児童発達学博士が語るほめ方叱り方 /how to provide effective feedback

Slide 1

Slide 1 text

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学者が語る自分で考える子に育つほめ方・叱り方島村華子

Slide 2

Slide 2 text

今日のスケジュール 10:30 – 10:40 紹介とイライラ話をシェア 10:40 – 11:00 子どものイメージとその影響 11:00 – 11:20 3種類のほめ方とその影響 11:15 – 11:25 ほめ方のポイント 11:25 – 11:50 フィードバック練習 11:50 – 11:55 最後に 11:55 – 12:00 Q&A

Slide 3

Slide 3 text

今日の学習目標参加者の方が： 1) イライラ経験を振り返り、それぞれの子どものイメージを見直す。 2) 3種類のほめ方の違いとその影響を研究結果をもとに理解する。 3) 子供とつながる声かけ（ほめ方中心）を実践できるようになる。

Slide 4

Slide 4 text

コミットメントボード • 時間と環境が許すかぎり、グループワークに積極的に参加します。 • 聞くだけですが、GoogleDocsで書きながらできるだけ参加します。心の声聞いてください。 • ふとした疑問、質問、心のつぶやきはチャット欄あるいはGoogleDocsの「ふとした疑問、つぶやき」でシェアします。 • チャット欄もグループワーク中も心をオープンにして参加します。

Slide 5

Slide 5 text

つぶやきノート（イライラ編） • 子どもが～をしなくて、イライラした。 • 子どもが～をしてきて、イライラした。自己紹介とともに、グループの人と最近子育てで一番イライラしたことをシェアしてください！ディスカッションが終わった方、ミュートの方も GoogleDocs（グループシェア１：イライラ爆発エピソード）にイライラ話を共有してください。 2本線を引く 5分

Slide 6

Slide 6 text

イメージ（見方）はなぜ大事か？

Slide 7

Slide 7 text

子どものイメージ（役割、存在、責任、能力、目的）カリキュラム接し方・子育て方法関係性親・先生の役割子育てのゴール教育のゴール

Slide 8

Slide 8 text

子どものイメージ＝大人の言うことを聞くべき格下の存在カリキュラム＝先生主導接し方・子育て方法＝専制的関係性＝上下関係親・先生の役割＝ボス子育てのゴール＝受け身な子教育ゴール＝知識伝達

Slide 9

Slide 9 text

子どものイメージ＝独立した市民カリキュラム＝個人に基づくプログラム接し方・子育て方法＝個性を尊重・促進関係性＝相互尊重親・先生の役割＝進行・助手役子育てのゴール＝自主性を持つ子教育ゴール＝自己主導方の人間を育てる

Slide 10

Slide 10 text

期待現実ストレス、イライラ

Slide 11

Slide 11 text

つぶやきノートこどものイメージ（子どもへの期待）気づいたこと（例：私の期待現実的？子どもに必要？）例子どもが言うことを一度で聞かずに、イライラした。子どもは私の言うことを一回で聞くべき。一度で言うことを聞かせようと無理な期待をしていたかも。「親都合レンズ」の勉三さんになっていた。イライラの裏にあった子どもへの期待を考えて、気づいたことをグループの人とシェアしてください！ディスカッションが終わった方、ミュートの方もGoogleDocs （グループシェア2：無理な期待がイライラのもと？）に共有してください。 7分

Slide 12

Slide 12 text

コロナの子育てへの影響 52％家計などの心配事が子育ての妨げになっている 25％子どもとぶつかることが増えた 40％この二週間で一度、あるいはそれ以上怒鳴ったり、声を荒げてしまった 58～62％罰をつかってしつけをしてしまっている (Lee & Ward, 2020)

Slide 13

Slide 13 text

効果的な声かけ＝より良い親子関係

Slide 14

Slide 14 text

すごい！天才！さすがお姉ちゃん！お利口さん！さすがお兄ちゃん！うまい！えらい！上手！頭良い！よくできました！優しい！ダメ！何度言ったらわかるの！なんて悪い子！なんでこんな点数しか取れないの？

Slide 15

Slide 15 text

No content

Slide 16

Slide 16 text

3種類のほめ方人中心プロセス中心おざなり上手! 頭良い! 最後まで諦めなかったね!

Slide 17

Slide 17 text

ドゥエック博士 & ミューラー博士の研究(1998) 小学5年生128人 (男女比率ほぼ同じ）

Slide 18

Slide 18 text

声かけの影響 第一段階 1. すべての子どもにIQテストを受けてもらった。 2. テスト後に, 子どもたちを3つのグループに分けて違うほめ方をしてみた。 3. 子どもたちにそれぞれ次に挑戦する問題を簡単なものか難しいものかで選んでもらった。おざなり人中心プロセス中心

Slide 19

Slide 19 text

人中心 “頭良いね” 人中心プロセス中心 “最後まで頑張ったね” おざなり “すごいね” 67 % 簡単な問題を選択 92 % 難しい問題を選択 50 % 簡単な問題を選択 50 % 難しい問題を選択

