狩猟免許を取ってみた

Slide 1

Slide 1 text

狩猟免許を取ってみた

Slide 2

Slide 2 text

この話 ● ひょんなことから狩猟免許を取ってしまった体験談です ● 何かの役に立つかはわからないですがお聞きいただければ幸いです ※できるだけ正しい情報をお伝えしようとしておりますが、細かい部分でお伝えしきれない部分もあり実際の部分については確認をお願いいたします。

Slide 3

Slide 3 text

自己紹介 ● 氏名：木下兼一 ● これまでssmjpではOSCについてお話ししておりました ● OSC以外に、下記イベントのお手伝いもしてます – TechLION – LLイベント – 明日の開発カンファレンス ● イベントの手伝い以外に、いくつかのNPOの会員やってます ● 今回は狩猟免許取得ネタです！！

Slide 4

Slide 4 text

キッカケ ● 「肉のヒマラヤ登山部」というFacebookの集まりで「獣肉喰いませんか？」とお誘いがありジビエを食べ始める ● 「ジビエ中々いいね」と思っていたら登山部の別の会員の方が始めたジャパンマルチハンターズというところのジビエ会の話を聞き参加 ● ジビエ会の中で「東京都の狩猟免許の抽選が当たらない」という話を聞き、ネタのつもりで抽選に応募 ● 何故か当選してしまい受験することに

Slide 5

Slide 5 text

ところで狩猟免許って？ ● 狩猟免許とは – 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に定められた狩猟対象鳥獣捕獲を『法定猟具』で行うための免許 – 先の法律で日本の全ての野生動物は基本捕獲してはいけない – が、都道府県に狩猟者登録を行うことで鳥獣被害対策や伝統的見地等で捕獲対象となった鳥獣類を『法定猟具』を使って捕獲が行える様になります – で狩猟者登録を行う際に必要になるのが『狩猟免許』

Slide 6

Slide 6 text

狩猟者登録て？ ● 対象地域で狩猟を行う場合に必要となる登録です。 ● 登録は都道府県単位で行います。 – 仮に埼玉・千葉で狩猟をする場合、埼玉県・千葉県で登録が必要です。 ● 登録の際には狩猟免許が必要 ● ただし、狩猟免許は狩猟を行う都道府県外で取った免許でも登録できます。 – 例えば狩猟免許を取ったのが沖縄県でも、北海道で狩猟をしたい場合は沖縄県で取った狩猟免許で北海道の狩猟者登録が可能です。

Slide 7

Slide 7 text

狩猟対象鳥獣とは？ ● 基本的に日本の野生動物や野鳥は保護の対象だが – 伝統的見地 – 生息頭数が多い – 保護をしていると作物被害等で環境に逆に悪影響を与えてしまう場合上記の場合、特別に狩猟対象として捕獲の対象となる ● 基本は環境大臣が許可するのだが、最終的には各自治体で細かく指定が可能らしい – 例）ツキノワグマ　基本は狩猟対象だが神奈川県では保護対象なので罠で捕まった場合、麻酔銃で眠らせて別の場所で離す必要がある ● 数年ごとに生息状況や被害状況で見直しが行われるので、狩猟を行う前に確認が必要です

Slide 8

Slide 8 text

法定猟具って？ ● 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で狩猟者が定められた鳥獣を捕獲する際に使用することができる猟具 ● 基本的に、銃・罠・網があり – 銃：鳥と動物 – 罠：動物 – 網：鳥、ウサギにしか使えないです ● 加えて、銃・罠・網でも使えるものが決まっており、それ以外のものを使うと違法になります ● 現在、罠・網についてはそれらに掛かると死んでしまったり重傷を負ってしまうモノは禁止されています（釣り上げ式罠、落とし穴、トラバサミ、霞網等） ● ただ自由猟法というものがあり、これを行う場合は狩猟免許が無くても狩猟はできますが（後述）

Slide 9

Slide 9 text

つまり ● 環境省「こっちで取っていいと決めた動物を『法定猟具』で取るための一通りの知識を持っていることを証明する！！」という免許となります ● 管轄は環境省だが、試験や免許の交付は都道府県単位で行われます ● ただし狩猟免許・狩猟者登録を持ったからといってすぐに狩猟はできないです（後述）

Slide 10

Slide 10 text

狩猟免許の取り方

Slide 11

Slide 11 text

狩猟免許試験の申し込み方（東京）　※各都道府県により違うらしい ● 狩猟免許受験の申し込み抽選(ネット)に応募 ● 抽選に当たると当選通知が送られてくるので必要な書類を揃えて郵送 ● 受験票やテキストが送られて来る ● 「あれ？これだけ？」と思われるかもしれませんが

