発想のもと、持続可能な都市の実現のた め、関連する企業約350が入居している*1。 入居企業はデザイン、建築、ソフトウェアなど多岐にわ たり、互いに交流・刺激し合い、イノベーションを創造し ている。 27 コペンハーゲンのスマートシティ *1 https://bloxhub.org/

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|Nordhavn 28 コペンハーゲンのスマートシティ Nordhavnはコペンハーゲンにある再開発地区。 もともとは港湾エリアだったが、現在は持続可能な都市開発のモデルとし て注目されている。 現在も開発が進められており、最終的には4万人が暮らす現代的な居住地 区とビジネス地区が併存する、コペンハーゲンの新たなウォーターフロント となる予定である。 Nordhavnのエネルギーラボでは、再生可能エネルギーを効率的に利用 するため市民生活の場で実証実験を行っている。

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|Nordhavn 29 コペンハーゲンのスマートシティ ▍Nordhavnの開発戦略 出典 Nordhavn Urban Strategy(2009), P.23 島と運河 Nordhavnを拡張する際、 小島と運河を設けてウォー ターフロントを楽しめるよ うに アイデンティティと歴史 Nordhavnの歴史に敬意 を払い、港湾地区として発 展してきた特徴を活かす 5分間都市 徒歩や自転車の移動を楽 にするため、コンパクトな 街を目指す ブルー&グリーンシティ 運河、海岸線などの水がす ぐ近くにあり、地区の角に は緑地帯が設置されてい る 二酸化炭素に フレンドリーな都市 再生可能エネルギーによる 発電、地熱発電供給システ ムでの暖房、海水を利用し た冷房システムなども導入 予定 インテリジェント・ グリッド Nordhavnの小島をマス 目のように分割し、柔軟な ビルディングゾーンとして 設定している

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|自転車の街 コペンハーゲンはオランダと並んで自転車の街と知られており、自転車に乗りたくなる仕組みが デジタル・アナログ問わずあふれている。 30 コペンハーゲンのスマートシティ 朝の通勤時の様子 自転車用のレーンと自転車用の信号 コペンハーゲン市庁舎の前にある自転車の カウンター 自転車用のレーン 自転車用の信号

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|自転車の街 ▍Green wave 指定の時間帯、20km/hをキープすると赤信号で止まらず走行できるしくみ 31 コペンハーゲンのスマートシティ コペンハーゲンの平均走行速度 16km/h Green waveの仕組み(1/2) > 20km/h 周りが遅くて 渋滞が起こってる。。 Green waveの標識 この標識だと 12:00~18:00 あの自転車、 スピード出してて危ない。。

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|自転車の街 ▍Green wave 指定の時間帯、20km/hをキープすると赤信号で止まらず走行できるしくみ 32 コペンハーゲンのスマートシティ Green waveの仕組み(2/2) 20km/h どうせ速く走っても 信号で止まるなら。。 Green wave 20km/h もっと頑張って走らないと! 20km/h → スピードを出していた 自転車が流れに同調し、 安全性が向上 → 交通の流れがよくなり、 渋滞を防げる! Green waveのところどこ ろに速度計がある。 上部のカメラで速度を測定

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|自転車の街 ▍レンタサイクル デンマークの企業「Donkey Republic」のアプリを使って自転車をレンタル 33 コペンハーゲンのスマートシティ 好きな場所で・自転車を 街中に自転車が配備されており、 好きな場所・自転車をレンタルできる アプリで自転車をアンロック 自転車はアプリからロックでき、 鍵をなくす心配もない 返却も好きな場所で 借りた場所で返す必要がないので、 移動先で返却も可能 料金は従量課金制で、 アプリ上で常に確認できる * 自分は長時間の利用のため定額で利用

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研修内容 02 コペンハーゲンのスマートシティ|所感 一般的なスマートシティでは、技術が中心となり部分最適が多い一方で、コペンハーゲンのスマートシ ティは全体最適が強く意識されており、エネルギー、交通、ITなどの企業だけでなく、市民も関連してい るのが非常に興味深く感じた。 自分が自転車に乗ってみて感じたのは、コペンハーゲンのスマートシティはこれまでイメージしていた ような近未来感のあるスマートシティではなく、その技術にすら気づかないくらい市民の生活に溶け込 んでいることである。しかし実際にはCO2排出や渋滞などの課題解決に貢献しており、非常にデザイン されていると感じた。 また、コペンハーゲンのスマートシティの現在地として、Green waveのように洗練されたものもあれ ば、Nordhavnのようにまだまだ開発中といった様々な側面があることがわかった。しかし、指標とし ているCO2の排出量は、2005年のCO2排出量と比較して2021年は72.6%の削減となっており、 目標とやや乖離はあるものの順調に進んでいると考えられる。 34 コペンハーゲンのスマートシティ

