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マルチクラスタの認知負荷に立ち向かう! Ubieのプラットフォームエンジニアリング Platform Engineering kaigi 2024 Teruya Ono

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2 あなたはUbieのアプリケーションエンジニアです。 ローカルで開発してきたマイクロサービスを 社内で運用しているインフラに乗せる日がやってきました。

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3 1. ubieformのリポジトリを開く

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4 1. ubieformのリポジトリを開く 2. 右のようなファイルを作成 name: "genpaku" env: ["qa", "stg", "prd"] segment: "cpp" service_config: { manifest: { app: { main_container: { image_path: "asia-northeast1-docker.pkg.dev/ubie/genpaku" image_tag: "release-20240418-1" } } deploy: { pipelines: [ { envs: ["qa"] }, { envs: ["stg", "prd"] } ] } }

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5 1. ubieformのリポジトリを開く 2. 右のようなファイルを作成 3. PRを投げてレビューが通ればマージする

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6 1. ubieformのリポジトリを開く 2. 右のようなファイルを作成 3. PRを投げてレビューが通ればマージする 4. 別のリポジトリに複数ファイルが生成され 自動でマージされるので見守る

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7 5. しばらく待つとSlackに通知が飛んでくる

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8 5. しばらく待つとSlackに通知が飛んでくる 6. STGのデプロイが終わると承認が要求される

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9 5. しばらく待つとSlackに通知が飛んでくる 6. STGのデプロイが終わると承認が要求される 7. 動作確認が済んだらリンク先の承認を押す

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10 5. しばらく待つとSlackに通知が飛んでくる 6. STGのデプロイが終わると承認が要求される 7. 動作確認が済んだらリンク先の承認を押す 8. サービスが起動した!

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11 さらにある日... genpakuに通信するサービスを開発・運用するチームから問い合わせがありました 「genpakuを呼び出した時、たまに500エラーが返ってくるから調査してほしい」

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12 1. UbieHubというサイトを開く

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13 1. UbieHubというサイトを開く 2. サービスリストの中にgenpakuがいつの間に か追加されてるので開く

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14 3. Linksからapp logsのリンクを踏む app logs

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15 3. Linksからapp logsのリンクを踏む 4. Cloud Loggingからエラーをチェック

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16 3. Linksからapp logsのリンクを踏む 4. Cloud Loggingからエラーをチェック 5. Grafana Dashboardリンクからダッシュボードに 移動し、メトリクスもチェック Grafana Dashboard

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17 3. Linksからapp logsのリンクを踏む 4. Cloud Loggingからエラーをチェック 5. Grafana Dashboardリンクからダッシュボードに 移動し、メトリクスもチェック 6. エラーの特定、無事バグの修正完了!

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18 Today’s Topic 18 ● この開発フローへ至るまでの経緯 ● マルチクラスタ環境におけるプラットフォームの 課題 ● Ubieプラットフォームでの解決法 ● プラットフォームエンジニアリングのポイントと始 め方

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19 自己紹介 小野 輝也(Ono Teruya) ● SRE/Platform Engineer@Ubie ● Like ○ Google Cloud ○ Golang @teru0x1

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20 Ubieについて

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21 Introduction & Challenges

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22 Ubieのアーキテクチャ ● マイクロサービス & モジュラモノリス ● 60以上のマイクロサービス ● 日本と北米にデプロイ ● GKE & Istio上で稼働 ○ 一部Cloud Run ● 各環境ごとに ○ 単一GCP Project, 単一GKEクラスタ (~2024/03)

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23 Ubieの開発体制 ● 50人ほど ● 所有サービスの開発 ● 所有サービスのインフラ構築・運用 ● 所有サービスのインシデント レスポンス ● 5人 ● プラットフォームの構築・運用 ● 個別サービスのインフラ運用支援 ● サービス構築の支援・レビュー ● インシデントレスポンスの支援

