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ナレッジベースで実現するAI との効果的な協働 FastDOCTOR FDT Tech Lead Chen

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個人紹介 FullStack Engineer 主に機械学習/AIに関わる経歴 1. Livesense a. 2018 中古価格予測のため地域ごと中古マンションの価格指数算出 b. 2019 CNNによる画像検出及びその後の処理 2. Aisaac a. 2023/04 Helpify --今のNotionAIのようなもの b. 2024/05 Slack AI Agent bot 3. FastDOCTOR a. 2025/03に入社 b. 医療 x AI Cooking… Chen Jun X: @milegao

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会社紹介 ファストドクター (FastDOCTOR) 往診とオンライン診療サービス を提供しています。 他には治験の運用支援など 色々面白いこともやっていま す。 皆様もし体調不良になった際 にぜひ一回使ってみてくださ い!

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AI開発ツール利用現状 1. チーム内ではCursorに統一 、全社としても利用推進 2. Devin部分利用 3. ナレッジベースはリポジトリ内のdoc/とrules/で管理運用 ○ メインはdoc/ ○ rules/はAIと協働するためにdoc/をどう使うべきかなど最小限の定義と関連情報のみ

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模倣可能な 「効率化」 ↓ 複利的に成長する 「組織力」 実現したいこと--ナレッジベースで実現する AIとの効果的な協働

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模倣可能な 「効率化」 ↓ 複利的に成長する 「組織力」

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成果(効率化) *途中観察結果 1. 特定タスクはAIによる加速 ○ 仕様考案 ○ ドキュメント作成 ○ 簡単タスクの自動完成 ○ テスト系の自動生成 2. 新メンバーオンボーディングFlow改善 ○ オンボを含め初タスク完成までの短縮 ■ Before: View表記調整の単純タスクで 3日間 ■ After: 複数ModelとViewが関わる複雑タスクで 2日 3. チームメンバー間の知識格差減少 ○ KPTにて

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成果--KPT(効率化) *運用し始めて2週間目

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なぜ AI x ナレッジベース

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生産性向上--なぜAI 1. 開発作業の効率化 :AIによるコード生成やデバッグ支援により、開発時間を短縮できます。 2. 情報検索の高速化 :AIは膨大なデータから関連情報を瞬時に抽出し、回答してくれます。 3. コミュニケーションの円滑化 :AIを活用した自動翻訳、議事録作成、文書要約により、チーム間のコミュニ ケーションがスムーズになります。

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信頼性と正確性の保証--なぜナレッジベース (KB) *歴史的にキャッシュを稼いでいる、レガシーだが重要なコードで現実的にAIに実用的なコードを書いてもらうため 1. 検証済み情報 :KBの情報は組織内で検証され、信頼できるものとして承認されています 2. AIの弱点補完 :AIが苦手とする事実の正確性、最新情報、組織内での合意事項を KBが提供します 3. 知識の民主化 :KBとAIの組み合わせで、専門知識へのアクセスがより広範囲に可能になります

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導入)アプローチ 1. フェーズ1: 個人レベルでのAIツール活用とナレッジ連携実験 2. フェーズ2: チームレベルでの統合と業務プロセス組み込み 3. フェーズ3: 組織レベルでの標準化と拡大 4. フェーズ4: …

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個人レベルでのAIツール活用とナレッジ連携実験--アプローチ 消費型から創出型ナレッジワークへ 1. 自分の専門領域の構造化KB作成とAI活用実験 ○ リポジトリ・ドキュメント理解の個人マップ作成 ○ 頻出問題と解決策の体系的整理 ○ AI検索用のインデックス構築実験 2. 効果的なAI協働パターンの収集と再利用化 ○ 成功したプロンプトパターンのテンプレート化 ○ AI回答の精度を高めるKB参照手法の確立 ○ 個人業務フローへのAI+KB活用ポイント特定 3. 個人の知識資産を共有可能形式へ変換する習慣化 ○ 問題解決プロセスの自動記録化 --e.g: implementation.md ○ 再利用しやすい形式での知見のモジュール化 ○ チーム共有を見据えた整理・構造化

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個人レベルでのAIツール活用とナレッジ連携実験--アプローチ 効果測定指標 1. 個人タスク完了時間の変化 ○ AI使わない前提の見積もりポイントと AI活 ○ 用した実際ポイントを運用 2. 同種問題の解決時間短縮率 ○ トラブルシューティング完了までのステップ数の削減率 3. ナレッジエントリー作成数と再利用頻度 ○ 1スプリントで新規KB作成エントリー数と更新回数をカウント ■ 担当タスクの既存仕様整理の outputを必須に

