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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 「アウトプット脳からユーザー価値脳へ」が そんなに簡単にできたら苦労しない 1 飯沼亜紀

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 2 経歴 ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ 経営企画→新規事業のプロダクトマネージャー ユニクロ / ファーストリテイリング プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、 新規事業 日本マクドナルド プロダクトマネージャー キャディ プロダクトマネージャー、プログラムマネージャー、 Head of Product Design 2024年10月に独立、2025年9月より現職 やっていること オペレーションとテクノロジーの両方を使って世の中を良い方向に 変えていこうとしている野良プロダクトマネージャー Aki Iinuma 飯沼亜紀 𝕏: @LoveIdahoBurger

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 私たちが知っていること ユーザー価値を重視するべき アウトプットだけでは足りない 短い学習サイクルの積み重ねに よる長期的な価値創出が重要 しかし、そうではない考え方も存在する。 そして、それにより衝突が起きたり会話が噛み合わなかったりするが、どう乗り越えればよいかがわか らずに立ち止まってしまう組織は多い。 3

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 2つの異なる考え方が同じ会社に存在することがある アウトプット脳 ● 納期 ● スコープ ● 予算 ● 完成率 ユーザー価値脳 ● 課題解決 ● 行動変容 ● 学び 成果とはユーザーが価値を受け取ること 成果とは予定どおりに アウトプットを出すこと 4

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 なぜ断絶が生まれるのか:評価の確定性と時間軸が噛み合わない 未確定な兆しと確定した結果をつなぐ共通言語が ないと、「アウトプット」だけが唯一の確定事実 として残ってしまう 【Focus】 変化への適応(仮説検証) 【時間軸】 日々・スプリントを積み上げ つつ長期の価値創出( 未確 定な仮説 をもとに進む) 【Focus】 再現性のある仕組み 【時間軸】 四半期・半年・年度など( 確 定値で判断) 【単位】 売上・LTV・利益率など (すぐには変動しないが 確定 的な経営指標 ) 【単位】 ユーザーの行動変容、チー ムの学びなど (経営指標への反映は 未確 定だが早く観測できる 兆し) アウトプット脳 ユーザー価値脳 5

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 スーパーマン依存の翻訳は破綻する 組織内の翻訳役は特定の人に依存しがち ● プロダクトオーナー ● スクラムマスター ● たまたま数字に強いメンバー ● 現場も経営もわかるシゴデキ 属人的なため、その人がいなくなった瞬間に破綻 →組織は一気にアウトプット脳に戻る これを防ぐには 人に依存しない「仕組み」の構築が必要 6

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 断絶を乗り越えるための3つの設計 ②会話の設計 話す順番から会話をデ ザインする ③KPIの設計 評価指標から「仮説の 集合」への再定義 ①実験の設計 安全な小さな実験から 価値検証を始める 7

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 ①小さな実験を前提にする 価値は証明ではなく「検証」から始まる 大きな変革を説得するより小さな実験で「価値で話す体験」を作る方が速いことが多い アウトプット脳 ● 成果 = 予定通り ● 不確実性はリスク 👉 結果 ● 防御的な計画・実行 ● アウトプットが全て ユーザー価値脳 ● 成果 = ユーザー価値 ● 不確実性がある前提 👉 結果 ● 検証が進む ● 会話が価値中心になる 8

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 小さな実験とは行動変化を仮説として置くこと Before(アウトプット) 「ダッシュボードに〇〇機能 を追加する」 After(行動変化) 「X業界の現場ユーザーが週 3回以上ダッシュボードを見 るようになる」 実験を成立させる 3点セット ①誰のどんな行動が変わるかを明示する ・対象ユーザーを限定し明確化 ・行動の明示(見る・触る・繰り返す etc.) ②Leading指標を決める ・未確定だが兆しが見える指標 ③「次どうするか」を最初から決める ・うまくいったら?いかなかったら? 実験が定常的に行われている状態が組織の会話を変える余地を生む 9