Slide 12

Slide 12 text

狩猟免許の受験手続き ● はっきりいってオンラインの手続きに慣れた人間は『スゲ〜面倒くさい！！』となるレベルです ● 例）東京都 – 受験の抽選申し込みと書類はネットだが、後は全て手書き& 郵送 – 申請書類等については全て印刷！！ – 受験料の納付も現金のみなので、申請書類を送る場合、申請書類と現金を同封して現金書留にして送る必要があった！！ – そして申請書類がエグい！！

Slide 13

Slide 13 text

申請に必要な書類その1 ● 申込書 – WordかPDFをダウンロードして印刷後に記入もしくは編集 – 受験区分は ● 第一種猟銃 ● 第二種猟銃（空気銃限定） ● 罠 ● 網 ※同じ試験日に複数受験可能、ちなみに自分は第一種猟銃と罠を受験 ● 医師の診断書 – WordかPDFをダウンロード・印刷してお医者さんに書いてもらう – 昔は精神科医限定だったらしいが、今は歯科医以外のお医者さんならOKとなっています

Slide 14

Slide 14 text

申請に必要な書類その2 ● 写真 ● 住民票 ● 受験料 – 受験する区分の数だけ現金を用意（つまり、猟銃・罠・網を受験するなら三つ分受験料を納めなければならない） ● 受験票送付用封筒 ● 猟銃・空気銃の所持許可証のコピー（持ってる人）えっ？

Slide 15

Slide 15 text

猟銃の所持許可書？ ● さっきのスライドで猟銃の所持許可証と聞いて「これから免許取るから猟銃なんて持ってないのでは？」と思った方がいらっしゃるかと思います ● 実は猟銃の狩猟免許というのは「猟銃を使って狩猟を行なって良いよ」という免許で「猟銃を持って良い」という許可とは別物なのです ● なので狩猟免許の試験を受ける前に猟銃を持っている人がいる場合があるのです

Slide 16

Slide 16 text

空気銃について ● 「空気銃」と聞いて「サバゲーのエアガン？」と思った方もいるかと思いますがサバゲーのエアガンは正式には「エアソフトガン」というものです ● 「空気銃」はエアソフトガンと違い金属製の弾丸を超高圧のエアで飛ばすためトンデモない威力があります ● 大抵は鳥の捕獲に使うことが多いのですが、最近大口径化で威力の強いものが出てきており、鳥だけでなく罠にかかった動物の止め差しや、近距離や小動物の捕獲で猟銃の代わりに使うということもできる様です ※もちろん所持には許可が必要です

Slide 17

Slide 17 text

無事受験の申し込みが完了したら ● 受験票と共に狩猟に関するテキストが送られてくるのでテキストを元に勉強して受験に備える ● 勉強することとしては – 狩猟の法規について – 狩猟対象鳥獣とその特徴 – 法定猟具とその特徴

Slide 18

Slide 18 text

受験当日の流れ ● 試験会場に行き入場 ● 午前は狩猟の法規についての筆記試験 ● 筆記試験終了後は即採点して合格者の発表、合格していれば午後の試験へ ● 午後は、基本として運動機能検査（体を動かせるか程度）、視力聴力、目測の試験、狩猟鳥獣の判別 ● その後、取得したい区分の分だけ実技試験を受験

Slide 19

Slide 19 text

午前の試験内容 ● 基本的に狩猟に関する法規についての問題を解く ● 自分が受験した時はこんな感じの内容だったと思います – 狩猟に必要な法規 – 法定猟具とは何か – 狩猟についての法規 – 狩猟免許の更新について

Slide 20

Slide 20 text

午後の試験内容（共通） ● 基本的な身体機能の確認 ● 目測試験（試験官から指示された対象物の距離を当てる） ● 狩猟対象鳥獣を当てる – 対象外は「ダメ」でいいが、対象の鳥獣の場合は鳥獣の名前（例えば「よし、タヌキ」等）も言わなければならない

Slide 21

Slide 21 text

午後の試験内容（猟銃） ● 猟銃　※全て模擬銃を使って行われ、第一種猟銃は猟銃・空気銃について、第二狩猟銃については空気銃のみ下記を行う – 分解・組み立て・点検 – 弾丸の装填　※もちろん模擬弾です – 集団で移動する場合の銃の取り扱い – 試験時に注意しなければならない点として ● 銃口を人に向けていないか？ ● 取り扱い時に引き金に指を入れていないか？ ● 安全確認(銃に異常がない、使用後に弾丸が装填されていない等)を行なっているか？についてチェックされ、銃口を人に向けていたり引き金に触っていたりすると即アウト！！

Slide 22

Slide 22 text

午後の試験内容（罠） ● 許可されている罠かどうかの判別 – 許可されている場合は罠を指差して罠の名前を答える – 許可されていないものの場合は指差しして「ダメ」と答える ● 罠の設置 – 実際の罠を使って捕獲できる状態にセットする

