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『みんなで小さく区切って進める』 ガイド 2024.06.22 Scrum Fest Osaka 2024 福岡トラック みんなで小さく区切って進める

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このセッションについて 2

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河野圭一郎(かわのけいいちろう)@kawanotron 2011年頃より仕事をうまくやるには どうしたらいいかを学び始める ベンチャー企業での自社サービス開発 中小企業での受託開発 大企業での自社サービス開発を経て 2021年秋から宿泊業で みんなで小さく区切って進めるマスター 話す人 3

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前提 仕事をうまくやるには「みんなで小さく区切って進める」のが良さそ うだぞと思い note にガイドとしてまとめました。今回はそれをより 詳しく解説したものです。 https://note.com/kawanotron/n/n3fcbeec04af0 4

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学べること ● 複雑な問題や変化の多い環境への対処法 ● みんなで足並みを揃えながら進むための具体的な方法 ● チームで改善することを促す仕組み 5

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● 『みんなで小さく区切って進める』とは ● 見える化/チェック/改善のための機会を作る ● チームの中の3つの役割 ● 見える化の対象 ● 最後に 話すこと 6

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7 構成、まず見出し 『みんなで小さく区切って進める』ガイドから引用部分 上記についての解説部分

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『みんなで小さく区切って進める』とは 8

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9 『みんなで小さく区切って進める』とは 『みんなで小さく区切って進める』は複雑な問題を解決するためにみ んな(チーム)で一緒になって改善していくための進め方です。 現代のように多様性のある環境では、問題も複雑になりがちです。複 雑な問題を解決するにはみんなで力を合わせる必要があります。しか し大きなことをみんなでやるのはすごく大変。なので小さく区切って 進めます。一足飛びではなく一歩一歩みんなで足並みを揃えながら進 めるのです。

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10 『経験から学ぶ』と『ちょっとずつ進める』 『みんなで小さく区切って進める』で大事な考え方は『経験から学 ぶ』と『ちょっとずつ進める』です。小さく区切ることで、ちょっと やってみて、それから学び、またちょっとやってみる。それを繰り返 しながら進みます。 現代は変化が早く先を見通すのが難しいです。実際にやってみて学べ ることも多くあります。しかし、やりながら学ぶのは難しいので区切 り区切りで学ぶ機会を作りましょう。 ちょっとずつ進めるコツは重要なところから進めていくことです。リ スクを早期に潰しておくと後々楽になります。

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11 『見える化』『チェック』『改善』 『みんなで小さく区切って進める』を上手にするには『見える化』 『チェック』『改善』の3つが重要です。これにより『経験から学 ぶ』効果を高めます。 見える化とは、やるべきことをリストアップする、それらの状況を表 現する、言語化や図解などです。見える化することでそれをチェック することができるようになります。例えば、リストアップしたものに 抜け漏れがあるかチェックし、足りなければ追加するという行いは改 善になります。

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見える化/チェック/改善のための機会を作る 12

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機会を作る 13 『見える化』『チェック』『改善』を取り入れるために5つの機会を 設けましょう。これらの機会は毎回同じ時間に行うことでリズムが生 まれいい感じになります。 適宜みんなで立ち止まって見える化したものをチェックし改善するた めに5つの機会(イベント)を設けましょう。 ところで、会議などで参加者が集まらないからとスケジュール調整を することってありませんか?残念ながら、その調整コストは直接何も 生み出しません。逆に、誰かが欠けてても行えるように工夫すること もできるはずです。今いるメンバーで最善を尽くすのです。

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『区切り』 14 『区切り』があることで立ち止まれます。立ち止まることで落ち着い て『チェック』し『改善』することができます。この『区切り』は1 週間もしくは2週間にすることが多いようです。 今やっていることに違和感を覚えつつもついつい現状維持のままに なってしまいがち、もしくは作業に集中していて違和感に気づけない ことってありませんか?みんなで立ち止まる(中断する)ことで、そ の違和感と向き合うことができるようになります。「木こりのジレン マ(寓話)」ですね。

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木こりのジレンマ(童話) 錆びた斧で木を切り続けている木こり。 錆びているので木が倒れる気配はまった くない。そこへ旅人がやってきて「斧が 錆びてるから研いだらどう?」と聞く。 すると木こり「わかってるけど、木を切 るのに忙しくて研ぐ暇ないんだよ」。 立ち止まらないことで効率の悪いやり方 を続けてしまうというお話。 15

