コミュニティマーケティングによって生まれる 3つの企業価値

地 主 株 式 会 社 　 社 外 取 締 役 （ 監 査 等 委 員 ） / 不 動 産 + 金 融 福 井 コ ン ピ ュ ー タ ホ ー ル デ ィ ン グ ス 株 式 会 社 　 社 外 取 締 役 / I T 株 式 会 社 ヌ ー ラ ボ 　 社 外 取 締 役 / I T 株 式 会 社 出 前 館 　 社 外 取 締 役 / I T 社 外 取 締 役 小笹 文｜Aya Ozasa 日 本 工 業 大 学 基 幹 工 学 部 機 械 工 学 科 非 常 勤 講 師 　 → 4 月 よ り 日 工 大 M O T 専 任 准 教 授 （ マ ー ケ テ ィ ン グ ） 早 稲 田 大 学 D X 人 材 育 成 プ ロ グ ラ ム 　 講 師 早 稲 田 大 学 社 会 人 向 け 教 育 プ ロ グ ラ ム 　 P B L ア ド バ イ ザ ー 日 経 ク ロ ス ト レ ン ド B t o B マ ー ケ テ ィ ン グ 大 賞 　 審 査 員 沖 縄 県 ス タ ー ト ア ッ プ 事 業 化 支 援 事 業 補 助 金 　 採 択 選 定 委 員 経 済 産 業 省 主 催 　 J - S t a r X 海 外 派 遣 プ ロ グ ラ ム 　 国 内 研 修 講 師 一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 理事 合同会社カラフル 代表 技術経営修士（専門職） 、修士（経営管理） 教 育 ・ 研 究

企業価値って？ 今日のテーマ：コミュニティ マ ーケティ ングに よって 生ま れる企 業価値

財務資本 （狭義の企業価値） 非財務資本 むちゃくちゃシンプルに整理すると 企業価値 製造資本 知的資本 人的資本 社会・関係資本 自然資本 （Manufactured capital） （Intellectual capital） （Human capital） 　　　 （Social and relationship capital） （Natural capital） 金融資産や負債、 株主資本など

非財務資本への注目 第一生命経済研究所, https://www.dlri.co.jp/report/ld/239915.html

コミュニティマーケティングが企業価値向上にどう貢献するか？ 価値の共創 イノベーション 人的資本 財務資本 （狭義の企業価値） 非財務資本 企業価値

マーケティングは 「製品中心」から「顧客との価値共創」へ 価値の共創

作る人 グッズ (モノ) 以前の「価値」の捉え方 企業 顧客 お金 使う人 モノそれ自体に価値がある、という考え方 （グッズドミナントロジック） 価値 価値とお金を交換 Vargo & Lusch (2004)

アクター 最近の「価値」の捉え方 企業 顧客 知識やスキル 知識やスキル アクター 自 社 の 業 界 知 識 製 造 開 発 ノ ウ ハ ウ 使 い 方 メ ン テ ナ ン ス 利 用 の 基 礎 知 識 自 社 の 業 界 知 識 真 の ニ ー ズ 困 り ご と 他 社 製 品 と の 併 用 リ テ ラ シ ー 利 用 シ ー ン 知識やスキルは情報移転しにくく、粘着性が高い アクターはぞれぞれ知識やスキルを持っている

アクター 最近の「価値」の捉え方 企業 顧客 知識やスキル 知識やスキル サービス サービス グッズ(モノ) 価値を共創 アクター 価値は顧客と企業（+α）によって 共創される （サービスドミナントロジック） 価値 知識やスキルがサービスとして表現される Vargo & Lusch (2004)

サービス・ドミナント・ロジックの考え方 企業 顧客 価値を共創 価値 企業は価値を「提供」できない。あくまで「提案」するだけ。 サービスの価値は、顧客が利用してはじめて生み出される。 サービスの価値は、異なる背景を持つ顧客によって決められる。 V a l u e - i n - u s e ＝ 使 用 価 値 V a l u e - i n - c o n t e x t ＝ 文 脈 価 値 Vargo & Lusch (2004)

サービス・ドミナント・ロジックの考え方 企業 顧客 価値を共創 価値 Vargo & Lusch (2004) 利用する顧客・顧客の背景により、生み出された「価値」はそれぞれ異なる 価値 価値 価値

アクター コミュニティによる効果 企業 顧客 知識やスキル 知識やスキル サービス サービス グッズ(モノ) アクター 価値 コミュニティ

アクター コミュニティ 知識やスキルの 強化 知識やスキル コミュニティによる効果 企業 顧客 知識やスキル サービス サービス グッズ(モノ) アクター 価値 コミュニティによって企業も顧客も知識やスキルが強化できる

アクター コミュニティ 知識やスキルの 強化 知識やスキル コミュニティによる効果 企業 顧客 知識やスキル サービス サービス グッズ(モノ) 価値を拡大 アクター 価値 企業にとっては顧客理解・顧客育成が深まる

マーケティングとイノベーションの関係 イノベーション

企業の目的が顧客を創造することで あることから、企業には2つの基本的 な機能が存在することになる。すなわ ち、マーケティングとイノベーション である。 "Because the purpose of business is to create a customer, the business enterprise has two—and only two—basic functions: marketing and innovation. " ドラッカーの定義