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チームレベルでの統合と業務プロセス組み込み--アプローチ 1. 知識共有の体系化 ○ 個人KBの成功パターンをチームナレッジとして体系化 ○ 定期的「学びの共有会」による知識循環の制度化 ○ チーム固有コンテキストのKB化とAIプロンプトテンプレート整備 ○ 最新の公式ドキュメントをKBとの協働のにContext7 MCPを活用 2. KB・AIガバナンスの確立 ○ チーム共有KBの品質管理と更新ルールの策定 ○ セキュリティ・プライバシー考慮点の明確化 ○ 実験的利用から本番プロセスへの昇格基準設定 3. オンボーディングプロセスの再設計 ○ KB+AI活用による新メンバー導入プロセスの標準化 ○ 暗黙知の可視化によるチーム文化・知識継承の効率化 4. 開発ライフサイクル全体への統合 ○ 要件定義から設計、実装、テストまでの一貫したKB+AI活用フロー ○ 各フェーズでの意思決定と背景情報の自動記録化 ○ ドキュメント・コード・テストの一貫性確保のためのKB活用

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チームレベルでの統合と業務プロセス組み込み--アプローチ 効果測定指標(計測中) 1. チーム全体の開発サイクル時間の変化 ○ 計測中 2. ナレッジ共有による重複作業の削減率 ○ TEST自動作成 ○ KBの自動生成 ○ MTG削減 3. 新メンバーの生産性到達期間の短縮 ○ オンボ+環境構築1.5日 ○ 2日目で初タスク完成

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組織レベルでの標準化と拡大--アプローチ 1. チーム内ではCursorに統一 、全社としても利用推進 ○ 開発環境統一によるナレッジ共有加速 ○ ベストプラクティスの部門横断的展開を促進 ○ コードとナレッジの統合管理による相乗効果 2. 検証と運用を切り分け ○ 実験的利用のためのサンドボックス環境の整備 ○ 本番環境への昇格基準と検証プロセスの確立 ○ リスク評価フレームワークの導入 3. 業務Flowへの浸透 ○ 職種・役割別の標準ワークフロー再設計 ○ KB更新とAI活用の自動化ポイントの特定

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学び 1. 既存プロセスへの組み込みが鍵 ○ ツール単体ではなくワークフローの一部に ○ 「別作業」ではなく「作業の一部」という認識が重要 2. 量より質、そして継続性 ○ 完璧なKBより継続的な進化を重視 ○ 初期は不完全でも繰り返し改善される仕組みが成功 ○ 鮮度維持のサイクルが価値を決定づける 3. 人間中心の設計が不可欠 ○ 創造性・判断はヒト、処理・検索は AIの住み分け ○ チームの特性に合わせたカスタマイズの重要性

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もっと期待できないか? 模倣可能な 「効率化」 ↓ 複利的に成長する 「組織力」

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ということ 個人KB強化 ↔     チームKB充実 →         知識創造能力向上 →             生産性向上 + 革新性向上 + レジリエンス向上 個人能力と組織力を高めるナレッジ循環を実現

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なぜ AIxナレッジベース(KB) 1. AIによる知識循環の加速 ○ 個人能力の拡張 :認知限界を超えた情報処理と専門知識へのアクセス ○ 知識発見の促進 :関連情報の能動的提案と異なる視点の生成 ○ 作業の自動化 :タスクの効率化で人は創造的活動に集中、新しい知見が常に KBに追加され組織の適応能力を高めます 2. KBによる組織知の基盤強化 ○ 組織の文脈と専門知識の保存 :「私たちならではの方法」を継承 ○ 信頼性と正確性の保証 :AIが苦手とする事実の正確性、最新情報、組織内での合意事項を KBが提供します ○ 集合知の力 :様々な視点や経験が統合され、単一の専門家よりも優れた解決策が生まれます 3. 長期的な競争優位性の源泉 ○ 複利効果の知識資産 :使うほど価値が増す自己強化サイクル ○ 組織記憶の永続化 :人材流動があっても維持される知的資本 ○ 模倣困難な組織能力 :独自の知識循環システムによる差別化

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まとめ--ナレッジベースで実現する AIとの効果的な協働 1. 成果(途中結果) a. オンボーディング期間の大幅短縮と質向上 b. 特定タスクの効率改善 c. 知識格差の減少し始めた d. チームレベルの効率改善はこれから 2. 根本的価値 a. AI: 個人能力拡張・暗黙知抽出・知識発見の触媒 b. KB: 組織文脈保存・信頼性保証・AIの基盤提供 c. 協働:模倣困難な知的資産形成と継続的な複利効果創出 3. 段階的アプローチ a. 個人→チーム→組織への有機的拡大 b. 既存業務フローへの自然な統合 4. これからの展望 a. 複利効果の加速: 時間経過でさらに価値を増す知識基盤 b. 知的資本経営への転換: 持続可能な競争優位の源泉として

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    知識を循環させ、AIで増幅する 複利的に成長する「組織力」の源泉

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ご清聴ありがとうございました