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『区切りの計画づくり』 16 まず『区切りの計画づくり』で『区切りの目標』を立てます。中長期 的な目標に対して今回の目標を『チェック』し『改善』しましょう。 中長期的な見通しが『見える化』されているとよいですね。あと、過 去の実績が『見える化』されていると今回の『区切り』の間にどれく らい進めるかの予測ができるようになります。 変化の多い環境では計画がムダになりがちです。計画を立てないとい うのもありですが、みんなでこまめに立ち止まり小さな計画を積み重 ねることで変化に対応できるようになります。

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『朝会(昼会でも可)』 17 毎日みんなで立ち止まって、「気になること」を共有し合います。人 はついついまだ大丈夫と思い問題を見過ごしてしまいがちです。問題 が大きくなってから慌てなくていいように、問題が小さい内に発見し 対処しておきましょう。進捗の報告を見える化しておくと「気になる こと」の共有に集中できます。 『朝会(昼会でも可)』は1日単位の区切りになります。日々『区切 りの目標』が達成できそうかを『チェック』し、達成できそうにない 兆候が見えたら『改善』します。各自の状況が『見える化』されてい るとその兆候に気づきやすくなります。

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『区切りのふりかえり』 18 『区切りのふりかえり』は今回の『区切り』の進め方(プロセス)を 『チェック』し『改善』します。より良い進め方を模索し、少しずつ 変えていきましょう。 みんなで立ち止まって、今の進め方をもっと上手にできるようにでき ないか考えましょう。日々仕事をしながら「こうすればもっと良くな るかも」と思うことはありませんか?それらについてみんなで話し合 う機会になります。ちなみに、大掛かりな改善だと実現するのが難し くなるので、次の区切りで試せるくらいの小さな改善にとどめておく のがコツです。

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『区切りのお披露目』 19 『区切りのお披露目』は今回の『区切り』の内容(コンテンツ)を関 係者にお披露目し、『チェック』してもらい内容の『改善』に繋げま す。関係者との大事な接点でもあります。関係者も一緒になって改善 していきましょう。 みんなで立ち止まって、この区切りでどういった成果が得られたのか を確認しましょう。その成果に対してフィードバックをもらうことで さらに良い成果を得られるようになります。なるべくたくさんの視点 でのフィードバックを得るためにたくさんの関係者を招きましょう。

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チームの中の3つの役割 20

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チーム 21 また、3つの役割も大切です。『主に内容を考える人』と『主に進め 方を考える人』と『一緒に進んでいく仲間たち』があります。 仕事の「内容」と「進め方」は中身と入れ物の関係で、それぞれの特 性が違うため同時に考えるのは非常に難しいです。これらを一人です るのは投手と打者の両方で活躍するようなものです。なので、それぞ れに集中できるように役割を明確に「内容を考える人」と「進め方を 考える人」の2つに分けます。 また「主に」とあるように、一人で考えるのではなく、基本はみんな で考えます。あくまで率先して考える人です。

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『主に内容のことを考える人』 22 『主に内容を考える人』は「船頭多くして船山に登る(日本の諺)」 にならないように一人であることが望ましいですが、責任が重くなり がちなので一人で背負い込まずにみんなに助けてもらってください。 仕事の内容を考えるとは、なぜその仕事をしないといけないのか?そ の仕事で具体的に何をするのか?どの優先順位で仕事をするのか?を 決めることです。 そして、仕事は一人ではできません。チームメンバーに動いていただ けるように(指示命令ではなく)うまく促すことが重要です。

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船頭多くして船山に登る(日本の諺) 1つの船にたくさん船長がいると、行先が まとまらず船が山に登ってしまう。指図 する人が多いと話がまとまらず見当違い な方向にいってしまうということのたと え。 どの方向へ進むのかを最終的に一人が責 任を持つことで目標に辿り着ける確立を 高めることができます。 23

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『主に進め方のことを考える人』 24 『主に進め方を考える人』はみんなが『みんなで小さく区切って進め る』ことを上手にできるように手助けしてください。あなた自身が 『みんなで小さく区切って進める』ことの手本となりましょう。 仕事の進め方を考えるとは、みんなで進んでいるか?小さく区切って いるか?見える化しているか?チェックしているか?改善している か?をチームを俯瞰してチェックし改善することです。ついつい大掛 かりな改善をしたくなりがちですが、この改善そのものもみんなで小 さく区切って進めていきましょう。

