Slide 1

Slide 1 text

ドキュメント作成の基本 エンジニアが一生困らない 2024年11月7日 Forkwell Library 仲田 尚央 @naoh_nak ハッシュタグ:#Forkwell_Library

Slide 2

Slide 2 text

仲田 尚央 Nakata Naohiro @naoh_nak ● 本業: テクニカルライター、UXライター@SmartHR ● サイドワーク: 非常勤講師@都立産業技術高専 書籍執筆 ソフトウェアのUIテキストを書いたり、ドキュメント を書いたりするお仕事をしています。

Slide 3

Slide 3 text

本セッションでは、書籍の内容をも とに、エンジニアがドキュメントを 書くために必要な基礎スキルをお話 します。

Slide 4

Slide 4 text

本書の内容 ● ドキュメントの読み方を理解する ● 読み手とテーマを選定する ● テーマを分解する ● ドキュメントの骨組みを組む ● 文章を書く ● わかりやすい文を書く ● ChatGPTで効率良く書く ● ドキュメントの構成例 本セッションのスコープ ドキュメントを書くための基礎スキル とは、テーマをもとにドキュメントの 適切な構成を組み、文章に落とし込む 技術です。

Slide 5

Slide 5 text

皆さんは、なぜドキュメントを読み、ドキュメントを書くのでしょうか?

Slide 6

Slide 6 text

「ドキュメント読むの大好き!一日中読んでいたい!」 「書くのも大好き!ドキュメント書いてお金になる仕事ないかなぁ」 こういう人がいたら、#Forkwell_Libraryに書き込んでください

Slide 7

Slide 7 text

「ドキュメント読むの大好き!一日中読んでいたい!」 「書くのも大好き!ドキュメント書いてお金になる仕事ないかなぁ」 こんな人は、エンジニアにはほとんどいない (いたら是非テクニカルライターになりましょう!)

Slide 8

Slide 8 text

ドキュメントは目的があって読み書きする 情報を伝える 書き手 読み手

Slide 9

Slide 9 text

ドキュメントは目的があって読み書きする 必要な情報を得る 書き手 読み手

Slide 10

Slide 10 text

ドキュメントの種類と目的 目的 ドキュメントの例 概念や手順を説明する 要件定義書・バックログ・仕様書・マニュアル・作業手順書 知見や活動を報告する 報告書・論文・技術ブロク 相手に行動を促す 企画書・提案書

Slide 11

Slide 11 text

目的を効率良く達成する 本書は、 ● 書き手にとっての目的 ● 読み手にとっての目的 の両方を効率良く達成するドキュメントの 書き方を説明しています。

Slide 12

Slide 12 text

書くことへの苦手意識 ● ドキュメントに書くべきことは何となく頭にあるけれど、文章が思い 浮かばない ● 何からどうやって書けばいいのかわからず時間が掛かってしまう ● とりあえず書きはしたものの、話の流れがうまく整わない

Slide 13

Slide 13 text

なぜそうなってしまうのか

Slide 14

Slide 14 text

なぜそうなってしまうのか いきなり文章を書き始めていませんか?

Slide 15

Slide 15 text

プログラミングと同じく設計が大切 プログラムを書く 要件定義 設計 実装 読み手とテーマの 選定 構成の設計 執筆 ドキュメントを書く 適切な設計が効率につながる ● 読み手が効率良く情報を得られる ● 書き手が効率良く書ける

Slide 16

Slide 16 text

ドキュメントの目標

Slide 17

Slide 17 text

ドキュメントの特徴① ドキュメントには目的の達成が求められる マニュアル プロダクトの使い方 を伝える

Slide 18

Slide 18 text

ドキュメントの特徴② ドキュメントには情報が正しく伝わることが求められる

Slide 19

Slide 19 text

ドキュメントの特徴③ ドキュメントには情報が効率良く伝わることが求められる ● 読み手の目的は「必要な情報を得ること」であり「ドキュメントを読むこと」ではない ● ドキュメントは、どこに何が書いてあるかが一目でわからなければならない

