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AIエージェント時代の 可能性と実践 Suguru Namura Software Engineer @ LayerX 2025-03-04

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自己紹介 ~ 2016 - 株式会社サイバーエージェント 各種サービスやメディアの開発・立ち上げ ~ 2022 - 株式会社メルカリ サービス開発、CTO、サービス立ち上げなど ~ 現在 - 株式会社 LayerX Enablement担当、最近は事業者向けの Agent 開発

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今の役割と状況 Enabling Team - エンジニアや社内の Enablement を担当 - エンジニアの生産性向上、LLMを活用した社内支援など CEO室 - 事業上緊急性の高い事案を技術的解決と共ににアプローチしていく - AI Agent は注力技術

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今日話すこと LayerXにおいて、AIエージェントに実践している中で 得られた知見や、考えていることを話します。

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注意 一般的なソフトウエアエンジニアです 機械学習や LLM, AI Agent のエキスパートではありません 各種周辺技術を網羅的に使い倒しているわけではありません

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AIエージェントとは ..?

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AI エージェント とは..? AIエージェントとは、特定のタスクや目標を達成するために 自律的に行動し、意思決定を行うことができる AIシステムを指します。 By Claude 3.7 Sonnet

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なぜ AI エージェント?

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なぜ AI エージェント ..? LLMによって ソフトウエアが「考える力」を手にした ↓ ソフトウエアの能力が限界突破した

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今までのソフトウエア プログラム 定義された 入力 定義された 出力

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プログラムって何だっけ? CPUが理解できる命令の集合体 プログラミング言語は、CPUへの命令(機械語)を人間が 理解しやすいように記述できる言語 順序性・論理性 が成立している必要がある

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LLMを使ったソフトウエア LLM 予測不要な 入力 予測可能な 出力

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予測不要な入力とは ... LLMはベクトルで理解するので 入力に順序性や論理性が必須ではない LLMが出力するベクトルの 元になる文書や画像があれば良い

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LLMの概念を理解する Transformer Explainer https://poloclub.github.io/transformer-explainer/

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文書や画像を雰囲気で認識する 人間みたい AI Agent

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予測不要な入力に対応したことで ソフトウエアに対する考え方が 根本的に変わった

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いままで これから 順序性・論理性を持った形に 必ず変換する必要があった (プログラミング) 順序性・論理性が 必須ではなくなった

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データのあり方も変化した

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いままで これから スキーマ定義を行い 構造化されたデータでなければ 処理が難しかった 確定的なスキーマがない 曖昧な状態でも 処理できるようになった

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ソフトウエアは プログラミング から 指示 の時代へ

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AIエージェントを取り巻く技術

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プログラミング言語について LLM関連はデータや機械学習の扱いもあり、Pythonベースの技術とエコシス テムが多い ex. LangChain, LlamaIndex, … 一方で、AIエージェントはインタラクティブなUIも必要。Web上で展開する場合 は Typescript ベースで実装するほうがシンプルかつ協力なアプリケーション を構築できる

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個人的には Web は Typescript が オススメ

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エージェントフレームワークを参考に 必要な技術要素を見ていく

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mastra.ai https://mastra.ai/

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Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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Model Routing 利用したいモデルがプロンプトごとに違ったとしても、統一的なインターフェイス で利用できるルーティング機能 Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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Workflow Graph エージェントが各プロンプトなどを実行し、結果を得る 複雑なエージェントになると、複数のプロンプトや処理を組み上げていくので、 依存関係の管理が大変になる ワークフローエンジンがあると、そのあたりの実装がかなり楽になる Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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Tool LLMが Tool Call に対応している場合、どのような対応ツールがあって、どの ような状況でそれを使うかを管理する必要がある Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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Agent Memory エージェントが一連の処理をしていく中で保持する記憶領域 LLMはトークンの制限があるので、エージェント用のメモリが必要 過去のプロンプトとその結果を保持し、後々の処理で過去の会話から関連する 情報を引き出す Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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RAG ベクトルデータの記憶領域 エージェントはベクトルを使った検索が最適なことが多いので、エージェントが 必要となるデータをトークン化(ベクトル)して格納しておく Chunking, Embedding して保存する Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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Evaluation LLMの結果などの評価が必要になる 軽量なLLMを使って、実際に得られた結果にハルシネーションが起きていた り、事実と違う結果になっていないか、などの評価を実施し、メトリクスを記録す る Model Routing Workflow Tool Memory RAG Evaluation

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エージェントのシステム上の役割 AIエージェント RAG Agent Memory Service A Service B Service C Agent Memory