ここで言う「マーケティング」とは？ マーケティングとイノベーション “マーケティングの目的は、販売を不必要にすることである。マーケティングの目的 は、顧客をよく理解し、製品とサービスを顧客にぴったり合うようにし、おのずから 売れるようにすることなのだ。 ” “新しい満足、すなわち富を生み出す潜在力をもつ資源を創り出すこと。 ” ここで言う「イノベーション」とは？ Peter F. Drucker, Management: Tasks, Responsibilities, Practices (New York: Harper & Row, 1973), Chapter 6, "The Purpose of a Business". Peter F. Drucker, Innovation and Entrepreneurship (New York: HarperBusiness, 1985), Chapter 1, "Innovation: The Entrepreneurial Mission" 既存資源の新活用・新たな資源の発見で 既存製品・サービスにおいて 顧客価値を創造すること 新たな価値を創造すること

ニーズ 価値 製品 技術 イノベーションはシーズ志向型からニーズ志向型へ <技術起点> シーズ志向型 顧客が本当に 必要とする状態 モノによって実現 する顧客メリット 自社が提供する モノ 自社が持つ 技術 <市場/顧客視点> ニーズ志向型

顧客中心主義の深化 デジタル技術の進化 マーケティング イノベーション オープンイノベーションが 企業戦略に マーケティングとイノベーションは別もの？ 「顧客との価値共創」の点で マーケティングとイノベーションの境目が曖昧に シーズからニーズに

「顧客創造」には、イノベーション つまり新たな価値の創造も含まれる マーケティング視点でのコミュニティの価値

確率の管理 データドリブン・効率化 価値の共創 新たに提案できる価値の創造 マーケティング イノベーション 今後のマーケティングは？ （ 顧 客 中 心 と い う 点 で ） コミュニティは どちらにも 貢献する

無形資産としてのコミュニティ価値 人的資本

マーケティングも イノベーションも、 「人」が生み出し形にする

資本 売上 外部 支払 費用 人件費 利益 無形資産 有形資産 人的資本 人的資本の強化 これまで＝人的資源 支払利息 その他 これから＝人的資本 企業価値 P/Lの 費用 組織に価値をもたらす 個人の潜在能力の総体

人的資本の観点で、越境人材はとてもダイジ 「越境学習者は二度の葛藤を通して学ぶ」

越境学習が人的資本を強化するメカニズム ①新たな知識・ スキル獲得と深化 ②人的ネットワークの拡大と 社会関係資本の構築 ③キャリア自律の促進と 主体性の向上 ④組織文化の変革と イノベーション促進

①新たな知識・スキル獲得と深化： Cognitive Complexity 認知的複雑性=社会環境や他者などを多次元的に認知する能力 物事や状況 自社や自分の事情 顧客の事情 他社の事情 社会の事情 関連付け 組織化 全体像

②人的ネットワーク拡大と社会関係資本の構築： ①コミュニティによる外部ネットワークとの接点 ②社内共有による 製品・サービスへの反映 ③社内(戦略・組織)と社外(ニーズ)の 情報流動性／実践機会UP A B 弱い紐帯の強さ Granovetter. American Journal of Sociology, Volume 78, Issue 6 (May, 1973), 1360-1380. STOR を元に編集 The strength of weak ties, Granovetter, 1973

③キャリア自律の促進と主体性向上： 自己肯定感 (コンフォート) 自己効力感 (ストレッチ) 他者依存的 (外発的動機づけ) 自己決定 (内発的動機づけ) Albert Bandura, 1977 Deci & Ryan, 1985 ありのままの自分を尊重する力 自分にはできると考える力 自立→自律→自走する人材へ

④組織文化の変革とイノベーション促進： Unknown - Österreichische Nationalbibliothek (Austrian National Library), ID: 110D3539, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=17120276による Schumpeter, J.A., 1934 (2008), The Theory of Economic Development Joseph Alois Schumpeter, 1883 - 1950 イノベーションは既存の資源の新し い組み 合わ せであ る 新たな財貨（製品）の生産 新たな生産方法の導入 新たな販売市場の開拓 新たな原料または半製品の供 給源の獲 得 新たな産業組織の実現 「強い紐帯」の中だけにいる自己肯 定感の 高い 人材か らは イノベーションは生まれない

制度と文化 機会の提供 人事評価 越境人材を育てるために企業ができること 経営・マネージャー層の意識改革 企業風土として根づかせる

価値の共創 イノベーション 人的資本 財務資本 （狭義の企業価値） 非財務資本 企業価値

社内の全員がマーケティングマインドを持たないといけない時代 宣 伝 会 議 F E B R U A R Y 2 0 2 5 n o . 1 0 0 0 , P 9 「 拡 張 を 続 け る 、 マ ー ケ テ ィ ン グ の 現 在 地 〜 研 究 者 の 視 点 か ら ① 」 , 図 表 1 “どの部門でも「顧客のために価値を創造している」 というマインドを持って取り組むことが重要” by恩蔵先生