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24 Ubieの開発における課題 ● プラットフォームの構築・運用 ● 個別サービスのインフラ運用支援 ● サービス構築の支援・レビュー ● インシデントレスポンスの支援 ● 扱う設定ファイルが多くて大変 ○ 他サービスからコピペ、それでも大変 ● 作成者によって品質・スタイルが違う ○ 例: ラベルのフォーマットが違う ● 問い合わせないと ○ 設定ファイルの場所がわからない ○ ログ、メトリクスの見方がわからない ● 50人ほど ● 所有サービスの開発 ● 所有サービスのインフラ構築・運用 ● 所有サービスのインシデント レスポンス

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25 Ubieの開発における課題 ● 個別のサービスの開発 ● 個別のサービスのインフラ構築・運用 ● 所有サービスのインシデント レスポンス ● 多数作成されるファイルのレビューが大変 ● 問い合わせで忙殺 ● 5人 ● プラットフォームの構築・運用 ● 個別サービスのインフラ運用支援 ● サービス構築の支援・レビュー ● インシデントレスポンスの支援

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26 マルチクラスタへ ● マルチクラスタ・マルチプロジェクト構成への移行計画 ○ 法令・ガイドラインへの準拠コスト低減 ○ セキュリティ・プライバシーリスクの低減 ○ 可用性の向上、インシデント時の影響範囲の縮小

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27 マルチクラスタへ ● マルチクラスタ・マルチプロジェクト構成への移行計画 ○ 法令・ガイドラインへの準拠コスト低減 ○ セキュリティ・プライバシーリスクの低減 ○ 可用性の向上、インシデント時の影響範囲の縮小 どのクラスタにデプロイすべきだろう? クラスタ間通信はどう設定すれば良い? ログはどのプロジェクトで確認できる?

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28 課題の整理 作成ファイル 多い サービス品質 まばら サービス品質 まばら クラスタ・メッシュ・ デプロイ構成 複雑 情報確認 大変 情報確認 さらに大変 作成ファイル さらに多い

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29 2本の柱で対抗 ubieform サービステンプレートツール サービスに必要な設定(k8s manifest, デプロイ設定など)を生成 UbieHub サービスカタログ サービスに関する情報を集約

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30 ubieform 30

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31 課題の整理 作成ファイル 多い ベスプラ 不明瞭 情報確認 大変 情報確認 さらに大変 サービス品質 まばら クラスタ・メッシュ・デプ ロイ構成 複雑 作成ファイル さらに多い

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32 ubieform

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33 生成されるファイル ● Kubernetes ○ Namespace ○ Deployment ○ Service ○ ConfigMap ○ Virtual Service ○ Destination Rule ○ …. ● Google Cloud ○ Cloud Deploy ■ Delivery Pipeline ■ Target ■ Skaffold ○ Cloud Run Config ○ Cloud Workflow ○ etc.. ● Others ○ GHA config ○ BackStage config

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34 ubieform - Deploy Flow

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35 ubieform - Input ● CUE言語 ○ 制約ベースの設定言語 ○ スキーマにより構造化 データの高度な検証が 容易 ● ubieformでの利用 ○ 利用者にCUEであること を意識させない ○ Better JSONとして 利用 name: "genpaku" env: ["qa", "stg", "prd"] segment: "cpp" service_config: { manifest: { app: { main_container: { image_path: "example-docker.pkg.dev/ubie/genpaku" image_tag: "release-20240418-1" …

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36 ubieform - Input ● Single Source of Truth として機能 ○ 基本このファイルだけ扱う ○ 生成時だけでなく、変更時も これを編集 ● 大部分のフィールドはoptional ○ 指定しない限り内部で生成 ■ namespace name ■ pipeline name ■ PDB name: "genpaku" env: ["qa", "stg", "prd"] segment: "cpp" service_config: { manifest: { app: { main_container: { image_path: "asia-northeast1-docker.pkg.dev/ubie/genpaku" image_tag: "release-20240418-1" secret_names: ["genpaku-secret"] } } secrets: [ { name: "genpaku-secret" values: [ { key: "AUTH_GOOGLE_CLIENT_ID" value: "genpaku_AUTH_GOOGLE_CLIENT_ID" }, … ] }