Slide 23

Slide 23 text

午後の試験内容（網） ● 受験していないのでよく知らないです。 ● ただ罠と同じで許可されている網の判別とミニチュアの網を使った設置をするということだったと思います。

Slide 24

Slide 24 text

実技難しくない？ ● これまでの説明で「午前中は何とかなるとしても、午後の実技をぶっつけ本番でやるの？」と思った方もいるかもしれません ● 実は、東京都は都の猟友会（狩猟免許試験の試験官もしている）が当時（2021年頃）受験票を持っている方を対象に事前講習会をしていたので、そちらに参加しました（現在は受験票無しでも受講できる様です） ● 内容としては試験当日に行うことをリハーサル形式で指導してもらったり、実技リハーサルの際に指摘事項があったらそこで教えてもらえるので狩猟免許を取ろうというのであればオススメですが費用が結構かかります

Slide 25

Slide 25 text

そして合格すると ● 試験を受験して合格すると合格した区分の狩猟免許が送られて来てました※現在は一枚に – 例えば、猟銃・罠・網を受験して全てに合格した場合は三つ免許が送られてきていた – 現在は一枚なっております ● 「よっしゃ免許きた！！これから道具揃えて狩猟するぞ！！」と思うかもしれませんが

Slide 26

Slide 26 text

狩猟の実際

Slide 27

Slide 27 text

現実は ● 狩猟は本州だと11月〜2月、北海道は10月〜3月の間しか行えないです・・・ ● そして狩猟者登録では諸々の書類のやり取りや狩猟税の支払い ● 狩猟者登録を行うと狩猟者バッジとハンターマップという禁猟地域や特定の猟のみ許可された場所を示した地図が渡されます。その後は許可された地域を探したり、個人の土地の場合は所有者に許可をとって猟を行う必要があります ● 有害鳥獣駆除だと一年中可能ですが、有害鳥獣駆除員として登録が必要となり加えて狩猟地域の土地所有者の許可も必要です。加えて登録は色々と複雑です

Slide 28

Slide 28 text

面倒臭いなぁ ● 「ホント面倒臭い」と思った方はいるかと思います ● 猟友会に入っているとある程度は猟友会で代行してもらえるそうです ● 「有害鳥獣駆除」については通年で行えますが色々とハードルがあり、狩猟免許取り立てで知人に既に狩猟をやっている人がおらず「これから色々と覚えていく」という個人に許可がおりることはほぼないです

Slide 29

Slide 29 text

自由猟法について ● 前に自由猟法は狩猟免許や狩猟者登録は必要ありませんと書いてましたが ● 自由猟法：伝統的に行われている、もしくは法定猟具以外で行う狩猟です ● 代表的なものとしてはこんなところです – 鷹狩り – スリングショット（パチンコ） – 手掴み ※「槍や弓矢は？」と思った方はいるかと思いますが、これらは明確に禁止されています（その他、毒や爆発物等を使うのも禁止）例外として罠等で捕まった動物に近づくのが危険な場合に長い棒に刃物を取り付けて槍の様に使うのは認められている様です ※以前はボウガン（クロスボウ）も使えた様ですが、現在は猟銃と同等の所持許可が必要になり、なおかつ狩猟には使えなくなってます

Slide 30

Slide 30 text

しかし自由猟法は・・・ ● 自由猟法でも猟期以外や狩猟対象以外の動物を捕獲したり、狩猟禁止地域で行った場合は違法となります。 ● ハンターマップは狩猟者登録していないともらえないのでどこが狩猟禁止地域かわからないと思います ● というわけで自由猟法で狩猟するのは伝統とみなされている鷹狩り以外ではほぼ無理です ● フラグなしで「やらない方がいい！！」と考えていただいて構いません

Slide 31

Slide 31 text

私の場合 ● 狩猟免許取得後に、ジャパンマルチハンターズの方から小田原で有害鳥獣駆除を行なっている団体を紹介される ● 団体で「小田原くくり罠塾」というのをやっておりそこに去年研修生として参加し、今年から有害鳥獣駆除のメンバーに ● 「小田原くくり罠塾」は狩猟免許を持っていない人でも参加できるので「狩猟ってどういうふうにやっているのか見てみたい」という方は、参加もしくは見学してみるのもいいかもしれません

Slide 32

Slide 32 text

そして猟銃について ● 受験の申請書類について話した際、猟銃の所持許可証について話したかと思います ● 実は銃を使った狩猟の許可は狩猟免許、銃の所持許可については都道府県警が行なっており、銃を持つ場合は警察に所持を許可してもらう必要があります ● それについては狩猟免許より更に色々あったので別途お話ししたいと思います。

Slide 33

Slide 33 text

ということでご清聴ありがとうございました！！