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アプリゲームでお詫びの
 アイテムを配った話
 
 〜ゲームイベントのバグとその裏側のエンジニア戦い〜
 北山淳也


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突然ですが


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スマホのゲームなどで
 「運営からのお詫びのアイテム」
 を
 受け取ったことはありますか?


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私は
 「運営からのお詫びのアイテム」
 を
 配ったことがあります!


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今回は
 そんな話


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自己紹介
 ● 北山淳也
 ● フリーランス / エンジニア
 ● 得意分野:
 Webアプリケーション開発、
 スマホゲーム開発
 ● 趣味:筋トレ、ロードバイク、ドライブ
 @JUNKI555       
 JUNKI555

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あるアプリゲームのイベントの話


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どんなイベントだったか
 ● 期間内にポイントを集める
 ● 集めたポイントでランキング
 ● 期間終了後、ランキング順位に応じて
 アイテムがもらえる
    ・特別称号    ・特別激レアアイテム    ・参加者プレゼント    ・特別称号    ・参加者プレゼント       ・参加者プレゼント 3位以下


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イベント終了の監視
 ● AM 0:00  ランキング終了、
 AM 1:00〜 ランキング報酬配布
 のようなゲーム内スケジュールだった
 
 ● 夜、眠い目を擦りながら
 報酬配布が正常に行われているか監視してた


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なぜ監視をするのか?
 ● 1人1人アイテムを配る仕組み
 ● 自分のアカウントに配られるまで待機
 ランキング報酬 配布開始 
 参加プレイヤーの人数分だけ繰り返し 
 参加プレイヤーからプレイヤーを1人取り出し 
 プレイヤーの順位を確認、報酬を配布 
 僕のアカウントの分
 まだかな……
 配布プログラム


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プログラムって?


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プログラムって何?
 ● プログラミングは
 「何かが起きたら何かをする」というように
 コンピュータにわかるよう「命令」すること
 これはプログラミングの初歩が 学べるサイト Scratch


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プログラムって何?
 ● Scratch では「ビジュアルプログラミング」という
 方法で簡単にプログラムを体験することができます
 ○ https://scratch.mit.edu/projects/editor/?tutorial=getStarted


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話をもどして


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なぜ監視をするのか?
 ● 1人1人アイテムを配る仕組み
 ● 自分のアカウントに配られるまで待機
 ランキング報酬 配布開始 
 参加プレイヤーの人数分だけ繰り返し 
 参加プレイヤーからプレイヤーを1人取り出し 
 プレイヤーの順位を確認、報酬を配布 
 僕のアカウントの分
 まだかな……
 配布プログラム


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イベント報酬配布
 ● AM 0:00 無事、正常にランキング終了
 ● AM 1:00 ランキング報酬の配布開始
 しかし、その時事件がおこる……


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何かがおかしい……


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運営が考えていた報酬配布
    ・特別称号    ・特別激レアアイテム    ・参加者プレゼント    ・特別称号    ・参加者プレゼント       ・参加者プレゼント 3位以下
 1名様
 そのほかのプレイヤー 
 1名様


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実際に行われた報酬配布
    ・特別称号    ・特別激レアアイテム    ・参加者プレゼント    ・特別称号    ・参加者プレゼント       ・参加者プレゼント 3位以下
 全ての参加プレイヤーに 
 1位の報酬が配布!!!
 ぼく


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もちろん大炎上
 1位の激レアアイテム届いてる! 
 メンテナンスくる??? 
 運営やっちまったなww 
 詫び石 5000000個よろ 
 詫び石はよ
 おいおいなんだこれw 
 キター!
 1位私なんだけどなにこれ? 


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運営の戦いが始まる
 運営
 バグ


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なにはともあれメンテナンスモードON !
 ● 「現在メンテナンス中です」と表示して
 ゲームをプレイできない状態にすること
 ● エンジニアが裏側でスイッチONする
 エンジニア(ぼく)
 あからじめ準備して
 あるスイッチをON
 プレイできなくなる


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メンテナンスモードにしてしまったので…
 ● Twitterなどでメンテナンスのお詫びを告知
 ○ このあたりはプランナーやCSで対応
 ● メンテナンス時間の試算
 ● 可能であればゲーム内のメンテナンス画面に
 メンテナンス終了予定時刻を掲載
 ● どのような対応をするのかチームで決定
 ● メンテナンス終了後の告知の準備


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やるべきことは大きく7つ
 1. ランキング報酬配布プログラムの緊急停止
 2. 配布してしまったアイテムの回収
 ○ 受け取った後アイテムを売ってたりしたらそれも全て戻す
 3. プログラムの修正
 4. プログラムのテスト
 5. ランキング報酬配布プログラムの再実行
 6. お詫びのアイテム配布
 7. メンテナンスモードの解除


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メンテナンスモード中の戦い
 ● ランキング報酬配布プログラムの緊急停止
 エンジニア(ぼく)
 あからじめ準備して
 あるスイッチをON
 プログラム緊急停止