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エージェントのシステム上の役割 「指示」に対して、エージェントが適切なツール・データを選定し、考えて取得す る 指示を完遂するために - データの発見しやすさ - ツールの発見しやすさ、わかりやすさ が重要になってくる

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エージェントの設置場所 デスクトップ アプリ ブラウザ拡張 サーバー

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サーバー データへのアクセス可能 バックグラウンド処理 LLMへの指示を隠蔽できる デプロイが容易 利用者のOS・デバイスを問わない 認証情報や個人情報を取得・保 管しなければならない ネットワークの状態に依存する 設置したサイト上でしか利用でき ない Pros Cons

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ブラウザ拡張 配布が簡単 ブラウザ・デバイスの 認証情報を使える あらゆるWebページに統合できる オフラインでも使える インストールが必要 ブラウザごとに対応が必要 セキュリティ上警戒される Pros Cons

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デスクトップ ネイティブアプリ 端末の情報が使える オフラインでも使える 端末上のアプリと連携できる ローカルモデルを実行できる 認証情報を取得・保管しなければ ならない 更新手段が必要 OSごとの対応が必要 Pros Cons

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Prompt Observability プロンプト バージョン 入出力ログ 利用モデル レイテンシ 評価結果 トレースとの統合

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AIエージェントの弱点

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AIエージェントの弱点 コスト 不確実性 考える時間 モデルの更新

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エージェントのセキュリティ

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プロンプトインジェクション エージェントは指示に従順に動く プロンプトインジェクションを使ったエージェントハック - エージェントの持つシークレットを吐き出させる - エージェントの持つ権限を利用して攻撃をさせる - エージェントへの指示を抽出し、業務情報を得る

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プロンプトインジェクションに対して考えうる対策 - プロンプトに投入する前に、悪意のある要素がないかチェックする - AIエージェントが機密情報を引き出せる能力を制限する(期間や手段) - 応答するレスポンスに対して、機密情報の有無などのチェックを実施する チェック手法には、軽量モデルを使うこともできる

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使った(使いたい)技術の紹介

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AI SDK by Vercel https://sdk.vercel.ai/ 言わずと知れた LLM のためのSDK 各種モデルの処理を汎用化している Web Frontend とサーバー実装が両方ある ストリーム処理やリアルタイムUIなどに対応・バックエンド・フロントエンドの繋 がりがシームレス AIエージェントにおいて間違いなく必須技術 Next.js と組み合わせると最強

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Meilisearch https://www.meilisearch.com/ Rust製の軽量高速検索エンジン 日本語などの多言語対応をしている 初期設定などがない High Availability に対応していない

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LlamaIndex.TS https://ts.llamaindex.ai/ LlamaIndex のTS版 LangChain よりRAG周辺の機能にまとまってて使いやすい Python版と比べると使える機能は少ない

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Langfuse https://langfuse.com LLM のトレースやプロンプト管理を行うプラットフォーム Evaluation結果を保持したりプロンプトの品質管理ができる (今後使っていきたい)

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LayerXにおける AIエージェントの実例

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Sales Portal

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企業調査ツール

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ガイドボット

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スライド自動生成

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商談支援 架電仮説の作成 失注要因まとめ フォローアップ メール作成 商談情報 自動入力

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LLMの登場で変化した Enabling の考え方の変化 エンジニア以外の職種は、非構造情報が多いため、対応が難しい事が多かっ たが、LLMによって対応範囲がかなり広がった 全職種 Enabling 全盛期

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AIエージェントのこれから

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モデルの進化 間違いなくモデルは今後 の3つの方向でそれぞれ進化し、異常な速度で発展していく 速い 安い 頭良い

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LLMの限界とマルチモーダル LLMはあくまでも言語モデルなので、言語の表現能力が限界になる マルチモーダルが進化してビジョンや音声などが発展してくると、人間の認識能 力を超えた能力を発揮するはず

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ソフトウエアエンジニアのこれから

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ソフトウエアエンジニアはどうなっていくのか 機械語がコンピュータを動かすところは変わらないが、人間がロジックを機械語 にするための言語を扱う必要性は減っていく いかに優秀な ベクトル を作れるかが、これからのニュータイプな ソフトウエアエンジニアになっていくはず。

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AIエージェント開発に興味のある方 https://jobs.layerx.co.jp/1accdd370bae8011a26ad9748bf3803d LayerXではAIエージェント開発に興味がある方を絶賛採用中です! 興味のある方・もっと深く知りたい方は、是非上記のURLから応募いただけると 幸いです

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ありがとうございました