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1 2024年度 情報特別演習II 最終発表 Intel系FPGA上への RISC-Vプロセッサの実装 浅田睦葉 情報科学類3年 アドバイザ教員: 冨安洋史先生

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・Intel系のFPGAにRVI32命令を実装した  ・Altera Cyclone IV EP4CE115F29C7N ・FPGAとは  ・ユーザーが自由にハードウェア回路を構成できる  ・ハードウェア記述言語によって回路を記述 ・RVI32とは  ・オープンソースのISAであるRISC-Vの 32bit整数命令セット  ・CPUとして動作させるための最小限の命令が含まれている   ・加算(add)、メモリ読み出し(lw)、メモリ書き込み(sw)など  ・FENCEやCSRなど特殊な命令を除いて実装を行った 2 概要 評価用ボードのDE2-115

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命令を処理する主な流れ ・CPUは主に5つの仕事を行う 32bitの命令列を読み出す 1. レジスタアドレスや即値を切り出す 2. メモリアドレスやレジスタ値を計算 3. メモリに値を読み書き 4. レジスタに値を書き戻す 5. 3

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4 パイプライン ・5つのステージを繋ぐとCPUとしては最低限  動作する  ・メモリアクセスも含めると   7〜8クロックに1回しか命令を処理できない  ・現代的なCPUのCPIは1~2前後   ・1を切ることも ・パイプラインを導入する ・各ステージを毎クロック並列に動かすことで  CPIを平均1.6に改善できる

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・主な仕事  ・メモリから命令を読み出す  ・プログラムカウンタを管理する   ・プログラムカウンタ  ・実行中の命令のアドレスを管理するレジスタ  ・基本的には4ずつ増える  ・ジャンプ命令などにより書き換わることもある 5 命令フェッチ

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6 命令デコード ・主な仕事  ・命令をデコードする ・仕様書に従って命令列を分類する  ・例えばADD命令をデコードする 00000001010101010000111110110011 ・① 0110011で、R-typeの命令とわかる ・② 000で、ADD命令とわかる ・③ 1つ目の入力レジスタのアドレスは01010 ・④ 2つ目の入力レジスタのアドレスは10101 ・⑤ 出力レジスタのアドレスは11111

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7 レジスタファイル ・多くの場合でメモリアクセスは低速 ・通常の計算ではCPU内部のレジスタを用いる ・レジスタアドレスが5bitなので、32個のレジスタが必要 ・0番目のレジスタはゼロレジスタなので書き込みを無効に ・先ほどのADD命令の場合  ・01010 → 9番目のレジスタ  ・10101 → 20番目のレジスタ  ・11111 → 31番目のレジスタ

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・レジスタから取り出したデータを使って実行する ・ADDの場合  ・2つの値を足し合わせる ・基本的に仕様に従って実装するだけ ・いくつか命令の実装を紹介  ・LW(ロード命令)  ・JAL(ジャンプ命令)  ・AUIPC(PC相対アドレス計算命令) 8 命令の実行

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・ロード命令はメモリからデータを読み出す命令 ・1つ目の入力レジスタと即値を足し合わせたアドレス ・LB/LG/LW/LBU/LHUは読み込むサイズと符号の違いのみ  実行ステージでは単にメモリアドレスを計算するだけ 9 命令の実行(LW)

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・ジャンプ命令は、プログラムカウンタの値を変更する命令 ・JAL命令は現在のPCに即値を足し合わせたものを新たなPCに  ・レジスタに次の命令アドレスを書き込む ・branch_dest_addressに新しい値を書き込むと  フェッチステージに入力されて  プログラムカウンタの値が書き換わる 10 命令の実行(JAL)

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・PC相対アドレス計算命令は、現在のプログラムカウンタの値に 即値を足し合わせた値をレジスタに格納する命令 ・位置独立コード(PIC)を実現するために使える  ・各プロセスが自身の実行環境に合わせたコピーを持つ形で   共有ライブラリを実装できる 11 命令の実行(AUIPC)

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・主な仕事  ・メモリから値を読み書きする ・アクセス方法はボードにより異なる  ・今回はaltsyncramを使った ・内蔵メモリはサイズが非常に小さい  ・データ領域を必要とする場合には難しい ・SRAMやSDRAMが付属していることも 12 メモリアクセス

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・メモリの読み出し or 書き込み待ち 15 ストール

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・レジスタの書き戻しを待たないと計算結果が破綻する場合 16 ストール

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17 フォワーディング ・レジスタの書き戻し待ちに関しては  フォワーディングで解決できる ・実行ステージの結果をデコードや実行など  前段のステージに送れば良い

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19 テストベンチ ・動作を確認するためにテストベンチを実装した ・2000行以上  ・コアの実装より多い ・FPGA開発でもシミュレータと  テストベンチを使えばCIで動作を  ある程度保証しながら開発できる

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20 まとめ ・Intel製のFPGAにRV32Iを (ほとんど) 実装した ・命令フェッチ→デコード→実行→メモリアクセス→書き戻し ・パイプラインを実装すれば愚直に実行するよりCPIを改善できる ・メモリアクセス待ち→CPUをストール ・レジスタの書き戻し→フォワーディングを実装すればストール させる必要がなくなる ・テストベンチの実装によりある程度CPUの挙動を保証できる ・今後は割り込みやMMUを実装することで自作OSやLinuxを動作 させることを目標にして進めていく