Slide 1

Slide 1 text

業務システムの概要と その選択肢 @tunemage

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 • つねまげ • 業界経験12年ほど • 現職(1年間) • 製造業のソフトウェア部門 • 社内システム(生産管理等)の内製が中心 • 新規ビジネスの提案や、他者製品の導入支援も • 前職(6年間) • 業務パッケージ製品開発 • それ以前 • SIとかスマホアプリとか色々 • フリーランスもちょっとだけ

Slide 3

Slide 3 text

本日お話する内容 • 業務システムの概要 • 社内業務を支えるシステムを作ったり買ったりしてきました • 業務システムにはどんな種類があるか学んできました • 現時点の私の知見を共有します • 業務システムの選択肢 • システムを作るべきか買うべきか何もしないべきか、いつも悩んでいます • 現時点の私の意見を共有します

Slide 4

Slide 4 text

業務システムの概要

Slide 5

Slide 5 text

まず、そもそも業務システムって? • 例えばこのあたりは? • バックアップ・リカバリ • サーバー監視 • ログ出力 • このあたりは「業務」と対比的に、「システム寄り」とされる 事が多いような気がします • でも例えばログは「監査」という業務では中心的な存在だった りします • 何をもって業務とするかはコンテキストやロールに依存します ね

Slide 6

Slide 6 text

まず、そもそも業務システムって? • じゃあ例えばこのあたりは? • 組込システム • ゲームソフト • これらがビジネスの中心を占めてる人にとっては、業務っちゃ 業務ですよね。 • 強いて言うならtoBかtoCかで分けれられる。 • まあ何にせよ、このあたりを業務システムと呼ばれる事はまず ないと思います

Slide 7

Slide 7 text

まず、そもそも業務システムって? • という訳で • 「企業が使ってるシステムのうち業務系と呼ばれているシステ ムの集合」と思って良いと考えています

Slide 8

Slide 8 text

では典型的に業務システムと呼ばれてる のは • このあたりは間違いなく業務システムでしょう • 会計システム • 販売・購買管理システム • 生産管理システム • 人事給与(HR)システム • 在庫管理システム

Slide 9

Slide 9 text

バリューストリームに沿って並べると

Slide 10

Slide 10 text

基幹システム • 基幹系システムとは、企業や官公庁などの情報システムのうち、事 業や業務の中核に直接関わる重要なシステムのこと。または、全社 で共通して利用される、その組織全体の基盤の一部となるシステム (IT用語辞典より) • 基幹システムのパッケージ製品をまとめた製品シリーズはERP (Enterprise Resource Planning)と名乗りがち(本来の意味は少 し違います) • 業務システムの中で、基幹システムと対比的な概念として情報系シ ステムというのがあります。

Slide 11

Slide 11 text

基幹系と情報系 基幹系システム • 事業の根幹を支える • 販売・生産管理・会計など • システム停止による影響が大 きい • 使い勝手よりも、データの整 合性や堅牢性が重視されがち 情報系システム • 事業を支援する • メール・グループウェア・ チャット・スケジュールなど • システム停止による影響が (相対的に)小さい • 整合性よりも、使い勝手の柔 軟性が重視されがち

Slide 12

Slide 12 text

各サブシステムの詳細を一つ一つ見てい きます

Slide 13

Slide 13 text

※「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」 や各種ERPの資料を参考に作成

Slide 14

Slide 14 text

販売業務とその周辺 基幹系 • 販売管理 • 見込 • 見積 • 受注 • 出荷 • 売上 • 債権管理 • 請求 • 入金 周辺 • EC(Electric Commerce) • MA(Marketing Automation) • Webサイトの訪問分析・メルマ ガ開封率分析機能など • SFA(Sales Force Automation) • 顧客DB・案件管理・日報管理 など • CRM(Customer Relationship Management ) • メール送信・問い合わせ管理な ど

Slide 15

Slide 15 text

No content

Slide 16

Slide 16 text

調達業務とその周辺 基幹系 • 調達管理 • 発注 • 入荷 • 仕入 • 債務管理 • 支払 • 出金 周辺 • (あまり聞かない) • 基本的には仕入先の仕事だから か • 知らないだけだったらすいませ ん

Slide 17

Slide 17 text

No content

Slide 18

Slide 18 text

生産管理とその周辺 基幹系 • 生産管理(本社寄り) • 需要予測 • 生産計画(MRP) • 製造指図 • 製造報告 • 工程管理(工場寄り) • 進捗管理 • 実績管理 • 品質管理(これは情報系?) ※MES( Manufacturing Execution Systemとも呼ばれる領域) 周辺 • CAD(Computer Aided Design) • コンピュータで設計するやつ • CAM(Computer Aided Manufacturing ) • CADを元に製造するやつ • CAE(Computer Aided Engineering) • CADを元にシミュレーションする やつ • FA(Factory Automation) • いわゆる制御系システム

Slide 19

Slide 19 text

No content

Slide 20

Slide 20 text

在庫管理とその周辺 基幹系 • 在庫管理 • 在庫 • 棚卸 • 倉庫移動 • 在庫調整 周辺 • WMS(Warehouse Management System ) • 倉庫管理システム • 在庫管理と似ているが、WMS は現品管理向け • TMS(Transport Management System) • 輸配送管理システム • 参考書籍によると、一般企業へ の導入はあまり進んでないらし い

