Slide 1

Slide 1 text

PDL ― 移植駆動学習 KLab株式会社 牧内大輔

Slide 2

Slide 2 text

早速ですが質問です

Slide 3

Slide 3 text

何を考えますか?

Slide 4

Slide 4 text

今日のお話について ● 移植駆動学習 ● 機械学習のお話ではありません ● 人間学習のお話です

Slide 5

Slide 5 text

移植駆動学習(PDL)とは Porting-Driven Learning. 何らかのプログラムを 別の言語に移植することにより そのプログラムと対象技術領域について 自然と学習することができる学習方法のこと。 ― Makiuchi, D. (2018) 

Slide 6

Slide 6 text

実例 移植対象:ZXing https://github.com/zxing/zxing ● 1D/2Dバーコードリーダー ○ QRコードやDataMatrix、各種バーコード ● Javaによる実装 ○ Androidでよく使われている 移植先:gozxing https://github.com/makiuchi-d/gozxing ● Go言語に移植 ● QRコード、UPC/EANバーコードを移植済み

Slide 7

Slide 7 text

学習前の私

Slide 8

Slide 8 text

学習後の私 BCH符号 JIS X 0510 ISO/IEC 18004 8つのマスクパターン GB2312 バージョン1〜40 ガロア拡大体 Alphanumeric Mode ReedSolomon符号 ISO-8859-1 構造的連接 þ(ソーン) AIM Inc. Position Pattern 拡張チャネル解釈 中华人民共和国国家标准 デンソーウェーブ

Slide 9

Slide 9 text

圧倒的成長!!

Slide 10

Slide 10 text

PDLの進め方

Slide 11

Slide 11 text

PDLの進め方 1. 学習したいプログラムを探す 2. そのコードを眺めながら 3. 移植先の言語に書き換えていく 4. 移植完了

Slide 12

Slide 12 text

PDLの進め方 1. 学習したいプログラムを探す 2. そのコードを眺めながら 3. 移植先の言語に書き換えていく 4. 移植完了 理解していなくてもできてしまう これだけでは学習にならない

Slide 13

Slide 13 text

PDLに必要なもの

Slide 14

Slide 14 text

テスト!テスト!テスト!

Slide 15

Slide 15 text

カバレッジ ほぼ 100%

Slide 16

Slide 16 text

カバレッジ100%を目指す ● テストケースがすべての分岐を網羅している ○ 分岐1つ1つの意味まで理解する必要がある ● エッジケースをひたすら考える ○ 規格書などの資料と照らし合わせながら このようにしてコードの理解を深めていく = 学習

Slide 17

Slide 17 text

学習以外の効果 テストをしっかり書くことで ● 単純なミスを防げる ○ 書き間違い ○ 言語仕様の違いの考慮漏れ ● 修正が楽になる ○ あとから設計を直したいとき ○ 動作が変わっていないことを保証できる つまり、一般的なテストの効果

Slide 18

Slide 18 text

テストケースを思いつかないとき ● 手が進まないとモチベーションが低下 ● 学習も止まってしまう そんなときは ● 元のコードを動かしてみる ● 入出力のペアを得る ● そのままテストケースにする

Slide 19

Slide 19 text

gozxingのカバレッジ ● 8/22現在 97.92% 右図について ● 円の階層=ディレクトリとファイル ● 弧の長さ(割合)=行数 ● 緑=カバレッジ100% ○ 赤に近いほどカバレッジが低い オレンジの場所はReedSolomonDecoder まだ理解が不十分なことがわかる https://codecov.io/gh/makiuchi-d/gozxing

Slide 20

Slide 20 text

PDLまとめ

Slide 21

Slide 21 text

PDLまとめ 移植駆動学習(Porting-Driven Learning) 1. 学習したいプログラムを探す 2. そのコードを眺めながら 3. 移植先の言語に書き換えていく 4. カバレッジ100%を目指してテストを書く 5. 移植完了 隅々まで理解することで学習できる

Slide 22

Slide 22 text

ぜひお試しください

Slide 23

Slide 23 text

おまけ

Slide 24

Slide 24 text

その他のメリット ● 元コードのバグを見つけることがある ● プロジェクトに報告、修正を提案(PR) ● コントリビューターになれる!