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35 01 渡航テーマ 渡航先と日程 研修概要 02 研修内容 • シンガポール • コペンハーゲン 03 都政に還元したいこと まとめ

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まとめ 03 得られた学びのまとめ 36 MAS • 成功のポイントは、業界を巻き込むこと。そのためには、参加する業者にも利益が得られ ることが重要。 • SGQRでは、市場調査に1年かけた。これは、シンガポールの小売業者の90%にあたる 店舗で使用できる結果の一因にもなっていると考えられる。 Wonderful Copenhagen • CopenPayのパートナー募集の際のポイントは、業者にもメリットを感じてもらうこと。 これは、SGQRでもおっしゃっていた内容。 • とにかくシンプルであることを心掛ける。CopenPayのためにアプリも作らず、利用も 自己申告制に。シンプルにすることで、利用者も提供者にもメリットがある。 コペンハーゲン中央 図書館 • IT-caféの名前の通り、カフェのようなリラックスした空間で実施されていたのが印象 的であった。このような環境で、定期的にかつ予約不要で誰もが利用しやすいような環 境を整えることで、お年寄りも参加しやすく、自然とデジタルデバイドが解消されていく のを感じた。 コペンハーゲンのス マートシティ • 一般的なスマートシティは、自動運転やスマート○○など技術に目が行きがちであるが、 デンマークのスマートシティは、その技術にすら気づかないくらい市民の生活に溶け込 んでいるのが印象的であった。

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まとめ 03 都政に還元したいこと ▍所感 シンガポールとデンマークの2カ国を視察し、国によって課題解決のアプローチが異なると感じた。 シンガポールはQRコードというテクノロジーがベースにあり、それを課題解決にどう適用していくか、 デンマークはサスティナビリティをどう考えてもらいたいという課題がベースにあり、その解決策の1つ としてテクノロジーがある、という印象を受けた。 日本は、例えば生成AIを課題にどう活用していくかといったような、どちらかといえばシンガポールの のようなアプローチが得意なのではないかと考えている。一方で、デンマークのようなアプローチはス タートアップ企業が得意な印象がある。 なので、テクノロジーをどう活かすか、という長所をうまく活かしつつ、官民共創で足りない部分を補っ ていくことで、行政課題の解決を促進できるのではないかと感じた。 37

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まとめ 03 都政に還元したいこと ▍とにかくシンプルに SGQRとCopenPayのヒアリングで感じたのは、成功の秘訣はシンプルにすることである。 SGQRは統一QRコードを導入しても、専用アプリを入れずこれまでと同じアプリでよい点、 CopenPayも、アクティビティの参加を口頭で伝えるだけという点で、利用者にプラスの負担をほと んどかけることがない点が共通している。 コペンハーゲンのスマートシティも、意識しなければその技術にすら気づかないくらい市民の生活に溶 け込んでいるというのは、シンプルであることの表れであると考える。 我々の施策では、共通ポイント基盤ということでアプリをインストールいただく必要があるため、初めは 都民の皆様にご負担をおかけしてしまうことになるが、いずれはそれをハブとして、機能を拡張してく 計画がある。今後の機能拡張において、機能を煩雑にせずなるべくご負担をかけないよう、シンプルに することを心掛けたい。 38

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まとめ 03 都政に還元したいこと ▍パートナーにメリットを伝える SGQRとCopenPayに共通していたのは、業者(パートナー)にメリットを伝え、自発的になってもらう ことである。 SGQRは普及することによって、業界の認知度が上がり利用者が増えるというメリットがある。 CopenPayはパートナーとして参加することによってブランディングを得られ、観光客の訪問の選択 肢として注目を集めるメリットがある。このように、両者には明確なメリットがある点が共通している。 デジタルサービス局は、いろんな組織と連携して施策を行うことが多いので、パートナーがメリットを感 じ、支持を得られるような関係を築いていきたい。 我々の施策に関しても、パートナーに対して「協力してください」とお願いするだけではなく、協力して いただいたらどんなメリットがあるのかをきちんと伝えられるよう心掛けたい。一方で、メリットばかり でデメリットを伝えないのは信頼関係に影響するため、パートナーの立場に立って、メリットとデメリッ トの両方を伝えられるようにしたい。 39

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2024年度ICT職専門研修(海外派遣研修) EoF 公開 2025年6月 連絡先 デジタルサービス局総務部デジタル人材戦略課 [email protected]