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 ②会話の順序を価値から始めるように固定する Before 1. 何を作ったか? 2. 予定通り終わったか? 3. コストはどうだったか? After 1. 誰のどんな行動がどう変わったか? 2. その変化はどの指標にあらわれてい るか? 3. それは事業や数字にどう効くか? 4. それを受けて次に何をするか? 価値の話は後付けになる 「で、予定は守れたの?」 「それは売上にどう繋がったの?」 価値を語らなければ次の話題に 進めない が、アウトプットやスケ ジュールやコストの話もできる 10

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 順序が変わると「予定」の意味が変わる 予定 旧来の順序 ● 予定とは守るべき作業計画 ● 逸脱は失敗;責任の所在が問わ れる ● 防御的な行動を誘発 新しい順序 ● 予定とは得られるアウトカムの 仮説 ● 逸脱は学習;なぜ外れたか・次 の仮説は何かが問われる ● 学習とアップデートの繰り返し 11

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 しかし、それだけではうまくいかない 会話の順番を変えても、評価や報告の最終地点が「アウトプットKPI」のままだと結局アウト プット脳に引き戻される 価値の話は分かったけど、 で、結局予定は守れたの? 納期遵守率 リリース件数 予算消化率 価値の話をただの雑談で終わらせないようにするには KPIの再設計が不可欠 12

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 ③KPIを「評価指標」から「仮説の集合」へ 全てのKPIに対するコア質問: 「これは、何がどう良くなるという仮説か?」 例) リリース件数→仮説を読みにくい 週次タスク共有率→情報の可視化が進み遅延が減るという仮説 価値志向になるために 新しいKPIを追加する 価値志向になるために KPIの因果関係を明らかにして繋ぐ ⛔ ✅ 13

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 3層のKPI(KPIチェーン)を作成する Leading指標:どのユーザー行動が増える? 例)週次タスク共有率が5ポイント上昇した Intermediate指標:行動の結果、何が改善する? 例)業務遅延率が下がり再作業コストが平均X円下がった Lagging指標:最終的にどの事業指標に効く? 例)多部署展開事例が増加しARPAがY円上がった このチェーンが描けない仮説は経営の用語に翻訳できず、説明できず、優先順位が決 められない 14

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 KPIを「どこで使うか」を設計する 日々の活動 週次〜月次レビュー 経営レビュー 月次〜四半期レビュー Leading指標(行動の兆し) ● 利用率 ● 再訪率 ● フロー完了率 etc. Key Questions: 「この仮説は当たりそうか?」 「ユーザーの行動は変わり始め ているか?」 Leading/Intermediate指標 ● 行動変化 ● 利用定着度 ● 業務遅延の減少 etc. Key Questions: 「想定していた因果関係は成立 していそうか?」 「行動変化は次の成果に繋がり そうか?」 Intermediate/Lagging指標 ● 売上・利益 ● LTV ● 解約率 etc. Key Questions: 「この取り組みは続けるべき か?」 「優先順位を上げる/下げるべき か?」 15

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 価値志向は宗教ではなく検証可能な実務であるべき 設計がないまま「価値が大事だ」と繰り返す と、「それは価値に沿っていない」「ユーザー 視点が足りない」といった言葉が攻撃の口実 となり始める。 本物の価値志向は宗教とは違い「検証でき る」状態。 橋渡しの設計は、価値を信じさせるためでは なく価値を確かめ価値の恩恵を受け続ける ためのもの。 ⛔ ✅ 16

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 設計が創り出す仮説検証のサイクル 会話の順序 KPIチェーン 仮説検証が当たり前の状態(小さな実験) 次の意思決定 次の実験の選択 17

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 あなたは分断を乗り越える橋の建設者である 重要なのは、この橋を誰もが当たり前のように渡る状態を作ること つまり、価値の検証を組織の「実務」として定着させること 18

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 最後にお知らせ 今回の講演内容の続きはnoteのメンバー シップ限定記事として連載予定です。 あらゆる職種の方に効く書籍「Noを伝える技 術」を書きました。アウトプット脳の人たちとう まくやるコツもここに。→ 19

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Product / Strategy / Decision Making Aki Iinuma, 2026 20 Thank You