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メンテナンスモード中の戦い
 ● 配布してしまったアイテムの回収
 ● これが大変
 ○ 単純に回収できる状態の人からは回収
 ○ 受け取り後に売却やアイテムの変換などを
 やっているプレイヤーは
 プレイヤーが行ったことのデータを全て巻き戻す
 ○ 1人ではとてもやりきれないので
 プログラムの修正を並行して別のエンジニアが対応


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メンテナンスモード中の戦い
 ● 配布してしまったアイテムの回収
 ○ プレイヤーが何をしたのかのログから追いかける
 激レアアイテム受け取り 
 激レアアイテムをアイテムAと合成 
 できたアイテムA’をアイテムBと合成 
 できたアイテムA’’をアイテムCと合成 
 できたアイテムA’’’を売却してゴールドに 
 ゴールドを使ってキャラクターAを強化 
 キャラクターAの強化を戻してゴールド返却 
 ゴールドを回収してアイテムA’’’を配布 
 アイテムA’’’を回収してアイテムA’’とCに 
 アイテムA’’を回収してアイテムA’とBに 
 アイテムA’を回収してアイテムAと激レアに 
 激レアアイテムを回収 
 巻き 戻し


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メンテナンスモード中の戦い
 ● プログラムの修正
 ○ 原因を突き止めて修正を行う
 ランキング報酬 配布開始 
 参加プレイヤーの人数分だけ繰り返し 
 参加プレイヤーからプレイヤーを1人取り出し 
 プレイヤーの順位 ≦ 報酬の順位 
 報酬を配布
 ランキング報酬 配布開始 
 参加プレイヤーの人数分だけ繰り返し 
 参加プレイヤーからプレイヤーを1人取り出し 
 報酬の順位 ≧ プレイヤーの順位 ≧ 報酬の順位
 報酬を配布


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メンテナンスモード中の戦い
 ● プログラムのテスト
 ○ ダミーのプレイヤーリストに大して配布を実施
 ○ 本当はイベント終了までに実施しておくべき作業
 ○ 今回はこの「テスト」をやっていなかったのでバグに


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メンテナンスモード中の戦い
 ● ランキング報酬配布プログラムの再実行
 エンジニア(ぼく)
 あからじめ準備して
 あるスイッチをON
 プログラム再実行


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メンテナンスモード中の戦い
 ● お詫びのアイテム配布
 エンジニア(ぼく)
 あからじめ準備して
 あるプログラムを起動
 お詫びのアイテム配布
 プログラムが実行


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メンテナンスモード中の戦い
 ● メンテナンスモードの解除
 ● エンジニアが裏側でスイッチOFFする
 エンジニア(ぼく)
 あからじめ準備して
 あるスイッチをOFF
 プレイできるようになる


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メンテナンスモードを終えたら…
 ● Twitterなどでメンテナンスのお詫びを告知
 ● ゲーム内のお知らせなどでもお詫びを告知
 ● お詫びアイテムのお知らせを掲載
 ● その後大丈夫そうなことを確認してお布団へ
 詫び石きたw
 詫び石少ないぞ
 結局すぐには
 寝れないぼく


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全てが終わったら次の日以降に反省会
 ● なぜ起こってしまったのか?
 ○ プログラムのバグが原因
 ■ なぜ発生したのか?
 → 配布プログラムがバラバラ
 ■ なぜ気づけなかったか?
 → テストしてないプログラムが
   世の中に出てしまっていた


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ゲームはどうやってみんなの手元に届く?
 ● 会社で作られたものが世の中に出るまで
 何をつくるか
 みんなで相談
 イラストを描いたり
 プログラムしたり
 敵の強さを決めたり
 バグがないか
 チェックする
 (テスト)
 みんなの
 手元へ
 (世の中に出る)


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反省会が終わったら対策
 ● 配布プログラムがバラバラ
 → 「共通化」を行うことで標準化
 イベントAの
 報酬配布
 プログラム
 イベントBの
 報酬配布
 プログラム
 報酬配布プログラム
 報酬リスト


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反省会が終わったら対策
 ● テストしてないプログラムが世の中に出てしまった
 → テスト実施票を機能ごとに作成するように
 どれをテストした/してない が
 わからない
 どれをテストした/してない が
 わかる


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そして次のイベントへ…


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まとめ
 ● スマホゲームもプログラムで動いている
 ● ちょっとしたプログラムのミスで
 大変なことが起きることもある
 → 責任重大だけど、それが楽しい!
 ● 「エンジニア」は毎日PCに向かって
 プログラムを書いてるだけじゃない
 → プログラムがわかるからできることがある


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宣伝
 ● 本格的にプログラムやってみたいかも!
 と思った人はブラウザだけですぐ始められる
 Web本を出してるので見てみてください
 (無料分で大事なところは全部読めます)
 
 
 PaizaCloudで面倒な環境構築をスキップして 
 Ruby on Railsの勉強をサクッと始めてみよう - 北山淳也 
 https://zenn.dev/junki555/books/1c680742dc85b55147b0 


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おわり