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『一緒に進んでいく仲間たち』 25 『一緒に進んでいく仲間たち』は特定の技術を持った人たちだけでは ありません。一緒に進んでいく人たちはみんな仲間です。関係者も巻 き込んで一緒に進んでいきましょう。「遠くへ行きたければみんなで 行け(アフリカの諺)」です。 多様性のある問題に対処するには、多様性のあるチームが必要になり ます。様々な技術力や考え方のメンバーを集めましょう。集めるだけ ではなくお互いの違いを受け止めるとその多様性を活かせるようにな ります。また、協力できる仲間を増やすために組織図を越えて関係者 も含めてワンチームと捉えましょう。

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遠くへ行きたければみんなで行け(アフリカの諺) 「早く行きたければ一人で行け。遠くへ 行きたければみんなで行け。」アフリカ の諺でアル・ゴア元米副大統領がノーベ ル平和賞授賞式典の演説で引用し、有名 になりました。 目先の小さな課題を解決するには一人で やった方が早いが、本質的な課題を解決 するにはみんなで力を合わせる必要があ る。 26

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見える化の対象 27

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『やりたいことリスト』 28 『見える化』する対象はいくつかあります。例えば『やりたいことリ スト』。やりたいことをリストアップしてみんな(チーム)に共有す ればみんなで助け合うことができるようになります。やりたいことが やりたい順に並んでいると何からやろうかと悩まなくていいですね。 ToDoリストやチェックリストも同じです。一覧にすることで抜け漏 れを確認できたり、他の人に見てもらうことができるようになりま す。一番簡単にできる見える化/チェック/改善ですね。みんなで立 ち止まってリストを作ってみましょう。

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『区切りの目標』 29 あとは『区切りの目標』。区切り区切りでどういう状態になっていた いのか言語化しみんな(チーム)の目標にします。そうすることで、 一人一人が自分がやるべきことは何かを考えられるようになり、時に お互いに助け合いながら目標に進んでいくことができるようになりま す。 「○○ができるようになっている」「○○が何件完了している」その 区切りが終わったときにどういう状態になっているといいのかを言語 化します。目標が見える化されることで、朝会などでチェックし改善 することができるようになります。

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30 『やりたいことリスト』や『区切りの目標』は内容です。『主に内容 のことを考える人』が中心となってしっかり『見える化』していきま しょう。 『主に内容のことを考える人』は、やりたいことがちゃんと『やりた いことリスト』に追加されているか?やりたい順にならんでいるか? 『区切りの目標』がちゃんと言語化されているか?をチェックし改善 していきましょう。

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最後に 31

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最後に 32 『みんなで小さく区切って進める』のはとても難しいです。最初から 上手にはできないかもしれません。『みんなで小さく区切って進め る』ことそのものを小さく区切ってやっていきましょう。できるとこ ろから始めて、少しずつ改善しながら少しずつ上手になっていく。そ れでいいのです。 年末に大掃除をするときに「普段からこまめに掃除しておけばよかっ た」と思いませんか?仕事でも私生活でもまとめてやった方がいいと 考えがちです。その考え方を変える必要があるようです。しかもみん なで。急には変えられないので少しずつ。

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おすすめ書籍など 33

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PDF『スクラムガイド』 本ガイドは『スクラムガイド』を参考に作 成しました。スクラムは日本のトヨタ生産 方式を取り入れているにもかかわらず横文 字が多く独特な言葉が多いため、とっつき にくかったり誤解されたりすることがあり ます。スクラムで大事なことはスクラム以 外でも大事なことです。それをスクラム用 語を使わずに伝えたいというのがこのガイ ドを作った動機です。 https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf 34

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書籍『LEADER’S LANGUAGE』 適宜中断し考えることの大切さが書かれて あります。立ち止まることなく当初の計画 を守ったことで多くの人が亡くなった沈没 事故の話から始まります。主題はリーダー の言葉使いについてでそれなりに分厚い本 ですが、そちらもおもしろいのでぜひ。 35

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書籍『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』 やりたいことをリストアップすることの効 果を知るにはこの本がおすすめです。 チェックリストをコミュニケーションツー ルとして使い複雑な問題をみんなで解決す る方法が書かれてあります。 36

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書籍『老子の教え あるがままに生きる』 『ちょっとずつ進める』をうまくできるよ うになるための考え方(思想)はこの本か ら学べます。ムリなく自然なままできるこ とをちょっとずつ進めていく。この本でな くても老子を学んでみることをおすすめし ます。 37

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ご清聴ありがとうございました