Slide 20

Slide 20 text

ドキュメントの目標 目的に応じた情報を効率良く、正しく伝える

Slide 21

Slide 21 text

実用性(ユーザビリティー)の高いドキュメントを目指す Effectiveness 必要な情報を正しく得られる Efficiency 効率良く情報を得られる Satisfaction 不快さがなく、肯定的に 受け止められる ユーザビリティーの定義(ISO 9241-11)から

Slide 22

Slide 22 text

ユーザビリティーが高いドキュメントを書くための要素 情報の整理 情報を分解し、整理して伝える 構成 ● わかりやすく ● 誤解がなく ● 肯定的に受け止められる 文を書く 文 見出しや文章を適切に構成し、 どこに何が書かれているかを わかりやすくする

Slide 23

Slide 23 text

目標と手段 情報の整理 情報を分解し、整理して伝える 構成 ● わかりやすく ● 誤解がなく ● 肯定的に受け止められる 文を書く 文 見出しや文章を適切に構成し、 どこに何が書かれているかを わかりやすくする Effectiveness 必要な情報を正しく得られる Efficiency 効率良く情報を得られる Satisfaction 不快さがなく、肯定的 に受け止められる 目標 手段 ユーザビリティーの高いドキュメント

Slide 24

Slide 24 text

目標と手段 情報の整理 情報を分解し、整理して伝える 構成 ● わかりやすく ● 誤解がなく ● 肯定的に受け止められる 文を書く 文 見出しや文章を適切に構成し、 どこに何が書かれているかを わかりやすくする Effectiveness 必要な情報を正しく得られる Efficiency 効率良く情報を得られる Satisfaction 不快さがなく、肯定的 に受け止められる 目標 手段 ユーザビリティーの高いドキュメント ここからは、情報の整理と構成の組み立てに 焦点を当ててお話します

Slide 25

Slide 25 text

伝える情報を整理する

Slide 26

Slide 26 text

大きく複雑な情報は伝わらない 大きな情報 人が一度に受け止められる情報の量には限りがある

Slide 27

Slide 27 text

情報を分解し、整理して伝える わかりやすさのためには、大きく複雑な情報を分解し、整理して伝えていくことが大切 大きな情報 Aの話 Bの話 ・・・

Slide 28

Slide 28 text

ドキュメントの階層構造 ドキュメントは階層構造を持つ ● 1つのドキュメントで、1つのテーマ ● 1つの見出しで、1つのサブテーマ ● 1つのパラグラフで、1つの話題 テーマ サブテーマ 話題 話題 話題 話題 階層構造を取ることで、複雑な情報を分解して 伝えることができる サブテーマ

Slide 29

Slide 29 text

情報を分解、整理し、ドキュメントの構成に反映する テーマ サブテーマ 話題 話題 話題 話題 サブテーマ テーマ サブテーマ 話題 話題 話題 話題 話題 話題 サブテーマ サブテーマ

Slide 30

Slide 30 text

テーマを構成する3つの要素 Why なぜ What 何を テーマ How どうやって なぜそれが必要なのか それは何なのか どうやってそれを実現するのか

Slide 31

Slide 31 text

マニュアルであれば ● Why(目的): ○ 読み手にとってその機能がなぜ必要なのか ● What(目標): ○ その機能はどういうものなのか ○ その機能でできること ● How(手段): ○ その機能をどうやって使うのか Why なぜ What 何を テーマ How どうやって

Slide 32

Slide 32 text

企画書であれば ● Why(目的): ○ なぜその企画が必要なのか(目的) ● What(目標): ○ 何をするのか・何をしないのか(目標) ● How(手段): ○ 目標をどうやって実現するのか(手段) Why なぜ What 何を テーマ How どうやって

Slide 33

Slide 33 text

報告書であれば ● Why(目的): ○ なぜその活動が必要だったのか ● What(結果): ○ 活動の結果はどうだったか ○ 結果からどのような考察が得られたか ● How(手段): ○ どうやって結果を得たのか Why なぜ What 何を テーマ How どうやって

