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【第 3 講】ベクトル
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[3-6-3] n 次元:n 次元体積
n 次元に素直に拡張して
(i) 𝐷(𝒂1
,⋯ , 𝒂𝑖1
+ 𝒂𝑖2
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 𝐷(𝒂1
, ⋯, 𝒂𝑖1
, ⋯, 𝒂𝑛
) + 𝐷(𝒂1
, ⋯ , 𝒂𝑖2
, ⋯ , 𝒂𝑛
) (3 − 6 − 11)
(ii) 𝐷(𝒂1
, ⋯, 𝑘𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 𝑘𝐷(𝒂1
, ⋯, 𝒂𝒊
, ⋯ , 𝒂𝑛
) (3 − 6 − 12)
(iii) 𝐷(𝒂1
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 0
∴ 𝐷(𝒂1
, ⋯, 𝒂𝑗
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = −𝐷(𝒂1
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑗
, ⋯, 𝒂𝑛
) (3 − 6 − 13)
(iv) 𝐷(𝒆1
, 𝒆2
, ⋯ , 𝒆𝑛
) = 1 (3 − 6 − 14)
これまでと同様にこの関数値はこの4つの性質で一意に定まり、
「n 次元体積」に相当する23。
3次と同様 𝐷(𝒆𝑖1
,𝒆𝑖2
, ⋯ , 𝒆𝑖𝑛
) は 性質(iii),(iv)より 𝒆1
, 𝒆2
, ⋯ , 𝒆𝑛
からの並び替えで値が決まり24、
𝐷(𝒆𝑖1
,𝒆𝑖2
, ⋯ , 𝒆𝑖𝑛
) =
{
+1 (𝑖1
, 𝑖2
, ⋯ , 𝑖𝑛
)が(1,2,⋯ , 𝑛)の偶置換
−1 (𝑖1
, 𝑖2
, ⋯ , 𝑖𝑛
)が(1,2,⋯ , 𝑛)の奇置換
0 𝑜𝑡ℎ𝑒𝑟
(3 − 6 − 15)
となり、これは(3-7-6)式である拡張 Levi-Civita 記号 𝜀𝑖1𝑖2⋯𝑖𝑛
と全く同じとなる。
性質 (i),(ii) のことを多重線形性、性質 (iii) のことを交代性という。
性質 (i), (ii), (iii) を用いて、後に重要となる性質を2つ導く。
●あるベクトルのスカラー積を他のベクトルに加えても「関数」の値は変わらない
𝐷(𝒂1
,⋯ , 𝒂𝑖−1
,𝒂𝑖
+ 𝑘𝒂𝑗
, ⋯, 𝒂𝑗
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 𝐷(𝒂1
, ⋯, 𝒂𝑖−1
, 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑗
⋯ , 𝒂𝑛
) (3 − 6 − 16)
【証明】𝐷(𝒂1
,⋯ , 𝒂𝑖
+ 𝑘𝒂𝑗
, ⋯ , 𝒂𝑗
, ⋯, 𝒂𝑛
) = 𝐷(𝒂1
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑗
⋯ , 𝒂𝑛
) + 𝑘𝐷(𝒂1
,⋯ , 𝒂𝑗
, ⋯ , 𝒂𝑗
⋯ , 𝒂𝑛
)
= 𝐷(𝒂1
, ⋯ , 𝒂𝑖
, ⋯ , 𝒂𝑗
⋯ , 𝒂𝑛
) ∎
●線形従属なベクトルの組に対しては0となる(張る体積は0)
𝒂1
, 𝒂2
, ⋯ , 𝒂𝑛
が線形従属 ⇒ 𝐷(𝒂1
, 𝒂2
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 0 (3 − 6 − 17)
【証明】線形従属なので、あるベクトルは他の線形結合で書ける。
例えば 𝒂1
= 𝑘2
𝒂2
+ ⋯ + 𝑘𝑛
𝒂𝑛
と書けたとすると(他の場合も同様)
𝐷(𝒂1
, 𝒂2
, ⋯ , 𝒂𝑛
) = 𝑘2
𝐷(𝒂2
, 𝒂2
, ⋯, 𝒂𝑛
) + ⋯ + 𝑘𝑛
𝐷(𝒂𝑛
, 𝒂2
, ⋯, 𝒂𝑛
) = 0 ∎
またこの対偶として「𝐷(𝒂1
, 𝒂2
, ⋯, 𝒂𝑛
) ≠ 0 ⇒ 𝒂1
, 𝒂2
, ⋯ , 𝒂𝑛
は線形独立」が直ちにいえる。
この「関数」には線形代数がいっぱい詰まっている。次講以降で活躍する。
23 数学的な厳密さよりも武器を作ることを目的としている。そもそも「n 次元体積」の定義すらしてい
ないことに注意。
(これに踏み込むと話が進まないw 興味のある人は(将来)「Gram 行列式」
「微分形
式」とかで調べてみよう)次講で(n 次元目の高さ)×(n-1 次元体積)と解釈できる話をする。ここでは、
これを用いて「n 次元体積」としよう。どーしても論理体系が気になる人は(内積のように)この4つ
の性質をこの「関数」の公理と位置づけて考え、別途「n 次元体積」となることを示す立場を取ろう。
24 偶置換、奇置換は、[3-7-2] 拡張 Levi-Civita 記号 および 付録3 参照