Slide 20

Slide 20 text

声かけの影響 第二段階 4. 子ども全員に最初より格段に難易度レベルが高いテストを実施。 5. 全員に成績が良くなかったことを伝えた。 6. 子どもたちに問題を解き続けたいか、楽しかったか、なぜ成績が良くなかったと思ったかを聞いてみた。

Slide 21

Slide 21 text

• 続けたくない。 • 楽しくない。 • できなかったのは自分の頭が足りないからだ。 • もっと続けたい。 • 楽しい。 • もっと頑張ればできたかもしれない。おざなり “すごいね” 人中心 “頭良いね” 人中心プロセス中心 “最後まで頑張ったね”

Slide 22

Slide 22 text

声かけの影響 第三段階 7. 子どもたちに最初に実施したテストと同レベルのテストをもう一度実施。

Slide 23

Slide 23 text

30%向上 20%低下特に大きな変化なし人中心おざなりプロセス中心ほめ方別テスト結果

Slide 24

Slide 24 text

なぜ違う種類の声かけでこのような違いが生まれるの?

Slide 25

Slide 25 text

プロセス中心ほめプロセス中心 • ミスへの恐怖心が減少 • 結果よりも学ぶ過程を重視 • チャレンジ精神の上昇努力根気やり方

Slide 26

Slide 26 text

• 期待に応えないといけないというプレッシャー • 失敗への恐怖心の増長 • 学ぶことよりも結果重視フィックストマインドセット人中心ほめ人中心 • 努力を減らし自己防衛能力見た目性格

Slide 27

Slide 27 text

• ほめられたい中毒 • 内的モチベーションの低下おざなり • 自己評価の機会を失うおざなりほめ • 努力の低下うわべ具体性欠如

Slide 28

Slide 28 text

どうしたら良いの！？

Slide 29

Slide 29 text

1. プロセス中心にほめる。 2. 具体的に。 3. たくさん質問をする。ほめ方の3つのポイント

Slide 30

Slide 30 text

1. 努力、姿勢、やり方を中心にほめる “最後まで諦めないで頑張ったね” “毎日こつこつ努力を続けていたもんね！” “形の違うブロックを積み重ねて、頑丈なお城を作ったんだね！” ポイント1

Slide 31

Slide 31 text

2. 具体的にフィードバックを与える “色の組み合わせがカラフルだね（見たまま）” “おもちゃを片付けたら（＊行動）お部屋がすっきり見えるね（＊影響）” “よくかき混ぜたらふわふわになったね” ポイント2

Slide 32

Slide 32 text

具体的フィードバックのすごい力 Source: https://teacherhead.com/2013/11/05/lesson-from-berger-austins-butterfly-and-not-accepting-mediocrity/

Slide 33

Slide 33 text

3. もっとたくさん質問をしよう 最上級形容詞を使う “今日お友達と遊んで一番楽しかったことは何だった？” “この絵で一番好きなところはどこ？” 自由回答形式の質問をする “どうしてそうなったと思う？” “この工作についてもっと教えてくれる？” ポイント3

Slide 34

Slide 34 text

写真元：https://www.lotte.co.jp/products/brand/yukimi/lineup/ 写真元：https://www.morinaga.co.jp/ice/jumbo/ 写真元：https://www.imuraya.co.jp/goods/ice/c-azuki/azuki85/ 自分の一押しアイスこの中からお気に入りのアイスを一つ選んでどんなところが良いのかをグループの人に具体的に力説してください！ディスカッションが終わった方、ミュートの方もGoogleDocs （グループシェア3：お気に入りアイスを力説）に共有してください。 7分

Slide 35

Slide 35 text

子どもがあなたのところにきて、自分ひとりで部屋を片付けたと報告しにきました。あなたならどう声をかけますか？見たままを言う！具体的に！アイスを思い出して！努力・片付け方に言及しよう! 子どもがどう感じたか質問しよう! 声かけ方法をグループの人とシェアしてください！ディスカッションが終わった方、ミュートの方もGoogleDocs（グループシェア4：片付けた子をどうほめる？）に共有してください。 8分

Slide 36

Slide 36 text

子どもがあなたのところにきて、自分ひとりで部屋を片付けたと報告しにきました。あなたならどう声をかけますか？おもちゃが片付いて部屋がすっきりしたね！おもちゃを優しく触って、傷がつかないように片付けていたね。恐竜のおもちゃを恐竜用の箱に入れられたね。一人で片付けたられたね！片付けてみて一番良かったことは何？

Slide 37

Slide 37 text

あと何年一緒にいられる？子どもが3歳だとしたら 1ヵ月に週末が約8日 1年に週末が約96日 12歳までに約960日＝約2年6ヵ月

Slide 38

Slide 38 text

第1章：親の声かけ次第で、子どもは変わる第2章：自分でできる子に育つほめ方第3章：自分でできる子に育つ叱り方第4章：子どもとつながる聞く習慣第5章：こんなとき、どうすればいい？Q＆A もっと知りたい！ Amazon、楽天、ディスカヴァー21等で絶賛発売中！

Slide 39

Slide 39 text

もっと深く学びたい！ほめ方・叱り方公式プラクティショナートレーニング講座案内第一回パイロットプログラム＠Zoom Facebook「モンテッソーリ教育・レッジョエミリア・オルタナティブ教育」ページで申し込みを開始します。