Slide 34

Slide 34 text

● Why(目的): ○ ドキュメントの目的 ● What(目標): ○ ドキュメントとは何か ○ ドキュメントの目標 ● How(手段): ○ ドキュメントの書き方 Why なぜ What 何を テーマ How どうやって 本セッションであれば

Slide 35

Slide 35 text

3つの要素を分解する(マニュアルの場合) 地域コミュニティーの形成 メッセージアプリの 公開チャット機能 Why(目的) How(機能の使い方) イベントや活動の計画 趣味や興味の共有 What(どんな機能か) チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームに参加する機能 チャットルームに参加する機能

Slide 36

Slide 36 text

3つの要素を分解する(企画書の場合) 開発速度の低下 フレームワークを Reactに移行する Why(目的) How(手段) 学習コストの高さ 開発者の確保の困難さ What(目標) Reactへの移行する 移行による効果の検証 主なタスク スケジュール メンバー 必要なコスト リスクと対策 開発効率の向上 研修期間の短縮 レンダリング速度の向上

Slide 37

Slide 37 text

複雑な物事や概念の分解 複雑な物事や概念をわかりやすく伝えるには、さらに分解が必要になる 要素1 要素2 要素3 物事や概念

Slide 38

Slide 38 text

複雑な物事や概念の分解 複雑な物事や概念をわかりやすく伝えるには、さらに分解が必要になる 情報の整理 構成 文 ドキュメントの書き方 たとえば

Slide 39

Slide 39 text

分解の2つのパターン テーマ サブテーマ 話題 話題 話題 話題 話題 話題 サブテーマ サブテーマ 概要 全体 具体 部分 具体例で分解 構成要素で分解

Slide 40

Slide 40 text

全体から部分へと展開する ハードウェアであれば構成部品で、ソフトウェアであれば構成機能で分解される スマートフォン パネル タッチパネル 液晶パネル CPU メモリー ネットワークモジュール LANモジュール Bluetooth センサー 加速度センサー ジャイロセンサー 近接センサー ・・・

Slide 41

Slide 41 text

概要から具体へと分解する スマートフォン Android スマートフォン Pixel Xperia Galaxy ・・・ iPhone iPhone Pro Max iPhone Pro iPhone mini ・・・

Slide 42

Slide 42 text

順に説明を展開していく スマートフォン Android スマートフォン Pixel Xperia Galaxy ・・・ iPhone iPhone Pro Max iPhone Pro iPhone mini ・・・ 段階を追って知識を付け加え ていくことが、わかりやすさ に繋がる

Slide 43

Slide 43 text

メッセージアプリのマニュアルであれば メッセージアプリ の使い方 家族や友人と話す 共通の趣味や関心を持 つ人と話す チャットする 通話する ビデオ通話する コミュニティー に参加する コミュニティー を作る 概要 具体 具体例で分解 利用目的の具体例で分解

Slide 44

Slide 44 text

メッセージアプリのマニュアルであれば メッセージアプリ の使い方 会話 連絡帳 プロフィール チャット 通話 ビデオ通話 公開チャット 非公開チャット 全体 部分 構成要素で分解 機能の構成要素で分解

Slide 45

Slide 45 text

情報を適切に分解する NG:きれいに分解できる OK:読者の目的に合わせる

Slide 46

Slide 46 text

マニュアルであれば メッセージアプリ の使い方 家族や友人と話す 共通の趣味や関心を持 つ人と話す チャットする 通話する ビデオ通話する コミュニティー に参加する コミュニティー を作る 子供の学校の親同士で 話す場をつくりたい 自分の目的をどうすれば達成できるのか知りたいのであれば 利用目的の具体例で分解

Slide 47

Slide 47 text

マニュアルであれば メッセージアプリ の使い方 会話 連絡帳 プロフィール チャット 通話 ビデオ通話 公開チャット 非公開チャット 機能の用途や使い方を知りたいのであれば 公開チャットの管理者が できることを知りたい 機能の構成要素で分解