Slide 21

Slide 21 text

No content

Slide 22

Slide 22 text

会計管理と人事給与 会計管理 • 財務会計 • 利害関係者(株主・債権者・税務 署etc)への情報提供が主目的 • 管理会計 • 内部の管理者への情報提供が主目 的 • 経費管理 • 資産管理 • 資金管理 人事給与 • 勤怠管理 • 給与計算 • 人事管理 • 採用管理

Slide 23

Slide 23 text

No content

Slide 24

Slide 24 text

SCM(Supply Chain Management) • 供給業者から最終消費者までの業界の流れを統合的に見直し、 プロセス全体の効率化と最適化を実現するための経営管理手法 (グロービス経営大学院のMBA用語集より) • システム的には、調達・生産・販売・物流システムあたりを指 す • 狭義には、SCPと呼ばれる計画系のシステムをSCM製品と呼ば れる事もあるらしい

Slide 25

Slide 25 text

その他、横断的なシステム • グループウェア • スケジュール • 掲示板 • ワークフロー • DWH(Data Warehouse ) • BI(Business Intelligence) • ETL (Extract/Transform/Load) • EDI(Electronic Data Interchange) • XMLとかで企業間でデータ交 換するもの • 標準化が遅れているらしい • 帳票システム • RPA(Robotic Process Automation ) • いわゆるRPAツールはデスク トップマクロツールと呼ぶべき (私見)

Slide 26

Slide 26 text

EC MA CRM SFA CAD/CAM/CAE MA WMS TMS SCM グループウェア(スケジュー ル・掲示板・ワークフ ロー)・DWH/BI・帳票・ ETL・RPA 業務横断的なシステム・ツール EDI EDI ※自分の中の業務システムの体系

Slide 27

Slide 27 text

業務システムの選択肢

Slide 28

Slide 28 text

システム化の選択肢 • 作る • スクラッチ開発 • 簡易ツール(総称する呼び名が欲しい) • DBとフォームをGUIで定義して簡易システムを作るやつ • Access/FileMaker/kintone/楽々フレームワーク/Power Appsなど • システム化しない • Excelや紙運用をベースに業務改善 • 買う • SaaSの契約 • サブスクリプションモデルが多い • パッケージ製品の購入

Slide 29

Slide 29 text

選択の観点 1. 投資対効果 2. 変更頻度 3. 社内のパワーバランス

Slide 30

Slide 30 text

観点1.投資対効果 • 事例1)勤怠入力の内容を給与計算ソフトに転記したい • 丸1日程度で出来てしまうバッチやVBAで事足りる場合、作ってしまっ た方が安い • 事例2)勤怠管理 • 内製するための工数や品質を考えると、パッケージを買った方が安い • 事例3)お客様からのメールをどこかに保存して参照したい • 業務フローの改善のみで事足りる

Slide 31

Slide 31 text

観点2. 変更頻度 • 事例) 工程管理 • 頻繁に項目追加や業務フローの変更が発生する • パッケージ製品の場合、対応してくれるとは限らない • 対応してくれたとしても、時間や費用がかかる • こういったものは内製するメリットが出てくる • 個別カスタマイズの必要性が薄い製品はパッケージやSaaSが向 いてる • 例)財務会計・給与計算(この2つは内製するメリットはほぼない)

Slide 32

Slide 32 text

観点3. 社内のパワーバランス • 稟議や意思決定の権限を握ってる人の判断に左右されます • 技術的・業務的なトレードオフに照らして合理的とは限りません • 権限は明示的とは限りません • 事例)↓ プログラマーが居るんだから、パッケージ買わ なくても、うちでちゃちゃっと作れるでしょw ww

Slide 33

Slide 33 text

現時点の持論 ②SaaS・ パッケージ購 入 ④スクラッチ 開発 ①業務改 善のみ ③Firebaseや kintoneなど 投資対効果高 投資対効果低 変更頻度高 (コア業務) 変更頻度低

Slide 34

Slide 34 text

おわりに • 業務システムは、領域が多岐に渡ります。 • 実現手段も様々な選択肢があります。 • 業務面と技術面双方のトレードオフを踏まえて、提案するお仕事はと ても楽しいです。 • 今後も業務について学び、システム設計者としてのスキルを高めてい きたいです。 • 業務システムをお仕事にされている皆さんから、ご意見やご批判いた だけると幸いです

Slide 35

Slide 35 text

参考文献 • パッケージから学ぶ4大分野の業務知識(梅田弘之) • この1冊ですべてわかるITコンサルティングの基本(克元亮) • 小さな会社のIT担当者になったら読む本(井海宏通) • 生産管理システム構築のすべて(北村友博) • グラス片手にDB設計(全3冊)(梅田弘之) • 業務別データベース設計のためのデータモデリング入門(渡辺幸三) • 生産管理・原価管理システムのためのデータモデリング(渡辺幸三) • よくわかるこれからのSCM(石川和幸) • エンジニアが学ぶ物流システムの「知識」と「技術」 (石川和幸) • エンジニアが学ぶ金融システムの「知識」と「技術」 (大和総研フロン ティアテクノロジー本部)