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37 template toolを作る上で ● そもそも必要か? ○ GitHub Template, Helm, Kustomizeの活用 ● 新ツール導入による認知負荷の上昇 ○ ツール導入により下がる認知負荷 >> ツール導入により上がる認知負荷 にする ● それなりの完成度になるまでチーム外へ展開しない ○ 破壊的な変更を加える際の対応が大変

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38 UbieHub 38

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39 課題の整理 作成ファイル 多い ベスプラ 不明瞭 ベスプラ 不明瞭 クラスタ・メッシュ・デプロイ 構成 複雑 情報確認 大変 作成ファイル さらに多い 情報確認 さらに大変

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40 UbieHub ● BackStageで構築されたサービスカタログ ● BackStage: IDP(Internal Developer Portal)を構築用のOSSフレームワーク ● UbieHubは今の所IDPと呼べるほど作り込まれ ていない ○ IDPの1要素としてのサービスカタログ ○ 関連するリンクが乗ってるだけ ○ ただしこれで十分機能している

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41 UbieHub - Architecture

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42 Developer Portalを作る上で ● 小さく始める ○ 特に重要なもの ■ サービスカタログ ■ サービスに関連するリンク集 ○ リンク集を作るだけでも大きな効果がある(後述) ● フィードバックを得る ○ アプリケーションエンジニアが見たい情報は本人が一番よく知ってる ● サービスに関する情報は自動作成・更新

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43 Result

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44 結果 ● マルチクラスタ移行にubieformを利用 ○ ほぼ全てのサービスがubieformで管理され、UbieHubで確認できるようになった ● 複雑度が上がった一方で、サービス構築の手間は減少した ○ 「以前と比較してサービス構築の大変さは半減した」と答えた開発者が多かった

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45 Key Takeaways 45

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46 1. リンク集から始める 2. チームの所有物から始める 3. 協力者を探す 4. 移行に責任を持つ

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47 1. リンク集から始める ● なぜ重要か? ○ アプリケーションエンジニアの行動が変わる ■ ログ・メトリクスをみる習慣がつく ■ インシデントレスポンスに参加しやすくなる → より自律分散なサービスの運用へ ○ 作成にかかる手間が少ない

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49 2. チームの所有物から始める ● 新基盤・新ツールを試す時の心得 ○ ドッグフーディング ○ コミュニケーションコスト 低、失敗リスク 低 ● プラットフォームチームで管理している社内サービスがあるはず ○ 例えばUbieHubのようなサービスカタログ ● 顧客のトラフィックを受けるものは後回し

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50 3. 協力者を探す ● 何らかの仕組みを横展開しよう、となった時 ○ どのチームの人に最初にお願いするか? ● こういう人が狙い目 ○ SREやプラットフォームエンジニアの経験がある人 ○ 社歴が長くて現行インフラに理解のある人 ○ 仲のいい人 ● 最初はバグがあったり、仕組みが変わったり、移行期固有の考慮点があったりと大変 ○ コミュニケーションコストを下げるのが重要

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51 4. 移行に責任を持つ ● 「新基盤作ったよ!各チームのプロダクトは移行してね。移行ガイドもあるから後はよろしく!」 ○ 新基盤が不便なら当然移行はされない ○ 新基盤が素晴らしく便利でも移行される可能性は低い(と思う) ■ なぜか? ● 現基盤でも普通に動いているから ● 事業上重要なエピックを追うのに時間とエネルギーを注ぎたいから ● じゃあ誰がやるのか? ○ 新基盤を作ったプラットフォームチーム(ただし、組織の規模による) ● 移行後も重要 ○ ドキュメント、説明会、オフィスアワー、問い合わせ窓口の整備 ■ ユーザーフレンドリーなものを作れば負担を減らせる

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52 1. リンク集から始める 2. チームの所有物から始める 3. 協力者を探す 4. 移行に責任を持つ

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