Slide 48

Slide 48 text

仕様書であれば あなたなら情報をどう分解しますか? プロダクトの外部仕様 機能要件 非機能要件 ? ? ? セキュリティ パフォーマンス 動作環境

Slide 49

Slide 49 text

答え 読み手の目的が機能の仕様を知ることであれば、機能の構成要素で分解する プロダクトの外部仕様 機能要件 非機能要件 機能1 機能2 機能3 画面 帳票 エラー ログ セキュリティ パフォーマンス 動作環境 全体から部分へと説明を展開することで、開発者はプロダクトの全体像を把握しながら各機能を開発できる

Slide 50

Slide 50 text

効率良く情報を得られるようにするための 見出しの構成(アウトライン)

Slide 51

Slide 51 text

効率良く情報を得られるようにする 全部読む ● 欲しい情報のありかに当たりを付けながら読む ● 要点を先に掴みながら読む 読み手が効率良く情報を得るためには、見出しの構成(アウトライン)が大事 ● どこに何が書かれているかをわかりやすくする ● 要点を先に伝える

Slide 52

Slide 52 text

構成を読み手に伝える「アウトライン」 ● アウトラインとは、物事のあらまし・ 大筋・概略 ● ドキュメントにおけるアウトラインとは、 章・節・項などの見出しを階層的に設定、 表示したもの 例:レポートのアウトライン ● 概要 ● 調査の背景 ● 調査の内容 ○ データの収集 ○ データの分析 ● 調査の結果と考察 ● 結論

Slide 53

Slide 53 text

アウトラインの役割(書き手にとって) ① 論理を組み立てる 例:レポートのアウトライン ● 概要 ● 調査の背景 ● 調査の内容 ○ データの収集 ○ データの分析 ● 調査の結果と考察 ● 結論 Why How What ● Why(目的): ○ なぜその調査が必要だったのか ● What(結果): ○ 調査の結果はどうだったか ○ 結果からどのような考察が得られたか ● How(手段): ○ どうやって結果を得たのか

Slide 54

Slide 54 text

アウトラインの役割(書き手にとって) ② どこに何を書くかを決める メッセージアプリの 公開チャット機能の使い方 書くべきことがボンヤリしている 書くべきことがハッキリしている 機能の概要 見出し 管理者ができること 見出し 機能の利用目的 見出し 操作手順 見出し

Slide 55

Slide 55 text

アウトラインの役割(読み手にとって) ① 必要な情報を探す手掛かり どこに何の情報があるかわかりやすい 機能の概要 管理者ができること 機能の利用目的 操作手順 どこに何の情報があるかわかりづらい

Slide 56

Slide 56 text

アウトラインの役割(読み手にとって) ② 要点を掴む手掛かり 見出しから本文の要点を掴める 本文を読むまで要点がわからない 注意 削除したデータは復旧できません

Slide 57

Slide 57 text

分解した情報をアウトラインに仕立てるステップ 1. 要素を並べ替える テーマを分解してでき要素を、読み手に伝える順番を考えて並べ替える 2. 見出しを付ける要素を選ぶ 並べ替えた要素の中から、見出しを付けるものを選ぶ 3. 見出しを決める 本文に何が書かれているか、または本文で何が言いたいかを具体的に示す見出しを付 ける 4. 見出しだけを流して読んでみる 最後に見出しだけを流して読んでみて、どこに何が書かれているかや、ドキュメント で言いたいことをザックリ掴めることを確認する

Slide 58

Slide 58 text

マニュアルのアウトラインを作ろう 地域コミュニティーの形成 メッセージアプリの 公開チャット機能 なぜ(目的) どうやって(機能の使い方) イベントや活動の計画 趣味や興味の共有 何を(どんな機能か) チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームに参加する機能 チャットルームに参加する機能

Slide 59

Slide 59 text

Step1 要素を並べ替える 地域コミュニティーの形成 メッセージアプリの 公開チャット機能 なぜ(目的) どうやって(機能の使い方) イベントや活動の計画 趣味や興味の共有 何を(どんな機能か) チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームに参加する機能 チャットルームに参加する機能 次のいずれかで並べ替える ● 既知から未知へ ● 時系列で ● 重要なものから ● ニーズが大きいものから

Slide 60

Slide 60 text

Step1 要素を並べ替える メッセージアプリの 公開チャット機能 どうやって(機能の使い方) 何を(どんな機能か) チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がメッセージを削除する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームに参加する機能 チャットルームに参加する機能 地域コミュニティーの形成 なぜ(目的) イベントや活動の計画 趣味や興味の共有 既知から未知へと並べ替える

Slide 61

Slide 61 text

Step1 要素を並べ替える メッセージアプリの 公開チャット機能 どうやって(機能の使い方) 何を(どんな機能か) チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 地域コミュニティーの形成 なぜ(目的) イベントや活動の計画 趣味や興味の共有 時系列で並べ替える 時系列で並べ替える

Slide 62

Slide 62 text

Step1 要素を並べ替える メッセージアプリの 公開チャット機能 どうやって(機能の使い方) 何を(どんな機能か) チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 趣味や興味の共有 なぜ(目的) 地域コミュニティーの形成 イベントや活動の計画 ニーズの大きそうなものから並べ替える

Slide 63

Slide 63 text

Step2 見出しを付ける要素を選ぶ メッセージアプリの 公開チャット機能 どうやって(機能の使い方) 何を(どんな機能か) チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 趣味や興味の共有 なぜ(目的) 地域コミュニティーの形成 イベントや活動の計画 ● 内容が多い要素、重要な 要素に見出しを付ける ● 内容が少なくなりそうな 要素は他の要素と結合 内容が少なそうなので 1つの見出しでくくる 重要な要素なのでそれ ぞれに見出しを付ける

Slide 64

Slide 64 text

Step2 見出しを付ける要素を選ぶ メッセージアプリの 公開チャット機能 どうやって(機能の使い方) 何を(どんな機能か) チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 チャットルームに参加する機能 ニックネームとアイコンを設定する機能 チャットルームを作成する機能 管理者が参加者を管理する機能 管理者がルームを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 管理者がメッセージを削除する機能 趣味や興味の共有 なぜ(目的) 地域コミュニティーの形成 イベントや活動の計画 内容が少なそうなので 1つの見出しでくくる 重要な要素なのでそれ ぞれに見出しを付ける 公開チャット機能のマニュアルのアウトライン ● 何を(どんな機能か) ● 管理者ができること ● なぜ(機能の利用目的) ○ 趣味や興味の共有 ○ 地域コミュニティーの形成 ○ イベントや活動の計画 ● どうやって(機能の使い方) ○ チャットルームに参加する機能 ○ ニックネームとアイコンを設定する機能 ○ チャットルームを作成する機能 ○ 管理者が参加者を管理する機能 ○ 管理者がメッセージを削除する機能 ○ 管理者がルームを削除する機能

Slide 65

Slide 65 text

Step3 見出しを決める 公開チャット機能のマニュアルのアウトライン ● 何を(どんな機能か) ● 管理者ができること ● なぜ(機能の利用目的) ○ 趣味や興味の共有 ○ 地域コミュニティーの形成 ○ イベントや活動の計画 ● どうやって(機能の使い方) ○ チャットルームに参加する機能 ○ ニックネームとアイコンを設定する機能 ○ チャットルームを作成する機能 ○ 管理者が参加者を管理する機能 ○ 管理者がメッセージを削除する機能 ○ 管理者がルームを削除する機能 公開チャット機能のマニュアルのアウトライン ● 匿名で誰でも楽しめるチャットルーム ● 管理者ができること ● 公開チャットはこんなときに使える ○ 共通の趣味や興味を持つ人たちと話す ○ 地域のコミュニティーで情報交換する ○ イベントや活動を計画する ● 公開チャットの使い方 ○ チャットルームに参加する ○ ニックネームとアイコンを設定する ○ チャットルームを作成する ○ 【管理者のみ】参加者を管理する ○ 【管理者のみ】メッセージを削除する ○ 【管理者のみ】チャットルームを削除する 次のいずれかを示した見出しにする ● 本文に何が書かれているか ● 本文で何を言いたいか

Slide 66

Slide 66 text

Step4 見出しだけを流して読んでみる 公開チャット機能のマニュアルのアウトライン ● 匿名で誰でも楽しめるチャットルーム ● 管理者ができること ● 公開チャットはこんなときに使える ○ 共通の趣味や興味を持つ人たちと話す ○ 地域のコミュニティーで情報交換する ○ イベントや活動を計画する ● 公開チャットの使い方 ○ チャットルームに参加する ○ ニックネームとアイコンを設定する ○ チャットルームを作成する ○ 【管理者のみ】参加者を管理する ○ 【管理者のみ】メッセージを削除する ○ 【管理者のみ】チャットルームを削除する 見出しだけを流して読んでみて、話のあら ましや流れを掴めるかどうかを確認する 話のあらましを掴むための情報は 見出しに表れていなければならない

Slide 67

Slide 67 text

効率良く情報を得られるようにするための 文章の構成

Slide 68

Slide 68 text

文章の組み立て ● 1つの見出しの中でも、読み手に伝える情報 はいくつもある ● 話題がバラバラに行ったり来たりしていては、 読み手の納得を得られない タイトル 見出し 話題 話題 話題 話題 見出し

Slide 69

Slide 69 text

1つの話題をまとめるパラグラフ ● 1つの話題をまとめるのがパラグラフ ● 話題とは、1つの言いたいこととその理由や説明の 組み合わせ ● 一つ一つの言いたいことに対して納得を得ながら、 読み手の理解を導いていく 言いたいこと その理由や説明 1つの話題=パラグラフ

Slide 70

Slide 70 text

各パラグラフで言いたいことが見出しに結び付く 言いたいこと その理由や説明 言いたいこと その理由や説明 パラグラフ 言いたいこと その理由や説明 見出しの中全体で 言いたいこと 1つの見出し パラグラフ パラグラフ 『エンジニアが一生後悔しない ドキュメントの基本』から引用

Slide 71

Slide 71 text

話題のまとまりを意識すると書きやすくなる ● 書くべきことが小さい単位で決まる 1つの「言いたいこと」をスバリを書けば良い ● 話の流れを作りやすくなる 1つの見出しの中で言いたいことに結び付くよう各パラグラフの「言いたいこと」を書 けば良い ● 文章を展開しやすくなる 「言いたいこと」と「その理由や説明」に分けて書くことで、パラグラフの文章を展 開しやすくなる

Slide 72

Slide 72 text

パラグラフを展開する3つのパターン 言いたいこと 理由を挙げる 説明を述べる 具体例を挙げる 別の言葉で言い換える 詳細を述べる パラグラフの文章には主に3つのパターンがある これらのパターンから選ぶと、文章を考えやすくなる

Slide 73

Slide 73 text

言いたいことの理由を述べる 業務でスマートフォンを活用することは生産性の向上につながります。スマートフォン を使うことで、移動中や外出先での空き時間を利用して業務を進めることが可能になり ます。たとえば、出勤時の電車の中でメールを読んでおけば、忙しい朝の時間を節約で き、またちょっとした返信もその場で済ませることができます。外出先で報告書を作成 して提出すれば、報告書を作成しにわざわざオフィスに戻ることも不要になります。 読み手の「なぜ?」に対して、「なぜなら...」、「そうずれば...」、「そうしな いと...」と答えていく 言いたいこと その理由

Slide 74

Slide 74 text

言いたいことの説明を述べる スマートフォンは、携帯電話とパソコンの機能を併せ持つ携帯機器です。通話したり、 メッセージを送ったりといった電話としての機能だけでなく、インターネットで情報を 得たり、音楽や動画 を楽しんだり、撮った写真や動画を加工してインターネットで共有 したりと、まるで小さなパソコンとも言えるさまざまな機能を持ちます。さらに、パソ コンと同じように、「アプリ」と呼ばれるアプリケーションソフトウェアを入れて機能 を追加することもできます。 読み手の「どういうこと?」に対して、「つまり...」、「要するに...」、「言い 換えると...」と答えていく 言いたいこと その詳細の説明

Slide 75

Slide 75 text

言いたいことの理由を述べる スマートフォンは写真や動画の撮影機器としても広く使用されています。多くのスマー トフォンは高性能なカメラを備えていて、日常生活や旅行先などで手軽に美しい写真や 動画を撮影できます。そして、撮った写真をスマートフォンを使ってその場で加工した り、友人に共有したり、ソーシャルメディアに投稿したりすることも、撮影の楽しみ方 の一つになっています。 読み手の「そうなの?」に対して、「たとえば...」、「具体的には...」と答えて いく 言いたいこと その具体例

Slide 76

Slide 76 text

パラグラフを展開する 公開チャット機能のマニュアルのアウトライン ● 匿名で誰でも楽しめるチャットルーム ● 管理者ができること ● 公開チャットはこんなときに使える ○ 共通の趣味や興味を持つ人たちと話す ○ 地域のコミュニティーで情報交換する ○ イベントや活動を計画する ● 公開チャットの使い方 ○ チャットルームに参加する ○ ニックネームとアイコンを設定する ○ チャットルームを作成する ○ 【管理者のみ】参加者を管理する ○ 【管理者のみ】メッセージを削除する ○ 【管理者のみ】チャットルームを削除する この見出しの中を 書いてみよう

Slide 77

Slide 77 text

1. 各パラグラフで言いたいことを書く いきなり文章を書こうとすると難しい。まずは各パラグラフで言いたいことだけを 1文で書く 2. 話の流れを確認する それぞれの「言いたいこと」が話の筋としてつながっていることを確認する 3. 言いたいことの理由や説明を書き足す 各パラグラフで「言いたいこと」への理解を支える「理由や説明」を書き足していく 文章を効率良く書くステップ

Slide 78

Slide 78 text

Step1 各パラグラフで言いたいことを書く 見出し:匿名で誰でも楽しめるチャットルーム 公開チャットは、匿名で誰でも楽しめるチャット ルームです。 匿名で誰でも楽しめる チャットルーム チャットルームに 参加する機能 ニックネームとアイコ ンを設定する機能 チャットルームを 作成する機能 まずは見出しの中で言いたい ことをズバリと言う

Slide 79

Slide 79 text

Step1 各パラグラフで言いたいことを書く 匿名で誰でも楽しめる チャットルーム チャットルームに 参加する機能 ニックネームとアイコ ンを設定する機能 チャットルームを 作成する機能 見出し:匿名で誰でも楽しめるチャットルーム 公開チャットは、匿名で誰でも楽しめるチャット ルームです。 公開チャットのチャットルームには自由に参加で きます。 プライバシーも保ちながら匿名で気軽にチャット ルームに参加できることも、公開チャットの特長 です。 さらに、自分でチャットルームを作成することも できます。 続いて、テーマを分解した話題に沿って 各パラグラフで言いたいことを書いていく

Slide 80

Slide 80 text

Step2 話の流れを確認する 見出し:匿名で誰でも楽しめるチャットルーム 公開チャットは、匿名で誰でも楽しめるチャット ルームです。 公開チャットのチャットルームには自由に参加で きます。 プライバシーも保ちながら匿名で気軽にチャット ルームに参加できることも、公開チャットの特長 です。 さらに、自分でチャットルームを作成することも できます。 各パラグラフで言いたいことが見出し に結び付いていることを確認する

Slide 81

Slide 81 text

Step3 言いたいことの理由や説明を書き足す 見出し:匿名で誰でも楽しめるチャットルーム 公開チャットは、匿名で誰でも楽しめるチャット ルームです。趣味や興味などをテーマにしたさま ざまなチャットルームがあり、匿名で自由に参加 できます。また、自分でテーマを決めてチャット ルームを作ることもできます。 1つめのパラグラフでは全体像(後続する パラグラフの3つの話題)をそれぞれ述べる 匿名で誰でも楽しめる チャットルーム 自由にルームに 参加できる 匿名でルームに 参加できる 自由にルームを 作成できる 説明を述べる 1つめのパラグラフの文章

Slide 82

Slide 82 text

Step3 言いたいことの理由や説明を書き足す 公開チャットのチャットルームには自由に参加で きます。カテゴリーから選んだり、キーワードか で検索したりして、自分の興味に合ったチャット ルームを見つけられます。また、参加者からの招 待を受けて特定のチャットルームに参加すること もできます。 どのように自由に参加できるのかを 具体例を挙げて説明する 2つめのパラグラフの文章 チャットルームに 自由に参加できる カテゴリーから 参加する 検索して 参加する 招待を受けて 参加する 具体例を挙げる

Slide 83

Slide 83 text

Step3 言いたいことの理由や説明を書き足す プライバシーを保ちながら匿名で気軽にチャット ルームに参加できることも、公開チャットの特長 です。公開チャットに参加するときには、プロ フィールの名前とは異なるニックネームやアイコ ンを設定できます。ほかの参加者に本名やプロ フィールが公開されることはありません。 なぜプライバシーを保てるのかを理由を 挙げて説明する 3つめのパラグラフの文章 プライバシーを保ち ながら参加できる ニックネームとアイ コンを設定できる 本名やプロフィール は非公開 理由を挙げる

Slide 84

Slide 84 text

Step3 言いたいことの理由や説明を書き足す さらに、自分でチャットルームを作成することも できます。ルームの名前、説明、カバー画像など を設定し、ルームのテーマや雰囲気に合わせて見 た目をカスタマイズできます。また、参加ルール やガイドラインを設けることも可能です。これら の設定は、あとからいつでも変更できます。 どのようにチャットルームを作成できる のかの詳細を説明する 4つめのパラグラフの文章 自分でチャットルー ムを作成できる ルームに設定 できること 設定はあとから 変更できること 説明を述べる

Slide 85

Slide 85 text

文章が完成 匿名で誰でも楽しめるチャットルーム 公開チャットは、匿名で誰でも楽しめるチャットルームです。趣味や興味などをテーマにしたさまざまなチャッ トルームがあり、匿名で自由に参加できます。また、自分でテーマを決めてチャットルームを作ることもできま す。 公開チャットのチャットルームには自由に参加できます。カテゴリーから選んだり、キーワードかで検索したり して、自分の興味に合ったチャットルームを見つけられます。また、参加者からの招待を受けて特定のチャット ルームに参加することもできます。 プライバシーを保ちながら匿名で気軽にチャットルームに参加できることも、公開チャットの特長です。公開 チャットに参加するときには、プロフィールの名前とは異なるニックネームやアイコンを設定できます。ほかの 参加者に本名やプロフィールが公開されることはありません。 さらに、自分でチャットルームを作成することもできます。ルームの名前、説明、カバー画像などを設定し、 ルームのテーマや雰囲気に合わせて見た目をカスタマイズできます。また、参加ルールやガイドラインを設ける ことも可能です。これらの設定は、あとからいつでも変更できます。

Slide 86

Slide 86 text

まとめ ● わかりやすいドキュメントを効率良く書くために、ドキュメントの設計が大切 ● そのために、ドキュメントのテーマを分解して整理し、ドキュメントの構成に 落とし込む ● テーマはWhy(なぜ)・What(何を)・How(どうやって)の3つに分解で きる ● 見出しは「本文に何が書かれているか」・「本文で何を言いたいか」を具体的 に伝えるものにする ● テーマを分解した要素に沿って文章を組み立てることで、話しの筋が通り、論 理立った文章になる 本セッションや書籍の感想を是非SNSでシェアいただけると嬉しいです!